クラクションが鳴る仕組みとは?鳴らない場合の原因と対処法も解説
車で走行中に「警笛鳴らせ」の道路標識があった場合は、クラクションを鳴らしながら走る必要があります。
このような場面で何気なく使用しているクラクションは、どのような仕組みで音がなっているのか気になる人もいるでしょう。
また、クラクションの音量や音色には、規定があるのでしょうか。
この記事では、クラクションが鳴る仕組みや規定について解説していきます。
また、クラクションが鳴らない場合や鳴り続ける場合の原因と対処法についても解説しているため、参考にしてください。
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INDEX
クラクションの音量や音色の基準
日本における車のクラクションの音量や音色の基準は、道路運送車両の保安基準第43条によって定められています。
音量の基準は、自動車の前方7mの位置において、112dB以下87dB以上であることです。
また、クラクションの音は連続するものであり、音の大きさおよび音色が一定のものであることと定められています。
そのため、音が断続的に鳴ったり、音量や音色を運転者が調整できたりするものは、保安基準を満たしません。
クラクションが鳴る仕組み
クラクションを鳴らす仕組みにはいくつか種類がありますが、ここでは一般的に使用されている「平型ホーン」の音が鳴る仕組みについて解説します。
平型クラクションは、電流を流すコイルと接点、ばねの役割を持つダイヤフラム、共鳴板に振動を伝えるシャフトによって構成されており、音が鳴る仕組みは以下の通りです。
1.ホーンボタンを押すと内部のコイルに電流が流れて、ポールといわれるものが電磁石になる
2.電磁石化したポールにシャフトが引き寄せられて衝突し、振動が発生する
3.シャフトとポールが衝突した際に、電流の接点が離れることでポールの電磁石化がなくなり、ダイヤフラムによってシャフトが元の位置に戻る
4.元の位置にシャフトが戻ると再びポールが電磁石化し、シャフトとポールが引き寄せられて衝突する
5.この振動が繰り返されることで、シャフトから共鳴板に伝わり、音が鳴り続ける
クラクションの種類
クラクションには、エア(空気圧)で作動するタイプと電気で作動するタイプの2種類あります。
ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。
エアで作動するクラクション
エア(空気圧)で作動するクラクションはエアホーンとも呼ばれ、圧縮空気をおしだして音を発生させるタイプです。
ホーンボタンを押すとエアタンクにたまっている圧縮空気がクラクション内に入ります。
クラクション内に入った圧縮空気によってダイヤフラムが押し曲げられ、隙間からトランペットへと空気が流れていき、音が鳴る仕組みです。
また、エアホーンの種類のなかには、コンプレッサーから直接空気を送るものもあります。
エアホーンの特徴は、大きな音量と長い持続時間にあり、大型トラックやバスなどの大型車に使用されるのが一般的です。
また、コンプレッサーやエアタンクなどの部品が欠かせないため、車に取り付ける際は広いスペースを確保する必要があります。
電気で作動するクラクション
車の電気で作動するクラクションは、車のバッテリーから供給される電力を使用して音を鳴らすタイプです。
エアホーンと比較して、音量や迫力は劣るものの小型化・軽量化されていることで車に取り付けやすくなっています。
また、電気で作動するクラクションには、「平型ホーン」と「渦巻き型ホーン」の2種類あります。
国内の車は、コスト面や取り付けるスペースなどの理由により平型クラクションの採用が一般的です。
しかし、国内の高級車のなかには、渦巻き型ホーンを採用しているものもあります。
渦巻き型ホーンは、音を共鳴する箇所が渦巻き状になっており、音が出る箇所はトランペットのような形になっているのが特徴です。
なお、平型ホーンと渦巻き型ホーンの構造は基本的には変わりません。
クラクションが鳴らない場合の原因と対処法
ここでは、クラクションが鳴らない場合に考えられる原因と対処法について解説していきます。
クラクションが鳴らない状態では車検を通過できないため、放置せずに早めに対処しましょう。
ハンドルのチルトレバーの緩み
ホーンボタンを押しても音が鳴らない場合は、ハンドルのチルトレバーが緩んでいないか確認しましょう。
チルトレバーとは、ハンドルの位置を調整するためのレバーのことです。
ハンドルの位置を調整できる車であればハンドルの下側、もしくはハンドルの横あたりにチルトレバーがあります。
チルトレバーが緩んでいるとホーンボタンとの接触が悪くなり、クラクションが鳴らない場合があるため、緩んでいないか確認しましょう。
スパイラルケーブルの断線
クラクションが鳴らない原因として一番多いのは、スパイラルケーブルが断線していることです。
スパイラルケーブルとは、ハンドル内に組み込まれている配線のことで、ケーブルの劣化が原因で断線することがあります。
スパイラルケーブルが断線するとクラクション内に電流が流れなくなるため、ホーンボタンを押しても音が鳴りません。
スパイラルケーブルが断線した場合は、ケーブル交換のみで修理できる可能性があるため、整備工場に相談してみましょう。
クラクション装置の故障
クラクションが鳴らない原因として、音を鳴らす装置自体が故障していることも挙げられるでしょう。
たとえば、クラクション内のコイルが故障してポールが電磁石化しなかったり、電流が流れなかったりなどが考えられます。
このような場合、クラクションの装置を修理・交換するのは難しく、ハンドル自体を交換しなければなりません。
クラクションが鳴らない原因が装置の故障と考えられる場合は、整備工場へ相談しましょう。
クラクションが鳴り続ける場合の原因と対処法
ここでは、クラクションが鳴り続ける場合に考えられる原因と対処法について解説していきます。
セキュリティの作動
クラクションが鳴り続ける原因としてセキュリティが作動したことが挙げられます。
セキュリティが作動する条件は車によって異なるため、自分の車の作動条件を把握することが大切です。
たとえば、キーレスで車のドアを施錠した際に、車内からドアを開けるとセキュリティが作動し、クラクションが鳴り続ける場合があります。
セキュリティの作動によりクラクションが鳴り続ける場合は、エンジンをかけて止めることが可能です。
ホーンボタンの劣化
自動車のクラクションは、ホーンボタンを押すことでクラクション内に電流が流れ、音が鳴る仕組みです。
そのため、ホーンボタンを離すとクラクション内に流れていた電流が止まり、音も止まります。
しかし、ホーンボタンの内部部品の劣化が原因で、クラクション内に常に電流が流れている状態になってしまい、音が鳴り続けるケースがあります。
これは、古い車によくみられる症状です。
劣化している箇所のみを修理してよくなる場合もありますが、よくならない場合は、ハンドル全体の交換が必要な場合があります。
このような症状が表れたら、整備工場に相談しましょう。
まとめ
日本における車のクラクションの音量や音色の基準は、道路運送車両の保安基準第43条によって定められています。守られていない場合は車検を通過できないため注意しましょう。
また、クラクションは、エアで作動するものと電気で作動するものの2種類があります。
エアで作動するクラクションは大型車に搭載され、それ以外の車は電気で作動するクラクションの搭載が一般的です。
ホーンボタンを押してもクラクションが作動しない場合は、まずハンドルのチルトレバーの緩みを確認しましょう。
チルトレバーが緩んでいない場合は、スパイラルケーブルの断線やクラクション装置の故障が考えられます。
また、クラクションが鳴り続ける場合は、セキュリティが作動していないかを確認しましょう。
クラクションが故障したままでは車検を通過できないため、早めに対処することが大切です。