車のグリルとは?役割や種類などについて解説
車は多くのパーツで構成されており、それぞれ役割があります。そのなかでもグリルは、車の顔を左右する重要なパーツですが、グリルの役割や種類についてよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
グリルは、メーカーごとに独自のデザインがあり、一目でどのメーカーの車かを判別することもできます。また、取り外して交換することもできるため、愛車をより自分好みの雰囲気に変えることも可能です。
この記事では、グリルの役割や種類をご紹介します。
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INDEX
車のグリルとは?
グリルとはどのようなパーツなのか、特徴について解説します。
グリルとは
車のグリルは車の前面に配置されるパーツで、フロントグリルとも呼ばれます。ナンバープレートやメーカーのエンブレムと一緒に配置されていることが多いパーツです。
メーカーや車種によって形やサイズが異なり、上部と下部に分かれているものもあります。下のグリルはロアグリルと呼ばれることもあります。
最近はグリルの大きな車が多い傾向にある
現在、ミニバンやSUVなどボディサイズが大きめの車が人気であり、それに伴って大きなグリルを備えた車が増えています。大きなグリルは、車の存在感を高める効果があります。
2023年6月に発売された新型アルファードは、グリルが車のフロントの大半を占めており、非常に迫力のあるデザインになっています。
ただし、電気自動車などではグリルがいらない場合もあり、今後はグリルレスによって個性を出す車も出てくると考えられます。
グリルは交換可能
車のグリルはネジやクリップで固定されており、取り外して異なるデザインのグリルに交換することもできます。グリルは車の顔を左右するパーツであるため、交換するだけで大きく印象を変えられます。
交換作業は個人で行うことも可能です。しかし、自分で作業する場合は、着脱時にクリップを破損させたり、正確に取りつけられなかったりするリスクもあるため、自信がない場合は専門業者に依頼することをおすすめします。
車のグリルの役割とは?
車のパーツにはさまざまな役割があり、グリルにも役割があります。ここでは、車のグリルの役割を2つ紹介します。
ラジエーターの保護や冷却
グリルの主な役割は、ラジエーターの保護や冷却です。ラジエーターは、エンジンを冷却するための装置のことをいいます。ナンバープレートの裏付近に設置されており、走行中の風によってラジエーター内の冷却水が冷やされます。冷却水はエンジンの熱を吸収し、冷却水路に送られて熱くなったエンジンを冷やす役目を果たします。
ラジエーターに風が当たらなければ、長距離を走行して熱くなったエンジンを冷却できずにオーバーヒートする恐れがあります。グリルは風の通り道を確保した形状のため、走行中に大きな異物からラジエーターの損傷を防ぐ役割もあります。
デザインの差別化
グリルはメーカーごとに形やサイズが異なり、車のデザインの差別化を図る役割もあります。
特徴的なグリルを備えた車は、外観からどのメーカーの車であるかを判別することができ、他のメーカーとの差別化ができるのです。
車種が異なってもメーカーは同じであることがわかるデザインのことを「ファミリーフェイス」と呼ぶこともあります。
車のグリルの種類
車のグリルには、さまざまな形やサイズのものがあります。
ここでは、7種類のグリルを紹介します。
スピンドルグリル
スピンドルグリルは、中央がくびれた砂時計のような形状を持つグリルです。面積が大きく、フロントの大半を占めるほど存在感があります。
スピンドルグリルは、トヨタが製造・販売しているレクサスに2012年から採用されており、今ではレクサス車の象徴的なデザインとなっています。セダンだけでなく、SUVタイプやミニバンタイプのレクサスにもスピンドルグリルが採用されており、レクサス車を一目で識別することができます。
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キドニーグリル
キドニーグリルは、左右に2分割された形状を持つグリルです。キドニーとは英語で腎臓を表し、腎臓は左右に1つずつあることからキドニーグリルと呼ばれています。
キドニーグリルは、1933年のBMW303に初めて採用されました。当初は縦長の形状でしたが、現在は横長や四角に近い形状へと縦横比や大きさが変化しています。長い間BMWの象徴として採用されてきたため、車好きの人であればグリルを見ただけでBMWであるとわかる人もいるでしょう。
キドニーグリルは本来グリルがいらない電気自動車にも、通気口がない状態で採用されています。
Vモーション
Vモーションは、ヘッドライトからナンバープレートに向かって落ちるV形状のグリルです。
Vモーションは、日産自動車が製造・販売している車に採用されています。コンパクトカーのノートや軽自動車のルークス、ミニバンのセレナ、SUVのエクストレイル、セダンのスカイラインなど、ボディ形状は異なるものの、統一してVモーションを採用することで日産の車であることを表しています。
五角形グリル
五角形グリルは、マツダが積極的に採用しているデザインです。マツダの乗用車は、車種を問わず切れ長のヘッドランプと、中央にエンブレムが配置された五角形のグリルで統一されています。
ロードスターをはじめとした一部の車両は、グリルの中央ではなく上部にエンブレムが配置されているものの、ほかの車種では基本的にフロントデザインに大きな違いがないことが特徴です。
ダイナミックシールド
ダイナミックシールドは、左右と下からフロントを包み込むような形をしており、車を守るタフな印象を与えます。
ダイナミックシールドは、三菱自動車が製造・販売している車に採用されています。軽自動車のeKクロスやSUVのアウトランダー、エクリプスクロス、RVR、ミニバンのデリカD:5などに用いられています。
一方、コンパクトカーのデリカD:2やミラージュには採用されておらず、三菱の車すべてに採用されているわけではありません。
キーンルック
キーンルックは、エンブレムを中心として左右に細く伸びる形状のグリルです。キーンは英語で鋭いという意味であり、顔つきが鋭い印象を与えるデザインであることからキーンルックと呼ばれています。
キーンルックは、トヨタ自動車が製造・販売している車に採用されており、現在はCH-Rやハリアー、カローラなど一部の車両に採用されています。
シングルフレームグリル
シングルフレームグリルはフロントを大きく占める縦横幅の広いグリルです。
フォルクスワーゲン傘下のアウディの車に用いられています。アウディはかつて上下に2分割されたグリルを採用していましたが、2005年頃から分割のないシングルフレームグリルを採用し、現在ではアウディの象徴的なデザインとなっています。
まとめ
車のグリルは、ラジエーターを保護・冷却したり、メーカーの特徴を表現したりする役割があるパーツです。
電気自動車では、ラジエーターの冷却が必要ないためグリルが不要なものの、ほかの車種と同じ形で通気口のないものを採用し、メーカーのアイデンティティを表現するケースもあります。グリルはメーカーを象徴するパーツとして重要な役割を果たしています。
さまざまな種類のグリルが存在し、レクサスのスピンドルグリルやマツダの五角形グリルなど、長年多くの車種に採用され、一目でメーカーがわかる代表的なデザインもあります。また、グリルは交換することも可能なため、自分好みにアレンジして楽しむのもよいでしょう。