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諸星 陽一もろほし よういち

初心者も安心 自分でできる車のメンテナンス コストカット編[MJ]

2023年12月までのガソリン補助金延長は決まったものの、物価高は収まる様子もなく、クルマを維持、使用していくコストは増すばかりです。

今回は少しでもコストを落とすために、維持に掛かるコスト、なかでもメンテナンスコストをおとすためにできる自分でできるメンテナンスについて紹介します。

○文:諸星 陽一

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簡単なメンテナンスは自分でもできる

メンテナンスなんて自分でできるの? と思う人もいるでしょうが、簡単なことは自分でできますし、自分ですることでクルマの状態を把握することもでき安全にもつながります。

失敗を恐れず、万が一失敗したらプロに任せればいい、という気持ちでのぞみましょう。

基本は普段の観察力と記録

メンテナンスの基本は普段の観察力と記録にあると言えます。

クルマの状態について普段から気にかけていることで、不具合に気付くことがありますし、交換する必要のある油脂類などは記録を付けておくことで忘れずに交換できます。

メンテナンスで最初に思いつくのは、各種消耗品などの交換になるでしょう。

エアコンのフィルターとエアクリーナーのフィルター

自分で交換しやすいパーツはエアコンのフィルターとエアクリーナーのフィルターです。

エアコンのフィルター

車のエアコンフィルター交換

エアコンのフィルターはグローブボックスの奥などに設置されていることが多く、グローブボックスを取り外して行います。

古いクルマの場合はエアコンのフィルターがないものもあるので、自分のクルマの車名と型式をネット検索して交換可能かどうか調べましょう。

型式は車検証に記載されています。車検証の型式はABA-XXXやAAA-XXXといった表示ですが、ハイフン右側のXXXの部分で検索します。

車検証の型式

交換可能な場合、多くは交換方法についても説明されているページにたどり着けるはずです。

エアコンフィルターは一般的に1年に1度交換とされています。

エアクリーナーのフィルター

車のエアクリーナー

エアクリーナーというのはエンジンが吸気する空気のゴミなどを取り除くためのフィルターです。

エアクリーナーはエンジンルーム内にあります。
エアクリーナーはボックスのネジやクリップを外して内部にあるフィルターを交換します。

車のエアクリーナーのフィルター

フィルターの交換サイクルは取扱説明書に書いてある期間、もしくは走行距離を参考にします。

ワイパー

ワイパー交換イメージ

自分で交換しやすいパーツのなかでもワイパーは代表的なパーツとも言えます。

ワイパーの交換はワイパーブレードごとの交換、ワイパーゴムだけの交換と2つの方法があります。
比較的簡単なのはワイパーブレードごと交換してしまう方法ですが、コストはゴムだけ交換よりも高く付きます。

ゴムだけ交換もさほど難しものではなく、下記リンクのように詳しく説明されている動画も存在します。
ワイパーの交換時期は拭き取り時にスジが残る、といったような拭き取り性能に不満が出てきた際に交換するといいでしょう。

NWB|ワイパーの交換方法:https://www.nwb.co.jp/exchange/index.html

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液体類の状態

メンテナンスで気になるのが液体類の状態です。

エンジンルームのなかには、ウォッシャー液、ラジエーター液、エンジンオイル、AT(CVT)フルードもしくはミッションオイル、ブレーキフルード(ブレーキオイル)といったところの液体類が収められています。

ウォッシャー液

ウォッシャー液つぎたし

なかでももっとも簡単なのはウォッシャー液でしょう。ウォッシャー液は交換ではなく注ぎ足しです。
ウォッシャータンクの液量が減っていたら、注ぎ足せば大丈夫です。

冬は凍結を防ぐためにウォッシャー液の濃度を濃くしたり、冬季専用のウォッシャー液を使ったりします。
ウォッシャー液の代わりに石けん水を入れるという考えを持つ人がいますが、これは間違いです。

石けん水を入れるとノズルが詰まりやすくなります。

普通にウオッシャー液を使っていても、ノズルが詰まることがあります。
ノズルが詰まったときは、細い針金(ワイヤーブラシのワイヤーをペンチで1本抜いたものが使いやすい)で、ノズル内を掃除すると詰まりが取れます。

またノズルは角度の調整が可能なので、安全ピンや縫い針をノズル内に入れて調整できます。

ただし、スプレー状に噴霧するタイプはノズル形状が特殊なので、自己メンテはあきらめた方が賢明です。

ラジエーター液

ラジエーターキャップ

最近のクルマは滅多なことでは減りませんが、ラジエーター液も減ることがあります。

ラジエーター液が減るのは沸騰した際にリザーバータンクから漏れ出たり、若干の蒸発が要因です。

ラジエーター液は赤、緑、ピンク、青の4種の色があります。
赤と緑は以前からあるもので、ピンクと青は比較的新しい高機能なものです。

いずれも異なる色を混合してはいけません。

赤と緑は補充する際に水道水で希釈できますが、ピンクと青は補充の際に水道水を使わないほうがいいので、希釈せずに補充できるものを使いましょう。

補充時はアッパーレベルとロアレベルの間に液面があるようにします。
補充した際にスマホで写真を撮っておき、しばらくしたら液面を点検し減っていないか? を確認します。

1カ月程度でロアレベルを切るようなら、どこかから漏れている可能性もあるので、ディーラーや整備工場で確認しましょう。

ラジエーター液は有毒で、下水などに捨てることはできませんので、自分で交換しても処理することが難しいものです。
廃液をガソリンスタンドなどで引き取ってもらえるルートがない方は自分で交換するのはひかえましょう。

エンジンオイル

セルフメンテの花形とも言えるのがエンジンオイルの交換でしょう。

自分でオイル交換ができると、すごくメンテナンスをした感じがあり、達成感もあります。

エンジンオイルの交換作業で注意したいのは、まずフィラーキャップ(オイルを注ぐ口)が開けられるかどうかをチェックすること。

フィラーキャップが開けられない状態でエンジンオイルを抜いてしまうと、クルマを動かせないので、まずはここのチェックが重要です。これはどんなタイプのオイル交換でも同じなので覚えておきましょう。

エンジンオイルのフィラーキャップ

オイル交換時はエンジンルームの下側に手を入れたり、潜り込んだりしますので、ジャックアップしたらリジットラック(ウマ)に乗せるようにしましょう。

ジャッキアップのまま作業するのは危険です。

交換時はドレンボルト(オイルを抜くために外すボルト)のワッシャーも新品にしたいものです。オイル交換時は、オイルとともにワッシャーも用意しましょう。

エンジンオイルのドレンボルト

抜いたオイルは自治体の規則に従って処理します。
オイルを染みこませる専用の廃棄容器などに入れた場合、多くは燃えるゴミとして処分できますが、ねんのため確認してから作業を始めましょう。

AT(CVT)フルードは、エンジンオイルのようにゲージで確認しますが、温間で確認する方法と冷間で確認する方法があります。
取扱説明書に確認方法が書いてあればそれに従えばいいのですが、書かれない場合、ユーザーは作業しなくていいでしょう。

また、マニュアルミッションのオイルは、ATやCVTのようにゲージでは確認できないので、初心者はアンタッチャブルです。

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ブレーキフルード

ブレーキフルード

ブレーキフルード(ブレーキオイル)は減ることがないものですが、ブレーキパッドが減るとリザーバータンクの液面が下がります。

リザーバータンクの液面が下がっているときはパッドが摩耗しているので、ディーラーや整備工場で点検を受けましょう。

バッテリー液

自動車のバッテリー液

バッテリー(12Vの鉛バッテリー)を長持ちさせるには、バッテリー液の管理が大切です。

バッテリー液が減っているときは、バッテリー補充液を補充しましょう。

バッテリー強化液といったものも売られていますが、強化液ではなく補充液を使うことが大切です。
補充液はカー用品店で販売されていますが、薬局や100円ショップで売っているコンタクトレンズ用の精製水でも問題ありません。

じつはメンテナンスではタイヤがとても大切なのですが、タイヤに関する話題はとてもボリュームがあるので、別の機会に詳しく紹介します。

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この記事を書いた人

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諸星 陽一もろほし よういち

モーター・フォト・ジャーナリスト。東京生まれ、東京育ち。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ボッシュ認定CDRアナリスト。

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