ホンダ ZR-Vの実用性で注目すべき5つのポイント[MJ]
○文:工藤 貴宏
2023年4月に発売されたばかりのホンダの新型SUV「ZR-V」。
車体サイズは全長4570mm×全幅1840mmと人気のコンパクトSUV「ヴェゼル」よりも一回り大きく、いうなればヴェゼルの兄貴分的な存在といっていいでしょう。
パワートレインは1.5Lターボエンジンを搭載した“ガソリンモデル”と、2.0L自然吸気エンジンに強力なモーターを組み合わせた“ハイブリッドモデル”の2タイプを展開。
ホンダは後者を「e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)」と呼んでいます。
そんなZR-Vは運転好きのドライバーを魅了するハイレベルな走行性能も自慢ですが、実用性の高さも大きな特徴といえるでしょう。
今回は、そんなZR-Vの実用性の高さの理由に注目してみました。
INDEX
ZR-Vで注目したい5つの実用ポイント
足元がゆったりの後席
ZR-Vの後席の広さは、ドアを開けた瞬間に感じられるほど。
ZR-Vのライバルはトヨタ「RAV4」、日産「エクストレイル」、そしてマツダ「CX-5」などですが、それらよりも明確にゆとりのある足元スペースが移動を快適にしてくれます。
もちろん、頭上もしっかり余裕があって開放的な空間です。
優しく身体を包み込んでくれる形状のシートも心地いいですね。
床に対しての着座位置はやや低めで、足を前へ投げ出すような、ソファーに座るような感覚の着座姿勢となります。
十分な広さのラゲッジルーム
ラゲッジルームの広さも自慢。荷室容量(床下収納含む)はハイブリッド車が395Lでガソリン車は408L。
ただしいずれもBOSEオーディオ装着車は運転席側の壁にサブウーファーが埋め込まれる関係で容量が10L減ります。
床の奥行は後席を起こした状態で実測880mm。
これは全長4.6m未満のライバルのなかではもっとも広く、スポーティなデザインながら実用性もしっかりと高めたパッケージングとなっていることがわかりますね。
後席の畳み方にも技あり
ZR-Vの荷室にはサプライズがもうひとつ。
そもそもZR-Vの荷室は床面が低いのが特徴ですが、リヤシートを倒してもその低い床面と段差がないフラットなフロアになることです。これは便利ですね。
その秘密は、リヤシートの畳み方。SUVのシートは一般的に背もたれが前に倒れるだけですが、ZR-Vは座面も沈み込むことで低く収まるのです。
ライバルとなるC~DセグメントのSUVでこの構造としているのは、ZR-Vのみ(ひとつ下のクラスではホンダ「ヴェゼル」が同じ構造)。
だから、シートを倒したときの床面がライバルよりも低いのです。
床の低さは、大きな荷物の積み込みやすさにつながるポイントなので、これはうれしい。
内装には傷が目立ちにくい工夫も
ZR-Vのドアトリム(ドアの内側)の下部や荷室のトリムには、波のような凹凸が付いています。
初めて見たという人が多いのではないでしょうか?
何のためについていると思いますか。
実はこれ、単なるデザインであありません。キズが目立たない工夫なのです。
ドア内側の下は乗り降りの際に靴の先端が接触しやすく、また荷室の壁は荷物が接触したりしてキズが付きやすい場所。
こういった部分はどれだけ丁寧に接しても、キズがつくことは避けられません。
そこで新しい発想として、表面に凹凸をつけることで細かいキズが目立たないように工夫しているのです。
実はこのアイデアは、ホンダとしてもZR-Vが初採用。
もしかすると、今後はホンダのほかの新型車に波及していくかもしれません。
離れたら閉じる、電動テールゲート
スイッチ操作でテールゲートを開け閉めできる電動テールゲートは、一度使うと手放せない便利装備。
ZR-Vがうれしいのは、そんな電動テールゲートを全車に標準装備していることです。
しかも、電動ゲートは単に電動で開閉するだけではなく、ほかではあまり見ない便利な機能を備えています。
それは「予約クローズ機能」というもの。
ゲートに設けられているクルマから人が離れるイラストが描かれたスイッチを押すと、(キーを携帯した人が)ボタンを押してから1m離れると車両が検知して電動テールゲートが閉じる仕掛けになっているのです。
このボタンを押してから荷物を持ってクルマを離れれば、クルマから離れたタイミングでテールゲートが閉じるというわけ。
さらに「降車時オートロック機能」をオンにしておけば、すべてのドアとテールゲートが閉じると連動してドアロックまでされるので便利ですね。
上級グレードの「Z」は、足の動き(バンパーの下で足を前後に動かす)をきっかけに電動テールゲートが開閉するキックセンサーも組み込んでいてさらに便利です。
ZR-Vにはほかにも気になる装備/機能が
センターコンソール下のトレーが便利
実用性を大きく左右する室内の小物収納スペース。ZR-Vはそんな室内の収納部にも、珍しいスペースを用意しています。
それがセンターコンソール(シフトセレクターなどがある場所)の下に用意されたトレー。
センターコンソールが上下2層の立体構造になっていて、下の層に大きなトレーが用意されているのです。
サイズはボックスティッシュよりやや小さい程度で、滑り止めも兼ねたラバーマットが敷いてあるのもうれしい!
スマホでロック解除やエンジン始動ができる
通信機能のオプション契約が必要とはなりますが、スマートフォンをキーとして活用する「デジタルキー」も利用可能。
キーを持たなくてもスマホがあればドアロック解除やエンジン始動ができる便利機能です。
パドルシフトの仕立てまでプレミアム
運転する楽しさを重視したというZR-V。
そんな開発陣のこだわりのひとつが、金属製のパドルシフト(ハンドルの奥にあり指先の操作でガソリン車は疑似的なシフトアップ/ダウン、ハイブリッド車はアクセルオフ時の減速度の大きさができるスイッチ)です。
一般的にパドルシフトは樹脂製ですが、ZR-Vのパドルシフトはなんとコストをかけた金属製。触れたときの触感にこだわっているのです。
LEDのダウンライトが斬新
後席の読書灯もちょっと個性的。
天井にLEDが埋め込まれたダウンライトになっていて、まるでリビングルームのような感覚です。
タッチセンサーだから、ライトに触れるだけ点灯/消灯するのも便利ですね。
ZR-Vはどんな人に向いている?
ホンダの人気SUVといえば「ヴェゼル」で、その実用性の高さはトヨタ「ヤリスクロス」などライバルを凌駕しています。
しかし、もっと後席や荷室が広いSUVが欲しいと考える人も多いことでしょう。ZR-Vはそんな人にオススメ。
ヴェゼルに対してひと回り大きな車体は、使い勝手の向上として実感できます。
スポーティな走りも自慢ですが、実用性の高さもヴェゼルよりワンランク上で、ライバルを超えるもの。
ZR-Vはそんなユーザーメリットの多いSUVといっていいでしょう。
もちろん運動性能の高さも魅力なので「走って楽しいSUVが欲しい」「スポーツカーのように気持ちよく運転できるSUVを所有したい」という人にもオススメです。