ジャーナリスト寄稿記事

モータージャーナリスト/日本ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

内田 俊一うちだ しゅんいち

扱いやすいコンパクトカー、新型スズキスイフトに早速試乗[MJ]

フルモデルチェンジし4代目に進化したスズキスイフトを短時間ながら試乗する機会を得たので、その印象をまとめてみたい。

〇文:内田俊一 写真:中野英幸・内田俊一・スズキ

内田 俊一 の記事一覧

出光のカーリース・ポチモへ
出光のカーリース・ポチモへ

新しさとスイフトらしさ

先般解説した(解説記事:スズキスイフト新型登場 スポーティーさだけでないその魅力を解説)新型スズキスイフトのステアリングを実際に握ることができた。

まずは乗り込む前にクルマを1周してみよう。解説にも書いた通りクルマを1周回り込むキャラクターラインが印象的だ。

スズキスイフト。写真:内田俊一
スズキスイフト。写真:内田俊一

一方でしっかりと地に足をつけたスタンスの良さ、そして低重心感はこれまでのスイフトの印象そのものだ。キャラクターラインは途中でずれることもなくきれいに回っているので、その品質感も高いことが伺われる。

ドアを開けて室内を見ると、ナビなどがあるセンタースクリーンやその下のエアコン周りがドライバー側に向いた、いわゆるドライバーオリエンテッドな設計になっていることに気付くだろう。

スズキスイフト運転席。撮影:内田俊一

また、カラーは中央が黒系で上下は淡い白でまとめられ、同時に助手席前はえぐるような形がとられているので軽さを感じさせている。

そのあたりをよく見ると三角形の紋様が見て取れる。

スズキスイフト助手席オーナメント。写真:内田俊一

スズキ商品企画本部四輪デザイン部インテリアグループの邉田紘一さんによると、
「ドアのオーナメントやサイドルーバーガーニッシュのオーナメントのプロフィールに合わせて柄を作り込んでいます。実は同じ形がひとつもないんです。
ドアでは前側から後ろに向かってだんだん小さくなっていっています。
それが単純に大小をするグラデーションさせるのではなく形が変形していくのです。また深さも前側に向かうに従って少し薄く消えていくような表現です」
とそのこだわりを語っていた通り、非常に精緻な印象を持たせ、上質な室内空間が演出されている。

スズキスイフトに乗る邉田紘一氏。写真:内田俊一
邉田 紘一 氏

インパネ全体は3層構造とされた。

スズキ商品企画本部四輪デザイン部インテリアグループの江口裕司さんは、「目の前のインパネデザインを風景、景色と捉えました」という。

江口裕司氏。写真:内田俊一
江口 裕司 氏

「一番乗員から遠いところを遠景。そこは白い部分で囲まれ感とか一体感、明るさ、開放感みたいなものを表現しました。
中央の黒いところは中景。デジタルネイティブに対応したナビを中心に左右方向に広がりを持たせながら、あたかも浮いたような表現をすることで先進感を表現しています。
最後は近景で、操作系をなるべく乗員側に傾けてドライバーオリエンテッドを表現。その操作系でこれまでのスイフトらしさをしっかり継承しました。
もちろん装いはちょっと新しくなっていますが、根幹のスポーティーな表現はスイフトのイメージをちゃんと押さえています」と説明してくれた。

スズキスイフトインパネ。写真:内田俊一

際立つボディのしっかり感

そんな室内のシートに座り、ポジションを合わせるととてもしっくりとした運転姿勢が取れた。

スズキスイフトフロントシート。写真:内田俊一

シートは少し柔らかめで掛け心地は上々だ。
また、座面の前後長が少し長めなので、しっかりと太ももを支えてくれるので疲れも少ないだろう。

スズキスイフトフロントシート。写真:内田俊一

スタートストップボタンを押してエンジンをスタート。

スズキスイフトエンジン。写真:内田俊一

このエンジンは新開発のZ12型と呼ばれる3気筒1200ccで、最高出力82ps、最大トルク108Nmを発揮するもの。同じく新開発のCVTと組み合わされ、WLTCモード燃費は28.9km/l(ハイブリッドMX 2WD CVT)を記録している。

新型ではスズキの小型車初の電動パーキングブレーキを採用したので、軽くアクセルを踏み込むだけでスムーズにスタートする。

そこでの第一印象はクルマの軽さだ。

試乗車のハイブリッドMX 2WD CVTの車重は940kgと1tを切った非常に軽量なボディと相まって本当に文字通り軽々と走り始めた。

実は試乗車を借り出してすぐの路面はいわゆるベルジャンロードと呼ばれる、石畳状のシーンだったので、少々クルマの乗り心地には分が悪い環境だ。そこでのスイフトの印象は少々足が固いというものだ。

スズキスイフト。運転:内田俊一

ただ、路面の接地感はしっかりとしており、ステアリングも路面状況に応じてブルブルと震えたりすることもないので、ボディ剛性の高さがうかがえた。

その点を開発責任者のスズキ商品企画本部四輪商品第二部の小堀昌雄さんに聞いてみたところ、まさにその通りで、これまでスポット溶接だったところに、一部工業接着剤を使うなどで、剛性アップを図っているとのこと。

スポット溶接はいわば点でボディを接合するのに対し、工業接着剤を使うと面での接合になるため、よりしっかりとしたボディが作れるのだ。それを上手く利用してボディ剛性を高めているのである。

スズキスイフトと小堀さん。撮影:内田俊一
小堀 昌雄 氏

この大きなメリットの特徴をスイフトでは2つ挙げられる。

ひとつは遮音性の高さだ。

先代が4気筒エンジンだったところから3気筒に変わったことで、エンジン自体の音と振動はクルマ全体に伝わりやすくなった。
しかし、その影響はほとんど感じられず、更に付け加えると路面からの音、ロードノイズもかなり遮音されているのが印象的だ。

もうひとつはハンドリングだ。

例えば交差点をゆっくりと右左折する際にハンドルを切ったとしよう。
その際にクルマの反応に遅れがなくすっと鼻先が思った方向に向くので、この辺りもボディ剛性を高めた結果といえる。因みにステアリングの重さは若干重めであるが、それは安心感のあるもの。

スズキスイフトハンドル。写真:内田俊一

電動パワーステアリングにありがちなむやみに軽いだけというものではなく、少ししっとりとした触感で路面からのフィードバックもあるので、安心してステアリングを握ることができた。

また、ブレーキペダルを踏んだ時のフィーリングも良好だ。自分の思った通りの減速が得られ、かつ、アイドルストップが介入しても踏力が変化することなく、最後の最後までスムーズにコントロールできる。

乗り心地は少々固め

さあ、少し強めにアクセルを踏み込んでみよう。

すると数値以上にパワフルな加速が手に入る。もう少し穏やかでもいいかもしれないが、この辺りは慣れの問題もあるだろう。

それよりもCVTの出来の良さが際立った。

通常こういうシーンでは、エンジン音が高まりながら、あとから速度が上がって来るという違和感が付きまとうが、新型スイフトは決してそんなことはなく、アクセルペダルを踏んだら踏んだだけエンジンの回転と同じように速度が上昇して来るのだ。

従って街中から郊外に至るまでとてもスムーズで乗りやすい仕上がりになっている。

一方、街中の20~30km/h程度で気になっていた足回りの固さは速度域を上げて行ってもそれほど変わらず、ちょっとひょこひょこしたものだ。

スズキスイフト。運転:内田俊一

もちろん路面の接地性はとても高いのでコーナーなどに工事後の段差や凸凹があったとしてもリアが跳ねたりしないのは安心だが、せっかくボディ剛性が上がったのだから、もう少ししなやかでしっとりとした乗り心地を望んでおきたい。
スポーティーイコール乗り心地は固めではないと思うからだ。

もうひとつ、これは燃費重視のせいか、アクセルペダルを緩めたときに想定していた以上にコースティング(空走)状態になってエンジンブレーキがあまり効かないことが多かったので、注意が必要だ。

充実した安全運転支援システム

解説編でも触れた安全運転支援システムは今回の限られた試乗時間ですべてを試すことはできなかったが、いくつかは試すことができた。

まずアクティブクルーズコントロールは比較的優秀だった。

スズキスイフトACC

前車追従性能は他車と同等で一定の車間距離を保ち、かつコーナーも車線と前車の軌跡を読みながらスムーズに走らせる。

ここで特筆すべきは渋滞時などでの完全停止時だ。

上手なドライバーがやるように、停止寸前に僅かにブレーキを緩めて停止時のショックを和らげる技が見て取れた。こういったちょっとした心遣いが不安なくこういったシステムを使える1歩に繋がっていくのだ。

視界性能も良く、特に左斜め後ろの視界もベルトライン(サイドウインドウの下端のライン)が水平で、かつ先代のCピラーが下に向けて斜めのラインを取っていたのに対し、比較的垂直方向になったことで、見やすくなったことは評価したい。

スズキスイフトCピラー。写真:内田俊一

もちろん前方左右視界も良好なので、街中から高速まで非常に乗りやすい仕上がりといえる。

最後に燃費を触れておこう。今回80分ほどの試乗時間で約30km走行。

その間に撮影のためにエンジンのオンオフを繰り返した結果、23.3km/lを記録した。

スズキスイフトインパネ。写真:内田俊一

WLTCモード燃費には届いていないが、燃費にはかなり不利な状況での数値なので、下限値に近い値と思っていただいて良いだろう。

そう踏まえると新型スイフトの燃費は十分に満足できるものだといえる。

新型スイフトは安全運転支援システムなどを最新のものとし、先代の不満を一掃。

さらにエンジンとCVTを一新し、走りや燃費においては、若干乗り心地に気になる点はあるものの、それ以外では満足できるものに仕上がった。

スイッチ類の使い勝手も良く、運転に不慣れなドライバーから長年運転に親しんできた方まで、多くの方にお勧めできる1台といえる。

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.1

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.2

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.3

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.4

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.5

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.6

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.7/ジャパンモビリティショー2023特集

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.8

出光のカーリース・ポチモへ
出光のカーリース・ポチモへ

この記事を書いた人

モータージャーナリスト/日本ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

内田 俊一うちだ しゅんいち

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も行いあらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

関連する記事

カテゴリーから記事を探す

error: このページの内容は保護されています。