路肩とは?路側帯との違いや駐車・停車のルールを解説
道路の隅に駐車することを「路肩駐車」という場合がありますが、「路肩」とはどれくらいの範囲を指すのでしょうか。
過去に教習所で習っていても明確な定義は忘れている人も多いかもしれません。
また似ている言葉として路側帯が挙げられますが、違いはどこにあるのでしょうか。
ここでは路肩の定義とルールなどを説明します。
併せて路側帯との違いについても紹介するため、ぜひ参考にしてください。
INDEX
路肩とは?
まずは、路肩の概要について詳しく解説します。
路肩の定義
路肩とは、車道・歩道・自転車道などの間にあるスペースのことです。
道路を新築・改築する際に安全かつ円滑に運用するための技術を定めた「道路構造令」という政令によって、以下のように定義されています。
道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいう。
出典元:e-GOV法令検索|道路構造令第2条12項
路肩の4つの機能
国土交通省によって定められている機能は、以下の4つです。
- 車道や歩道、自転車道などに接続し、道路の主要な構造物を保護する
- 故障車等非常時の停車スペースとし、事故と交通の混乱を防止する
- 側方余裕として交通の安全性と快適性に寄与する
- 歩道がない道路では歩行者などの通行部分となる
上記の機能から、路肩は道路において車同士・人・建物などとの接触を避け、安全をサポートする機能があることが読み取れるでしょう。
4種類の路肩
路肩は幅によって種類が分けられます。
保護路肩
- 防護柵、道路標識などを路端に設けて保護する
狭路肩
- 幅員(m):0.50~0.75
- 走行上必要な最小限度の側方余裕がある
半路肩
- 幅員(m):1.25~1.75
- 車両の走行に大きな影響を与えずに乗用車が停車できる
全路肩
- 幅員(m):2.5~3.25
- 全ての車両が一時停止できる
- 主に自動車専用道路に設置される
路肩の幅
設置する道路によって、最低幅員の基準が定められています。
なお中央帯・停車帯がある車道やその他の条件により、路肩を設けなくてもよい・縮小できるケースがあります。
高速自動車国道及び自動車専用道路の左側路肩
1.25~2.5m
高速自動車国道及び自動車専用道路の右側路肩
0.5~1.25m
その他の道路の左側路肩
0.5~1.25m
その他の道路の右側路肩
0.5m
※参考元:e-GOV法令検索|道路構造令第8条
路肩と路側帯の違いは?
次に、路側帯との違いについて解説します。
路側帯の定義
路側帯とは、歩道がない道路または歩道に接していない側に設けられたスペースのことです。
道路交通法によって、以下のように定義されています。
歩行者の通行の用に供し、または車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路または道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたものをいう。
出典元:e-GOV法令検索|道路交通法第2条3の4
路側帯を設置している主な目的として、歩行者の通行を円滑にすることが挙げられるでしょう。
路側帯の判別ポイント
路側帯は、歩道がないもしくは片側のみの道路において、歩道に接さない白線で区分された部分であることが条件です。
路肩と区別するポイントとしては、白線で区画されている点や歩道に接していない点、歩行者が通行するためのスペースである点などが挙げられます。
路肩の走行ルールとは?
路肩を走行する際は、ルールに従う必要があります。
ルールを理解しないまま走行すると、法律に抵触してしまう可能性があるため注意しましょう。
以下では路肩の走行において、禁じられている法令について紹介します。
路肩通行を禁じる車両制限令第9条
車両制限令によると、基本的に路肩を車で走行することはできません。
自動車を除く車両に関しては基本的に通行できます。法令で定められている条文は以下の通りです。
路肩通行の制限
歩道、自転車道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路を通行する自動車は、その車輪が路肩(路肩が明らかでない道路にあつては、路端から車道寄りの〇・五メートル(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、〇・二五メートル)の幅の道路の部分)にはみ出してはならない。
参考元:e-GOV法令検索|車両制限令
路側帯通行を禁じる道路交通法第17条
路側帯を車で走行することは道路交通法第17条によって禁止されています。
路側帯の通行は歩行者だけでなく自転車を含む軽車両であれば可能です。
法令で定められている条文は以下の通りです。
通行区分
車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。法令で定められている条文は以下の通りです。
道路外にある施設に出入りする場合には歩道を横断できますが、歩道に入る直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないようにしなければならないと定められています。
路肩・路側帯を通行できる例外
一方で路肩・路側帯を通行できる例外も存在します。
道路の不具合や事故などの緊急時には通行が可能です。
法令で定められている条文は以下の通りです。
警察官は、道路の損壊、交通事故の発生などにより高速自動車国道等で交通の危険、交通の混雑が生じるおそれがある場合、危険防止と交通の安全と円滑のために路肩または路側帯を通行することを命じることができる。
路肩の駐車・停車ルールとは?
状況別に路肩・路側帯などの付近に駐車・停車する際のルールを解説します。
歩道、路側帯などがない場合
歩道や路側帯などがない場合は、道路の左端に駐車・停車します。
歩道がある場合
白線を踏まないように、道路の左端に車を駐停車します。
白線1本かつ0.75m以上ある路側帯は駐車可能
白線が1本の路側帯は、幅が0.75m以上ある場合は駐停車でき、なかに入って白線をまたぐことも可能です。
ただし、道路の端から車を0.75m以上あけて歩行者が通行できるようにしましょう。
白線1本かつ0.75m未満の路側帯は駐車不可
白線1本でも、路側帯の幅が0.75mより狭ければなかに駐停車できません。
白線を踏まないように、道路の左端に車を駐停車します。
破線+白線がある路側帯は駐車禁止
道路の端に白線、さらに外側に破線が入っている路側帯は駐車禁止です。
白線を踏まないよう道路の左端に車を駐車して、路側帯のなかには入らないようにします。
白線が2本の路側帯は走行禁止
白線2本は歩行者用です。
車だけでなく自転車・バイクなど全ての車両が通行禁止である点に注意しましょう。
白線を踏まないように、道路の左端に駐車・停車します。
まとめ
路肩は歩道が両側に設置されている道路において車道との間にあるスペースのことを指します。
似たような言葉として路側帯が挙げられますが、路側帯は歩道がないもしくは片側のみ設置されている道路において、歩行者の通行用に設置されている道端のスペースのことです。
歩道の有無や目的などそれぞれ細かい定義が異なるため注意しましょう。
路肩・路側帯は一般的に車の通行は禁止です。
しかし道路の損傷や事故などの際は特例として通行できる場合があります。
また道路外の施設に入る際は、歩道とともに通行できますが、一時停止して通行人を妨げないようにしましょう。
路肩に駐車・停車する際はさまざまなルールがあるため、安全を守るためにも事前に確認することをおすすめします。