ジャーナリスト寄稿記事

モータージャーナリスト/日本ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

内田 俊一うちだ しゅんいち

【BMW X1・iX1のパワートレインを徹底解説!】BMWらしい駆け抜ける歓びを[MJ]

ビー・エム・ダブリューは、3代目となるX1と電気自動車のiX1の販売を日本でも開始した。

外見でX1とiX1差を見分けることは難しく、フロント左フェンダーに充電口があるかどうか、あとはエンブレムにブルーの加飾があるのがiX1というくらいなので、走っている姿では見分けはつかないだろう。

しかし、そのパワートレインは当然ながら大きく違っているので、改めて解説したい。

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より走りが良さそうなiX1

本国の内燃機関はガソリンおよびディーゼルのラインナップがある中から、日本ではガソリン車のxDrive20iを導入。

これはハイブリッド機構を持たないガソリンエンジン車である。

最高出力204ps(150kW)/5,000rpm、最大トルク300Nm/1,450-4,500rpmを発揮する2.0L直列4気筒BMWツインパワーターボガソリンエンジンに、7速ダブルクラッチトランスミッション(7速DCT)が組み合わされ、WLTCモードで12.9km/L、JC08モードで14.3km/Lの燃料消費率を実現。

電気自動車のiX1 xDrive30は、最高出力190PS(140kW)、最大トルク247Nmを発揮する電気モーターを前輪に1つ、後輪に1つ搭載した4輪駆動モデルである。

システムトータルでの最高出力は272ps(200kW)、最大トルクは494Nm。0-100km/hは5.6秒であるという。

ボディ床下に収納されているリチウムイオン電池のバッテリー容量は66.5kWhであり、一充電での走行可能距離は465km(WLTCモード)とされた。

バッテリーの温度管理は電気自動車では重要だ。

このサーマルマネージメントなどのテクノロジーはiXやi7で採用しているものと同じテクノロジーを採用し、DC充電のための最適化された冷却システムにより、高電圧バッテリーの耐久性がさらに向上している。

充電では、急速充電中にバッテリーが過度に冷却されないように、フル冷却と部分冷却を交互に行うことで急速充電中、特に高充電レベルにおいてセル温度が下がりすぎることを防ぎ、充電時間の短縮と高電圧バッテリーのセルの経年劣化を抑える可能性を高めている。

デュアルモーターなので、ix3のリアモーター(RWD)とは異なる駆動方式が採用されている。

同じくデュアルモーターを採用しているi4はM50というグレードなので、BMW M3などを開発しているBMW M社が手掛けているのに対し、iX1はM社が関与していない標準のデュアルモーターのAWDとなる。

従ってスポーティ志向のみならず、幅広いユーザーに受け入れられるクルマということがいえる。

日本で使う上では普通充電と急速充電(CHAdeMO)は必須で当然これらに対応。

普通充電器の場合、8kWのBMWウォールボックス(200V/32A)を利用すると、約6時間30分で充電開始時10%の状態から80%まで充電することが可能。

また、急速充電(CHAdeMO)では、90kW充電器の利用だと、約50分で、充電開始時10%の状態から約80%までの充電ができる。

多くの急速充電器は30分の縛りがあるので、その場合だと充電開始時10%の状態から55%まで充電することができるそうだ。

充電に関してだが、ガソリンや軽油などと同じように“満タン”にしたいと思いがちだが、自宅に充電器がある場合には、必要最低限の充電にするものひとつの方法だ。

そうすることで、それだけ充電時間を短くすることができ、帰宅後普通充電でゆっくり満充電にするという方法もある。

充実した先進運転支援システム

サスペンションではX1のM Sportおよび、iX1 xDrive30 xLineには、アダプティブMサスペンションを標準装備。

標準のサスペンション搭載モデルと比較し、車高が20mm下がるとともに、減衰力が調整できるため快適性と操舵性が向上している。

さらにスポーツステアリングと組み合わされるので、街中ではスムーズに、ワインディングなどではクイックなステアリングギヤ比に可変し積極的なドライビングを楽しめる仕様となる。

標準装備の先進安全機能ドライビングアシストは、高性能プロセッサーによる高い解析能力によって、より精度と正確性が向上。

高性能カメラ&レーダーおよび、アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付)、レーンチェンジウォーニング(車線変更警告システム)とレーンディパーチャーウォーニング(車線逸脱警告システム)、衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)、クロストラフィックウォーニング、ペダル踏み間違い急発進抑制機能も搭載。

さらに標準装備となるパーキングアシスタントは、車両が時速35km以下で直前に前進したルートを最大50mまで記憶。

その同じルートをバックで正確に戻ることが可能となるリバースアシスト機能が採用されているので、狭い道に入り込んで、その先が行き止まりだった場合も、安全かつ正確にも出ることができるとBMWはいう。

機能も走りも満足

今回、X1及びiX1の記者発表会では、井浦新さん、滝沢眞規子さん、島袋聖南さんと石倉ノアさんという3組のインフルエンサーが来場。

若い層や女性、そしてヤングファミリーをターゲットにしたクルマであることから、この3組に実際に試乗してもらうなどで、情報発信を行おうというものだ。

BMW iX1
左からブランドマネジメントディビジョン本部長の遠藤克之輔氏、滝沢眞規子氏、井浦新氏
車を挟んで右側は、島袋聖南氏、石倉ノア氏

それぞれからX1とiX1の印象が語られたので、まとめておこう。

滝沢さんは普段からクルマを運転し、とても好きだという。

そういう視点では、「無駄のないインテリア。携帯を置くことで充電ができたり、カーブドディスプレイはお掃除しやすそう。タッチパネルはすごく操作が楽だろうなと感じました。走らせても静かで滑らか。クルマのサイズ感もちょうどいいので家族で乗るのは最適ですね。見た目も凄く素敵でそこも大切だなと思いました」とコメント。

BMW X1

井浦さんもクルマ好きだが、EVは初体験。

「アクセルを踏むとタイヤが地面をしっかりと捉えて走っている実感がありました。そして加速が良いので、さすが電気だなと思いました」と好印象。デザインも、「色々なところに“X”が隠されているのでそれを見つけるのが楽しい」とも。

BMW iX1

そして島袋さんは最近お母さんになったこともあり、「足をかざすとテールゲートを開けることができる機能が便利だと思いました。荷物を持って赤ちゃんを抱っこしていることがあって、手が塞がることが多いのですごく便利ですね」と機能性を重視。

ご主人の石倉さんはサイズ感について、「トランク容量が500リットル以上ありながら、全幅が1845mmなので機械式駐車場に入るのはすごく良いポイントです」。
また、「寒い日や暑い日の車内は決して子供にとって環境は良くないです。普段は僕が先に行って冷やしたり温めたりしているのですが、iX1はアプリと連携することで、リモート操作で事前に設定出来るのもものすごくポイントが高いですね」とのことだった。

BMW iX1

やはり今回のモデルチェンジで注目されるのはiX1の方だろう。

特にツインモーターの走りは非常に期待でき、前後重量バランスも考えられたBMWらしい駆け抜ける歓びが感じられそうだ。

一方で、現在の日本においてはインフラがまだまだ整っていない状態だが、前述した充電量などを工夫することで、少しずつ利便性は向上できそうだ。

そうしながら新しいBMWの電気の世界を味わってみるのも面白いだろう。

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この記事を書いた人

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内田 俊一うちだ しゅんいち

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も行いあらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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