「レギュラー」「ハイオク」「軽油」の違いとは?実はよく知らないガソリンの種類を解説
ガソリンスタンドで車に給油するときは、「レギュラー」「ハイオク」「軽油」の中から燃料を選択します。
ガソリンスタンドは、車に乗る人にとってはよく訪れる場所ですが、3種類の燃料の違いについて詳しく知らない人も多いでしょう。
この記事では、レギュラーやハイオク、軽油の違いについて解説していきます。
関連記事:ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いについて徹底解説!
INDEX
「レギュラー」「ハイオク」「軽油」は何が違う?
「レギュラー」「ハイオク」「軽油」の原料は全て原油となります。
加熱炉で加熱した原油を、常圧蒸留装置で蒸留してつくられます。
3種類の燃料の中でも、ハイオクやレギュラーは同じ「ガソリン」と分類されます。
ここでは、3種類の燃料の違いについて特徴や違いをそれぞれ見ていきます。
ハイオクとレギュラー(ガソリン)
ハイオクやレギュラーは、オクタン価の違いによって分けられます。
オクタン価とは、ノッキング現象の起きにくさを示す数値です。
オクタン価の数値が大きいほどノッキング現象が起きにくく、性能がよいとされています。
ノッキング現象とは、ガソリンが本来燃焼するタイミングとは異なるタイミングで異常燃焼してエンジンに負担がかかり、エンジンから異常な音や振動が生じる現象です。
元々ガソリンは常温でも火がつきやすく、異常燃焼を起こしてノッキング現象につながりやすい性質があります。
そのため、純粋なガソリンに添加物を加えてノッキング現象が起きにくいように加工したのがハイオクとレギュラーです。
レギュラーはオクタン価が89以上、ハイオクのオクタン価は96以上と設定されています。
また、レギュラーのことを「無鉛ガソリン」、ハイオクのことを「無鉛プレミアムガソリン」と表記することもあり、燃料価格はレギュラーよりハイオクの方が高くなります。
軽油
原油を常圧蒸留装置で蒸留し、沸点が35〜180℃で留出したのがガソリン、240〜350℃で留出したのが軽油になります。
そのため、軽油はガソリンを蒸留する過程で留出できる燃料です。
軽油はディーゼル車の燃料として使用され、ハイオクやレギュラーに比べると燃料価格が安価である点が特徴です。
「レギュラー」「ハイオク」「軽油」を給油できる車は?
ガソリンスタンドで給油する燃料は、「レギュラー」「ハイオク」「軽油」のどれでもよいというわけではなく、車によって指定されています。
ここでは、指定燃料ごとの車の特徴について解説します。
ハイオク仕様車
ハイオク仕様車の代表的な例として挙げられるのは、高級車やスポーツカー、欧州製の車です。
高級車や走行の性能が重視されるスポーツカーは、エンジンの出力が高いという特徴があります。
パワーを多く使用する高級車やスポーツカーなどが安定した高速走行をするためには、エンジン出力を上げてガソリンの圧縮比を上げなければなりません。
圧縮比を上げることにより燃焼室が高温になり、ノッキング現象が起こりやすくなります。
そのため、高級車やスポーツカーでのノッキング現象を防ぐために、オクタン価が高いハイオクが燃料とされています。
また、欧州製の車にハイオク指定が多い理由は、日本と欧州とのオクタン価の基準が異なるためです。
欧州の基準でレギュラーに相当するオクタン価が日本ではハイオクに当たるものとなるため、日本に輸入される欧州製の車のほとんどがハイオク指定となっています。
レギュラー仕様車
国産車の大半はレギュラー仕様車となります。
ハイオクよりもオクタン価が低いレギュラーガソリンを使用する車では、ノッキング現象が起きやすいと考える人もいるでしょう。
しかし、レギュラー仕様車はハイオク仕様車のようにエンジンの出力を上げてガソリンの圧縮比を上げる必要がありません。
そのため、ハイオクよりオクタン価が低いレギュラーでも問題なく走行できます。
軽油仕様車
軽油を使用するディーゼル車は、一般的にはガソリン仕様車やハイオク仕様車よりも燃費がよくなる傾向があります。
またパワフルな走行が可能という特徴から、バスやトラック、ダンプカーなどの大型自動車の燃料として軽油が使用されます。
軽油の価格は安価ですが、軽油を使用するディーゼル車の車両本体の価格は高いことが多く、購入後のメンテナンスにかかる費用も高くなります。
また、軽油の燃料価格がハイオクやレギュラーより安価である理由は、軽油にかかる税金が低いためです。
ハイオクやレギュラーには、揮発油税と地方揮発油税を合わせて1リットル当たり53.8円のガソリン税と、2.8円の石油税がかかります。
一方で軽油にかかる税金は、1リットル当たり32.1円の軽油取引税と、ハイオクやレギュラーと同様の2.8円の石油税です。
この差額が燃料の価格差として反映されています。
もし違う種類の燃料を給油してしまったらどうすればよい?
指定されている燃料とは違う燃料を車に給油してしまった場合、故障につながるケースもあります。
そのため、誤って指定燃料とは異なる燃料を車に給油した際の対応方法を把握しておくことが大切です。
ここでは、仕様車別の対応方法を解説します。
ハイオク仕様車に別燃料を給油した場合
ハイオク仕様車は、ノッキング現象が起こらないようにハイオクの使用が指定されています。
そのため、ハイオク仕様車に誤ってレギュラーガソリンを給油してしまった場合は、ノッキング現象が起こったりエンジンの寿命が縮まったりする可能性があります。
また、誤って軽油を給油してしまった場合は、エンジンの故障につながる可能性が高いため、気付いた段階で燃料の抜き取りを行いましょう。
レギュラー仕様車に別燃料を給油した場合
レギュラー仕様車に誤ってハイオクを給油してしまった場合、大きな問題はなく走行できます。
ノッキング現象が起きる原因は、エンジンの出力が高い車に低いオクタン価のガソリンを使用することであるため、高いオクタン価であるハイオクをレギュラー仕様車に給油しても、ノッキング現象は起きません。
ただし、レギュラーガソリンを給油した場合より燃費が悪くなる可能性があります。
また、レギュラー仕様車に誤って軽油を給油してしまった場合は、ハイオク仕様車の場合と同様に、エンジンを始動させずに軽油の抜き取りを行いましょう。
軽油仕様車(ディーゼル車)に別燃料を給油した場合
ハイオクやレギュラーなどのガソリンを誤ってディーゼル車に給油してしまった場合、エンジンの燃料噴射ポンプが故障する可能性があります。
入れ間違いが分かった段階で、早急に燃料の抜き取りを行いましょう。
また、車にどの燃料を給油したらよいかは「給油口ハッチ」「車検証」「取扱説明書」などに記載してあります。
レンタカーや友人に借りた車で、どの燃料を給油したらよいか分からない場合はこれらの場所を確認してみましょう。
まとめ
ハイオクやレギュラーは同じガソリンですが、オクタン価の高さで分類されています。
また、ガソリンよりも沸点が高い軽油は、ガソリンを蒸留する途中で留出される燃料です。
ハイオクやレギュラーと比べて軽油は、燃料価格が税金面の違いから比較的安価であるという特徴があります。
車ごとに指定されている燃料とは異なる燃料を給油してしまうと、車の故障につながる可能性があるため注意が必要です。
誤って異なる燃料を給油した場合は、基本的には抜き取りを行うことをおすすめします。
安心して車に乗るためにも、3種類の燃料のうちどれを入れたらよいか分からない場合は、給油口ハッチや車検証、取扱説明書などを確認しましょう。