自動運転に向けて進む技術 ADASって何だ?[MJ]
○文:諸星陽一
自動車関連でとにかく話題になるのが、自動運転の話。
いつかはやってくるかも知れない自動運転ですが、その前段階として大切な話となってくるのがADASという技術です。
「ADASとは何か?」「そしてどこまで進んでいるのか?」を紹介します。
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INDEX
ADASとは
ADASと書いて「エーダス」と読みます。
ADASはAdvanced Driver-Assistance Systemsの略で、日本語だと先進運転支援システムという言葉になります。
もともとクルマの役目は、人の活動の補助です。
人より早く移動でき、人より重いものが運べ、人より遠くに行くことができる……そんな人の活動を補助するクルマをさらに支援する、それも先進の技術で支援するのがADASです。
現在、実車に搭載され実用化を果たしているADASシステムのなかでメジャーなものを紹介していきましょう。
ACC(Adaptive Cruise Control System/アダプティブクルーズコントロール)
昔のクルーズコントロールは単純に一定の速度で走るだけのものでしたが、現代のクルーズコントロールは先行車との距離を一定に保つ機構が組み入れられています。
LDW(Lane Departure Warning/車線逸脱警報)
道路に描かれている車線を検知し、逸脱の恐れがある際に警告音や警告灯、ステアリングやシートの振動などによってドライバーに知らせる装置です。
LKAS(Lane Keeping Assist System/車線逸脱防止支援システム)
LDWでは警告が行われるだけですが、LKASではクルマ側がステアリング機構などを作動させ、通行帯内にクルマが収まるように制御します。
AEBS(Advanced Emergency Braking System/衝突被害軽減制動制御装置)
いわゆる自動ブレーキです。
車種によって駐車場での他車や壁などの障害物、高速道路での先行車、歩行者、自転車など対象物や作動速度が異なります。
AEBS作動時にはLDWのように事前にドライバーに作動を知らせる装置であるFCW(Forward Collision Warning:前方衝突警告)が作動します。
BSM(Blind Spot Monitoring/死角モニタリング)
自車の側後方から接近するクルマがある場合にドライバーに知らせる機構。おもにレーンチェンジ時の安全確保に役立つため、ドアミラーに警告を表示し接近を知らせます。
RCTA(Rear Cross Traffic Alert/リヤクロストラフィックアラート)
駐車場などでバック走行する際に、左右後方から接近する車両などを検知し警告するシステム。
バックソナーが静止物対して作動するのに対し、本機能は移動体に対して機能します。
DMS(Driver Monitoring System/ドライバーモニタリングシステム)
目線をはじめ、ドライバーの状態を検知するシステム。
居眠りや注意散漫、急病などを車内のカメラなどでチェックし、警告します。
最新のものは異常を検知すると自動停止、契約オペレーターや救急などに通報を行います。
AFS(Adaptive Front lighting System/自動ヘッドランプ光軸調整)
従来のヘッドライトはロービームとハイビームという2種の光軸を手動で切り替えていましたが、AFSでは対向車や先行車の状態を感知してヘッドライトの光軸を調整します。
具体的にはハイビーム状態で、照射範囲を調整するものが増えてきています。
APA(Advanced Parking Assist/高度駐車アシスト)
レーダーやソナー、カメラなどのセンサーを利用して、縦列駐車や並列駐車を自動で行うもの。
従来は前進、後退の切り替えが必要でしたが、最新ではセットするだけで駐車完了までを自動で行います。
自動運転
自動運転はこれらのASDSシステムをさらに発展させ、組み合わせることで成り立ちます。
自動運転は以下の6つにレベル分けされています。
レベル0
運転者がすべての運転操作を実行。運転操作の主体は運転者。
レベル1
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかを条件下で部分的に実行。運転操作の主体は運転者。
レベル2
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を条件下で部分的に実行。運転操作の主体は運転者。
自動運転システムが(作動時は)すべての運転操作を実行。
レベル3
システムがすべての運転操作を一定の条件下で実行。
作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に運転者が適切に対応。
運転操作の主体はシステム(作動継続が困難な場合は運転者)。
レベル4
システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を一定の条件下で実行。運転操作の主体はシステム。
レベル5
システムがすべての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を条件なしで実行。運転操作の主体はシステム。
メーカーの一例と自動運転実現のための課題
日産が採用しているプロパイロット2.0やスバルのアイサイト3.0は自動運転レベルでは「2」となります。
ホンダがレジェンドに採用したホンダセンシング・エリートは自動運転レベル「3」となります。
これらの自動運転の実現には高精度3次元地図が必須となります。
また、これらの地図は最新である必要があるので、地図更新のために5Gなどの高速通信も必要となります。
通信はクルマとクルマの通信(車車間通信)や、環境とクルマの通信(路車間)通信にも使われる予定です。
自動運転の実現には、数多くの情報収集とその処理、的確な操作が求められています。