スリックタイヤとはいったい何?特徴や使用シーンについて解説!
一般的に使われているタイヤには溝が設けられているのに対して、溝がないタイヤもあります。それがスリックタイヤです。
スリックタイヤという言葉は耳にしたことあるが、どういったものなのかを詳しく説明できないという方や、そもそもスリックタイヤという言葉を初めて聞いたという方もいるでしょう。
この記事では、スリックタイヤの特徴や使用シーンなどについて詳しく解説します。
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スリックタイヤとは
スリックタイヤとは、表面に溝がないタイヤです。
競技用として使われるタイヤであり、普通のタイヤとは違った特徴があります。
まずは、スリックタイヤの特徴や仕組みなどについて見ていきましょう。
スリックタイヤの特徴・仕組み
スリックタイヤは、一般的に使われているタイヤと比べて幅が広い点が特徴として挙げられます。
溝もないことから、滑りやすそうに感じるかもしれません。
しかし、タイヤ幅の広さにより路面との接地面積が大きくなるため、非常に高いグリップ力を有しているのです。
通常のタイヤは路面との摩擦力で地面をつかむのに対して、スリックタイヤは路面との摩擦で生じる熱を利用している点が特徴です。スリックタイヤのゴムは非常にやわらかく、摩擦熱で表面が溶けます。これにより路面に粘着することで強力なグリップ力を発揮するという仕組みです。
ガムテープを貼り付けるように地面をしっかりとつかむことにより、サーキットでの高速走行やコーナリングを可能にしています。
なおタイヤが冷えるとグリップ力が低下するため、レースシーンではタイヤウォーマーなどを使って適正温度になるよう調整しています。
濡れた路面には適していない
タイヤに設けられた溝には排水する役割があることから、雨で濡れた路面でも安全に走行できます。
一方で、溝のないスリックタイヤは排水性が低いため、濡れた路面での走行には適していません。
雨天時に高速走行した場合、タイヤと路面の間に水膜ができることにより、タイヤが浮いた状態になる「ハイドロプレーニング現象」が発生しやすいです。
ハイドロプレーニング現象が発生するとグリップ力が低下し、水の上を滑るような状態になります。ブレーキやハンドルのコントロールができなくなるため、非常に危険である点を覚えておきましょう。
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スリックタイヤの摩耗状況の確認方法
表面を熱で溶かして走行するスリックタイヤの性質上、通常のタイヤに比べて寿命が短いため、こまめに摩耗状況を確認することが大切です。一般的なタイヤは溝の深さで摩耗状況を判断します。また交換時期を知らせるスリップサインも設けられているため、分かりやすいでしょう。
対して溝のないスリックタイヤは、摩耗状況が分かりにくいといえます。
スリックタイヤに関しては、スリップサインに代わって摩耗状況を確認するための小さなくぼみが数ヵ所設けられています。くぼみの深さで摩耗状況を確認するのです。
スリックタイヤで公道を走行できる?
優れた性能を有しているスリックタイヤですが、国土交通省が定める道路運送車両の保安基準により、公道走行は認められていません。道路運送車両の保安基準では、接地部は滑り止めを施した物であり、かつ1.6mm以上の深さがあることとされています。
また多くのスリックタイヤの側面には「For competition」といった、競技用であることを示す刻印が入れられています。
スリックタイヤが使用されるシーン
スリックタイヤは、主にモータースポーツの分野で使われています。ここではスリックタイヤが使用されているシーンについて詳しく解説します。
ロードレース
ロードレースとは、アスファルトで舗装されたサーキットで2台以上の自動車が一斉にスタートし、タイムや距離を競い合う競技のことです。
主なロードレースとしては、フォーミュラーカーで競うF1やインディ500、市販車をベースにしたツーリングカーで競うSUPER GTなどが挙げられます。ルマン24時間のように規定された時間を走行する耐久レースも有名です。
ロードレースにおいては、タイヤのグリップ力や耐久性などが重要な要素になります。
トライアル
トライアルは決められたコースを1台ずつ走行し、タイムを競い合う競技です。
サーキット1周のラップタイムを競うサーキットトライアルや、パイロンを設置した特設コースでタイムを競うジムカーナなどが挙げられます。
車両によって有利不利が生じないよう、排気量や駆動方式などで分けて行われるのが一般的です。また2台の車が直線の速度を競う「ドラッグレース」もトライアルにカテゴリーされます。
カートレース
カートレースとは、エンジンやタイヤがむき出しのまま取り付けられたレーシングカートによる競技です。
カートレースは世界中で広く行われており、一部のカートレースは若手ドライバーが将来本格的なレースに進むためのステップとして位置付けられ、多くのF1レーサーなどを輩出しています。
公道走行できるスリックタイヤ以外のスポーツタイヤ
スポーツ走行が楽しめるタイヤの中には、公道で使用できる物もあります。ここからは公道走行できるスポーツタイヤについて詳しくご紹介します。
1:セミスリックタイヤ
競技用として開発されたラジアルタイヤの一種です。「Sタイヤ」や「セミレーシングタイヤ」とも呼ばれています。
一般的なタイヤよりも溝が少なく、高いグリップ力を有している点が特徴です。接地面に使われる素材には複数の種類があり、サーキットやジムカーナなどの競技や路面の温度などに合わせて選択できます。
レースシーンで優れた性能を発揮する一方で、摩耗しやすいことから寿命が短いといった側面もあります。
なお、セミスリックタイヤに関しては公道走行が認められているため、セミスリックタイヤを装着したままサーキットと自宅を往復することも可能です。
ただし、一般的なタイヤと比べて静粛性や快適性が悪く、かつ濡れた路面の使用には適していないことを覚えておきましょう。セミスリックタイヤを装着した車で公道を走行する際は、より慎重な運転を心がけることが大切です。
2:ハイグリップタイヤ
公道走行できるスポーツタイヤの中でも、グリップ性能が特に優れている物がハイグリップタイヤです。スポーツ走行時の速いスピードでもしっかり止まれます。
またコーナリングの安定性もよく、使いやすいことも魅力の一つといえるでしょう。
一方で、グリップ力が高いことから摩耗しやすい点には注意が必要です。
加えて、快適性に関しても劣る傾向にあります。
3:スポーツタイヤ
街乗りをメインとしつつ、スポーツ走行もある程度楽しみたい人に向いているカジュアルなタイヤがスポーツタイヤです。グリップ力はそれほど高くありませんが、雨などで濡れた路面でも安全に走行できます。
バランスよいタイヤを探している人におすすめといえるでしょう。
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まとめ
スリックタイヤは、表面に溝が設けられていないタイヤのことです。主に競技用タイヤとして活用されています。路面との接地面が大きいことから、非常に高いグリップ力を有している点が特徴の一つです。
競技用のタイヤとして優れた性能を発揮することから、F1などのレースシーンで活躍しています。
一方で、雨天時の濡れた路面に適していない点には注意が必要です。また保安基準によりスリックタイヤは、公道での使用が認められていません。
スポーツタイヤの中には、公道走行できる物もあります。具体例が、セミスリックタイヤやハイグリップタイヤなどです。街乗りとスポーツ走行の両方を楽しみたい人は、ご紹介したようなタイヤを選ぶとよいでしょう。
これから車を購入する人やタイヤ交換しようと思っていた人などは、ぜひ、この記事でご紹介した内容を参考にしてください。