ガソリンスタンドでおすすめされる水抜き剤は意味ない?デメリットや使用法を解説!
水抜き剤という言葉を聞いたことはありますか?
燃料タンクに入れることで、タンクの劣化を防ぐ効果があるとされている水抜き剤ですが、果たして本当に効果はあるのでしょうか?
今回は水抜き剤の意味や使用用途、デメリットなどについて徹底的に解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。
関連記事:ブレーキホールドとは?使用する方法や注意点について解説
INDEX
そもそも水抜き剤とは?
水抜き剤とは、燃料タンク内に溜まった水を除去するために使用するものです。
タンク内に水が溜まってしまうと劣化の原因となってしまいます。
その劣化を防ぐために、水抜き剤はあるのです。
なぜタンク内に水が溜まるのか
燃料タンクは当然ですが、密閉された空間です。
蓋はつねに閉められているのに、なぜ内部に水が溜まってしまうのでしょうか。
だれかが水を注いだから、ではありません。
タンク内に水が溜まる原因は「結露」です。
タンク内のガソリンをエンジンに送る際、ポンプを使用します。
ポンプを使用すると燃料タンクの中は真空に近い状態になります。
その状態で給油をしようとタンクの蓋を開けると、水蒸気を含んだ外気が中へ入り込んでしまうのです。
燃料タンクに入り込んだ外気に含まれた水蒸気は、夜間や時期的な要因などで外気が低くなった時にタンク内の内壁に付着し、水滴となります。これが結露です。
また、燃料が少なくなり気圧が下がることも結露の発生につながります。
燃料タンク内に水が溜まるとどうなる?
燃料タンク内に水分(結露)があると、タンクの腐食につながってしまうかもしれません。
ガソリンの主原料は、水と相性の悪い油です。そのため、発生した水と混ざり合うことはありません。
また、水と油だと水の方が比重が大きいため、油と混ざり合わなかった水はタンクの底に溜まっていきます。
タンクは鉄でできているため、水が溜まり続けると当然、その箇所が腐り始めてしまうのです。
タンク内のガソリンは通常「フューエルストレーナー」や「フューエルフィルター」でろ過され、錆などの不純物が取り除かれる仕組みになっています。
しかし、水分はフィルターなどを通り抜けそのままエンジンに運ばれてしまいます。
少量であれば問題ありません。
しかし、場合によってはエンジンの始動性の低下や燃焼不良によるノッキング症状が現れることもあるため注意しましょう。
水抜き剤の使い方
水抜き剤は、燃料タンクに溜まった水と混ざり合うことで水を強制的に燃焼させることができます。
使い方はとてもシンプルで、給油口の蓋を開けて水抜き剤を投入するだけです。
水抜き剤のデメリットとは
水抜き剤のデメリットとしてあげられるのは、自動車部品に使用されている素材との相性の悪さです。
水抜き剤は「イソプロピルアルコール」というアルコールが主原料です。
一方、車の部品は主にゴム・樹脂・金属などで作られています。
アルコールは上記の素材(特にゴム)と相性が悪く、腐食につながってしまう可能性があるのです。
水抜き剤は意味がない!樹脂製の燃料タンクが主流になったから
最近では水抜き剤の普及も一時期と比べてかなり減りました。
タンクの素材が変わったことと、セルフガソリンスタンドの設置数増加がその原因として挙げられます。
水抜き剤は、かつてガソリンスタンドで「入れますか」と声をかけられることが多くありました。
ディーラーから特におすすめされるわけではないこともあり、運転手が自発的にすることは多くありません。
最近ではセルフガソリンスタンドが増え、スタッフとのコミュニケーションが減少したことでさらに水抜き剤に触れる機会が減少しています。
水抜き剤の普及が減りつつある大きな要因としては、タンクの素材変更でしょう。
近年の車に搭載されている燃料タンクは、主に樹脂製です。
樹脂で作られているタンクは鉄のように水分で錆びたり腐食することはありません。
さらに樹脂製だと結露も起きにくいとされています。
近年作られた自動車は、タンクが樹脂製のことが多いため、水抜き剤を使用してもあまり意味がないと言えそうです。
水抜き剤の利用が可能な車
水抜き剤が必要なのは燃料タンクの腐食を防ぐためです。
つまり、錆びやすい素材(鉄など)で作られたタンクを搭載している車で水抜き剤を利用するのがベストと言えるでしょう。
最近の燃料タンクはほとんど樹脂製ですが、メーカーや車種によってはいまだに金属製のものがあります。
たとえばMazda CX-5や三菱アウトランダー(PHEV)では、スチール製のタンクが使用されています。
しかし、水抜き剤はガソリンスタンドの売り上げを伸ばすためのもの、という側面が強いのが正直なところです。
本当に必要なメンテナンスであれば、車検時やメンテナンス時、購入時などに水抜き剤の使用を推奨されるはず。
それがほとんどないということはつまり、そこまで必要なものではないと言えるでしょう。
また、金属製だからといってかならず錆びるものとも限りません。
製作側は金属で作られた燃料タンクの短所ももちろん理解しているため、錆びないような加工が施されています。
一方で、水抜き剤そのものがまだ販売されているということは、一定の需要があるということ。
タンク内に結露のできやすい冬から春先、湿度の高い地域などでは水抜き剤の使用が普及している可能性はおおいに考えられます。
ただ、マイカーのタンクが金属製だからといって「かならず水抜き剤を利用しなければならない」わけではないことは、覚えておきましょう。
まとめ
水抜き剤は燃料タンクの錆を防ぐためのものなので、錆びる心配のない樹脂製タンクでの利用は意味がありません。
錆びるおそれのある金属製のタンクであっても、最近のものは錆びにくいよう加工がされているため、水抜き剤の必要性が高いとは言いづらいものがあります。
また「ディーラーから推奨されることがほとんどない」のも、水抜き剤の使用に対して懐疑的な目を向けてしまう要因の一つでしょう。
しかし、一方的に「絶対に必要はない」と言い切れるものではありません。
今なお水抜き剤が発売されているということは、それなりの需要があるということにつながります。
湿度の高い地域、寒暖差の激しい地域、冬から春先にかけてなど、結露の発生しやすい時期や地域によっては需要があると推測できます。
ただ、必要不可欠なものではないことは確かです。
もしガソリンスタンドで水抜き剤の利用をおすすめされたら今回の記事を思い出して、利用するか否かを判断してください。