非常点滅表示灯とは?ハザードランプの使い方を説明
非常点滅表示灯とは車に装備された機能の一つで、一般的には「ハザードランプ」とよばれ、車を運転する人であれば誰もが知っているでしょう。
しかし、非常点滅表示灯を使用するタイミングについて具体的にわかる人は少ないかもしれません。
この記事では非常点滅表示灯の概要と使用のタイミングについて解説していきます。
また、非常点滅表示灯を使用する際の注意点についても解説しているため、参考にしてください。
関連記事:ハザードランプはいつ使う?意味や役割、使用時の注意点について解説
INDEX
非常点滅表示灯とは
非常点滅表示灯とは、ハザードランプとも呼ばれている車の装備のことです。
主に車の故障や事故などで車を道路の左側へ寄せて停車する際に使用します。
非常点滅表示灯のスイッチは、三角形が二重に描かれている赤いボタンであることが一般的です。
ハザードランプは、非常用の装備であるため、誰でも分かるようにダッシュボードの中央に位置しています。
また、中央に配置すれば、運転者、助手席のどちらからでも押すことが可能です。
非常点滅表示灯のスイッチを押した場合、前後左右のウインカーが全て同時に点滅し、周囲に注意を促します。
非常点滅表示灯を使うタイミング
非常点滅表示灯は事故防止のため適切に使用することが、道路交通法で定められています。
ここでは、非常点滅表示灯を使うタイミングについて解説していきます。
道路交通法で定められた使用義務
非常点滅表示灯を使用するタイミングは、道路交通法の第十八条二項と第二十六条三項の二によって定められています。道路交通法第十八条二項の内容は以下の通りです。
自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、法第五十二条第一項前段の規定により、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が五・五メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない。ただし、車両の保安基準に関する規定に定める基準に適合する駐車灯をつけて停車し、若しくは駐車しているとき、又は高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路において後方五十メートルの距離から当該自動車が明りように見える程度に照明が行われている場所に停車し、若しくは駐車しているとき、若しくは高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路において第二十七条の六第一号に定める夜間用停止表示器材若しくは車両の保安基準に関する規定に定める基準に適合する警告反射板を後方から進行してくる自動車の運転者が見やすい位置に置いて停車し、若しくは駐車しているときは、この限りでない。
※引用元:e-GOV 法令検索|道路交通法施行令第十八条二項
また、道路交通法第二十六条三項の二の内容は以下の通りです。
通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない。
※引用元:e-GOV 法令検索|道路交通法施行令第二十六条三項の二
道路交通法の内容を要約すると以下の二つのタイミングで非常点滅表示灯を使用します。
- 夜間に5.5メートル以上の道路で駐車するとき
- 通園・通学バスにおいて幼児や小学生が乗り降りするとき
その他の使用するタイミング
道路交通法で定められた使用方法以外にも、以下のようなときに使用します。
- 車の故障やトラブルなどで道路の左側に緊急停止するとき
- レッカー車で牽引されるとき
- 駐車場で駐車するとき
- 高速道路で後方の車に渋滞を知らせるとき
- 大雨や濃霧、吹雪などの悪天候で視界が悪いとき
- 緊急車両が接近しているとき
このようにハザードランプは周囲の車に対して、注意を促す際に使用されるのが一般的です。
関連記事:高速道路でエンジントラブルが起こる原因と対処法について
非常点滅表示灯の装着義務
非常点滅表示灯は周囲の車に対して危険を知らせる重要な装備です。
そのため、車には非常点滅表示灯を装着することが道路運送車両法によって義務付けられています。
ただし、二輪自動車や側車 付二輪自動車、カタピラ、大型特殊自動車、幅0.8m以下の自動車、最高速度40キロメートル毎時未満の自動車などには装着義務はありません。
非常点滅表示灯を使う際の注意点
非常点滅表示灯を使用する際には注意が必要です。
車を運転する人であれば「サンキューハザード」という、ドライバー同士の意思確認やコミュニケーションを目的として非常点滅表示灯を使用している人も多いのではないでしょうか。
この章では非常点滅表示灯の使用方法として最も一般的なサンキューハザードの詳細と、非常点滅表示灯を使う際の注意点についてまとめました。
サンキューハザードを乱用しない
サンキューハザードとは、駐車場から道路に合流する際や車線変更時などで周囲の車に道を譲ってもらった際、非常点滅表示灯を2回ほど点滅させてお礼の気持ちを表す行為のことです。
サンキューハザードは自然発生的に広まったとされ、もともとはトラックドライバー同士がコミュニケーションを取る際の合図であったといわれています。
サンキューハザードは、非常点滅表示灯の本来の使い方とは異なるため、むやみに使用した場合、周囲のドライバーを混乱させたり、事故を誘発したりする可能性があるため注意が必要です。
また、サンキューハザードをするために非常点滅表示灯のスイッチを押した際に、前方不注意で事故につながることもあります。特に運転初心者の人は、危険です。
そのため、周囲の車にお礼の気持ちを伝える際は会釈や手での合図など、状況に応じてほかの手段を活用しましょう。
消し忘れた場合、バッテリーが上がる可能性がある
非常点滅表示灯はスイッチのオン・オフの操作を手動で行う必要があるため、消し忘れてしまう可能性があります。
また非常時の装備であるため、エンジンをオフにしても非常点滅表示灯は消えません。
長時間つけたままにしていた場合、バッテリーが上がり車を動かすことができなくなってしまうため、車を離れる際には非常点滅表示灯を消し忘れないように注意しましょう。
周りの運転者の誤解を招き、事故につながる可能性がある
非常点滅表示灯は適切ではない状況で使用した場合、周囲の運転者の誤解を招き、事故につながる可能性があります。
また、非常点滅表示灯を点滅させたまま走行している車を見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。
こういった場合、周囲の運転者は駐車するものと誤解し、追い越そうとして衝突するといった、事故の原因になってしまうため注意が必要です。
ウインカーやヘッドライトと混同されないように使用する
非常点滅表示灯は車両の緊急事態を示すための信号灯であり、他の運転者に警告を発する役割を果たします。
このため、非常点滅表示灯を点灯させる際には、ウインカーやヘッドライトと同時に使用すべきではありません。
ウインカーは、車が進路を変更する際に、左または右の方向を指示するために使用されます。
ヘッドライトは、夜間や悪天候時に視認性を高めるために使用されます。
これに対して、非常点滅表示灯は車が道路上で一時的に停車する必要がある緊急状況に使用され、周囲の車両に警告を発する役割を果たします。
非常点滅表示灯とウインカーやヘッドライトは目的や意図が異なるため、誤った使い方は他の運転者に混乱を起こして、交通の安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、非常点滅表示灯を点灯させたまま車線変更を試みると、他の運転者は車が緊急停車していると誤解し、危険な状況を引き起こしかねません。
自身と周りの状況をしっかりと把握した上で、用途に応じた照明灯を使用しましょう。
レンタカー利用等の際には、スイッチの場所を把握しておく
非常点滅表示灯のスイッチの場所は、車種によって異なり、ダッシュボード、ステアリングカラム、センターコンソールなど車種によって配置する箇所が異なります。
したがって、新しい車に乗る際やレンタカーを利用する際には、スイッチの場所を把握しておくことが重要です。
これにより、緊急の状況で非常点滅表示灯を迅速に操作できるようになり、安全性を高めることができます。
特にレンタカーを利用する場合、自身の車とは異なる車種を運転することになるでしょう。
事前にスイッチの位置を確認し、必要に応じてレンタカーのスタッフに尋ねて指示を仰ぐことで、安全運転に貢献できます。
万が一に備えて、実際に車道を走る前にボタン位置や点滅の可否なども確認することをお勧めします。
まとめ
この記事では、非常点滅表示灯(ハザードランプ)の概要と使用するタイミングや注意点について解説しました。
非常点滅表示灯を使用するタイミングは道路交通法で定められているものと、そのほかの緊急事態を周囲の車に知らせるものがあり、適切に使用する必要があります。
またサンキューハザードは一般的に使用されていますが、これはあくまでコミュニケーション目的であり義務ではありません。
サンキューハザードが原因で事故を起こしてしまう可能性もあるため危険です。
非常用点滅表示灯は、義務づけられているタイミング以外は、無理して使用せず周囲の状況に十分に注意し、安全運転を心がけましょう。