オルタネーターの役割とは?仕組みや故障時のサインを紹介
オルタネーターとは、エンジンと連動することで車の走行に必要なエネルギーを生み出し、バッテリーに電力を供給する発電装置のことで、車のさまざまな機能を動かすための中心的役割を担うパーツの一つです。
ここでは、オルタネーターの役割や仕組みを詳しく説明します。
また、故障した際のサインや修理方法も併せて紹介します。
トラブル時の対処法を把握し、迅速に対応できるよう備えましょう。
関連記事:ダイナモとは?オルタネーターとの違いや故障の症状、修理について解説
INDEX
オルタネーターの役割
オルタネーターの主な役割は、エンジンの稼働によって発電することです。
オルタネーターによって発電された電力は、車のさまざまな機能を動かすために使われます。
例えば、車道を照らしたりほかの車に合図を送ったりするヘッドライトや、車内で快適に過ごすためのエアコン・カーナビ、窓を開けるためのパワーウィンドウ、走行中に確認するスピードメーターなどが挙げられます。
これらのように、車に搭載されている数多くの機能には、オルタネーターによって供給される電力が欠かせません。
なお、オルタネーターはエンジンを動かす際の電力も作り出しているため、オルタネーターに不調を生じると自動車が動かなくなる可能性があります。
自動車を走行させる上でも重要な役割を担っているパーツといえるでしょう。
オルタネーターの仕組みとは
オルタネーターは、エンジンの回転によって発生したエネルギーを電力に変換する発電機部分と、電力を車内に供給する整流器部分で構成される部品です。
内部は、ローターコイル・レクチファイヤ・レギュレーター・ブラシ・ステーターコイル・冷却ファン・ベアリングなどのパーツで構成されています。
なかでも、ローターコイルとステーターコイルの働きが重要です。
まず、磁力を持ったローターコイルが回転することでステーターコイルに誘導電流を発生させます。
ステーターコイルで発生した交流電流を整流器で直流電流に変換し、バッテリーに蓄電します。
その後、バッテリーに蓄電された電力が電装品やエンジンを動かす際に供給される仕組みです。
ローターコイルが低速回転だった場合は出力電圧が低くなります。
バッテリーに低い電圧でつなげると、電流が逆行してしまい危険です。
そのため、回転数に関わらず安定して電力を供給できるよう、レギュレーターで電圧を調整しています。
ダイナモとオルタネーターの違い
ダイナモは、旧車に搭載されていたことが多い発電機です。
電磁誘導を活用して発電する仕組みはオルタネーターと同じですが、発生する電流の種類や、発電できる電気量などが異なります。
ダイナモはバッテリーに直接充電できる直流電流を発生させます。
しかし、直流電流では電圧と電流が変化しないため、回転数が増えなければ発電量も上がりません。
一方、オルタネーターが発生させる交流電流は、電流と電圧が変化するため低回転でも効率よく発電できる仕組みになっています。
そのため、オルタネーターが台頭してきたタイミングで、ダイナモが導入されることは少なくなりました。
オルタネーターが故障した際のサイン
オルタネーターが故障しても、バッテリーにエネルギーが蓄えられていれば、すぐに車が止まるわけではありません。
しかし、徐々に車内のさまざまな装置が動かなくなり、最終的にエンジンが止まってしまいます。
道路上で車が動かなくなると、大きな事故につながる危険性があります。
事故を引き起こさないためにも、できる限り早い段階でオルタネーターの故障に気づくことが大切です。
ここでは、オルタネーターが故障した際に現れるサインについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
バッテリー警告灯が点灯する
バッテリーが不調の際は、メーターパネルに設置されたバッテリーの警告灯が点灯します。
オルタネーターが故障するとバッテリーへの充電が行われないため、バッテリー警告灯にサインが現れます。
バッテリー本体に異常があるケースも考えられますが、エンジンをかけた後も点灯しているようであれば、オルタネーターを確認してみましょう。
電装品の異常
オルタネーターの故障により、車内の電装品(ヘッドライト・カーオーディオ・エアコン・パワーウィンドウ・カーナビ・室内灯など)が正常に作動しなくなることがあります。
それぞれのパーツが壊れている可能性もありますが、オルタネーターが原因であることも考えられます。
故障が進み深刻化するとエアコンや室内灯が停止する場合があるため、異常があるときはすぐ確認しましょう。
キーキーといった異音がする
オルタネーターが故障すると、異音が発生することがあります。
通常時には聞こえない異音が聞こえる場合は、オルタネーターの部品が劣化または故障している可能性があります。
「キュルキュル」ならゴムベルト、「カラカラ」なら回転部分、「ウィーン」のような機械音であればベアリングに異常があるかもしれません。
ただし、ほかのパーツが故障・劣化していることで異音を発している可能性も考えられます。
自己判断が難しい場合は、車の専門業者に確認してもらうとよいでしょう。
エンジンがかからなくなる
オルタネーターが故障し、バッテリーの電力が十分でなくなると、エンジンがかかりにくくなることがあります。
ほかにも、エンジンをコントロールする際は電力が必要であるため、出力が上手くいかなくなっている可能性も考えられます。
オルタネーターの修理方法
オルタネーターの修理は専門的な作業です。
誤った方法で修理すると、自分だけでなく周囲の安全に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、オルタネーターが故障したときは、工場やディーラーなどの専門業者に依頼することが一般的です。
オルタネーターが故障しているかどうか、業者に持っていく前に自分で点検をしたい人もいるでしょう。
ここでは、専門家に頼むケースと自分で点検を行うケースの2つの方法について、それぞれ解説します。
専門家に依頼するケース
自分で点検・修理が難しい場合は、専門家を頼りましょう。
車の修理のプロであれば、安全に素早く修理を行ってくれます。
オルタネーターが壊れたとき実際に行う作業は、次のとおりです。
- オルタネーターを固定しているボルトを外す
- 新しいオルタネーターに交換する
- ボルトを締め直して固定する
作業自体は単純ですが、正しく取り付けられていないと、さらに大きな修繕が必要になるリスクがあります。
車の部品に関する専門的な知識がない場合は、業者に依頼することをおすすめします。
自分で行うケース
故障しているかどうかわからない場合は、自分で軽く点検することも可能です。
自分で行う際には、バッテリー&オルタネーターチェッカーと作業用の手袋を用意しましょう。
バッテリー&オルタネーターチェッカーとは、電力を測るための機械です。
ホームセンターやカー用品店などで入手可能で、インターネットでも2,000円程度で購入できます。
具体的な手順は、次のとおりです。
- バッテリーのプラス端子に赤のケーブルをつなぐ
- バッテリーのマイナス端子に黒のケーブルをつなぐ
- ランプが正しく点灯するかチェックする
ランプが全て点灯すれば十分に充電されていると判断できます。
しかし、ランプが一つのみ点灯した場合は、バッテリーを点検する必要があります。
オルタネーターは、エンジンを始動させてから点検します。
3段階あるランプのうちオレンジのみか、オレンジと緑のランプが点灯している場合は正常です。
全てのランプが点灯する場合は過電圧で、レギュレーターが故障している可能性があります。
バッテリー&オルタネーターチェッカーの種類によって、ランプの個数や色が異なる可能性があるため、事前に説明書を確認しましょう。
まとめ
この記事では、オルタネーターの役割や仕組みを説明しました。
オルタネーターは車を動かすために重要な部品の一つです。
オルタネーターが故障すると、車内の機器や装置が止まり、深刻化した場合はエンジンに不調が出るおそれがあります。
走行中に車が止まると周囲を巻き込む事故に発展する危険性もあるため、不調を感じた場合は速やかに点検・修理を行うことが大切です。
故障時のサインとしては、バッテリー警告灯の点灯、電気で動く機器の異常や停止、キーキーといった異音、エンジンがかからなくなるなどがあります。
オルタネーターは定期的に点検を行い、必要な場合は専門業者に交換を依頼しましょう。