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諸星 陽一もろほし よういち

LEXUS RZの試乗記|レクサスのBEVの評価は?[MJ]

トヨタ自動車のプレミアムブランドであるレクサスは、2020年にUXシリーズに300eというバッテリーEVを設定しました。

これがレクサス初のバッテリーEVです。

UXシリーズにはエンジン車も存在するので純粋なEVではなく、コンバートEVと呼ばれるタイプです。
一方、RZは2022年4月にワールドプレミア、2023年3月に発売開始されたモデルで、シリーズにエンジン車は存在しないバッテリーEV専用モデルです。

レクサスRZ。写真:諸星陽一

今回、試乗車をお借りして、東京から千葉方面に試乗を行いました。

○文:諸星 陽一

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e-TNGA

レクサスRZ。写真:諸星陽一

RZに使われたプラットフォームはトヨタbZ4X & スバル・ソルテラ同様のe-TNGAです。

bZ4X & ソルテラは前輪駆動モデルと4WDモデルがあります。
前輪駆動モデルは150kWのモーターで前輪のみを駆動、4WDモデルは前後に80kWのモーターが装着されそれぞれを駆動します。

対してRZ450eは4WDモデルのみの設定で、フロントモーターはbZ4X & ソルテラ前輪駆動車用の150kW、リヤは80kWのモーターが装着されます。

レクサスRZ。写真:諸星陽一
レクサスRZ。写真:諸星陽一

簡単に言ってしまえばbZ4X & ソルテラ4WDのフロントモーターを約2倍の出力を持つ150kW仕様に置き換えたというわけです。

bZ4X & ソルテラも十分にパワフルなモデルで、とくに不満を感じることはありませんでしたが、RZ450eは必要十分以上のパワフルさが与えられているモデル。

プレミアムモデルにオーバースペックの動力源が与えられるのは、エンジン車でもEVでも変わりない手法です。

レクサスRZ。写真:諸星陽一

アクセルをスッと踏み込むと、スッとスムーズに加速しますが、グッと踏み込んだときにはスポーツEVのようにシートに身体が押しつけられるような力強い加速を味わえます。

サスペンション・タイヤ

サスペンションはフロントがストラット、リヤがダブルウィッシュボーンでbZ4X & ソルテラと同様。

タイヤはフロントが235/50R20、リヤが255/45R20と異なるサイズを履きます。

レクサスRZ。写真:諸星陽一

またオプションではフロントに235/60R18、リヤに255/55R18サイズを選ぶことも可能となっています。

タイヤの扁平率をアップする、つまりホイールサイズを大径化するのではなく、扁平率をアップつまりホイールサイズを小径化するオプションというのも珍しいものです。

じつはRZ450eを乗っていて、快適にドライブできるものの、路面の継ぎ目などによる突き上げでのショックが吸収しきれていない印象がありました。
おそらく、この乗り心地対策のためにオプションで扁平率が高い60タイヤを用意しているのでしょう。

パドルスイッチ

bZ4Xには装備されておらずソルテラには装備されるのがステアリングコラムのパドルスイッチです。

そして同じトヨタなのにレクサスRZにもパドルスイッチが装備されます。

レクサスRZ。写真:諸星陽一

パドルスイッチはアクセルペダルを緩めた際の回生ブレーキの強さを調整します。
もっとも回生量が多い状態にするとワンペダルに近い操作が可能ですが、完全停止に至るまでの強さとはなりません。

また、一般道走行などでは回生ブレーキを積極に使った走りが可能ですが、高速走行ではあまり回生ブレーキが強く効かない設定です。

この設定は安全性(追突防止)などを重視した設定だとみていいでしょう。

試乗記

レクサスRZ。写真:諸星陽一

ハンドリングは重心が低いEVらしいスッキリしたもので、軽快感にもあふれています。

EVはフロアにバッテリーを敷き詰めるのでクルマとしての重心が低くなるので、重量のわりにはハンドリングの軽快なモデルが多くなっています。

レクサスRZ。写真:諸星陽一

RZは4WDながらフロントモーターのトルクが大きい設定です。
それでいながらタイヤはフロントが2サイズ細い設定となっていて、かなりアンダーステア強調傾向のセッティングです。

当然、前後のトルク配分は制御されているので、モーターの設定やタイヤのサイズうんぬんではなく、ハンドリング特性はコントロールされているのですが、基本をそうすることでより特徴は際立ちます。

せっかく自由にトルク配分ができるEVなのですから後輪トルクを大きく設定し、よりピュアなハンドリングを目指したほうが楽しいクルマになると思います。

レクサスRZ。写真:諸星陽一

レクサスらしい快適性は想像以上のものでした。

クルマに乗り込んでステアリングを握ると、そのしっとりとした感触に安心感を覚えます。

じつはステアリングに使われているのは革ではなく人工皮革なのですが、その手触りがしっとりとしたもので感触もいいのです。もはや革こそ一番の素材ではなくなってきているのでしょう。

レクサスRZ。写真:諸星陽一

ただ、革は食品の副産物としても発生する素材なので、ムダにならなように使うことも大切なことです。

bZ4Xではゴツゴツしたインパネでしたが、レクサスRZはスッキリしたデザインとなっています。
人間の目も遠くを見るときと近くを見るときで、カメラのレンズのようにピントを調整しています。

bZ4Xはメーターを奥に(つまり遠くに)配置することで、車外を見たときとメーターを見たときにピントを合わせやすくしていますが、レクサスRZではヘッドアップディスプレイを採用することで、速度など主要な情報はヘッドアップディスプレイの虚像に表示。デザインをスッキリさせています。

走行中のノイズなどもよく抑えられています。

今回はリヤシートにも乗る機会がありました。

レクサスRZ。写真:諸星陽一
レクサスRZ。写真:諸星陽一

bZ4Xではリヤシート乗車時に若干ノイジーな感じを受けたのですがさすがレクサス、防音材や防振材の採用部位を大幅に増やしているのでしょう。

静かで快適性の高い乗り心地を実現していました。

レクサスRZ。写真:諸星陽一
レクサスRZ。写真:諸星陽一
レクサスRZ。写真:諸星陽一

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諸星 陽一もろほし よういち

モーター・フォト・ジャーナリスト。東京生まれ、東京育ち。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ボッシュ認定CDRアナリスト。

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