ダイナモとは?オルタネーターとの違いや故障の症状、修理について解説
ダイナモは、1960年代以前に製造・販売されていた車の発電機として利用されてきた部品です。
現在はオルタネーターが発電機の主流ですが、ダイナモとどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、ダイナモとオルタネーターとの違いや不具合が起きたときの症状などについて詳しく解説します。
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ダイナモとは?
ダイナモとは、車を動かすために必要な電気を生み出す部品のことです。いわゆる「発電機」であり、車の各電装部品などに必要な電力を生み出す役割を果たします。
ここでは、ダイナモの仕組みと代替されたオルタネーターについて解説します。
ダイナモの仕組み
ダイナモはエンジンをスタートさせることで作動し、直流電流を生み出します。直流電流とは、常に一定方向に向かって電気が流れる方式のことです。
動力源にはエンジンの動力が必要であるため、部品単体では電力を生み出せません。
エンジンの動力を利用して作り出した電力は、バッテリーの充電やカーナビ、ラジオ、エアコンなどの各電装系部品へ供給されます。
現在はオルタネーターの搭載が主流
1960年代よりも前に製造された古い車種は、ダイナモがメインで使われていました。
しかし、現代ではオルタネーターが主流です。
効率的に電気を生み出せる、電力の安定供給ができるなどの観点からオルタネーターに代わり、現在製造・販売されている多くの車ではオルタネーターが採用されています。
ダイナモとオルタネーターとの違いとは
ダイナモとオルタネーターは、いずれも発電を担う部品です。
かつてはほとんどの車にダイナモが利用されていましたが、なぜオルタネーターに代わったのでしょうか。
ここでは、それぞれの違いについて紹介します。
違い1:発電効率
オルタネーターは、ダイナモに比べて発電効率や電力の安定供給に優れている傾向です。
ダイナモは直流電流に対して、オルタネーターは交流電流によって発電を行います。
交流電流には一相交流と三相交流があり、車で使われているのは三相交流です。三相交流は、少ない電流で高い電力が得られるため、発電効率が高いとされています。
そのため、低回転時の電力供給が安定的であるほか、高回転時の高負荷にも耐えられ、効率的に発電が可能です。
アイドリング時でも安定的に発電できます。一方で、ダイナモは直流電流であるため、エンジンの回転数が上がらないと効率的な発電ができません。
なお、エンジンは直流電流のみでしか作動しないため、オルタネーターを採用している場合、整流器が不可欠になります。
整流器とは、「AC-DCコンバータ」とも呼ばれ、「AC」である交流から「DC」である直流へ変換する装置のことです。
違い2:耐久性
ダイナモとオルタネーターは発電効率だけでなく、耐久性にも違いがあります。
前述のとおり、発電時のダイナモは直流電流であるため、静電誘導(導体に帯電体を近づけると引き寄せ合う現象)や電食作用(電気化学的な作用により金属が腐食する現象)により腐食が進みやすいです。
加えて、ダイナモはエンジンが高回転になると、負担が大きくなる傾向にあります。
一方で、発電時のオルタネーターは三相交流であるため、負荷が少ない状態で電力が得られます。そのため、ダイナモと比べると耐久性が高く、使用できる年数が長いでしょう。
ほかにも、オルタネーターはシンプルな構造をしていることも、耐久性が高い一つの理由です。
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ダイナモが故障したときの症状
ダイナモが故障したとき、車にはさまざまな症状が現れます。車の発電に不具合が生じた際は、できるだけ早い段階で修理が必要です。
ここでは、ダイナモが故障したときの主な症状について詳しく見ていきましょう。
エンジンの挙動が不安定になる
車を動かすために必要な電気を生み出せなくなった場合、当然セルモーターにも不具合が生じるため、エンジンの挙動が不安定になります。
一般的に車のエンジンがかかったり、かからなかったりした場合、まずはバッテリー切れを疑う人が多いですが、ダイナモが原因である可能性も少なくありません。
ダイナモが故障している場合は、バッテリーを交換しても改善が見られないでしょう。
バッテリーに問題がないのにエンジン不具合が改善されない場合は、ダイナモを点検することをおすすめします。
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異音が発生する
普段は鳴らない異音が聞こえるようになったときは、ダイナモに不具合が生じていることがあります。
音によって原因は異なりますが、一般的に「ヒィーン」「ウィーン」「ゴロゴロ」「キーキー」「キュルキュル」といった音が多いようです。
異音の原因は、エンジンの動力をダイナモに伝えるVベルトや内部部品であるプーリー、ベアリングの劣化や故障が考えられます。
異音が聞こえる状態で放置するのは危険であるため、できるだけ早く整備士に見てもらいましょう。
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電装系の部品に不具合が見られる
故障により発電がスムーズに行われないと、バッテリーが充電されずさまざまな部品に不具合が生じるようになります。
バッテリーの電力不足が起きると、警告灯が点灯したり、消えたりすることが頻発します。
バッテリーの電圧の低下は電装系の部品が機能しなくなる原因にもなるため、走行できるからまだ大丈夫といった認識は禁物です。
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ダイナモの耐用寿命と点検方法
ダイナモを搭載している車を運転している場合、耐用年数や点検方法が気になる人も多いでしょう。
ここでは、ダイナモの点検方法や耐用寿命について見ていきましょう。
ダイナモの寿命はオルタネーターよりも短い可能性がある
オルタネーターの寿命は、走行距離10万キロがボーダーラインとされています。近年は技術も向上しているため、10万キロを超えても使い続けられるケースも珍しくありません。
しかし、ダイナモは、オルタネーターと比べて構造や発電効率が大きく異なります。
加えて、技術力が現代よりもない旧世代の発電機であるため、オルタネーターよりも寿命が短い可能性があります。
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ダイナモの点検方法
ダイナモは、車のエンジンや電装系などに不具合が生じた場合、ホームセンターなどで販売されている専用のチェッカーで数値を計測することで異常を発見できます。
車検に合格している場合は、日常的に計測する必要はありませんが、ダイナモで発電する古い車であれば、可能な限りこまめに点検することが大切です。
ダイナモの修理について
経年劣化や夏場の気温などが原因で、ダイナモの修理が必要になることもあるでしょう。しかし、構造上エンジンの近くに配置されていることが多く、素人が修理・交換をするのは難しいです。
ここでは、ダイナモを修理するにはどのような方法があるのか解説します。
互換性のあるオルタネーターへ交換がオススメ
ダイナモは現在ほとんど作られていないため、新品部品はないと考えてよいでしょう。
そのため、ダイナモが故障したときは新しいダイナモではなく、互換性のあるオルタネーターへの交換をおすすめします。より長く旧車を利用できるようになるでしょう。
ただし注意したいのは、中古のオルタネーターへの交換です。
車種によっては中古品も出回っていますが、使用歴が不明なケースが多く、すぐに故障してしまう可能性があります。
オルタネーターへの交換費用は整備工場によって違いはあるものの、大体50,000~100,000円程度で依頼可能です。
リビルトパーツで修理することも可能
ダイナモが故障した際は、リビルトパーツで修理することも可能です。
リビルトパーツとは、中古のパーツを分解・清掃した上で劣化部品・消耗品を交換して組み上げたパーツのことです。新品ほどではないですが、品質がよく、より安価で手に入れられます。
リビルトパーツへの修理相場は、交換費用なども加えて50,000円程度になります。
まとめ
ダイナモは、オルタネーターが普及する以前に、車に搭載されていた発電機です。現在は効率的に発電ができるオルタネーターが主流ですが、ダイナモもアルタネーターも同じ役割を担う部品です。
ダイナモが故障した際は、エンジンや電装系に不具合が生じるほか、異音が発生する場合があります。
互換性のあるオルタネーターやリビルド部品への交換による修理が可能であるため、劣化・故障をした場合は整備工場に一度見てもらいましょう。