軽油をポリタンクに給油できる?保管方法や運搬方法も解説
軽油は、消防法における危険物に該当する燃料です。
使用方法や扱い方、運搬方法を間違えれば、大きな火災問題に発展する可能性が考えられます。
しかし、多くの方が軽油の運搬方法や保管に関係するルール、運搬方法を理解していないでしょう。
この記事では、軽油をポリタンクに給油できるのかを解説するとともに、軽油の保管に関するルールや運搬方法について詳しく解説します。
また、軽油を保管する際の注意点についても併せて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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軽油をポリタンクに給油してもよい?
軽油をポリタンクに給油することは可能です。
ただし、軽油をポリタンクに給油するためには、緑色の軽油用ポリタンクを使用して給油する必要があります。
軽油が給油できるポリタンクは、内容量10~20L程度が一般的です。
また、緑色のポリタンクは「軽油を給油するため」に使用するものであるため、ガソリンや灯油を入れることはできないことを覚えておきましょう。
なお、ガソリンスタンドでは、自身で軽油を給油することができない場合が多いです。
もしガソリンスタンドで軽油を給油する場合は、基本的にスタッフに声をかけ、給油をお願いしてください。
ポリタンク以外で軽油を入れられる容器
ポリタンク以外で軽油を入れられる容器として「ガソリン携行缶」が挙げられます。
もしガソリン携行缶内に軽油を給油する場合には、必ず容器に「軽油」と表示する必要があります。
加えて、火気厳禁を絶対条件とするため、容器の注ぎ口を上に向け、しっかりと栓を締めて密閉させましょう。
また、ガソリン携行缶以外にも、ドラム缶やプラスチック容器なども使用可能です。
ただし、軽油を給油するためには、消防法で定められている基準をクリアする必要があります。
使用可能な容器の条件としては、ドラム缶最大容量250L、ガソリン携行缶60L、軽油用ポリタンクは最大容量30Lまでです。
軽油用ポリタンクなどの記載がある容器であれば、消防法を気にする必要はありません。
軽油用ポリタンクの入手方法や選び方
軽油用ポリタンクは、主にホームセンターなどで販売されており、購入費用も2,000円~3,000円程度です。
軽油用ポリタンクを購入する際には容器に「軽油」という表記が記載されているため、商品を選びやすいでしょう。
また、市販で販売されている給油用ポリタンクは、軽油用のポリタンクと一目で判断するために緑色の容器が多い傾向があります。
「容器に給油できる給油量」と「容器の色」が使用目的に最適なのか確認した上で購入しましょう。
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軽油の保管に関するルール
ここでは、軽油の保管に関するルールについて見ていきましょう。
保管数量
軽油をはじめとした危険物は、「指定数量の倍数」もとに保管ルールが定められています。
厳密には、「保管する数量÷指定数量」で求められる指定数量の倍数の算出結果によって、規制の有無が異なります。
そもそも指定数量とは、各々の危険性を踏まえた危険物ごとに決められた数値のことで、軽油の場合は1,000Lと定められています。
個人が軽油を保管する際に把握するべき指定数量の倍数の基準としては、「1/5未満」であることです。
1/5未満であれば規制はかかりませんが、1/5以上保管する場合は一定の規制がかかり、1以上になるとかなりの制約が発生します。
要するに、指定数量1,000Lの1/5未満である「200L未満」を保管する場合においては、規制がなく保管できるということです。
200L以上保管する場合は、保管場所の壁や柱、床などが不燃材質(1/5以上1未満の場合)、あるいは耐火構造(1以上の場合)であるなどの制約を遵守しなければなりません。
保管場所や保管期間
軽油は着火しやすいものであるため、保管場所にも注意が必要です。
実際に軽油を保管する場合には、可能な限り火を使用する場所から遠ざけ、直射日光が当たらず、倉庫や車庫などの冷暗所での保管が最適です。
加えて、軽油の臭いが充満しないよう、適度な通気と換気を行いましょう。
また、軽油の保存期間は、およそ「6ヶ月間」と石油連盟で推奨されています。
軽油を長期間保管すると酸化が進み、不完全燃焼が発生する可能性が高くなるため、定期的な燃料の交換がおすすめです。
給油した軽油によっては、冬季に燃料が凍結する恐れもあります。
そのため、いつどこで軽油を給油したのか判断するためにも、記録を残しておくことも重要です。
軽油を保管する際の注意点
軽油を保管する際には、保管場所の周囲にマッチやライターなどの火元を置いておく行為は絶対にしてはいけません。
軽油の引火点は45℃付近であり、温まった蒸気により軽油に引火する恐れもあります。
加えて、乾燥した冬場の環境下では、静電気が発生したことで火災トラブルに発展する可能性があります。
静電気による引火が心配な方は、市販されている静電気除去アイテムを使用してもよいでしょう。
また、軽油が衣類や体に付着した場合、速やかに洗い流すことをおすすめします。
軽油が付着した状態を放置すると、シミや臭いの原因になるだけでなく、付着部分が火元に触れたことで引火する可能性があります。
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軽油の運搬方法
軽油は危険物に該当する燃料であり、ガソリンと同じく第4類に分類されます。
危険物に該当する燃料は、正しい使用方法と適切な取り扱いが定められているため、運搬には注意が必要です。
運搬できる軽油の容量も容器によって異なります。具体的には、プラスチック製容器の最大容量が30L以下、金属製容器が60L以下、金属製ドラムが250L以下と覚えておきましょう。
道路交通法では、指定数量以上の軽油を運搬する際には、「“危”」の標識を掲示する必要があると定められています。
厳密には、1,000Lの軽油を車両で運搬する際に、「30センチ四方」「黒地に黄色の文字」である「“危”」の標識を表示しなければなりません。
また、軽油を入れた容器を誰がみても一目で判断できるよう、容器に「軽油」の表示を行ったり、「火気厳禁」の表示をしたりするのも大切です。
まとめ
軽油をポリタンクに給油する際には、消防法をクリアした容器に定められた数量を入れる必要があります。
そのため、どんなポリタンクにも軽油を給油できるわけではありません。
軽油用ポリタンクなどの記載があるなど、軽油用であることを確認した上で購入し、給油を行いましょう。
軽油用ポリタンクはホームセンターなどで2,000円~3,000円程度で購入できます。
給油用ポリタンク以外にも携行缶やドラム缶にも軽油を入れられるため、使用する容量に合わせて選びましょう。
また、軽油は着火しやすい燃料であるため、保管場所にも注意が必要です。
保管する場所としては、火を使う場所やマッチ・ライターなどの火元から遠ざけ、直射日光が当たらない倉庫や車庫での保管がおすすめです。
この記事の内容を参考にして、軽油の正しい保管方法や運搬方法の知識を身につけましょう。
正しい知識を身につけることで、火災トラブルを未然に防げます。