人気のスーパーハイトワゴンを横並びでライバルチェック(2023年冬最新版)[MJ]
人気の軽自動車スーパーハイトワゴン。
背が高いことと室内が広いこと、そしてスライドドアを組み合わせて乗り降りがしやすいのが特徴です。
しかし、実際に選ぼうとすると車種が多すぎてわかりにくいのも事実。
そこで今回は、スーパーハイトワゴンの各車の違いを探ってみました。
◯文:工藤 貴宏
INDEX
軽自動車の人気はスーパーハイトワゴンに集中
軽自動車のなかでも、売れ筋ジャンルとなっているのが「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるタイプです。
2023年1月から10月までの軽自動車販売統計をジャンル別で見ると、全体の36%がスーパーハイトワゴンで人気ナンバーワン。
次はハイトワゴンですが、その比率は18.6%しかないことからもいかにスーパーハイトワゴンの人気が高いかがわかりますね。
スーパーハイトワゴンはいま、軽自動車のスタンダードなタイプと言っていいでしょう。
スーパーハイトワゴンに人気が集まる理由は?
どうしてスーパーハイトワゴンに人気が集まるのでしょうか?
その理由はズバリ、使い勝手がいいからです。
天井が高くて室内が広く、前席と後席の感覚も軽自動車ではもっとも広く確保。
その広さは、後席に座って足をゆったり組んでも前席の背中に足が届かないほどなのですから驚かずにはいられません。
そのうえ、低い床と高い天井にスライドドアを組み合わせることで乗り降りも楽らく。
そういった便利さを知ってしまうと、「次に買い替えるときもスーパーハイトワゴンがいい」という判断になるのも当然です。
スーパーハイトワゴンの主要モデルをチェック
スーパーハイトワゴンは超人気ジャンルなので、各メーカーが主力モデルを用意しています。各社の車種を見ていきましょう。
ちなみに、軽自動車は規格で上限サイズが決まっているので、どのクルマも全長と全幅はおなじです。
ホンダ N-BOX
スーパーハイトワゴンのなかでも、もっとも売れている車種。
2023年10月にフルモデルチェンジしたばかりのニューモデルです。
標準タイプと「カスタム」があり、力強く走るターボエンジンは後者だけに設定しています。
ダイハツ タント
いま、スーパーハイトワゴンではN-BOXについで売れているモデル。
2022年のマイナーチェンジで「カスタム」の外観が大きく変わって精悍な顔つきになりました。
同じタイミングで、クロスオーバーSUVテイストの「ファンクロス」も追加されています。
スズキ スペーシア
人気3番手のスペーシアは2023年冬にフルモデルチェンジして新型にスイッチ。
標準仕様と「カスタム」を用意しています。
従来モデルで人気を博したアウトドアテイストの「スペーシア ギア」も追って登場するのを期待したいですね。
日産 ルークス
日産が三菱とタッグを組んで開発したスーパーハイトワゴン。
三菱の「eKスペース」や「デリカミニ」とは車体やエンジンなどを共用する関係です。
標準タイプと、スポーティ&上級仕様の「ハイウェイスター」をラインナップしています。
三菱 デリカミニ
従来「eKクロススペース」としていたモデルが、実質的なマイナーチェンジでスタイリングの雰囲気を大きく変え、名前も変えて再出発。
どことなくキュートな雰囲気が人気を博しています。
三菱 eKスペース
日産ルークスや三菱デリカミニと車体やパワートレインを共用するモデル。
デリカミニが個性的なモデルとしているのに対し、eKスペースはシンプルで値段も控えめとしています。
各車の注目装備は?
ライバル同士が切磋琢磨しているこのジャンルですが、車体サイズが決まっているので居住性などでライバルに差をつけるのは難しいのが現状。
そこで、ライバルに差をつけるべく独自の装備やアイデアを盛り込んでいます。
各車の注目装備をチェックしてみましょう。
ホンダ N-BOX
リヤシートチップアップ機能
前席の下にガソリンタンクを置く独自構造によって実現した、ライバルにはないシートアレンジ。
後席の前に空間を作ることで、ベビーカーなども荷室でなく後席の脇に置けるから便利。
(写真は先代モデルのものです)
ダイハツ タント
ミラクルオープンドア
ピラー(柱)をドアに内蔵したことで、助手席側サイドは前後のドアを開くと柱のない大開口部を実現。
大きな荷物の出し入れもスムーズにこなせる、タントだけが独自採用するアイデアです。
スズキ スペーシア
マルチユースフラップ
後席座面の先端に「前後調整」と「角度調整」ができる機能を追加。
後席に置いた荷物が滑り落ちないようにする「荷物ストッパーモード」に加え、快適に座れる「オットマンモード」や「レッグサポートモード」として使えます。
関連記事:新型スペーシアの内外装、グレード、そして価格を速攻チェック
日産 ルークス
リヤシートのロングスライド
320mmもスライドするリヤシートが便利。
シートを畳むことなく(人が乗れる状態のまま)荷室の奥行を最大限に活用でき、チャイルドシートに乗せた赤ちゃんを運転席から手が届く範囲に座らせることもできます。
※デリカミニやeKスペースも同様
三菱 デリカミニ
リヤサーキュレーター
真夏の後席が暑いというスーパーハイトワゴンのウィークポイントを解消するアイテム。
エアコンの涼しい風を後席へ送り、後席を快適にしてくれます。
※スペーシアやeKスペース、ルークスにも採用
三菱 eKスペース
ハンズフリースライドドア
ドアの下で足を動かすことをきっかけに、スライドドアが開閉する機能。
大きな荷物を持っていたり、赤ちゃんを両手で抱いたままでもドアの開閉が可能です。
※ルークスやデリカミニにも採用
後席がいちばん広いクルマはどれ?
このクラスはどの車種に乗っても後席は広くてゆったり。
筆者が実車で確認したところ後席をもっとも後ろへスライドした状態において前後席間距離がもっとも広い(足元空間にゆとりがある)のはホンダN-BOXで、2番手がルークス/デリカミニ/eKスペース、そして3番手がスペーシアでした。
しかし、どれも違いは“僅差”といえるもの。「どれを選んでも広い」が正解です。
価格に差があるの?
同じジャンルですが、もちろん価格は同じではありません。
各車の価格(4WD含む)を見てみましょう。
ホンダ N-BOX
- 標準車:164万8900円~188万1000円(スロープ仕様を除く)
- カスタム:184万9000円~236万2800円
ダイハツ タント
- 標準車:135万3000円~177万1000円
- カスタム:174万9000円~195万8000円
- ファンクロス:168万8500円~193万500円
スズキ スペーシア
- 標準車:153万100円~182万4900円
- カスタム:180万1800円~219万3400円
日産 ルークス
- 標準車:163万7900円~203万6100円
- ハイウェイスター:194万400円~239万9100円
三菱 デリカミニ
- 180万4000円~223万8500円
三菱 eKスペース
- 154万7700円~179万3000円
注目はタント標準車の130万円台からのプライス。
できるだけ安くスーパーハイトワゴンが欲しい人にとって、魅力ある選択肢です。
スペーシアやeKスペースも150万円から選べますが、N-BOXやルークスは180万円台からとちょっと高め。
デリカミニは180万円台からとなりますが、これはいわゆる「カスタム」に相当するタイプで装備が充実していると考えれば納得ですね。
燃費はどうなの?
ガソリンが高値で安定しているいま、燃費も気になるところ。
各車の自然吸気FFモデルの燃費をチェックしてみました。
ホンダ N-BOX
- 標準車:21.6km/L
- カスタム:21.5km/L
ダイハツ タント
- 標準車:22.7km/L
- カスタム:21.9km/L
- ファンクロス:21.9km/L
(いずれもアイドリングストップ非装着を除く)
スズキ スペーシア
- 標準車:23.9~25.1km/L
- カスタム:23.9km/L
日産 ルークス
- 標準車/ハイウェイスター:20.9km/L
三菱 デリカミニ
- 20.9km/L
三菱 eKスペース
- 20.9km/L
比べてみるとスペーシアの燃費の良さに驚きますが、いずれもWLTCモードで20.0km/Lオーバーなので十分な燃費性能といっていいでしょう。
このレベルまでくると、燃費のいいクルマとあまりよくないクルマでの年間のガソリン代の出費の差は気にしなくてもいいレベルです。
どれを選んでも燃費がいいので、装備やデザイン、そして走りなど燃費以外の部分で選ぶのが正しいクルマ選びとなりそうです。
ところで、N-BOXが売れているのはなぜ?
こうしてスーパーハイトワゴンの各車を比べてみましたが、「N-BOXはどれも優秀というわけではないのにどうして売れているの?」と疑問に感じた人もいるかもしれません。
実は、「これ」といってライバルに対して明確に大きくリードしている部分はないのです。
ただ、シンプルなスタイリングは多くの人が受け入れやすいとともに安心感があり、老若男女問わずに合うし長く乗っても飽きがこないデザインと言えそうです。
また、走行安定性や自然吸気エンジン車の加速の力強さもライバルより少しリード。
そういった「プラスα」の積み重ねがユーザーに評価されているのかもしれませんね。
関連記事:ホンダ新型N-BOXの実燃費は?実走行で測ってみた