ブレーキフルードの役割や交換のタイミングについて解説!
車にはさまざまなオイルが使用されることで、走る、止まる、曲がるといった基本的な走行ができます。
エンジンオイルは、車を運転する人には一般的に知られていますが、それ以外にも「ブレーキフルード」というオイルも使用されています。
ブレーキフルードはブレーキオイルとも呼ばれ、車のブレーキをかけるときに重要な役割を果たし、正常な運転をするために欠かせないものです。
この記事では、ブレーキフルードの役割や交換時期、交換する方法について解説します。
INDEX
ブレーキフルードの役割とは
ブレーキフルードは、車の走行の際にどのような役割をしているのでしょうか。
ここでは、ブレーキフルードの役割と種類について紹介します。
ブレーキフルードの役割
車のブレーキは、油圧式のものが一般的です。
ブレーキフルードは、油圧によって車のブレーキを踏んだときの力を他のブレーキ装置に伝達し制動力を加え、車を減速・停止させる役割を果たす重要なオイルです。
そのため、ブレーキフルードが劣化した場合、正常にブレーキが効かなくなる危険があります。
ブレーキフルードの種類
ブレーキフルードには、グリコール系とシリコーン系の2種類があります。
また、DOT(Department Of Transportationの略)という規格があり、オイルの沸点によって分類されています。
規格 | ドライ沸点 ウェット沸点 |
DOT3(グリコール系) | 205℃以上 140℃以上 |
DOT4(グリコール系) | 230℃以上 155℃以上 |
DOT5(シリコーン系) | 260℃以上 180℃以上 |
DOT3、DOT4はグリコール系、DOT5がシリコーン系です。
ドライ沸点とは新品のブレーキフルードの沸点、ウェット沸点とは2年ほど経過した場合の沸点となります。
DOT5は沸点が最も高く、レーシングカーなどの特殊車両に使用されています。
沸点が低いDOT3は一般的な車、中間のDOT4は排気量や重量が大きい車に使用されています。
ブレーキフルードを交換する際には、DOT表記を確認する必要があります。
ブレーキフルードは劣化する?
ブレーキフルードは交換しないまま長期間放置すると、水分が混入して劣化します。
劣化するとブレーキが効きにくくなるなど、事故の原因となり大変危険です。
ここでは、ブレーキフルードが劣化すると起きる現象について紹介します。
ベーパーロック現象
ベーパーロック現象とは、ブレーキフルードが沸騰することで気泡が発生し、ブレーキを踏んだときにその気泡によって油圧が正常に伝達されず、ブレーキが効かなくなる現象のことです。
ブレーキフルードは劣化すると水分を多く含むようになり、沸騰しやすくなります。
そのため、ペーパーロック現象が起こりやすくなります。
ブレーキシステムの腐食
ブレーキフルードは吸湿性が高く、適切に交換をしない場合、サビなどが発生しブレーキシステム全体を劣化させてしまいます。
ブレーキシステムが劣化するとブレーキが正しく効かなくなり、ペーパーロック現象と同様に危険です。
ブレーキフルードの交換時期について
ブレーキフルードは定期的に交換をしない場合、ブレーキが効きにくくなるなど、思わぬ事故につながる可能性があります。
ここでは、ブレーキフルードを交換するタイミングや交換の周期の目安について解説します。
ブレーキフルードの色で判断する
ブレーキフルードの色は新品のときはほぼ透明、もしくは薄い黄色ですが、水分を含み劣化すると徐々に茶褐色から黒色に変色します。
黒っぽくなっているときが交換のサインです。
ボンネットを開けるとブレーキフルードが入っているタンク(リザーバータンク)があるため、時々ブレーキフルードの色をチェックするとよいでしょう。
車検と同時に交換する
ブレーキフルードは1〜2年で交換することが推奨されています。
車検(2年に1度)に合わせて交換を行うと、忘れることがないですね。
また、走行距離も交換の目安となります。
よく車に乗る人や長距離の運転が多い人は車検のタイミングだけではなく、走行距離が1万km〜1.5万km過ぎたときは交換した方がよいでしょう。
その他にもブレーキをかけたときに、ブレーキが効きにくいなど違和感を抱いた場合は、確認が必要です。
ブレーキフルードの交換はどこに依頼する?
ブレーキフルードの交換は、自動車メーカーの正規ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンド、自動車整備工場に依頼ができます。
カー用品店やガソリンスタンドに依頼する場合、全国どこにでもあるため、給油やカー用品を購入する際などに気軽に交換ができるところがメリットです。
また信頼できる自動車整備工場に依頼するのもよいでしょう。
カー用品店、ガソリンスタンド、自動車整備工場などでブレーキフルードの交換を依頼した場合、費用の相場は4,000円〜5,000円ほどになります。
自動車メーカーの正規ディーラーで交換する場合、カー用品店などに比べて費用はやや高くなる傾向がありますが、自動車メーカーと特約店契約を結んでいるため、サービス面や技術面が充実しており、信頼できる点が魅力です。
費用の相場は、10,000円前後です。
ブレーキフルードは自分で交換できる?
ブレーキフルードは自分で交換することができないことはありませんが、技術を持っていない人には難易度が高いといえるでしょう。
ここでは、自分で交換する場合の方法と費用について解説します。
ブレーキフルードを交換する方法
ブレーキフルードの交換は、ブレーキペダルを踏みながら作業をするため、2人で作業をした方がよいでしょう。
手順は、以下です。
- 車をジャッキで持ち上げる
- タイヤを外す(前輪・後輪)
- リザーバータンク内の古いブレーキフルードをポンプなどで吸い出す
- リザーバータンクに新しいブレーキフルードを補充する
- ブレーキホース(ブレーキフルードが通るホース)内の古いブレーキフルードが排出されて、新しいブレーキフルードに入れ替わるまでブレーキペダルを踏んで圧力をかける
- これらの作業を、前輪・後輪の合計4箇所実行する
- 作業終了後は、ブレーキペダルを踏んで違和感がないか確認する
作業内容についていくつか注意点があります。
5.の作業の際は、リザーバータンクが常に満杯の状態であることを確認し、ブレーキホース内に空気が入らないように注意が必要です。
また、ブレーキフルードは車の塗装を劣化させてしまうため、もし車体についてしまった場合には素早く洗い流す必要があります。
自分で交換する場合の費用
ブレーキフルードを自分で交換した場合、作業代金がかからないため、費用は新しいブレーキフルードの代金のみです。
一般的な車に使用されているDOT3の場合、1,000円〜2,000円ほどになるため、自動車ディーラーなどに依頼するより費用が抑えられます。
ブレーキフルード交換に必要な技術を持っている人以外は、業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
この記事では、ブレーキフルードの役割や適切な交換時期、交換の依頼先、そして自分で交換する方法と費用について解説しました。
ブレーキフルードは定期的に交換することで、ブレーキ性能を正常に保つことができます。
また、車の安全性に関わる重要な役割を担っているため、もし自分で交換する際は、交換作業は慎重に行う必要があります。
車をジャッキで持ち上げるなど危険な作業が伴います。
交換作業に自信がない人は、自動車整備工場や自動車ディーラーなど、専門技術を持った人に任せましょう。