ホイールオフセットの調べ方とは?計算方法や許容範囲について解説

車のカスタマイズにおいて、「ホイールオフセット」という用語はかなり初期に触れる機会が多い用語といえます。しかし、ホイールオフセットとは単にホイールの位置を変えるという単純な意味ではありません。

この記事では、ホイールオフセットの意味や計算方法、許容範囲について解説します。

関連記事:ホイールオフセットとは?許容範囲や計算方法などについて解説

ホイールオフセットとは?

まず、ホイールオフセットとは何かについて、改めて確認してみましょう。

ホイールオフセットというのは、ホイールの幅の中心線から取り付け面までの距離のことをいいます。

ホイールオフセットは、現在では「ホイールインセット」と呼ぶ場合があります。

また、ホイール幅については、「リム幅」と呼ばれることがあることについても、合わせて覚えておくとよいでしょう。

関連記事:ホイールオフセット(インセット)とは?計算方法も解説

ホイールの中心線と装着面が揃っているものを、「ゼロセット(または、オフセット±0)」と呼びます。

これに対して、装着面が中心線の内側のものを「アウトセット(または、マイナスオフセット)」、反対に装着面が中心線の外側のものを「インセット(または、プラスオフセット)」と呼びます。

ホイールオフセット

ホイールオフセットの調べ方とは?

ホイールを変えてカスタマイズしたりする場合には、ホイールオフセットを確認する必要があります。

後の項目で詳しく解説しますが、ホイールオフセットが許容限度を越えていると、車体本体の走行に必要な部品にホイールが干渉してしまい、深刻な故障に繋がる可能性があるためです。

では、ここからはホイールオフセットの調べ方を確認しましょう。

ホイールの仕様を確認する

まずは、自分が使用している車のホイールオフセットを確認しましょう。

ホイール本体、またはステッカーに表記されているのがそのホイールの仕様です。

ここを見てみると、数字が並んでいる項目が見えるはずです。

この数字の羅列は、「リムの径×リムの幅 フランジ形状 ボルトの穴数 P.C.D(ホイールのボルト穴の中心円の直径) インセット」という順番で記載されています。

この内容をメモすることで、自分の車のホイールの仕様を把握することができます。

シールや刻印がない場合は計算で調べる

先の項目では、ホイールには刻印またはシールなどでホイールの仕様が記載されていると解説しました。

しかし、シールが剥がれてしまうなど、何らかの原因でホイールの仕様がわからないという場合もあるでしょう。

このような場合、ホイール本体があれば、オフセットを含めた仕様を調べることができます。

まず、大前提として、オフセットはリムのセンターから、ディスク面までの距離のことを意味します。

そのため、まずはリム幅をメジャーなどで測ります。

測ったリム幅を2で割ると、リム幅からリム中心線までの距離を導き出すことができました。

次に、寝かせたホイールのリム裏面からメジャーを縦に差し込み、ディスク背面までの距離がどれだけあるかを測ります。

この距離(深さ)から、先に求めたリム幅の半分の数字を引くと、実際のホイールオフセットを計算することができるのです。

ホイールオフセット

ホイールオフセットの計算方法について

次に、ホイールオフセットを計算する方法について解説しましょう。

ホイールオフセットを計算するには、3つの段階の手順を守って進めることで、確実に数字を明らかにすることができます。

以下の項目でそれぞれ解説する手順に従って、ホイールオフセットの計算を進めていきましょう。

まずは標準ホイールの仕様を書き出す

先の項目でも解説したように、ホイールをカスタマイズしたり交換したりする場合には、まず現在の仕様を知ることが重要です。ホイールの刻印やシールがある場合は、それをメモなどに書き出しておくようにしましょう。

シールや刻印が何らかの原因でなくなってしまっている場合には、先の項目で解説した内容にしたがって、ホイールのオフセットなどを測っておくようにしておきます。

交換するホイールの仕様を書き出す

次に、交換する予定のホイールの仕様を確認します。

交換予定のホイールが新品の場合には、おそらく刻印やシールは問題ないでしょうが、こちらも刻印・シールが欠けてしまっているような場合は、自分でホイールオフセットを計算して求めておくようにします。

ここで、交換予定のホイールの仕様についても、標準ホイールと同様に紙に書き出したりしておくと、より間違いなく作業を進めることができます。

標準ホイールと新しいホイールを比較する

2つの数字を書き出し、それぞれのオフセット値をプラス、もしくはマイナスすることにより、取り付け面からホイールの外側や、内側までの距離を求めることができます。

標準ホイールと交換予定のホイールの取り付け面からの距離を比較すると、「ホイールを付け替えたときに、外側にどれだけ出っ張るか、あるいは、内側に引っ込むか」ということがわかるのです。

ここで確認した内容は、次の項目で解説する、ホイールオフセットの許容範囲に関わってきます。

タイヤ ホイール

ホイールオフセットの許容範囲とは?

先の項目で、標準のホイールと交換予定のホイールとを見比べることで、現在の車のボディから、ホイールが何mm内側に入り込んでいるかを知ることができます。
これにオフセットを加えて計算すると、何mm外側にせり出すのか、何mm内側に入り込むかがわかります。

この範囲を調整して適切なホイールオフセットを見極めていくのですが、ホイールオフセットは完全に自由に決めて良いわけではありません。

実用面での限界と、法令による規制があるためです。

実用面での限界とは?

ホイールオフセットを調整した結果、ホイールがボディの外側ギリギリに配置する「ツライチ」と呼ばれる配置にすることが、車のカスタマイズの場面ではよく行われます。

このとき、ボディの外側ギリギリにホイールを取り付けるという関係から、ホイールが離れる分には一見問題がないかのように感じてしまいます。

しかし、実際には、ホイールの横幅「J数」が大きいホイールを選択していると、取り付け面が外側になっていても、それだけ内側にも入り込んでくることを意味します。

ホイールが内側に入り込むと、ホイール周辺の部品と干渉する可能性が高くなります。

ホイール周辺には、運転に致命的な影響のあるブレーキや、タイヤ・サスペンションを指せる「ロアアーム」、ハンドル操作を伝える役割を支えている「ナックル」などの主要な部品が多くあるため、これらに干渉するようなオフセットは絶対に避けなければなりません。

法令による規制とは?

一方、ホイールが外側にせり出すことに対しても限界があります。
車両については、道路運送車両の保安基準があり、その第178条には、「ホイールがフェンダーからはみ出さないようにすること」が定められており、これに違反するようなカスタマイズは認められません。

なお、ホイールがはみ出すことは許されませんが、ホイールリム保護のために付けられているリムガード、そしてタイヤ側面のラベリングは10mm未満であればはみ出してもよいとされています。

しかし、ホイールそのものやホイールナット、その他の部分ははみ出すことができません。

ホイールがはみ出すことについては、小石やゴミを跳ね飛ばしてしまったり、他の車両・道路上の障害物などに接触したりする危険性を高める行為であるため、充分に注意したカスタマイズが求められます。

ホイールオフセットを変更したときの注意点

ホイールオフセットを変更するときには、これまでこの記事で解説してきたように、ホイールオフセットが車の仕様に合っているかどうかという点を厳密に計算していく必要があることや、オフセットの計算方法を間違えずに行うなどの点が注意点といえるでしょう。

このほか、ホイールの加工は知識・技術のある専門業者に依頼するなど、アルミホイールの加工に問題がないよう、安全を重視することも注意点のひとつであるといえます。

加えて、新しいホイールに交換した場合には、ホイールのコーティングも合わせて依頼するのがおすすめです。

ホイールはブレーキダストなどで汚れがたまりやすく、小キズもつきやすいため、プロが施工する品質の高いコーティングを施すことで、綺麗なままの状態で長く使用することができます。

関連記事:車のホイールを塗装する方法とは?塗装手順や注意事項を解説

まとめ

この記事では、ホイールオフセットの意味や許容範囲、注意点などについて解説してきました。

ホイールオフセットは車のカスタマイズの入り口ともいわれます。

これからカスタマイズやドレスアップに取り組む人は、この記事を参考にして、安全にも配慮しながらカスタマイズに取り組んでみてください。

この記事を書いた人

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カーナレッジ編集部

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