スピンドルグリルを“壊した”新型「レクサスRX」の内装・外装・カラーを解説![MJ]
〇文:諸星 陽一
レクサスは1989年に北米で展開が始まったブランドで、日本での展開は2005年からとなります。
RXは1998年に発売開始となったモデルで、当初は北米のみで販売されていました。
しかし、同じクルマが日本ではハリアーという名前で販売されていたのです。
これは2代目のRX、ハリアーまで続きます。
3代目RXは2009年に発売となりますが、この時点でRXとハリアーは決別し、それぞれ別の道を歩くことになります。
RXは2015年にフルモデルチェンジを受け4代目に移行。
2022年にはふたたびフルモデルチェンジとなり、現行モデルとなる5代目に移行します。
現行のレクサスRXは日本では2022年11月に発表、同日より発売が開始されました。
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INDEX
現行のレクサスRX
用意されたラインアップは次のようになります。
RX350(2.4リットルターボエンジン)
バージョンL 8速AT FF 664万円
バージョンL 8速AT AWD 705万円
Fスポーツ 8速AT AWD 706万円
RX450h+(2.5リットル自然吸気エンジン+モーター/プラグインハイブリッド)
バージョンL CVT AWD 871万円
RX500h(2.4リットルターボエンジン+モーター/ハイブリッド)
Fスポーツ・パフォーマンス 6AT 900万円
エクステリア
ボディサイズ
外装の詳細を紹介する前に、ボディサイズの概要を記載しておきます。
( )内は、先代モデルとの比較となります。
- 全長 4890(±0)mm
- 全幅 1920(+25)mm
- 全高 1700~1705(-5~-10)mm
- ホイールベース 2850(+60)mm
- タイヤサイズ 235/50R21
- 車両重量 1870~2160(-20~+20)kg
上記寸法の変化からわかるように、ボディサイズはほとんど変わっていません。
ただし、全高が少し下げられています。
またホイールベース(前後タイヤの距離)が60mmも延長されているので、タイヤはより外側に寄せられ、オーバーハング(タイヤから前後にはみ出している部分)が減少。
全高ダウンと合わせて、スポーティなシルエットに変更されていることがわかります。
デザイン
フロントまわりはレクサスらしいデザインとなっています。
レクサスのグリルはスピンドルグリルと呼ばれています。
今回のRXではこのスピンドルグリルを進化させた、スピンドルボディと呼ばれるものですが、少しスピンドルグリルについても書いておきましょう。
スピンドルグリル
スピンドルというのは糸を紡ぐときに使用する紡錘軸のことです。
トヨタ自動車のルーツはトヨタ自動織機という繊維産業にあることからも、このスピンドルグリルがレクサス車に用いられていると言われています。
スピンドルグリルはレクサス車に最初から用いられていたわけではなく、2012年1月に登場した4代目GSからで、RXは2012年の4月のマイナーチェンジ以降にスピンドルグリルが採用されています。
スピンドルボディというのはスピンドルグリルの発展型で、グリル上部がボディと一体化した造形です。
ボンネット前端までグリルがありましたが、その配置関係は徐々に変化して、2021年に登場したNXではボンネットとグリルの間にパネルを配置。
RXではグリル上部にもボディ同色のパネルを装着、さらにはそのパネルにもグリル同様の模様を刻印。
グリルとボディをシームレスな関係としています。
ボディサイド
サイドで目を引くのが、フロントドア下部からリヤフェンダーに向かって大きく膨らんでいく様子です。
その造形はアスリートがふくらはぎに力を入れたときに、グッと膨らむ筋肉のような力強さです。
フロント
ボンネットは水平に配置され、安定感のあるサイドビューを表現しつつ、先端を下げることで動きのあるスタイルを実現しています。
リア
真後ろからRXを見ると、ウエストライン(ウインドウ下端部分)から下のフェンダーが、左右にグッと広がっていることを確認できます。
リヤコンビランプはこのフェンダー上部に配置、左右コンビランプは水平なガーニッシュで連結され、さらなる安定感を演出しています。
グレード間の違い
もちろん、グレード間での装備面は異なります。
Fスポーツはスポーティなエクステリアでドアミラーはブラック&メッキアクセント入り、Fスポーツパフォーマンスはメッキ部分がつや消しになります。
一方バージョンLはミラー下部がブラック、上部がボディ同色という仕様です。
ホイールはFスポーツがスーパーグロスブラックメタリック塗装、Fスポーツパフォーマンスがマットブラック、バージョンLがダークプレミアムメタリック塗装となります。
ボディカラー
ボディカラーは標準色が9色されます。
オプションカラーは全車に設定されるソニックカッパーと、500h・Fスポーツ・パフォーマンス、300・Fスポーツにオプションに用意されるヒートブルーコントラストレイヤリングがあります。
ソニッククォーツ
ソニックチタニウム
ソニッククロム
ソニックイリジウム
グラファイトブラックガラスフレーク
レッドマイカクリスタルシャイン
ソニックカッパー(全車オプション)
テレーンカーキマイカメタリック
ディープブルーマイカ
ホワイトノーヴァガラスフレーク
ヒートブルーコントラストレイヤリング
(500h・Fスポーツ・パフォーマンス、300・Fスポーツにオプション)
インテリア
RXのコクピットは「Tazuna Consept」という新しい思想で作られています。
「Tazuna Concept」とは人が馬を操る際に使う「手綱」に着想を得たもので、スイッチ類やディスプレイなどを運転に集中しながら、直感的に操作できる最適な配置と形状が追求されています。
ダッシュパネルは上下に厚く、ボリューム感のあるもの。
センターに配置されるモニターは14インチと、タブレットなみのサイズを誇ります。
フロアコンソールは幅広で、どっしりとした印象が与えられています。
ダッシュパネルからドアに向かっては流れるように一体感のある造形として、室内の広々さを演出しています。
カップルディスタンス
前席左右のカップルディスタンス(運転席乗員と助手席乗員の距離)は従来モデルよりも20mm広げられています。
Aピラー(フロントウインドウ枠の左右部分)やルーフ前端を後ろよりにすることで、視界を向上しています。
前後のカップルディスタンスは従来型と同様の寸法ですが、フロントシートの背もたれを薄型化することで、後席乗員の膝前の空間を拡大。
また、37度までリクライニング可能な背もたれによって、ゆとりのある空間を確保しています。
バージョンLは助手席の肩口にスライド&リクライニングのスイッチがあり、後席から操作することで後席空間をさらに拡大することができます。
運転席のシートはスイッチオフ時に後方まで自動スライド、ステアリングも自動で奥に引っ込み乗降性を向上させます。
クルマに乗り込んで、スイッチをオンにすると、最後にスイッチをオフにする前の状態に復帰します。
エアコンは前席が左右と後席が独立した3ゾーンタイプとなっていて、どの席でも快適な室温で過ごすことができます。
センターコンソール前方には、スマートフォンを収納できるスペースやおくだけ充電トレイなどを設定。
インストルメントパネルに充電用USBコネクタ(タイプC)を3カ所配置、通信用USBコネクタ(タイプA)を1カ所配置。
センターコンソール後部にもUSBコネクタ(タイプC)を2カ所配置しています。
定員乗車状態でのラゲッジルーム容量は612リットル。
最大幅は1410mmで奥行きは1043mm、天井までの高さは730mmでゴルフバッグ4個を搭載可能です。後席の背もたれは4/2/4分割で前倒し可能です。背もたれを前に倒した際の奥行きは1945mm。
最大容量は1678リットルとなります。
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