新型スープラのエンジン仕様や旧型との改良点は?
トヨタが製造・販売するスープラは2019年にフルモデルチェンジが行われて以来、現在でも更なる進化を続けています。
トヨタのフラッグシップであり、世界的にも有数の人気スポーツカーである本車は2022年に新型モデルが発表され、新規に開発されたマニュアルトランスミッションや、エンジン、足回り、ホイールなどさまざまな改良が加えられました。
この記事では2022年に発表された新型モデルのエンジン仕様のほか、2020年の旧モデルから改良された点などについて解説していきます。
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INDEX
トヨタ「スープラ」の概要
スープラはトヨタが製造・販売するスポーツカーであり、国産車の中でも最高峰の性能を持つ車です。
1978年に初代モデルが登場して以来、90年代にはモータースポーツで華々しく活躍するほか、「イニシャルD」や「ワイルドスピード」など人気漫画や映画での影響もあり、日本だけでなく、世界的にも非常に高い知名度を誇るようになりました。
その後スープラは2002年に生産終了後、2019年のデトロイトモーターショーにて17年ぶりの復活を遂げます。
17年ぶりにフルモデルチェンジされた本車は、歴代スープラに搭載されていた直列6気筒エンジンを継承しながらも、ホイールベースのショート化や、低重心なフォルムなど、外観はそれまでのマッシブな体型から、より競技車両に特化したスリムなフォルムへと変化しました。
また、パワーは先代の280psから340psまで引き上げられたほか、剛性・軽量されたボディに、エアロダイナミクスに基づいた設計、新設計されたサスペンションによって高い運動性と乗り心地を実現させているのも特徴です。
その走りはレーシングドライバーをして「ロールバーのない競技車」と言わしめており、北米でも2,600台以上販売されるなど、世界的にも高い評価を受けています。
旧・新で見るスープラの改良点
2022年に発表された新モデルは、2020年の旧型モデルと比較すると改良点が主に3つあります。ここではそれぞれの改良点について解説します。
ハンドリング性能・乗り心地の向上
全グレードで共通する改良点は、ハンドリング性能・乗り心地が向上していることです。
サスペンションやシャシー、スタビライザーなど足回り全般が見直され、ハンドリングが素早く応答するようになったほか、限界域での安定性も向上しています。
また、「AVS(路面の凹凸を軽減させる電子制御サスペンション)」やロールバランスも改良され、旧モデルより乗りやすい車へ進化していることも特徴です。
6速マニュアルが追加
「RZ」グレードのみ限定ですが、これまでのモデルは8速オートマチックしか対応していなかったのに対し、2022年モデルには新たに開発された6速マニュアルトランスミッションが追加されています。
シフトノブは掴みやすいスポーティな形状をしており、さらにシフトチェンジはコンピュータ制御によって最適化するiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)が搭載されているため、スムーズな加速も可能です。
内外装に新色を追加
新型モデルはグレードによって新色や内装も新たに追加されています。
たとえば「RZ」、「SZ-R」は新色として「ボルカニックアッシュグレーメタリック」、「ドーンブルーメタリック」が追加されたほか、「RZ」の内装には「タンカラー内装」が追加されています。
これまでのスープラの内装は赤や黒を基調としたスポーティなものが中心でしたが、タンカラー内装は本革を用いているため、より上品な印象へと生まれ変わっています。
ちなみに「ボルカニックアッシュグレーメタリック」は光の当たり方によって見え方が異なるという特徴もあります。
スープラのグレード別エンジンスペック
スープラのグレードは「RZ」、「SZ-R」、「SZ」の3つです。
それぞれのグレードごとにエンジンスペックを分けると、以下のようになります。
グレード | RZ | SZ-R | SZ |
エンジン形式 | B58B30B | B48B20B | |
総排気量 | 2.997 | 1.998 | |
種類 | 直列6気筒 | 直列4気筒 | |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | ||
最高出力kW【PS】r.p.m | 285[387]/5,800 | 190[258]/5,000 | 145[197]/4,500 |
最大トルク〈ネット〉 N・m[kgf・m] /r.p.m | 500[51.0] /1,800 〜5,000 | 400[40.8] /1,550 〜4,400 | 320 [32.7] /1,450 〜4,200 |
燃料供給装置 | 筒内直接燃料噴射装置 | ||
燃料タンク容量 | 52 |
次に、燃費性能を見ていきましょう。
グレード | RZ(6速MT | RZ(8速AT) | SZ-R | SZ |
WLTCモード(km/L) | 11.0 | 12.1 | 14.0 | 14.5 |
市街地(km/L) | 7.6 | 8.2 | 10.0 | 10.2 |
郊外(km/L) | 11.3 | 12.5 | 14.6 | 15.0 |
高速道路(km/L) | 13.3 | 14.9 | 16.4 | 17.2 |
そのほか、グレード別の特徴も紹介します。
SZの特徴
SZはスープラの入門用モデルです。
価格も約500万円で購入可能と、グレード中もっとも安価なモデルとなっています。
エンジンは直列4気筒で197PS/320トルクと、RZよりも抑えられているため、初心者でも運転しやすく、街乗りにも気軽に使えます。
また、車重もRZより約100km軽いため、よりクイックな動きを楽しめる特徴もあります。
SZ-Rの特徴
SZ-RはRZとSZの中間に位置するグレードであり、SZよりも更にレベルの高いチューニングが施されています。
エンジンはSZと同じ直列4気筒ですが、258PS/400トルクまで引き上げられ、よりパワフルな加速やスピードを体験できるほか、タイヤも世界有数の高性能タイヤメーカー「ミシュラン」が標準装備で装着されるなど、旋回性能もより高度なレベルへと達しています。
そして何より、このグレードからAVSやアクティブディファレンシャルなど、高性能なメカニズムが搭載されるようになるため、街乗りとスポーツ走行の両方を楽しみたいという人には特に向いているグレードです。
ちなみに価格は約600万円と、SZより100万円高額になります。
RZの特徴
RZはスープラの最上級グレードのモデルです。
エンジンは3L直列6気筒ターボエンジンが搭載され、そのパワーはSZ-Rよりも更に100馬力以上も高い387PS/500トルクを発揮し、全域にわたって圧倒的なパワーと力強い加速を実感できるほか、タイヤも2022年モデルのみ19インチアルミホイールが採用されており、また従来よりも軽量・高剛性化を遂げたことで、より繊細な操作と快適な乗り心地を実現しています。
価格は約730万円と全グレード中もっとも高額ではありますが、その分スープラの名に恥じぬ最高水準の走りを見せてくれることでしょう。
スープラの乗り心地や操作性
スープラの乗り心地や操作性は、試乗したF1ドライバーによると「この車で5分も走れば幸せの極みだ」と言わしめるほど、極めて高い水準にまとまっています。
ボディはアルミ・スチールが用いられた軽量・高剛性ボディであり、サスペンションにはアクティブ・センター・ディファレンシャル(路面状況に応じてタイヤの空転を防ぐシステム)や、AVS(路面の凹凸を軽減させる電子制御サスペンション)など最新システムも搭載されているため、路面状況が瞬時に伝わるほか、バンピーな路面でも快適に走行できます。
そして低重心フォルムやワイドトレッド(車体の幅を広くすること)、ショートホイールベースによる、高い旋回性能も特筆すべき要素です。
というのも、スープラは開発時から「純粋に走りに特化したピュアスポーツカーを目指した」といわれており、開発陣いわく特にこだわって作られた点が「ホイールベースをトレッド幅で割った値が1.55になるようにした」と明かしています。
ちなみに、この数値が低ければ低いほど車の旋回性能が高くなるといわれており、一般的な市販車は1.7〜1.8、スポーツカーだと1.6程度の数値となっています。
そしてスープラの1.55という数値はスポーツカーの中でもトップクラスの数値であり、同系統の数値を持つ車はポルシェやフェラーリなど、世界でも有数のスーパーカークラスの車だけとなります。
つまり、それだけスープラの旋回性能は洗練されており、世界トップクラスのスポーツカーとも渡り合える車だということです。
このようにスープラは乗り心地・操作性ともにトップクラスの車だということが分かります。
まとめ
2022年にフルモデルチェンジされた新型スープラ最大の特徴は、6速マニュアルトランスミッションが追加されたことです。
この追加によって、車を操る本来の楽しさや、車を乗りこなす達成感や喜びなど、マニュアル車でしか味わえない感動を体験できます。
自動車評論家の間でも、この点は特に注目度が高かったため、いかにスープラのマニュアル車が待ち望まれていたかが伺い知れます。
また、足回り全般の見直しによって旧型よりも乗りやすく、操作しやすい車へ生まれ変わっている点も特徴です。
今後、スープラがどこまで進化するかは未知数ですが、自動車業界トップクラスの実力を持つトヨタなら、私達をさらに驚かせてくれることでしょう。
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