ジャーナリスト寄稿記事

モータージャーナリスト

工藤 貴宏くどう たかひろ

モビリティショーではこれを見よ!会場で見るべきクルマ TOP10[MJ]

東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー」がはじまりました。

自動車関連で国内最大規模となるイベントの東京モーターショーは2年に1度の開催ですが、前回はコロナ禍で中止となったため今回は4年ぶりの開催。

しかも、対象をクルマとバイクからモビリティ全般に広げ、ネーミングも心機一転「ジャパンモビリティショー」とチェンジして、ますますパワーアップしているのだから楽しみです。

今回は、そんなモビリティショーの会場へ行ったら絶対に見ておくべき車両を10台紹介しましょう。

○文、写真:工藤 貴宏

工藤 貴宏 の記事一覧

出光のカーリース・ポチモへ
出光のカーリース・ポチモへ

ジャパンモビリティショーとは?

ジャパンモビリティショー2023

1954年に「全日本自動車ショウ」としてはじまり、47回開催されてきた日本最大の自動車イベントの「東京モーターショー」。

1990年代から2007年頃までは「世界3大モーターショーのひとつ」とも言われ百数十万人の来場者を集めていました。

ジャパンモビリティショー2023

今年はコロナ禍における中止を経て、気分も新たに「ジャパンモビリティショー」へとネーミングチェンジ。

クルマやバイクに限らず、超小型移動ツールから飛行機まで幅広くモビリティ全般を対象にしたイベントへと生まれ変わりました。

ジャパンモビリティショー2023
ジャパンモビリティショー2023

【一般公開日】2023年10月28日(土)~11月5日(日)
【会場】東京ビックサイト(東京都江東区有明)
【開場時間】金~土曜/祝日:9時~19時、日曜日:9時~18時
【入場料】一般公開日:当日券3000円(高校生以下無料)
【公式ウェブサイト】HYPERLINK ” https://www.japan-mobility-show.com/

ダイハツ・ビジョン コペン

初開催となるジャパンモビリティショーで驚いたのは、各自動車メーカーがこぞってスポーツカーのコンセプトモデルを発表したこと。

脱炭素社会を背景にEV(電気自動車)や水素燃料などエコロジーなクルマも多かったのですが、そればかりではなかったのです。

ダイハツビジョンコペン。写真:工藤貴宏

ダイハツブースにあった「ビジョン コペン」もその1台。
現在2世代目を販売しているコンパクトオープンスポーツカー「コペン」の次期モデルを示唆するスポーツカーです。

これまでコペンは「軽自動車でFF(フロントエンジン・フロントドライブ)」としていましたが、ビジョン コペンではコペンを再定義して「軽自動車ではないコンパクトなFR(フロントエンジン・リヤドライブ)」を提案。なんと後輪駆動なのです。

ダイハツビジョンコペン。写真:工藤貴宏

エンジンは1.3Lを想定しているとか。かなり市販が近いようにも見えますが、あくまでコンセプトモデル。

開発スタッフは「サイズやエンジンも含めて市販するにはどんなクルマだと受け入れてもらえるかを検討している。どんどん意見を聞かせてほしい」とのこと。

市販を望む人は、会場で開発者に直接、想いを伝えましょう。

トヨタ・ヴェルファイア スペーシャスラウンジ コンセプト

トヨタヴェルファイアスペーシャスラウンジ コンセプト。写真:工藤貴宏

フルモデルチェンジした新型が爆発的な人気となっている「ヴェルファイア」。

その開発や生産を担っているトヨタ車体のブースに展示してあるヴェルファイアは、よく見ると市販仕様とは異なります。

大きな違いはふたつあり、まずは室内。

普通のヴェルファイアは3列シートですが、このスペーシャスラウンジはなんと2列シート。
1列減った分だけ、2列目の位置を後ろへ下げて足元スペースを大きく広げているのです。足元は呆れるほど広い!

トヨタヴェルファイアスペーシャスラウンジ コンセプト。写真:工藤貴宏

そしてシートも普通のヴェルファイアより立派! ヴェルファイアの最上級バージョンというわけです。

もうひとつの市販モデルとの違いは、PHEV(プラグインハイブリッド)になっていること。
通常のハイブリッドと違って、外部から充電して近距離ならEVのようにエンジンを止めて走れるパワートレインなのです。

実はヴェルファイア(もちろんアルファードも!)のPHEVモデルは来年発売予定。

そしてこの2列豪華仕様のスペーシャスラウンジも、単なるショーカーではなく発売を考えているそうです。

三菱デリカD:Xコンセプト

三菱自動車ブースには、オフロードテイストに満ち溢れたミニバンのようなモデルが。

オフローダーのミニバンといえばそう、デリカです。

この「デリカD:Xコンセプト」は将来のデリカをイメージしたコンセプトカー。

三菱デリカD:Xコンセプト。写真:工藤貴宏

駆動系は「プラグインハイブリッドの電動4WD」とのことなので、アウトランダーPHEVのシステムを組み合わせるイメージかもしれませんね。

スタイリングを見ると「これが直接市販車に結び付くわけではないかな?」という印象ですが、デリカユーザーやデリカファンに向けて三菱自動車からの「デリカのこともしっかり考えているからね」というメッセージだと考えてよさそうです。

ホンダ・プレリュード コンセプト

ホンダ・プレリュード コンセプト。写真:工藤貴宏

ホンダが事前予告なしに発表したサプライズモデルの名前はなんと「プレリュード コンセプト」。

名前を聞いただけで心躍る人もいのではないでしょうか。

プレリュードといえば、かつて80年代後半から90年代前半にかけて一世を風靡した“デートカー”。お休み期間を経て復活というわけです。

単なるコンセプトカーと思いきや、どうやらそう遠くないうちに市販しそうな気配。
プラットフォームやメカニズムは「シビック」との共通部分が多そうですね。というか、これのベースは北米向けの「シビッククーペ」……??

「電動車両」ということでパワートレインはシビックにも積んでいるe:HEVとなりそうですが、個人的にはシビックType Rのパワートレインを移植して「プレリュードType S」を作ったら面白いのではと思ってみたりして。

スズキ・スペーシア コンセプト/スイフト コンセプト

スズキブースの2台は、「コンセプト」とは言うもののその完成度はいつ市販してもおかしくないレベル。

「スペーシア」は人気の軽自動車スーパーハイトワゴンで、先日フルモデルチェンジして爆売れ中のホンダ「N-BOX」のライバルですね。

スズキスペーシア コンセプト。写真:工藤貴宏

リヤシート座面先端の角度が変化する構造になっていて、どうやらそこが新発想の仕掛けのようです。

いっぽうの「スイフト」は人気のコンパクトカー。

スズキスイフト コンセプト。写真:工藤貴宏

ちょっと欧州車っぽい、愛嬌のある顔が印象的ですね。どちらも発売間近という印象でしたが、さて?

レクサスLF-ZC

レクサスブースには2台のコンセプトカーがあります。

そのうちの1台「LF-ZC」はセダンボディで2026年に発売を予定しているモデルをイメージしているのだとか。

レクサスLF-ZC。写真:工藤貴宏

EV専用のプラットフォームを使い、EVながら航続距離は1000kmを見込んでいるのだそうですよ。
ただ、スタイリング自体はショーカーの域を出ていないので、パッケージングやパワートレインを含めた基本的な概念は市販モデルに受け継ぎつつも、デザインに関してはまったく違うものになると考えていいでしょう。

トヨタFT-Se

トヨタFT-Se。写真:工藤貴宏

トヨタブースにもスポーツカーがありました。

見るからに走りがよさそうなスタイルで、パワートレインはEVとのこと。トヨタがGRのスポーツモデルで培ってきた走りの楽しさを、バッテリーEVでもしっかり提供しようという意思表示と考えていいと思います。

トヨタFT-Se。写真:工藤貴宏

それにしてもカッコいいですね。このままのデザインで、ミッドシップにエンジンを積んでモーターを組み合わせたハイブリッドスポーツカーとして発売してほしいと思えるくらい魅力的なスタイルです。

とはいえあくまでショーのためのコンセプトカーで市販は視野に入っていないというのがもったいない!

マツダ・アイコニックSP

マツダ・アイコニックSP。写真:工藤貴宏

おそらく、今回のモビリティショーでクルマ好きの注目度ナンバーワンといえるのが、マツダがコンセプトカーとして出展したスポーツカー。

とにかく美しい。そしてカッコいい。「クルマ好きが純粋にワクワクできるクルマを作った」とマツダは言います。

公開前には「次期ロードスターのコンセプトモデルでは?」という噂もありましたが、「ローターリーエンジン(2ローター)で発電した電気を使って動くハイブリッド。バッテリーは外部充電も可能(=PHEV)」とのことなので、むしろ「RXシリーズ」の復活と考えるのがいいのかもしれません。

マツダ・アイコニックSP。写真:工藤貴宏

もちろんこの姿はショーカーでありすぐに市販するというものではありませんが、「こういう美しいスポーツカーを商品化したい」というマツダの意気込みはしっかり伝わってきます。

NISSAN・ハイパーフォース

日産ハイパーフォース。写真:工藤貴宏

これはいったい何なの? レーシングカー? それとも次期GT-R?

1360psと思わず2度見しそうな数字の最高出力を発生するEVシステムを搭載しているという日産のコンセプトカー。

とにかくその見た目のインパクトが凄い。1980年代に人気だった「スーパーシルエット」というレーシングカーみたいですね。

日産ハイパーフォース。写真:工藤貴宏

そして日産はこのクルマに関して「GT-R」という表現はひとこともしていません。
だけど丸いテールランプやCピラーの形状などどことなくGT-Rを思わせる意匠が使われていて、さらに前後には「GT-R」を思わせるエンブレムも。

日産ハイパーフォース。写真:工藤貴宏

謎が謎を呼ぶクルマですが、ひとつだけいえるのはまだ「絵に描いた餅」の状態だってこと。市販モデルに結びつく要素は少ないでしょう。

でも、こういう盛り上げ役の打ち上げ花火もいいじゃないですか。賛否両論大歓迎。それでみんなが楽しくなればそれでイベントとしてハッピーだと思うんですけどね。

日産ハイパーフォース。写真:工藤貴宏

スバル・エアモビリティ・コンセプト

スバル・エアモビリティ・コンセプト。写真:工藤貴宏

スバルブースに空飛ぶ円盤が!……と思ったら、いわゆる「空飛ぶクルマ」というか人が乗れるドローンでした。

スバル・エアモビリティ・コンセプト。写真:工藤貴宏

なぜスバルがそんなものを……と疑問を感じるのも当然ですが、実はスバルには航空部門があり飛行機やヘリコプターなども作っているのです。
その一環として次世代モビリティも研究しているというわけでした。

スバル・エアモビリティ・コンセプト。写真:工藤貴宏

この「エアモビリティ・コンセプト」の凄いところは、単なる絵空事ではなく実際に浮上までテストしている段階だということ。けっこう本気みたいです。

乗り味は、きっとスバルお得意の「水平対向」が効いているに違いありません。

スバル・エアモビリティ・コンセプト。写真:工藤貴宏

【番外編】乗り込めるホンダジェットは必見!

ホンダジェット。写真:工藤貴宏

モビリティショーというだけあって、会場にはいろんな移動ツールが展示されています。

つまり「普段は見られないものが見られる」というわけで、そのひとつが、ホンダが開発して、発売したらそのクラス(小型ビジネスジェット)の人気ナンバーワンになった飛行機の「ホンダジェット」。

ホンダジェット。写真:工藤貴宏
ホンダジェット。写真:工藤貴宏

ホンダブースではその実物大モックアップ(模型)が見られるのです。そして、中に乗り込めちゃうのですよ。せっかく会場に足を運んだら、憧れの世界を体験しないわけにはいきませんよね。

ホンダジェット。写真:工藤貴宏
ホンダジェット。写真:工藤貴宏
ホンダジェット。写真:工藤貴宏

というわけで、ふたを開けてみたらワクワクドキドキの出展が盛りだくさんのジャパンモビリティショー。

現地へ行って実際に自分の目で見る価値は、間違いなくあります。

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.1

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.2

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.3

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.4

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.5

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.6

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.7/ジャパンモビリティショー2023特集

モータージャーナリストレポート一覧 Vol.8

出光のカーリース・ポチモへ
出光のカーリース・ポチモへ

この記事を書いた人

モータージャーナリスト

工藤 貴宏くどう たかひろ

自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2023-24日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。生粋のクルマ好きで現在の愛車は マツダ CX-60 とスズキ・ソリオ、そしてホンダ S660。 1976年長野県生まれ。

関連する記事

カテゴリーから記事を探す

error: このページの内容は保護されています。