ジャーナリスト寄稿記事

モータージャーナリスト/日本ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

内田 俊一うちだ しゅんいち

デリカの名前はだてじゃない、アウトドアにも安心していけるデリカミニに試乗[MJ]

三菱から軽ハイトワゴンのデリカミニの販売が開始された。

これまでデザインや企画面についてレポートしてきたので、今回は実際に走らせてどうだったのか、その印象をまとめてみたい。

ただし、今回は1時間という短い試乗時間であったことをお断りしておく。

〇文・写真:内田俊一 写真:三菱自動車

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パワーもトルクも十分

今回試乗できたのは最上級グレードのT Premium。

駆動方式は4WDという、現在最も売れている仕様で、3気筒ターボに電気モーターを発進時などに使うマイルドハイブリッドが搭載されている。

エンジン出力は64ps/5600rpm、最大トルクは100Nm/2400~4000rpmで、同様なテイストを持つダイハツタントファンクロスと比較をすると、64ps/6400rpm、100Nm/3600rpmとほぼ同じ性能を備えるが、残念ながらタントファンクロスにはモーターアシストなどは装備されないので、そういった点では、デリカミニの方がより性能値は高くなる。

早速クルマに乗り込んでみると、室内の雰囲気に軽自動車だというイメージは一切ない。

中でも印象的なのはクッションの分厚いシートだ。

三菱デリカミニに乗る所

そこに座るとふんわりと体を受け止めてくれて、しかし、ソファのようにふにゃふにゃしない適度なコシが感じられる。

三菱デリカミニのリヤシート

シートやミラー、ステアリング位置を合わせても、窮屈さなどは全くなく、適切なドライビングポジションを取ることができた。

三菱デリカミニのインパネ

しかし、欲をいうなら、ステアリングはチルト機構(ステアリングの上下位置を変えられるもの)だけでなく、テレスコピック機能(ステアリングの前後位置を変えられるもの)も欲しいところだ。

ブレーキペダルを踏んで、シフトレバーがP位置にあることを確認してスタート・ストップボタンを押すと、すぐに3気筒のエンジンは始動。

シフトレバーをDに切り替えてそっとアクセルペダルを踏み込むと、しっかりとしたトルクを発揮してデリカミニは力強く加速を始めた。

想像以上に良い乗り心地

三菱デリカミニ運転席

走り出してすぐに気づいたのは意外にも音質の良さだった。

高級車のように静かということではなく、きちんとエンジンは回っていますよ、路面の状態はざらついていますよなどの必要な情報はドライバーに与えつつ、それ以外の耳障りな音は綺麗にカットしているのだ。

同時にマイルドハイブリッドの利点を生かし、アイドリングストップからのエンジンの再始動も極めてスムーズで、この点に関してはデリカミニよりも振動や音が大きい普通車はいくらでもあるので、優秀といえる。

また、CVTの悪癖ともいえるラバーバンドフィーリング、つまり、エンジンの回転が上がってから、徐々に速度が追い付いてくるという独特のフィーリングもかなり影を潜め、前述の通り発進時から極めてスムーズな走りを演出していた。

そして何より驚いたのが乗り心地の良さだ。
ekクロススペースをキャリーオーバーしており、そこに4WDでは165/60R15(外径は579mm)というekクロススペースの4WDの165/55R15(外径562mm)よりも大径タイヤを履いていることから、バタつき感や乗り心地の悪化を懸念していたのだ。

三菱デリカミニタイヤ

しかし、実際には全くそういったことはなかったのだ。
デリカミニを開発するにあたり、デリカの名に恥じない悪路走行性能を求め、実際に様々なシーンにおいてテストを繰り返し、その結果を開発に反映させていった。

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三菱デリカミニ走行中

確かに相当な悪路、例えば岩がゴロゴロしているような場所での走行はそもそもそういった基本性能を持たせていないのでキビシイだろう。

しかし、キャンプ場に行くまでのダートやちょっとした段差を乗り越えたりするには地上高は高い方がいい。

そのために大径タイヤに変更し、かつ、サスペンションのチューニングが行われたのだ。

少しだけだがダート路も走らせてみたのだが、きちんとショックを吸収し、妙にクルマ全体がふらつくことなく、しっかりと路面を捉えて走ることができたので、家族でキャンプに行くときでも不安は感じられないだろう。

三菱デリカミニ走行中

さらに、その結果が舗装路にも生かされている。

路面からのショックは分厚いシートと相まって、ドライバーにそのショックを直接伝えてこないのだ。

さらに、車両姿勢も全高が高い(1800mm)にも関わらず、交差点での右左折時にぐらりと傾くこともないので、安心感は十分にある。

従って、乗っていて乗り心地が悪いとか不安感といった印象を抱くことはほとんどなかったのは、特筆に値しよう。

悪路走行も含めた充実装備

その分厚いシートだが、座り始めは快適なのだが、暫く座り続けていると若干疲れが感じられた。
その理由は腰回りのサポート性が若干足りないことにある。

三菱デリカミニシート

ただし、見方を変えると乗降性や運転席と助手席のウォークスルー性を優先したためと捉えられる。
つまり、日常使いに重きを置いたためとも捉えられるので、長時間座り続けることがなければ、特に気にする必要はないかもしれない。

装備面においては基本的な安全運転支援システムは十分に装備されており、特にマイパイロット(日産のプロパイロット)は高速道路上においての前車追従機能やレーンキープアシストなどを標準装備しているのは、遠出の時には心強いだろう。

さらに、デリカミニの大きな特徴として大きく3つの装備を取り上げておきたい。

グリップコントロール

ひとつはグリップコントロールだ。
これは滑りやすい路面での発進をサポートするもの。

4輪のうちのひとつがスリップした時に、そのタイヤにブレーキをかけて、ほかのグリップしているタイヤの駆動力を確保して発進をサポートするものだ。

ヒルディセントコントロール(HDC)・ヒルスタートアシスト(HAS)

三菱デリカミニインパネ

続いてヒルディセントコントロール(HDC)と、ヒルスタートアシスト(HAS)だ。

HDCはダートなどの滑りやすい急な下り坂でスイッチをオンにすると車速を4から20km/hの間の指定速度に固定し、ブレーキを踏まなくても降り切れるもの。

そしてHASは上り坂の発進時にブレーキペダルから足を離しても2秒間その姿勢を維持し、クルマが下がってしまうことを防ぐものだ。

三菱デリカミニ坂道発進

多くのSUVには装着されているが、軽自動車では珍しい機能が搭載されているので、アウトドアレジャーにも安心していくことができるだろう。

そのほかにも足先をスライドドアの下に差し込むことでドアの開閉ができるオートスライドドア(グレードにより装備)や撥水シート、後席が320mmスライドできる機能など、様々な装備が盛り込まれており、そういったものも魅力となるだろう。

三菱デリカミニオープン

今回は僅かな試乗時間であったため、全てを試すことは出来なかったが、多くの装備はekクロススペースから受け継がれたものなので、完成度は十分に高くなっていると考えていいだろう。

このように、デリカミニはデリカが持つ悪路走破性を軽自動車として受け継ぎ、かつ、これまで評価の高かった安全支援装備や利便性の高い機能部品を盛り込んだ使い勝手の良いクルマに仕上がっているといえる。

今回の試乗車は約220万円と競合車と比較し若干高めの設定だが、悪路走破性を踏まえるとこの価格差は十分に許容範囲といえる。

特にこれからアウトドアレジャーを楽しみたいと思われている方は、確実にあなたの背中を押してくれる1台といえる。

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この記事を書いた人

モータージャーナリスト/日本ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

内田 俊一うちだ しゅんいち

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も行いあらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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