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諸星 陽一もろほし よういち

クルマ関連記事を読むためにほしい基礎知識/エンジンの仕組み編[MJ]

EVが注目を浴びるようになってきましたが、クルマの動力源として主流なのはまだまだエンジンです。

今回は自動車関連の記事やメーカーのカタログに出てくるエンジンに関する用語などについて解説します。

○文:諸星 陽一

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エンジンの型式

トヨタシエンタ1.5Lダイナミックフォースエンジン(M15A-FKS)
トヨタ シエンタ 1.5Lダイナミックフォースエンジン(M15A-FKS)
出典:トヨタ自動車株式会社

エンジンには型式(カタシキ)というものが定められています。
型式の命名ルールは各社によって異なるのですが、似ている型式名はだいたい関連性のあるエンジンです。

たとえばシエンタに搭載されているエンジンは、ハイブリッドモデル用がM15A-FXE、ピュアエンジンモデル用がM15A-FXSで最後の1文字しか違いがありません。

トヨタシエンタ1.5Lダイナミックフォースエンジン(M15A-FXE)+シリーズパラレルハイブリッド
トヨタ シエンタ 1.5Lダイナミックフォースエンジン(M15A-FXE)+シリーズパラレルハイブリッド
出典:トヨタ自動車株式会社

実際、この2つのエンジンは共通性のある部分が多くなっています。

エンジンの形式

エンジン形式

いっぽう形式(ケイシキ)と言われる項目も存在します。形式は種類やタイプと称されることもあります。

形式はエンジンのシリンダーがどのように配置されているかを示しています。

  • 直列3気筒や直列4気筒はシリンダーが一直線に並んだもの
  • V型6気筒はエンジンを正面から見たときにシリンダーV型になり左右それぞれ3気筒ずつ並んだもの
  • 水平対向4気筒はエンジンを正面からみたときにシリンダーが横向きで向き合っているもの

を言います。

ロータリーエンジンの場合はローターが直列に並ぶので直2ローターなどと表現されます。

内径×行程

レシプロエンジン(一般的なピストンが上下する方式のエンジン)では内径×行程という項目があります。

内径はボアとも呼ばれシリンダー内部の直径、行程はストロークとも呼ばれピストンが上下する距離です。
単位はmmで小数点以下第1位まで表記されます。

総排気量の算出方法

総排気量というのはこの数値とシリンダー数から計算された数値です。
前出のM15A系エンジンは内径が80.5mm、行程が97.6mmの3気筒です。

1気筒当たりの排気量(単室排気量)は半径×半径×3.14×行程で算出でき、496.5ccとなります。

この1気筒当たりの排気量に気筒数の3を掛けると1489.5となり、四捨五入して1490ccとなります。
総排気量という表現をしたときには1ccまでを表記、単純に排気量といった場合は1.5リットルなどと表現されることが多くなります。

排気量算出方法

圧縮比の算出方法

レシプロエンジンの場合、ピストンが一番上の状態でもわずかにすき間がありその部分を燃焼室と呼びます。

「燃焼室の容量」と「単室排気量+燃焼室容積を合わせた容積」の比率を圧縮比と呼びます。
燃焼室の容量と単室排気量を合わせた容積が110ccで単室排気量が100ccならば、圧縮比は110÷10で11.0となります。

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ガソリン

ガソリンスタンド

使用燃料はほとんどの場合、ガソリンもしくは軽油が指定されます。
タクシー仕様車などはLPGを使っていることがありますが、特殊な例としていいでしょう。

ガソリンはオクタン価によってレギュラーとプレミアム(ハイオク)に分類されます。

プレミアムガソリンとレギュラーガソリン

プレミアムガソリンは高性能エンジンに使うガソリンです。
日本の規格だとレギュラーガソリンのオクタン価は89以上、ハイオクガソリンのオクタン価は96以上となっています。

販売されているガソリンのオクタン価はレギュラーが90、プレミアムが96~100程度といったところ(なかには96を切るものもあるといわれています)です。

プレミアムガソリンが指定されているクルマはプレミアムガソリンを給油することで、そのクルマの本来の性能を発揮できます。
一方、レギュラーガソリン仕様のクルマにプレミアムガソリンを入れてもほとんどの場合は性能アップが期待できません。

ただし、ごくまれですが、レギュラーガソリン仕様のクルマであっても、プレミアムガソリンを使ったときに高い性能を発揮できるプログラムが組み込まれていることがあり、そうした場合は出力が向上することもあります。

海外ではプレミアムガソリン指定にして高性能をアピール、国内ではレギュラーガソリン指定にして経済性をアピールすることなどが目的です。

ガソリンエンジンの歴史

自動車用ガソリンエンジンは長い間ガソリンと大気を混ぜた“混合気”をシリンダー内に吸い込んで燃焼する方式を採ってきましたが、20世紀後半に三菱がGDIという方式を開発。

GDI

GDIはシリンダー内に直接燃料を噴射する(直噴)方式でした。

現在では混合気を吸入する方式(この場合はポートと呼ばれるシリンダーの手前部分に燃料を噴射するためポート噴射と呼ばれます)と直噴をエンジンの運転状況に組み合わせるなどして効率をアップしています。

DOHC

昔は吸排気バルブとカムシャフトの関係を表すOHCやOHV、DOHCといったカム方式が表記されていましたが、現代のエンジンは排ガスの清浄化などのため、DOHCが当たり前になってきているのでとくに表記されることがなくなりました。

かつては高出力エンジンの代名詞だったDOHCですが、今は普通の方式となりました。

NAエンジン

ピストンが下がることで空気を吸い込むエンジンを自然吸気エンジンやNAエンジンと呼びます。

ターボエンジン

水平対向4気筒ターボエンジン
水平対向4気筒ターボエンジン

排気の熱エネルギーを使ってタービンを回転させ同軸上にあるコンプレッサーで空気をエンジンに押し込むエンジンをターボエンジンと呼びます。

ターボによって空気を押し込むことで出力を向上させられるため、スポーツタイプのエンジンや、小排気量で高出力をねらうエンジンなどに採用されます。

また、ディーゼル車は空気を圧縮することで熱を発生させ軽油を燃焼させているので、ターボを組み合わせることで効率がアップするため採用例が多くなっています。

関連記事:クルマが走るにはエネルギー補給が必要 給油の初心者マニュアル

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この記事を書いた人

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諸星 陽一もろほし よういち

モーター・フォト・ジャーナリスト。東京生まれ、東京育ち。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ボッシュ認定CDRアナリスト。

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