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工藤 貴宏くどう たかひろ

新型N-BOXの内外装を速攻チェック[MJ]

大人気の軽自動車、ホンダN-BOXが年内にするモデルチェンジする予定です。
正式発表は秋を予定しているので少し先ですが、その新型のデザインや概要が発表されたので紹介しましょう。

○文:工藤 貴宏

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N-BOXは日本で最も売れている軽自動車

2023ホンダN-BOX

2023年の上半期(1月~6月)の新車販売において、全乗用車のトップに立ったのがホンダ「N-BOX(エヌボックス)」。

N-BOXは軽自動車の販売台数においては8年連続で首位を獲得しており、長期にわたり日本一売れている軽自動車といっても過言ではないでしょう。

そんなN-BOXですが、今年(2023年)秋にフルモデルチェンジが予定されていて、新型へとバトンタッチされます。

フルモデルチェンジだけどキープコンセプト

2023ホンダN-BOX
3代目 N-BOX

2023年秋にデビューする予定の新型は、フルモデルチェンジを受けた3代目です。

しかし、パッと見たところは現行モデル(2代目)と大きな違いを感じないという人が多いのではないでしょうか。

ホンダN-BOX
2代目 N-BOX

その理由としてまずいえるのは、N-BOXは大人気モデルであり、現行モデルのスタイリングも高い評価を得ているということ。「高い評価を得ていて販売も絶好調なら、無理に変える必要がない」というのが背景にあります。

フルモデルチェンジといえば、デザインを変えて新鮮さを演出するのが一般的です。新しいデザインに寄り、従来モデルを古く感じさせて新型への買い替えを促せるからです。

しかになかには「ポルシェ911」や「ミニ」のように、フルモデルチェンジしてもデザインを大きく変えないモデルも存在。

それらに共通する特徴は「独特のデザイン」であることと「多くのファンがいる」こと。

N-BOXに関しても、ホンダはそういった判断をしたということなのです。「N-BOXらしさ、そしてN-BOXだと一目でわかることが重要」と考えたといっていいでしょう。

また、新型N-BOXのプラットフォームや車体骨格など基本設計は2代目(現行モデル)から受け継いでいることも、デザインを大きく変えなかったことの理由のひとつになっています。

新型を見分けるポイントはライトとフェンダー

新型の全体的な車体デザインは従来モデルと大きく変わっていませんが、対照的に前後のライト類やフロントグリルは2代目とかなり印象が違います。

加えて車体側面を見ると、前後フェンダー周囲の処理が新型ではよりシンプルでスマートになっているのがわかります。そのあたりが、新型を見分けるポイントとなるでしょう。

標準タイプとカスタムの外装はどう違う

バリエーションとして「N-BOX(標準車)」と「N-BOXカスタム」を用意するのは、新型になっても変わりません。

標準車のヘッドライトは、ヘッドライト内部がドーナッツ状になっているリングを組み込んでいるのが特徴的。瞳をイメージしているそうです。

このドーナッツの中央はロー/ハイビーム。そして、その周囲を囲むリングは状況によってデイライト、ポジションランプ、そしてターンシグナル(黄色く光る)と3つの役割を兼ね備えています。

シンプルなフロントグリルとあわせ、優しい印象ですね。

いっぽうカスタムのフロントは、周囲が暗くなるとグリル上部が点灯して左右のヘッドライト上部を繋ぐ、一文字のライトが組み込まれているのが特徴的です。

2023ホンダN-BOXカスタム
3代目 N-BOX カスタム
ホンダN-BOX
2代目 N-BOX カスタム

ヘッドライト内部はロービーム/ハイビームとして点灯する2つの四角いランプユニットが組み込まれ、クールな印象。
その上にあるいるイルミネーションランプはウインカー作動時には黄色く点滅します。

カスタムのウインカーは従来モデル同様に光が外側へ向かって流れるタイプですが、LEDバルブの数が増えて光の動きが滑らかになったのはうれしいところですね。

リヤコンビネーションランプは、レンズの大部分が赤い標準車に対し、カスタムはクリアレンズとして差別化。標準車でも光源がすべてLED化されたのは従来モデルに対する大きな違いと言っていいでしょう。

標準車とカスタムでは、グリルやバンパーのデザイン、そして組み合わせるホイールも異なります。
標準車のホイールは14インチスチールでホイールキャップを組み合わせますが、カスタムは全車アルミホイールでターボモデルは15インチとひとまわり大きなサイズが特徴となっているのです。

インテリアは結構変わった

パッと見たところ従来モデルとの違いが分かりづらいスタイリングに対し、インテリアは大きな変更がありました。それはメーターの位置とタイプ。

従来モデルはメーターがダッシュボードの上にありましたが、新型はダッシュボードに埋め込むように低い位置へと移動。

2023ホンダN-BOX
3代目 N-BOX
ホンダN-BOX
2代目 N-BOX

これは開放感や視界の良さを重視したレイアウトです。
従来のメーター位置は、前方から最小限の視線移動でメーターを見られる、ハンドルがメーターを見る邪魔をしない、などのメリットがありました。いっぽうで新型は、視線移動は増えたものの、開放感や前方視界が明らかに向上しています。

また、一般的なアナログタイプだった先代から、新型は7インチTFTへとチェンジ。

2023ホンダN-BOX
3代目 N-BOX
ホンダN-BOX
2代目 N-BOX

先行採用されている「フィット」などと同じ感覚で、速度がシンプルに大きく表示されるから把握しやすいのがメリットです。

また、「誕生日おめでとう」といったクルマからのメッセージが表示されるほか、都道府県の名所の写真がランダムに現れるといったクルマとの触れあいが楽しくなる新しいアイデアも採用されました。

収納スペースの進化も見逃せない

2023ホンダN-BOX

N-BOXのようなワゴンタイプの軽自動車は、実用性の高さも魅力です。

新型では収納スペースが進化し、たとえば助手席前はインパネの高い位置にオープンタイプのトレーを用意したほか、グローブボックスは先代の約2倍まで大容量化。

また後席シート脇の収納は、ドリンクホルダーのみとしていた先代に対し、新型はボックスティッシュも収まるようになりました。

標準タイプとカスタムでインテリアはどう違う?

ところで、標準タイプとカスタムではインテリアにどんな違いがあるのでしょう?

まずインテリアカラーは、「グレージュ×グレー」としている標準タイプに対し、カスタムは「ブラック」でクールに演出。

2023ホンダN-BOX

さらに「コーディネートスタイル」などはシートやドアのアームレストにプライムスムースと呼ぶ本革調の素材を、ハンドルは本革巻きとして使って上質感を高めています。

ひとクラス上のクルマのような感覚を味わえるでしょう。
加えて、インパネ周辺にイルミネーションを組み込んで夜は光の演出を楽しむことができます。

新型N-BOXのグレード構成は?

新型N-BOXのバリエーションは、以下の通り。

N-BOX

  • N-BOX
  • N-BOXファッションスタイル
  • N-BOXスロープ(後方にスロープが備わる車両)

N-BOXカスタム

  • N-BOXカスタム
  • N-BOXカスタム コーディネートスタイル モノトーン
  • N-BOXカスタム コーディネートスタイル 2トーン
  • N-BOXカスタム ターボ
  • N-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル モノトーン
  • N-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル 2トーン

大枠でいえばまず標準タイプとカスタムに分かれています。

標準タイプには「ファッションスタイル」も用意され、専用のボディカラーに加えてオフホワイトのドアミラー、一部をボディ同色とした専用のホイールキャップなどを採用。

2023ホンダN-BOX
2023ホンダN-BOX
2023ホンダN-BOX

カラーコーディネートにこだわった仕様ですね。

カスタムはまずエンジンが自然吸気とターボの2タイプあり、いずれも「コーディネートスタイル」と呼ぶ特別感を高めた仕様を選択可能。

全面がプライムスムース張りのシート&ドアライニングアームレスト、ダーククロームメッキ(通常のカスタムはダークではないクルームメッキ)のフロントグリル/ドアハンドル/リヤライセンスガーニッシュ、ベルリナブラック塗装とした専用のアルミホイールなどを組み合わせます。

2023ホンダN-BOX
2023ホンダN-BOX

また専用のボディカラーを用意するのも魅力となっています。

ちなみに装備をみると、スマートキーシステムやスライドドアのロールサンシェードは全車に採用。
電動スライドドアは助手席側が全車標準装備で、運転席側はカスタムのターボ系もしくは「コーディネートスタイル」に標準採用されます。

その他の仕様(標準タイプと自然吸気エンジンを積むカスタムのベース仕様)は、スロープ車を除きオプションで運転席側の電動スライドドアを選ぶことができます。

現在のところ価格などは発表されておらず、追って明らかになります。先進安全機能などが追加されている分、現行モデルより少し高くなると思われます。

N-BOXはどうして人気があるのか?

ところで、N-BOXはどうしてここまで人気モデルとなっているのでしょうか。

たしかにN-BOXが属する“スーパーハイトワゴン”と呼ばれるジャンルは、広い室内やスライドドアによる乗り降りのしやすさなど実用性が高く、軽乗用車の売れ筋になっています。

しかし、そのジャンルのライバルである「ダイハツ・タント」や「スズキ・スペーシア」などに比べて室内の広さなど実用面で大きく明確なアドバンテージがあるわけではありません。

ただひとつ言えるのは、シンプルなスタイリングは多くの人が受け入れやすいとともに安心感があり、走行安定性もライバルより少しリード。

そういった「プラスα」がユーザーに評価されているのだと考えられます。

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画像出典元:本田技研工業株式会社

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この記事を書いた人

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工藤 貴宏くどう たかひろ

自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2023-24日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。生粋のクルマ好きで現在の愛車は マツダ CX-60 とスズキ・ソリオ、そしてホンダ S660。 1976年長野県生まれ。

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