タイヤの空気圧を点検する意味は?適正ではない場合に起こる危険とは?
車を運転する上で、タイヤの空気圧を適正な状態に保つ必要があります。
タイヤは車体を支えている部品であるため、不具合のあるままにすると、事故に繋がるリスクが高まります。
この記事では、タイヤの空気圧を点検することの意味や、空気圧が適正でないまま放置することのデメリットについて解説しますので、最後まで読んで車の安全な状態を保つための参考になさってください。
タイヤの空気圧点検などのメンテナンスは、ドライバーの責務です。
運転のみに注意を払うだけでなく、安全に走行できる状態を保つようにしましょう。
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タイヤの空気圧を点検する理由
安全運転を実現する要素の一つとして、タイヤの状態を適正に保つことが挙げられます。
空気圧が適正ではない場合、ハンドルが思うように切れないケースや、タイヤの消耗が早くなるケースが発生してしまいます。
そのまま放置すれば、大きな事故を引き起こしかねません。
タイヤがパンクすれば異変に気付くことができますが、空気圧の低下にはなかなか気付くことができません。
そこで、定期的にタイヤの空気圧を点検する必要があります。
自分で点検を行う場合は、ガソリンスタンドなどに設置されている専用の空気圧を測定する機械を使用して適正な空気圧になっているか確認しましょう。
一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)によると、普通乗用車の場合、空気圧は1ヶ月で5〜10%程度も低下すると言われており、車の3台に1台はタイヤの空気圧が不足しているという調査データも発表されています。
バルブキャップをしっかり閉めていても空気漏れが発生する可能性があるため、1ヶ月に1度を目安に点検を行い、車両指定空気圧を守るようにしましょう。
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タイヤの空気圧が適正でないまま放置するデメリット
タイヤの空気圧は、車の運転へ大きな影響を与えます。
ここでは、空気圧が適正でないまま放置するデメリットについて紹介します。
空気圧が低い場合
タイヤの空気圧が低いと、以下のような問題が生じます。
- 安定性が失われる
- タイヤが偏って摩耗してしまう
- 燃費が悪化する
- タイヤがパンク(バースト)する危険性が高まる
以下で詳細を解説します。
安定性が失われる
タイヤの空気圧が低いというのは、タイヤ内部の空気が少ないということです。
この状態で走行すると、タイヤが円形を保つことができません。
そのまま走行していると、ハンドルが左右に取られてしまい、運転の安定性が失われてしまう可能性があります。
また、タイヤ内の空気が円形に戻ろうとする力よりもタイヤの回転が早いと、タイヤの表面が波打つように変形してしまう、「スタンディングウェーブ現象」に繋がってしまいます。
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タイヤが偏って摩耗してしまう
タイヤの空気圧が低いと、車の重みでタイヤが潰れかけているような状態になります。
また、空気圧の低い潰れかけているようなタイヤのままで走行をしていると、タイヤの中央より外側の方が早く摩耗してしまいます。
燃費が悪化する
一般財団法人 省エネルギーセンター(ECCJ)の発表によると、タイヤの空気圧の低さは燃費にも影響します。
例えば、タイヤの空気圧が車両指定空気圧より50kPa(0.5kg/c㎡)不足すると、郊外での燃費が約4.8%、市街地で約2.5%悪化します。
この測定値を元に一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)が試算した結果、実質1リットルあたり4円〜7円高いガソリンを使用しているのと同じ計算となります。
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タイヤがパンク(バースト)する危険性が高まる
タイヤの空気圧が足りないと、タイヤが損傷する可能性が高くなります。
タイヤ側面がタイヤの中央部から外側に向かって破断していく現象(ブリーディングCBU)や、異常発熱による変形で、タイヤの設置面と内部が剥がれる現象(ヒートセパレーション)が起こり得るのです。
損傷したタイヤで走行をし続けていると、いずれはパンクしてしまいかねません。
低い空気圧で走行し続けることで、タイヤの劣化が早まり、さらにそのまま放置すると重大な事故に繋がる危険性が高まります。
さらに、燃費の悪化により給油の機会が増えたり、頻繁にタイヤ交換が必要になったりといった維持費が増える原因にもなります。
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空気圧が高すぎる場合
実は、空気圧が高すぎる場合にもデメリットが生じます。
具体的な主なデメリットは、以下です。
- 乗り心地が悪くなる
- 外部からのダメージを受けやすい
- タイヤの寿命が短くなりやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
関連記事:タイヤの空気圧は高めの方が良い?理由や許容範囲を解説
空気圧が高すぎる時のデメリット①:乗り心地が悪い
タイヤの空気圧が高すぎると、乗り心地が悪くなる、というデメリットがあります。
理由は、タイヤの空気圧が高くなるとタイヤのクッション性が落ち、道路の凹凸の衝撃が運転者や同乗者に直接伝わりやすくなるからです。
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空気圧が高すぎる時のデメリット②:タイヤ自体が外部からのダメージを受けやすい
タイヤの空気圧が高すぎるとき、タイヤ自体もダメージを受けやすくなってしまいます。
そもそも空気圧が高くなるとタイヤは硬くなり、変形しにくくなります。
変形しにくくなることで、タイヤ自体のクッション性が落ち、衝撃を吸収する力が弱まるのです。
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空気圧が高すぎる時のデメリット③:タイヤの寿命が短くなりやすい
タイヤの空気圧が高すぎると、なんとタイヤの寿命も縮めてしまいます。
理由は、タイヤの擦り減り方にありました。
タイヤの空気圧が高くなると、タイヤのセンター箇所ばかりが路面と接し、結果センター箇所が著しく擦り減ってしまいます。
タイヤの両端よりの部分「ショルダー部」の溝が残っていたとしても、センター箇所が擦り減ると、タイヤは寿命を迎えてしまうのです。
関連記事:タイヤの空気圧はどれくらい?空気圧を測る方法とタイミングを解説
空気圧はどこで点検できる?
タイヤの空気圧は、専用の測定器(エアゲージ)があれば自宅でも測定できます。
エアゲージがない場合は、ガソリンスタンドやカー用品店で空気圧を点検しましょう。
カー用品店やガソリンスタンドでは、車用の空気入れが用意されており、空気圧を調整できます。
ガソリンスタンドなどにある空気入れは大きく分けて「タンク型」と「据え置き型」の2種類があります。
機械には空気圧の数値が表示されるため、適正な数値になるまで空気を注入してください。
なお、一般的な据え置き型のタイプは、あらかじめ空気圧を指定し、空気が充足されるとセンサーが作動し自動的に補充がストップする仕組みになっています。
機械の操作方法がわからない場合は、スタッフに聞いてみましょう。
店舗によっては操作方法を丁寧に教えてくれます。
初めての場合、「点検は難しい」「やり方や測り方がわからない」と感じるかもしれませんが、そこまで難度は高くありません。
関連記事:タイヤの空気圧はガソリンスタンドで測れる?点検や補充方法を解説
空気圧を点検する際の注意点
実際に点検を行う際は、以下の点に注意しましょう。
車両指定空気圧にする
トラックのような大型車と軽自動車では、適正な空気圧は違います。
それどころか、車ごとに定められた空気圧の適正が異なります。
また、同じ車でも型式や年式、タイヤサイズによっても空気圧が異なるため、確認が必要です。
フロント(前)・リア(後ろ)といったタイヤの配置場所によって、タイヤの空気圧の適正が異なる場合もあるため注意してください。
適正な空気圧は、運転席ドアを開けた内側や、給油口のふたを開けた部分に貼られているシールで確認しましょう。
空気圧の単位
例えば上記の表の場合、前輪:230(2.3)後輪:210(2.1)と書かれています。
これは前輪の車両指定空気圧が前輪を230kPa(キロパスカル)、後輪を210kPaにする必要があるということです。かっこ内の(2.3)(2.1)はkgf/cm2(キログラムフォース)での数値で、およそ100kPa=1kgf/cm2と換算されます。
関連記事:タイヤの空気圧の単位多くない?kPaとかkgfとかの違いや換算方法を解説!
空気圧点検はタイヤが熱を持っていないときに行う
タイヤの空気は、走行中に熱を持つことで膨張します。
熱くなったタイヤの空気圧を測定した場合、通常よりも高い数値が表示されるため、正確な数値は計測できません。
空気圧の計測は、走行前のタイヤが熱を持っていないときに行いましょう。
気温によっても適正な空気圧は変わる可能性があるとも言われていますが、あくまで車両指定空気圧を遵守することが大切です。
関連記事:タイヤの空気圧は夏と冬で違う?季節や気温によって適切な対応が変わるのか解説
エアバルブの劣化にも注意する
空気が抜ける頻度が早いと感じたり、特定のタイヤの空気圧だけが低かったりする場合は、タイヤの空気注入口となるパーツ(エアバルブ)が劣化している可能性があります。
エアバルブが劣化している場合、そこから空気が抜ける可能性が高いため、このような症状が発生したら早めに修理しましょう。
エアバルブの交換目安
エアバルブにはゴムバルブ(スナップインバルブ)と金属製バルブ(クランプインバルブ)があります。
純正パーツとして採用されているもののほとんどはゴムバルブです。
交換の時期は、走行環境によって違います。あくまで目安として捉えておき、万が一、異変を感じたら交換時期でなくてもすぐに点検を行った方が良いでしょう。
ゴムバルブの場合
ゴムはだんだん硬くなってくる性質があるので、劣化により損傷の危険性は上がりやすいです。
一般的には2〜3年と言われています。
金属製バルブ
金属製であればゴムよりは劣化はしにくいです。
しかし、ホイールと接する部分はゴムで出来ているため、やはり2〜3年が交換目安と言われています。
特に問題のない場合
エアバルブの交換をするためには、タイヤをホイールから外す必要があります。
そのため、バルブのみを交換するというのは効率的ではありません。
ですから、車検の時にエアバルブの点検や交換を依頼をするとスムーズでしょう。
関連記事:車検は何年ごとに受ける?有効期間・申し込みの流れを詳しく解説
タイヤの空気圧とともにタイヤの状態も確認しましょう
空気圧を点検する際は、タイヤの溝の深さも確認しましょう。
車検をクリアするには、タイヤの溝の深さは1.6mm以上必要と言われています。
また、タイヤのスリップサインが出ていないか確認することが重要です。スリップサインは、タイヤについている三角形の印の延長線上の溝が途切れることで出現します。
タイヤの溝が浅い状態で運転を続けていると、ハンドル操作やブレーキ操作がうまく効かなくなり、重大な事故に繋がる可能性があります。
特に、悪天候の日は道路の状態が悪いため、滑りやすくなるでしょう。
なお、高速道路では、タイヤの駆動力や制動力が著しく不足する場合があります。
そして、タイヤの減り具合が特定の部分だけに偏っていないかも確認しておきましょう。
タイヤ自体に傷やヒビが入っていないか、溝に大きなゴミが挟まっていないかなどのチェックも行うことで、事故を未然に防ぐことができます。
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まとめ
今回は、タイヤの空気圧を適正に保つ方法を解説しました。
空気圧が適正でないと燃費が悪くなったり、タイヤの交換が早まったりといった経済的デメリットが生じます。
また、タイヤの空気圧が適正でない状態のまま放置することで、走行性能の低下やパンクを誘発し、事故に繋がる恐れがあります。
定期的に点検を行い、安心して楽しいカーライフを実現しましょう。
空気圧の点検は個人でも簡単に行えます。ガソリンスタンドで給油する際に自分自身で点検してみるのも良いかもしれません。
そのような場合は、カーメンテナンスアプリ「ドライブオン」がおすすめです。
スマホに入れて、車両情報を登録しておくと空気圧が低くなるタイミングやオイル交換のタイミングでお知らせをしてくれます。
そのままカーメンテナンスの予約もできるので、ぜひインストールしてみてはいかがでしょうか。