ホンダ新型N-BOXの実燃費は?実走行で測ってみた[MJ]
ホンダ「N-BOX」はホンダの売れ筋軽自動車。そして、いま日本で最も売れているクルマです。
2023年の秋にフルモデルチェンジして3世代目となる新型にバトンタッチしました。
そんなN-BOXの燃費はのくらいでしょうか?
今回はカタログデータのライバル比較に加え、実走行で測ってみました。
◯文:工藤 貴宏
関連記事:人気のスーパーハイトワゴンを横並びでライバルチェック(2023年冬最新版)
INDEX
N-BOXの概要
N-BOXはホンダでもっとも人気のある軽自動車で、「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンル。
ライバルはダイハツ「タント」やスズキ「スペーシア」などです。
背が高いから室内空間が広く、スライドドアを組み合わせて乗り降りがしやすいのがスーパーハイトワゴンに共通する優れた特徴といっていいでしょう。
最新のN-BOXは3世代目で、2023年秋にフルモデルチェンジしたばかり。
シリーズとしてはプレーンなスタイルに明るい内装を組み合わせた標準仕様の「N-BOX」のほか、高級感を高めたスタイルにブラック基調のインテリアを組み合わせた「N-BOXカスタム」も用意し、好みに合わせて選択できます。
N-BOXに搭載するエンジン
3代目N-BOX/N-BOXには2タイプのエンジンが用意されています。ひとつは一般的な自然吸気エンジン、もうひとつは出力にゆとりのあるターボエンジンです。
ただし従来モデルではN-BOXもN-BOXカスタムも自然吸気とターボが選べたのに対し、現行モデル(3代目)では自然吸気エンジンはN-BOXもN-BOXカスタムも選べるものの、ターボエンジンはカスタムだけの設定となりました。
自然吸気エンジン
- 直列3気筒自然吸気
- 排気量:658cc
- 最高出力:43kW(58ps)/7,300rpm
- 最大トルク:65Nm/4,800rpm
- 使用燃料:レギュラー
ターボエンジン
- 直列3気筒自然ターボ
- 排気量:658cc
- 最高出力:47kW(64ps)/6,000rpm
- 最大トルク:104Nm/2600rpm
- 使用燃料:レギュラー
自然吸気エンジンに比べるとターボエンジンは最高出力/最大トルクともに優れるから加速が力強く、運転に余裕をもたらします。
N-BOXのカタログ燃費はどのくらい
気になる燃費はどのくらいでしょうか?
カタログに記載されているN-BOXの燃費は以下の通り。
左側の数字が自然吸気(N-BOXのFF車)、右側はターボ(N-BOXカスタムターボFF車)のものです。
- WLTCモード総合燃費:21.6km/L / 20.3km/L
- WLTC市街地モード燃費:18.8km/L / 17.1km/L
- WLTC郊外モード燃費:23.4km/L / 22.2km/L
- WLTC高速道路モード燃費:21.8km/L / 20.9km/L
WLTCモード燃費は、各自動車メーカーで共通の決められた走行パターンにおいて測った燃費値です。
しかし、かつて用いられていた「JC08 モード」に比べると実際の燃費に近い数値となっているのがポイントといっていいでしょう。
総合的な値となるWLTCモード総合燃費をみると、自然吸気車は21.6km/Lと優れた実力。
ターボ車は20.3km/Lと若干低下しますが、それでも十分な性能と判断できます。
N-BOXのカタログ燃費をライバルと比べてみると
果たして、そんな新型N-BOXのWLTCモード燃費をライバルと比べてみたらどうでしょうか?
いずれも左が自然吸気エンジン、右側がターボエンジン搭載車(どちらも駆動方式はFF)のWLTC総合燃費値です。
- N-BOX:21.1~21.6km/L / 20.3km/L(N-BOXカスタム)
- ダイハツ・タント:22.7km/L / 21.2km/L
- スズキ・スペーシア:21.2~22.2km/L / 19.8km/L(スペーシアカスタム)
- 三菱デリカミニ:20.9km/L / 19.2km/L
- 日産ルークス:20.9km/L / 19.2km/L
ライバルと比べると、トップのタントやそれに次ぐスペーシア(2023年10月現在発売中のモデル)にこそ届いていないものの、上位との差はそれほど大きくない実力だということがわかります。
N-BOX自然吸気の実燃費はどのくらい
それでは、そんなN-BOXの実燃費はどのくらいでしょうか?
実際に走らせて測ってみました。
当日のコンディションは、外気温約25度の晴天で、エアコンはオート25度設定でON。
スイッチを入れるとエンジンやCVT(変速機)、そしてエアコンの制御が低燃費モードとなる「ECON(イーコン)」はオンにして走りました。
街中を順調に走って20.9km/L
市街地走行ながら、約20キロ走ってメーターに表示された燃費値は20.9km/Lとかなりの実力。
当日は道路が比較的すいていて流れもよく、渋滞なし。赤信号で引っかかることも少ない状況でした。それが、ここまで燃費が伸びた理由と判断してよさそうです。
街中ながら道路環境が整った場所ですが、ある程度速度が出るシーンもあったことで効率よく走ることができたといっていいでしょう。
今回の計測は好条件下でしたが、条件次第では市街地走行でもこのあたりまで燃費が伸びることがわかりました。
高速道路100km/h巡行では22.6km/L
高速道路は、走行速度をできるだけ100km/hに近づけて30キロほど走ってみました。
そこでの計測は22.6km/Lで、なんとカタログに記載されているWLTC高速道路モード超えるもの。
ある程度の加減速をおこなうWLTC計測条件に比べて今回の走りは加減速が少なかったことで、カタログ値を超える燃費に結び付いたようです。
それにしても、効率の良さに驚きます。
ちなみに走行時は、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を活用しました。アクセルを操作しなくても設定した速度を維持できる機能です。
N-BOXカスタムターボの実燃費はどのくらい
ターボエンジンを積むN-BOXカスタムでも燃費をチェックしてみました。
順調な市街地では19.9km/L
流れが順調でストップ&ゴーが少なかったこともあり、19.9km/Lとカタログ記載のWLTC市街地モードを超える燃費値を記録しました。
コースは基本的に、自然吸気エンジン搭載車で走った場所と同じです。
「市街地の走行でベスト」ともいえる好条件での燃費ですが、走行環境さえよければ市街地走行でもここまで燃費が伸びるのだからさすがといっていいでしょう。
信号が少なくエンジンの効率よくなる郊外であれば、さらに燃費は伸びる手ごたえを感じました。
「ターボエンジンは燃費が悪い」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際に走って比べてみるとそれほど大きな違いはないことが理解できます。
むしろ発進加速などでは、エンジンが力強いことでアクセルを踏み込まなくて済むので、音が静かだし運転が疲れにくいのが好印象です。
高速道路を巡行して21.4km/L
ACCを使いながら高速道路をできるだけ100km/hに近い速度で巡航。その際の燃費は21.4km/Lと、こちらもWLTC高速モードを超える実力。
自然吸気エンジンの高速燃費計測と同じく、WLTCモード計測に比べて加減速なく一定速度で巡航できたことで優れた燃費値となったと考えてよさそうです。
燃費とは関係ありませんが、高速走行中でも室内が想像以上に静かで驚きました。
N-BOXで燃費をよくする運転のコツ
実際に燃費計測してわかったのは、自然吸気エンジンもターボエンジンも、新型N-BOXは優れた燃費性能の持ち主だということです。
燃費を向上する運転のコツは、まずアクセルを踏み込まないこと。
N-BOXは自然吸気エンジンでもライバルより加速がスムーズなので、それを生かしてジワジワと加速すればガソリンを節約できます。
必要以上にゆっくり加速する必要はありませんが、アクセルを踏み込みすぎないのがポイントです。アクセルをゆっくり丁寧に踏むように心掛けましょう。
高速道路では、ACCを使うのがオススメ。速度変化のムラを抑え、結果的に無駄な加速を減らして燃費をよくしてくれます。今回の計測でもACCを活用しました。
またN-BOXには運転席に「ECON」というボタンがあり、これを押すとエンジン、変速機、エアコンなどの制御がガソリン節約モードになります。
これを活用することで、運転方法を変えなくても燃費を向上できるので上手に活用しましょう。