法定点検の項目は?車検との違いについても解説
自動車の点検では、車検の他にも法定点検と呼ばれる点検を行わなければなりません。
しかし、車検との違いや項目、法定点検をしないとどうなるかよくわからないままの方も多いでしょう。
今回は、法定点検の項目について解説しますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。
法定点検を行うことで安全な車両を保ちましょう。
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INDEX
法定点検とは
法定点検とは、車の故障やトラブルを未然に防止するために、劣化する箇所や不具合が発生する可能性を事前に点検することで防ぐことを目的とした検査で12ヶ月ごとに点検を行います。
道路運送車両法第48条(定期点検整備)によって義務付けられていますが罰則はありません。とはいえ、重大な事故を防ぐためには大切なことなので点検を行いましょう。
法定点検では、自家用乗用車の場合、1年おきに受ける12か月点検と、2年おきに受ける24か月点検があり、12ヶ月点検は26項目、24ヶ月点検は30項目を加えた56項目を点検します。
24ヶ月点検の際は車検と同時に行われるため、法定点検を12ヶ月点検ということも多いです。
法定点検をしないとどうなる?
先述の通り、法定点検は法律で定められた義務ですが、点検を受けなくても罰則はありません。
しかし、点検を受けないと、メーカー保証を受けられないなどの不利益を被る可能性があります。
また、思わぬ整備不良で突然大きな故障を招くこともあるため、安全安心なドライブを実現するために、実施しましょう。
また、車検の際に点検整備記録簿を提示しなかった場合、検査ステッカーの裏面に「法定点検未実施(車検時)」と記載されます。
法定点検をしない割合は?
自動車点検整備推進協議会の調査によると、約半数の方が法定点検を行わず、車検のみを行なっているというアンケート結果が得られたそうです。
しかし、半数のうち、そもそも法定点検の存在自体を知らない方も多く、自動車整備士の言う通りに点検に持ち込んでいた方もいると思われます。
そのような方々は、法定点検を実施しているのに「していない」と回答している可能性もあります。
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法定点検と車検の違い
法定点検は車検のレベルが低いバージョンのような印象を受けますが、実は内容や目的すら違います。
法定点検は、車が故障なく安全に走行できるかどうかを確認する点検で、車のトラブルを未然に防ぐ役割をしています。
車検は、車が道路運送車両法に定められている保安基準に適合しているかを、2年(初回の登録からは3年後)ごとに確認する検査です。
こういうとやはりあまり変わらないような気もしますが、車検では騒音、排気ガスなどの環境にも配慮した点検を行なうため、車両自体の安全性に手が届かないこともあります。
例えば、法定点検ではアイドリングの安定性のため、エアクリーナーの点検を行いますが、車検では環境保全のため排気ガスの点検を行います。
さらには車検でバッテリーを検査する場合に見られる項目は、「バッテリーは固定されているか」「バッテリーは絶縁状態にあるか」の2点のみです。
この2点さえ守っておけば、バッテリーが機能していなくても理論上「バッテリーに関しては」車検に通ってしまうことになります。
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保安基準とは
保安基準とは、正式には「道路運送車両の保安基準」と呼ばれる、自動車の構造や装置が備えるべき安全上の最低限の基準を定めた国土交通省令です。
保安基準は、自動車の技術的な要件の基本となり、車の走行上の安全確保と環境保全を図ることを目的としています。
保安基準では、原則として道路運送車両の構造や装置が運行に十分耐えられ安全であることを義務付けているほか、騒音や排気ガスなど環境保全にも配慮し、通行人などに危害を与えないよう技術的な部分に制限・制約をしています。
法定点検の検査項目
法定点検と車検では検査内容の内容も目的も違いました。
ここでは法定点検の内容に触れていきます。
12ヶ月点検の26項目
法定点検の中でも、12ヶ月点検で検査する項目は以下の26項目です。
- パワーステアリング装置のベルトの緩みや損傷
- ブレーキペダルの遊び、踏み込んだ時の床板との隙間
- ブレーキの効き具合
- パーキングブレーキレバーの引きしろ、踏みしろ
- パーキングブレーキの効き具合
- ブレーキホース、パイプの漏れ、損傷、取り付け状態
- ブレーキのマスタ・シリンダー、ホイール・シリンダー、ディスク・キャリパ液漏れ
- ドラムとライニングとの隙間
- ブレーキ・シューの摺動部分、ライニングの隙間
- ディスクとパッドとの隙間
- ブレーキ・パッドの摩擦
- タイヤの空気圧、亀裂、損傷、溝の深さ、異常摩擦、スペアタイヤの空気圧
- ホイールのナット、ボルトの緩み
- クラッチ・ペダルの遊び、切れた時の床板との隙間
- トランスミッション、トランスファのオイル漏れ、オイルの量
- プロペラ・シャフト、ドライブ・シャフトの連結部の緩み
- スパーク・プラグの状態
- スパーク・プラグの点火時期
- ディストリビュータのギャップの状態
- バッテリーターミナル部の緩みや腐食
- 排気ガスの色、CO、HCの濃度
- エア・クリーナー・エレメントの汚れや詰まり
- エンジンオイル漏れ
- ファン・ベルトの緩み、損傷
- 冷却水の漏れ
- エキゾースト・パイプ、マフラー取り付けの緩みや損傷、腐食
24ヶ月点検で追加される30項目
12ヶ月点検と24ヶ月点検とで検査項目の数が変わってきます。
24ヶ月点検では以下の30項目が追加され、合計56項目の検査が行われます。
- ハンドルの操作具合
- ギヤ・ボックスの取り付けの緩み
- ロッド、アーム類の緩み、がた、損傷
- ボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂と損傷
- ホイール・アライメント
- パワーステアリング装置のオイル漏れ、オイルの量
- パワーステアリング装置の取り付けの緩み
- ブレーキのマスタ・シリンダー、ホイール・シリンダー、ディスク・キャリパの機能、摩擦、損傷
- ブレーキ・ドラム、ブレーキ・シューの摩擦、損傷
- ブレーキ・ディスク、パッドの摩擦、損傷
- フロント・ホイール・ベアリングのがた
- リア・ホイール・ベアリングのがた
- サスペンションの取り付け部と連結部の緩み、がた、損傷
- ショックアブソーバーのオイル漏れ、損傷
- ドライブ・シャフトのユニバーサル・ジョイント部のダスト・ブーツの亀裂、損傷
- ディファレンシャルのオイル漏れとオイルの量
- 電気配線接続部の緩み、損傷
- 燃料装置の燃料漏れ
- メターリング・バルブの状態
- ブローバイ・ガス還元装置の配管の損傷
- 燃料蒸発ガス排出抑制装置の配管などの損傷
- 燃料蒸発ガス排出抑制装置のチェック・バルブの機能
- チャコール・キャニスタの詰まりや損傷
- 触媒などの排出ガス現象装置の取り付けの緩み、損傷
- 二次空気供給装置の機能
- 排気ガス再循環装置の機能
- 減速時排気ガス減少装置の機能
- 一酸化炭素など発散防止装置の配管の損傷や取り付け状態
- マフラーの機能
- フレーム、ボディの緩み、損傷
法定点検を忘れないようにするポイント
法定点検は罰則こそなくても受けなくてはいけません。
それはわかっていても、1年に1度の罰則もないようなことは、正直忘れてしまうという方もいらっしゃるでしょう。
そのような時には車のメンテナンスをアプリで計画をすることをおすすめします。
「ドライブオン」というアプリでは、車両状態を登録するだけで通知してくれる上に、そのまま予約までできてしまう優れものです。
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