自動車学校の呼び方は?車校・教習所・ドライビングスクールなどの呼び方を解説
全国にある自動車学校は、運転免許を取得するための学校です。
指定自動車教習所や届出自動車教習所などの区分があります。
進学や引っ越しで他県に行ったときに、自動車学校のことを「車校」と呼んで通じなかったりした経験がある人もいるのではないでしょうか。
正式名称は「自動車教習所」ですが、地域によって呼び方にバリエーションがあります。
この記事では、地域ごとの自動車教習所の呼び方を紹介します。
併せて、言葉の成り立ちについても解説するため、各地域の呼び方を知りたい人は参考にしてみてください。
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自動車教習所とは?
自動車教習所とは、車の運転免許を取得するために必要な知識・技能を習得する施設です。
自動車教習所には主に以下の2種類があります。
道路交通法第98条・第99条にもとづいて運営されており、都道府県公安委員会が指定する指定自動車教習所と、公安委員会に届出を提出した届出自動車教習所があります。
指定自動車教習所
指定自動車教習所とは、道路交通法第99条に基づき、都道府県公安委員会から指定を受けた自動車教習所です。
公安委員会の定めた教習カリキュラムに従って教習を行なっておち、この教習を修了し卒業すると、卒業証明書が交付され、運転免許技能試験が免除されます。
つまり、法令に基づいて認可された自動車教習所で適切な教育を受ければ、技能試験を受けずに運転免許を取得できるのです。
- 道路交通法第99条に基づき、都道府県公安委員会から指定を受けた自動車教習所
- 公安委員会の定めた教習カリキュラムに従って教習を行う
- 卒業すると卒業証明書が交付され、運転免許技能試験が免除される
届出自動車教習所
届出自動車教習所とは、公安委員会に届け出をしている自動車教習所のことです。
教習カリキュラムは特に定められておらず、卒業後も運転免許試験場で学科試験や技能試験など、各種試験を受ける必要があります。
つまり、公安委員会への届け出だけでは技能試験の免除などの特典はなく、通常の運転免許取得手続きを経る必要があります。
- 公安委員会に届け出をしている自動車教習所
- 教習カリキュラムは特に定められていない
- 運転免許試験場で各種試験を受ける必要がある
自動車教習所の主な呼び方
自動車学校の呼び方は地域ごとにさまざまです。
ここでは、広く使われている「車校」「教習所」「ドライブスクール」などの名称について、それぞれ使用するようになった経緯を解説します。
車校
「車校」とは、北陸・東海地方や九州地方などで広く使われる自動車学校の呼び方です。
この呼び方は、自動車の「車」と学校の「校」を取った略称と考えられています。
略称を作る際には、「就活(就職活動)」「取説(取扱説明書)」など単語の頭文字を取って作ることが一般的ですが、「自学」と呼ぶのは北海道が多いです。
「自学」は自主学習とまぎらわしいこともあって、車の運転を教わる学校として分かりやすい「車校」が広く定着したと推測できます。
教習所
「教習所」とは、全国的に使用される自動車学校の呼び方の一つです。
道路交通法上の正式名称である「自動車教習所」の前半を省略したものと考えられています。
なお、自動車学校は全国に多数ありますが、名称は「〇〇自動車教習所」だけではありません。
「〇〇自動車学校」「〇〇ドライビングカレッジ」などと呼ぶところもあります。
ドライビングスクール
「ドライビングスクール」も、全国的に使用される呼び方の一つです。
ドライビングとは運転することを指し、スクール形式で運転技術を学ぶ場所であることを表しています。
なお、「ドライビングスクール」以外にも、「カースクール」「運転免許スクール」などの名前が付いたスクールもあります。
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自動車教習所の地域別の呼ばれ方
自動車学校の名称は、道路交通法上は自動車教習所です。
しかし、実際に使われている呼び方は多岐にわたります。
合宿免許取得のために他県の自動車学校に行く人や、引っ越しのため違う場所で免許を取得する人の間で、自動車免許の呼び方に戸惑うことも考えられるでしょう。
「自動車教習所」が正式名称であるものの、地域や文化によって異なる呼び方が広まっていることが多いです。
ここでは、地域ごとの呼称を紹介します。
北海道
北海道では、多くの人が自動車学校のことを「自学」といいます。
自学は、「自動車学校」の略と考えられており、ほかの地域ではあまり聞かない表現です。
北海道の人が運転免許の話をするときに、「じがく」と表現して話題に出すと、異なる地域の人は「自主学習」のことと勘違いする可能性があるでしょう。
東北地方
東北地方の青森県・岩手県では「自車校」、秋田県では「自車学」といいます。
「自車学」は、「じしゃがく」というのではなく「じしゃが」と発音します。東北地方では、方言由来の発音をすることが特徴です。
これらは北海道の「自学」と同じで、「自動車学校」を省略したパターンのようです。
ほかの地域では「自動車練習場」という名前の自動車学校もある一方で、北海道や東北の地域では、「〇〇自動車学校」という名前の自動車学校が多いといわれています。
そのため、それぞれの地域で自動車学校を略す呼び名が定着したと考えられるでしょう。
北陸・東海地方
北陸・東海地方においては、愛知県を中心に広く「車校」という名前が使われています。
「車校」という略称は、遠く離れた北九州方面や鳥取県などでも用いられています。
ただし、新潟県では「車学」の名称が広まっており、北陸と東北からも影響を受けているようです。
なお、静岡県と富山県には違う呼び方があり、「自校」が一般的といわれています。
関東・関西・四国地方
関東・関西・四国地方では、「教習所」「自動車学校」のほか、「ドライビングスクール」や「ドライビングカレッジ」など、さまざまな名称が使われています。中でも多くの人が使用するのが「教習所」です。
全国的に見ても「教習所」は広く使われている言葉であり、どの地域でも比較的通じやすい略称といえるでしょう。
中国地方
中国地方も、関東・関西・四国地方と同様に「教習所」という名前が使われています。
ただし、岡山県のみ「教習」と呼んでいることが多いのが特徴です。「教習」は、ほかの地域で使われているところはないといわれており、なぜ岡山県のみ名称が変わるのか理由は不明です。
鳥取県では、基本的に北陸・東海地方と同様「車校」という言葉が使われています。
九州地方
九州地方では、北陸・東海地方や鳥取県などと同様「車校」と呼ぶ人が多いです。
ただし、鹿児島県のみ「車校」ではなく、「教習所」が使われていることが多いといわれています。
同じ九州内でも、地域によって呼び方にバリエーションがあるようです。
沖縄
基本的に沖縄では、自動車学校のことを「自練」といいます。
この呼び方は、「自動車練習所」を略したものと考えられます。
沖縄では、地域の言葉や文化が反映された呼び方が多く、「自練」もその一つです。
戦後の沖縄では、他県と異なり教習所ではなく、練習所という場所で免許取得を行うことが一般的でした。
1972年に沖縄が返還された後、練習所から教習所に改称が進みましたが、通称は「自練」のままで、今でもその名残が残っています。
自動車教習所で行うこと
自動車学校では、普通自動車・普通二輪・中型・大型自動車などの免許が取得可能です。
授業内容としては、運転免許の種類に応じて学科教習と技能教習が行われます。
学科教習では、交通ルールや安全運転に関する知識を学び、技能教習では、実際に車を運転する技能を身に付けます。
なお、免許取得に必要な期間や費用は各自動車学校によって異なるため、免許取得を検討する際はさまざまな学校を比較・検討して最適なところを選びましょう。
自動車教習所の歴史
日本で車が走るようになったのは、1898年からといわれています。
5年後の1903年には、日本初の自動車免許制度である「乗合自動車営業取締規則」が愛知県にて発足されました。
次第に他県にも広がり、1903年には8府県で発足されています。
当時の一般人で自家用車に乗る人は少なく、規則が適用される乗合自動車とは、現在のバスのようなものだったといわれています。
自家用車が普及しはじめ、「自動車取締規則」という運転免許が制定されたのは1907年です。
最も古い自動車学校は、1915年に東京で開かれました。
1919年には全国共通で免許制度が発足され、1933年に制度が改定されると、現在の指定自動車教習所に似た場所が生まれます。
1947年には、道路交通取締法が公布されて「指定自動車練習所」が始まります。
1960年になると、指定自動車練習所から「指定自動車教習所」になりました。
まとめ
ここでは、さまざまな自動車学校の呼び方について紹介しました。
「車校」または「教習所」と呼んでいる地域が多いですが、ほかにも「自車校」「自車学」「自校」「教習」など呼び方は多数あります。
なお、北海道や沖縄では、特徴的な略称が使われている傾向にあります。
北海道は「自学」、沖縄では「自練」が使われることが多いです。地域によって呼び方が異なり、場合によっては意味を勘違いされる可能性があるため、人に伝える際は注意しましょう。