オクタン価とは?ハイオクとレギュラーの違いについて解説
「オクタン価」という言葉をご存知でしょうか。
オクタン価とは車の燃料であるガソリンに関わる用語の一つですが、日頃生活している中ではなかなか耳にしない言葉です。
オクタン価は聞いたことがなくても、「ハイオク」や「レギュラー」という言葉であればガソリンスタンドで目にする機会は多いでしょう。
この記事ではオクタン価の基礎知識や、ハイオク・レギュラーにおけるオクタン価の違いについて解説します。
どうして車ごとに使用する燃料が異なっているのか気になる人や、具体的に何が違うのかが知りたい人はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「レギュラー」「ハイオク」「軽油」の違いとは?実はよく知らないガソリンの種類を解説
INDEX
オクタン価の基礎知識
「オクタン価」とはノッキングの起こしにくさを示す数値です。
言葉の意味を理解するためには、「ノッキング」と呼ばれる現象について理解する必要があります。
ノッキングとは?
ノッキングとは、アクセスペダルを踏みこんだときに生じる異音や振動のことです。
これは、エンジン内部の燃焼サイクルに異常をきたしている状態を意味します。
ノッキングの具体的な症状はさまざまで、例えば本来の点火タイミングよりも先に自然燃焼する「プレイグニッション」や、燃焼する工程で別の火花が発生する「デトネーション」などが挙げられます。
エンジンの故障・破壊のリスクがあるノッキングですが、必ずしも車の不具合時にのみ起こるものではありません。
自動車メーカーによっては新車時にノッキングを意図的に起こして、低燃費や低排ガスにつなげるケースもあります。
オクタン価が高いとどうなる?
ガソリンにおけるオクタン価の数値が高いほど、プレイグニッションやデトネーション、つまりノッキングが発生しにくくなり、安定してエンジンを使用することが可能です。
なお、「ノッキングの起こりにくさ」を耐ノック性やアンチノック性と呼びます。
ガソリンにおけるこの数値を「オクタン価」と呼び、軽油のディーゼルエンジン内部における耐ノック性を「セタン価」と呼びます。
呼び方は異なりますが、意味しているものは基本的に同じです。
関連記事:無鉛プレミアムガソリンとは?ハイオクやレギュラーとはどう違う?
ハイオクとレギュラーの違いはオクタン価?
オクタン価という言葉は聞き馴染みがなくても、「ハイオク」という言葉は聞いたことがある人は多いでしょう。
続いては、ガソリンスタンドなどでも「レギュラー」と並んで表記されているハイオクの意味について解説します。
関連記事:無鉛プレミアムガソリンとは?ハイオクやレギュラーとはどう違う?
ハイオクとは「ハイオクタン価」
ハイオクの「オク」とは、オクタン価のことを指しています。
「ハイ」は「高い」という意味の英語「high」で、ハイオクは「オクタン価が高いガソリン」のことです。
ガソリンはオクタン価が高いほど燃焼しにくい性質を持っています。
高機能な車では燃料にハイオクが指定される傾向にありますが、ノッキングによるエンジン損傷を防ぐためです。
レギュラーとハイオクの数値的な違い
オクタン価の数値がどの程度であればハイオクになるのでしょうか。
実は「オクタン価」はJIS規格で規程が定められており、オクタン価の「最高値」を100とした場合、ハイオクは「オクタン価96以上」であるとされ、レギュラーは「オクタン価96未満」と定められています。
レギュラーとハイオクの値段の違い
ハイオクはレギュラーと比べて、1リットルあたり約10円値段が高く設定されています。
この価格差は、主に燃料の品質と製造過程に起因しています。
ハイオクは、高いオクタン価によりエンジン内での異常燃焼を抑制し、パワーや効率を向上させるため、レギュラーよりも多くの添加物が含まれています。
また、添加物の燃えカスを洗浄するための洗浄剤も含まれています。
これら原料の違いにより、レギュラーよりもハイオクの方が値段が高く設定されています。
レギュラーとハイオクの燃費の違い
ハイオクの方が燃費が良いイメージを持っている方もいらっしゃるかも知れませんが、必ずしもハイオクの方がレギュラーよりも優れているわけではありません。
車のエンジンは、メーカーが指定した燃料を使用することが最適です。
一般的な自動車エンジンは、レギュラーでも十分な性能を発揮できるように設計されています。
オクタン価の違うハイオクとレギュラーを入れ間違えたらどうなる?
車によって使用する燃料が違いますが、新車購入時に説明を受けるなどして理解している人が多いでしょう。
しかし中には「軽自動車だから軽油を入れる」という誤った認識を持っている人がいます。
また、ハイオク車に対してレギュラーを誤って入れてしまうケースもあるようです。
ここからは、ハイオク車にレギュラーを誤って給油してしまった場合と、レギュラー車にハイオクを誤って給油してしまった場合に分けてご紹介します。
ハイオク車に対してレギュラーを入れてしまった場合
まず、ハイオク仕様の車に対してハイオクと比べて着火しやすいレギュラーを入れたしまった場合ですが、車がすぐに故障する、危険性があるということはありません。
レギュラーを給油したハイオク車でも通常走行は可能です。
ただし、レギュラーをハイオク車のエンジンで使用すると、ノッキングのリスクが生じます。
ノッキングが繰り返されることでエンジンの性能低下、ひいては故障に結びつく危険性が高まります。
なお、電子制御がなされている近年の車以外でガソリンを間違えると、エンジンの故障に直結するケースもあるため注意が必要です。
レギュラー車に対してハイオクを入れてしまった場合
反対にレギュラー仕様の車に対して、ハイオクを入れてしまった場合はどのような影響があるのでしょうか。
結論からいうと性能上、問題はありません。
なぜなら、ハイオクはレギュラーと比べて「ノッキングが発生しにくい、より不本意な燃焼を起こしにくいガソリン」だからです。
そのため、レギュラー車に対してハイオクを入れてしまったからといって慌てる必要はありません。
ただし、ハイオクガソリンは一般にレギュラーガソリンよりも高価です。
単価の高さから、「ハイオクを入れると、レギュラー車の性能アップになるのでは」と考える人もいるようですが、基本的に大きな効果は見込めません。
したがって、コスパの面で見ても自分の車に合った燃料を使用することをおすすめします。
ハイオクとレギュラーを入れ間違えないための対策
ガソリンスタンドで給油する際に、うっかり燃料を間違えてしまう人もいるのではないでしょうか。
続いては、車に給油する際に燃料を間違えないための対策をご紹介します。
自分の車の仕様をよく理解する
最初に行うべき対策は、自分の車が「レギュラー」であるのか「ハイオク」であるのかをしっかりと把握することです。
指定燃料は、車の公式サイトや取扱説明書などにも記載がありますし、車検証にも記載があります。
なお、ハイオクは「無鉛プレミアム」、レギュラーは「無鉛ガソリン」と表記されることがあります。
このように表記が変わることもあるため、併せて覚えておくとよいでしょう。
給油蓋やキャップ、燃料ノズルを確認する
自分の車がレギュラー仕様であるのか、ハイオク仕様であるのかを迷う代表的なシーンとして給油時が挙げられます。
車の給油蓋や給油キャップには使用する燃料の種類が記載されていることが多いため、給油を行う際はそこで確認することが可能です。
また、ノズルの色が法令によって指定されています。
ハイオクは黄色でレギュラーは赤色、軽油は緑色、灯油は青色です。
ノズルを取る際に間違いがないかを今一度確認する癖をつけると、より安心できるでしょう。
関連記事:クルマが走るにはエネルギー補給が必要 給油の初心者マニュアル[MJ]
まとめ
今回はオクタン価の基礎知識やレギュラーとハイオクの数値的な違い、給油を間違えた場合、事前対策について解説しました。
オクタン価はあまり馴染みのない言葉であったかもしれませんが、ノッキングの起こしにくさを示す数値です。
ハイオクやレギュラーはオクタン価に違いがあり、ハイオクの方が数値が高くノッキングを起こしにくくなっています。
給油時にうっかり間違えてしまう人は、自分の車の指定燃料について車の公式サイトや取扱説明書などで確認することをおすすめします。
また、ガソリンスタンドでは給油蓋やキャップ、ノズルに燃料名が記載されてあるため、しっかりと確認することが大切です。
ノズルの色でも区別できるため、指定燃料の色を覚えておくとよいでしょう。