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モーター・フォト・ジャーナリスト

諸星 陽一もろほし よういち

三菱 新型トライトンの試乗レポート[MJ]

トライトンは三菱自動車が製造するピックアップトラックです。

その起源は1978年に発売されたフォルテと呼ばれるトラックで、以来45年間にわたり約570万台もの生産台数を誇るモデルで、世界約150か国で販売されてきたグローバルなモデルです。

フォルテから数えて5代目にあたる新型トライトンは、2023年に生産国のタイで発表。2024年から日本でも発売されています。

今回は新型トライトンをオンロードとオフロードで試乗しました。

◯文:諸星 陽一

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新型トライトンの概要

三菱トライトン

新型のトライトンはフレームから新装されました。

一般的な乗用車はモノコック構造といい、ボディそのものがフレームの役目を果たします。
しかしトライトンのようなトラックは、ハシゴ型のフレームを用いてそこにエンジンやサスペンションなどを搭載します。

新しいフレームは従来よりも曲げ、ねじりともに剛性が1.5倍にも強化されていて、高い入力にも耐える仕様となっています。

三菱トライトン

これに組み合わされるボディは、ダブルキャブと呼ばれる2列5名定員で、衝突安全性を向上したもので、万が一のアクシデント時も高い安全性を発揮します。

三菱トライトン

搭載されるエンジンは2.4リットルのツインターボディーゼルで、最高出力は204馬力、最大トルクは470Nmを誇ります。

三菱トライトンのエンジン。写真:諸星陽一

組み合わされるミッションは6速のATで、駆動方式は三菱が誇るスーパーセレクト4WD-IIです。

新型トライトンに試乗

三菱トライトン。写真:諸星陽一

オンロード走行

まずはオンロードでの試乗です。

スーパーセレクト4WD-IIには後輪駆動となる2H、フルタイム4WDでセンターデフがフリーとなる4H、フルタイム4WDでセンターデフロックとなる4HLc、フルタイム4WDでセンターデフロックかつ副変速機がローギヤードとなる4LLcの5つの駆動モードが用意されています。

三菱がすすめる通常状態は4Hです。
4Hはセンターデフがフリーの状態での4WDなので、4WD車に起きがちなタイトコーナーブレーキング(ステアリングを大きく切った状態で大きな抵抗が発生するもの)が発生せず、2WD のようにイージーに走れます。

三菱トライトン

走行安定感も増すので、この4Hでの走行は雨の高速道路などでも有効なモードです。2Hは乾燥した高速道路や普段使いなどで使うといいモードです。

今回の一般道試乗では4Hと2Hの両方を試しましたがどちらも使い勝手がよく、ストレスなく走れました。
2Hのほうがわずかにステアリングに対する振動などが減りますが、それは神経を研ぎ澄まして感じ取るようにしないと分からないレベルでした。

乗り心地のよさにも驚かされました。
トライトンのリヤサスペンションは、板バネを使ったリーフ式を採用しています。

三菱トライトン。写真:諸星陽一
三菱トライトン。写真:諸星陽一

リーフ式はトラックのように荷物を積むことでリヤ荷重が変化するタイプのクルマにはピッタリの仕様ですが、乗り心地はどうしても劣りがちです。

その原因のひとつが重ねられた板バネ同士がこすれ合う際に発生する摩擦抵抗。
トライトンではこの摩擦抵抗にも注目し、それを低減することで乗り心地をアップしたといういいます。

三菱トライトン

その効果はしっかりとでていて、乗り心地はSUV並に向上しています。ただし大きめの段差を越える際はそれなりの突き上げも感じました。

オフロード走行

三菱トライトン

オフロードでは急勾配の上りと下り、すり鉢状セクションの通過、モーグル走行の3セクションがおもな試乗コースでした。

まずは4Hで急勾配の上りを上っていく、かなりの急勾配でノーマルタイヤにもかかわらずトライトンはグイグイと坂を上っていきますが、途中で砂利の多い路面となるとさすがにタイヤの空転が目立ち上らなくなってしまいます。

ここでアクセルペダルを踏むことをやめ、スーパーセレクト4WD-IIを4HLcにセットすると、トライトンは何事もなかったかのように坂を上りはじめ、あれよあれよという間に頂上に達しました。

頂上からの下りではHDC(ヒル・ディセント・コントロール)という機能を使って下りました。HDCでは車速を約4~20km/hの間で一定にできます。

この機能を使えばステアリング操作に集中できるので、不安なく坂を下れます。

HDCはオフロードだけでなく立体駐車場のスロープなどでも利用できる機能です。

三菱トライトン

また、リバース(バック)でも作動するので、オフロードで坂道を登っていってその先に行けなくなった際なども、HDCを使って下れば速度コントロールはクルマに任せて、ドライバーはステアリング操作に集中できるというのもいい点です。

すり鉢セクションを前にスーパーセレクト4WD-IIを4LLcにセットします。
4LLcは副変速機を使ってより低速なギヤ比です。速度は出ませんが、駆動トルクはかなり強大です。

HDCを使ってすり鉢セクションの中に入ります。すり鉢の底でいったん停止しHDCをカット。クリープ現象を使ってすり鉢の上りにチャレンジします。

アクセル操作は一切することなく、トライトンは上り坂をクリア。

同じように4LLcの状態でモーグルコースに入ります。

三菱トライトン

アクセルによる速度コントロールせずに、進みたいコースに向かってステアリングを切ってやれば、トライトンはのそりのそりとコースをクリアしていきます。

モーグルコースで右前輪と左後輪が浮き上がるような対角線スタック状態になっても、トラクションコントロールが働くことでスタックせずに脱出が可能です。

また、いざとなればリヤデフロックを使えばさらに脱出性は向上します。

トライトンはどのような方におすすめ?

三菱トライトン

トライトンは1930mmという全幅と5360mmという全長は使いにくさを感じる地域もあるでしょうが、それさえクリアできればSUV的な使い方がしやすいモデルです。

荷台はそのまま荷台として使うこともあれば、トノカバーで荷台をカバーする方法や、キャノピーを装着してラゲッジルームを充実させるという使い方もあります。

三菱トライトン。写真:諸星陽一

人とはちょっと違ったクルマに乗りたい、本格的クロカン性能がほしいという方には、トライトンはかなり刺さるモデルだといえるでしょう。

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この記事を書いた人

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諸星 陽一もろほし よういち

モーター・フォト・ジャーナリスト。東京生まれ、東京育ち。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ボッシュ認定CDRアナリスト。

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