水素自動車の燃費は良いのか?燃費の考え方とガソリン車と比較

脱炭素に向けて、世界中の自動車メーカーが、排出二酸化炭素低減のため、ガソリンエンジンに代わる動力ユニットを開発しています。

多くの自動車メーカーは電気自動車開発を進めていますが、トヨタは水素自動車の開発も進めています。

水素自動車とはどのようなものか、また燃費の考え方をご紹介し、ガソリン車との燃料費を比較します。

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水素自動車の概要について

水素自動車には、2種類あります。

1つ目は、水素を燃料としたエンジン車です。
トヨタがラリーに参戦しているGRカローラは、水素エンジンを搭載しています。

水素エンジン搭載車は今のところ、GRカローラのラリー参戦車のみで市販車はありません。
しかし、トヨタは水素エンジン搭載のGRカローラを販売予定ですし、マツダも水素ローターリーエンジンを開発しているとの噂もあります。

2つ目は、水素を燃料に「FCスタック」と呼ばれる発電機で電気を起こし、その電気でモーターを駆動させる方式の車です。
一般的には「燃料電池車」と呼ばれ、アルファベット3文字で「FCV」と表記します。

今回取り上げる水素自動車は、FCVです。
2022年時点で日本で一般向けに市販されているFCVは、トヨタ MIRAIとヒョンデ NEXOがあります。
以前はホンダもクラリティフューエルセルを販売していましたが、2021年9月で生産終了となりました。

FCVは、バスやトラックでも実用化されています。
燃料電池搭載のバスは、2018年からトヨタが日本国内で販売しています。

燃料電池搭載のトラックは、トヨタ・日野、ホンダ・いすず、ボルボ・ダイムラートラックなどの自動車メーカーが実証実験を行なっています。

一般に販売されるFCVの登録台数は、2021年時点で6,981台とわずかです。
これはFCVの種類が少なく、水素を充填する水素ステーションの多くが大都市に存在するため、地方都市では実用的でないことが原因です。


とはいえ、トヨタは2023年に新型FCVを発売します。
水素ステーションも2020年2月末日時点で137箇所でしたが、2022年12月には164箇所と確実に増えています。

FCVの本格的な普及は、「これから」です。

水素自動車の燃費の考え方とは

FCVの燃費の単位は、「km/kg」です。
つまり「水素1kgで何キロ走るか」という考え方の燃費測定になります。

ではFCVの水素タンクを満タンすると、何キロの水素が入るでしょう。
MIRAIの場合は、5.6kgです。

水素タンクの容量が141リッターなので、1リッターあたりの水素の重さは39.7gになります。
科学で習う水素の重さと異なるのは、FCV用水素燃料は70MPaもの圧力で圧縮されているからです。

ちなみに70MPaは、大気圧の700倍です。

水素とガソリンはどちらが高いのか?

ここでは、燃料として水素とガソリンのどちらが高いのか、を紹介します。

FCV用水素燃料の価格は?

FCV用水素燃料は、1kgあたり税込で1,200円前後で販売されています。
MIRAIの燃料タンクには5.6kg入るので、満タンで6,720円必要になります。

ガソリンの価格は?

2022年12月のガソリン平均価格は1リッターあたり、レギュラー163.6円、ハイオク174.0円です。

MIRAIとシャーシを共有するレクサス ISと比較すると、ISの燃料タンクは66リッターなのでレギュラーで1万758円、ハイオクで1万1,484円になります。

市販されている「トヨタ MIRAI」の燃費について

1回の満タンでFCVはどれくらい走ることができ、どれだけの燃料費がかかるのでしょうか。
FCVのヒョンデ NEXO、ホンダ クラリティフューエルセル、そしてシャーシを共有し、2.5リッターハイブリッド搭載のレクサス IS300h(2WD車)と比較してみます。

FCVとハイブリッド車の燃費

MIRAIのWLTC燃費はベースグレードの「G」が152km/kg、豪華装備グレードの「Z」が135km/kgです。
ヒョンデ NEXOは、燃料タンクが156.6リッターで圧力は70MPaと同じなので、6.2kgの水素を充填できる計算です。満タンでの航続距離が820kgなので、燃費は132.2km/kgとなります。

現在は生産を終えたホンダ クラリティフューエルセルの燃費は、燃料タンクが141リッターで圧力が70MPaなので、5.6kgの水素を充填できます。
満タンの航続距離が750kmなので、燃費は133.9km/kgです。

FCVの燃費は、130km/kgが最下限のようです。
MIRAI 「G」グレードの燃費152km/kgが突出しているのは、車体が「Z」グレードより軽量なことと、電気を使用する装備が「Z」グレードより少ないためと考えられます。

IS300hのWLTC燃費は、18.0km/Lです。
同じ燃費とはいえ、単位が違うためこのままでは比較ができません。
そこでガソリン1kgでIS300hが何キロ走行できるか、計算してみます。
ガソリン1リッターは750gなので、計算するとガソリン1kgは1.33リッターです。IS300hのガソリン1kgあたりの燃費は、

18.0km/L x 1.33L=23.94km/kg

となり、燃料1kgあたりの燃費はFCVが圧倒的に勝ります。

FCVとハイブリッド車の航続距離

MIRAIとIS300hを1回の満タンで、何キロ連続して走行できるか比較してみます。
MIRAI「G」グレードは、

152km x 5.6kg=851km

「Z」グレードは、

135km x 5.6kg=756km

の走行ができます。
NEXOは820km、クラリティフューエルセルは750kmです。

IS300hは、

18.0km x 66L=1,188km

の走行が可能です。

FCVとハイブリッド車の燃料費

MIRAIをIS300hと同じ1,188kmを走行させるなら「G」グレードは

1,188-851=337km

を追加で走ることになり、必要な水素燃料は、

337km/152km/kg=2.217…

となり、およそ2.2kgです。追加費用は

1,200円x2.2kg=2,640円

で、最初の満タン費用を加えると、

6,720円+2,640円=9,360円

となります。

「Z」グレードは追加走行距離が432kmなので、追加の水素燃料は3.2kg、追加燃料費は3,840円です。最初の満タン費用6,720円との合計は1万560円です。

NEXOの場合だと追加距離が368km、追加の水素燃料が2.8kg必要で、追加燃料費は3,360円です。最初の満タン金額は

6.2kg x 1,200円=7,440円

なので、合計で1万800円です。

クラリティフューエルセルの場合、追加距離が438km、追加の水素燃料が3.3kg必要で、追加燃料日は3,960円です。最初の満タン金額は

5.6kg x 1,200円=6,720円

なので、合計で1万680円になります。

IS300hの満タン価格は使用燃料がレギュラーのため、163.6円 x 66L=1万797円になり、FCV各車と比較すると、最大でMIRAIの「G」グレードの燃料費より1,437円高価になりますが、他車とは数百円の違いです。
つまり航続距離に対する燃料費は、水素もガソリンも同等の可能性が高いと言えるでしょう。

まとめ

水素自動車のFCVとハイブリッド車の燃費、航続距離、同じ航続距離での燃料費比較をご紹介しました。
水素自動車は水素エンジン搭載車と燃料電池車(FCV)があり、2022年12月時点ではFCVのみが市販されています。

FCVの満タン価格は同クラスのハイブリッド車より安価ですが、航続距離でハイブリッド車に300〜400km及びません。
同等の航続距離を得るためには途中で燃料補給が必要で、追加の燃料費を最初の満タン費用に加えると、ハイブリッド車と同じ航続距離なら燃料費に違いはほとんど見られません。

FCVに乗る一番のきっかけは、水と酸素しか排出しないクリーンな車であるという事実になるのでしょう。

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