ETCが使えなくなる!? 2022年問題と2030年問題とは

2001年に日本に登場したETC(自動車料金収受システム)は、高速道路・有料道路の利用率が2022年11月時点で94.2%になるほど普及しています。

今回は、ETCを利用するうえで知っておきたいETCの2022年問題、2030年問題について詳しく解説します。

各問題の内容や利用できなくなるETC車載器、新しくETC車載器を購入する際の注意点などを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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ETCの2022問題とは

ETCの2022年問題は、電波法の改正が要因となっています。
無線設備の不必要な電波(スプリアス)を可能なかぎり低減し、国内の電波利用環境の維持や向上のため電波法が改正されました。

この改正に伴い「2007年以前の技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス認証)を受け製造されたETC」の利用が違法になる可能性があり、「新スプリアス規格」に適合した製品を使用する必要があります。

当初、旧スプリアス規格の使用期限は2022年11月30日までとされていましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、使用期限が延長されました。
2023年2月現在、具体的な期限がいつになるかは未定です。

関連記事:メーカーオプションとディーラーオプションの違いは?選ぶときのポイントも解説

ETCゲートが開かなくなるわけではない

今回の電波法改正によって、使用期限を境に突然ETC車載器が使えなくなってしまったり、ゲートが開かなくなってしまったりするわけではありません。

国土交通省や関係機関の発表によると「旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器を使用することは、電波法に照らし適当ではない状態となる可能性がある」とされています。

旧規格品を使い続けると違法になってしまう恐れがあるため、早めの対策が求められるでしょう。
なお、電波法改正に伴い、ETC車載器を買い替えなければならない人に対する補助金は設けられていません。

関連記事:中古車にオプションは付けられる?種類や選ぶポイントを解説

※参照:旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器について

【メーカー別】2022年問題で使えなくなるETC車載器はどれ?

2022年問題で使えなくなるETC車載器はさほど多くありません。
所有している車のETC車載器が該当するかどうかは、メーカーごとの型式登録番号で判別できます。

ETC車載器の型式登録番号は、ETC車載器本体や取扱説明書・保証書で確認可能です。
もし、型式登録番号が分からない場合、購入店へ問い合わせてみてください
続いては、メーカーごとに使えなくなるETC車載器を紹介します。

関連記事:クレジットカード変更時、ETCの変更も必要?ETCカードを変更する際の注意点も解説

アルパイン

対象製品はありません。

ETC/DSRC/ETC2.0車載器は新しいスプリアス規格に対応しています。

※参考元:アルパイン|アルパイン製ETC車載器に関するスプリアス規格変更に関するお知らせ

ケンウッド

旧スプリアス規格の製品はありません。

※参考元:ケンウッド|新旧セキュリティ/スプリアス規格機種別比較一覧表

クラリオン

・ETC920 (EA-1188B-A)

※参考元:クラリオン|旧スプリアス規格 特定小電力無線機器に関するお知らせ

スズキ

対象製品はありません。

スズキ標準装備品やスズキ純正アクセサリーのETC/ETC2.0車載器は、全て新しいスプリアス規格に対応しています。

※参考元:スズキ|ETCのスプリアス規格、セキュリティ規格変更についてのお知らせ

デンソー

・型式 DIU-3102(型式登録番号 0209 / 2001年4月~2004年4月製造品)
・型式 DIU-3104(型式登録番号 0211 / 2001年6月製造品)

※参考元:デンソー|旧スプリアス規格に基づき製造されたETC車載器に関するお知らせ

デンソーテン(イクリプス)

対象製品はありません。

過去に販売された製品や現在販売中の全てのETC車載器、ETC内蔵AVNは、新しいスプリアス規格に対応しています。

※参考元:デンソーテン|スプリアス規格の変更に関するお知らせ

トヨタ

対象製品はありません。

トヨタ純正ETC車載器は、全て新スプリアス規格に対応しています。

※参考元:トヨタ|自分のETC車載器は、新スプリアス規格に対応していますか?

日産

【ビルトインタイプETC車載器型式登録番号】

車種(モデル)型式登録番号
セドリック(Y34)0222/0260
スカイライン(V35)0222/0260/0318
ステージア(M35)0222/0260/0318
エルグランド(E51)0222/0260/0318
フェアレディZ(Z33)0222/0260
ティアナ(J31)0222/0260/0318
エクストレイル(T30)0222/0260/0318
プレサージュ(U31)0260
プレジデント(PF50)
シーマ(F50)
0222/0260/0318
プリメーラ(P12)0222/0260
ウイングロード・AD(Y11)0266
フーガ(Y50)0294
ティーダ(C11)
ティーダラティオ(SC11)
0294
ラフェスタ(B30)0294

【ビルトインタイプ以外のETC車載器登録番号】

ETCモデルNO.型式登録番号
SA2000223/0112
SS3000319
SS6000291
SS6100253
SS7000320
SS7100266
※参考:日産|ETC車載器の新スプリアス規格対応について

パナソニック

  • C03002T(0321)
  • C03002B(0354) 
  • CN-RX0600AK(0389)

※参考元:パナソニック|スプリアス規格について

古野電気(フルノ)

対象製品はありません。

古野電気製や三菱重工業製(三菱自動車向け含む)のETC車載器は全て新スプリアス規格に対応しています。

※参考元:古野電気|旧スプリアス規格のETC車載器の利用について

ホンダ

対象製品はありません。

過去の販売製品も含めホンダアクセス製のETC車載器は、全て新スプリアス規格に対応しています。

※参考元:ホンダ|電波法関連法の改正(スプリアス規格変更)以降もETC車載器は利用できるか?

マツダ

対象製品はありません。

マツダ純正品のETC/ETC2.0車載器のうち、すでに販売されているデンソー製・三菱電機製の全てが新しいスプリアス規格に対応しています。

なお、パナソニック製「C9N1 V6 380」は新スプリアス規格ではありません。

しかし、総務省令第65号適用除外対象車載器の「ARIB STD-T55準拠車載器」となるため、表示有効としてそのまま使用可能です。(2022年12月1日以降も使用可能)

※参考元:マツダ|アクセサリー情報ライブラリー

ミツバサンコーワ

対象製品はありません。

全てのETC/ETC2.0車載器は新スプリアス規格に対応しています。

※参考元:ミツバサンコーワ|型式登録番号一覧表・車載器管理番号の確認方法

三菱自動車

対象製品はありません。

全てのETC/ETC2.0車載器は新スプリアス規格に対応しています。

※参考元:三菱自動車|ETC車載器 旧スプリアス規格製品に関するお知らせ

三菱電機

対象製品はありません。

全てのETC/ETC2.0車載器は新スプリアス規格に対応しています。

※参考元:三菱電機|スプリアス規格の変更に関するお知らせ

矢崎

製品名称/型式名称型式番号
ETC-YM2N0218
ETC-YM50258
※ETC-YM2N・YM2・YM3の見分け方はこちらをご参照ください

※参考元:矢崎エナジーシステム|【重要】旧スプリアス規格に基づき製造されたETC車載器に関するお知らせ

ETCの2030年問題とは

セキュリティ脅威への備えとして、セキュリティ機能を向上させるためにETCのセキュリティ規格の変更が予定されています。

現行のセキュリティに問題が発生しなければ最長で2030年まで使える予定ですが、セキュリティに問題が発生した場合には変更時期が早まる可能性が高いです。

注意点として、2030年問題は2022年問題とは違い、セキュリティ規格非対応車載器は使えなくなります。

関連記事:ETCのセットアップはどうやるの?個人ではできないというのは本当なのか

2030年問題で使えなくなるETC車載器の見分け方

続いては、2030年問題で使えなくなるETC車載器の見分け方を解説します。

車載管理番号で識別する方法

車載器管理番号が知りたい場合、以下を確認してください。

  • 取扱説明書や保証書
  • ETC車載器セットアップ申込書・証明書
  • ETC車載器本体

19桁の車載器管理番号の最初の数字が0のETC車載器は、旧セキュリティ規格です。最初の数字が1の場合、今後も問題なく使えます。

識別マークで確認する方法

車載器の識別マークで確認する方法は、以下のとおりです。

今後使えなくなる車載器(旧セキュリティ規格)

  • ●●●マークがない(ETC車載器)
  • 本体にDSRC/ETCのロゴが入っている(ETC2.0・ETC-DSRC車載器)
  • ETC2.0のロゴと■のマークがある(ETC2.0・ETC-DSRC車載器)

今後も使える車載器(新セキュリティ規格)

  • ●●●マークがある(ETC車載器)
  • ETC2.0のロゴがあり■マークがない(ETC2.0・ETC-DSRC車載器)

※参考元:国土交通省|新・旧セキュリティ対応車載器の識別方法

まとめ

今回は、ETCにまつわる2022年問題、2030年問題について解説しました。

2018年8月時点では、従来セキュリティ対応品と新セキュリティ対応品が併売されています。
これからETC車載器を購入する人は、新セキュリティ対応品であることを確認してから買うことが大切です。

2022年問題

2022年問題の主な内容は以下のとおりです。

  • 電波法改正により、旧規格品のETC車載器を使い続けると電波法に違反してしまう恐れがあるが、ETCとしての機能を失うわけではない
  • 旧規格品のETC車載器の製造は2007年に終了している
  • 旧規格品の使用期限は2022年11月30日から「当分の間」延長されている
  • ETC車載器を買い替える必要がある人に対する補助金の設定はない

2030年問題

2030年問題の主な内容は以下のとおりです。

  • セキュリティ規格の変更に伴い、旧規格品は使用期限を過ぎたら使えなくなる
  • 旧規格品の使用期限は2030年予定だが問題が発生すれば早まる
  • 新規格に対応しているかは車載器管理番号やマークで判別できる
  • 新セキュリティ規格対応のETC車載器を買うのがおすすめ(2018年8月時点では対応品・非対応品が併売されていた)

2022年問題の旧スプリアス規格品はすでに製造されていないため、誤って購入してしまうことはありません。

しかし、2030年問題の旧セキュリティ規格品は2018年8月時点で販売されているため、誤って購入しないように注意してください。

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この記事を書いた人

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カーナレッジ編集部

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