山口百恵『プレイバック part2』はポルシェでないといけなかったのか

『プレイバック part2』という曲をご存知ですか?

昭和の歌姫と名高い山口百恵氏の有名な歌ですが、この歌詞に注目していただきたいのです。

歌の中にはある車が登場します。それも、歌い出しから。

歌い出しというインパクト大なところでなぜこの車種を持ってきているのか、気になったことはありませんか?

今回は、山口百恵氏の『プレイバック part2』に登場したポルシェに焦点を当て、考察とポルシェの解説をしていきます。

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『プレイバック part2』とは

『プレイバック part2』とは、歌のタイトルです。伝説の歌姫と名高い山口百恵氏の、22枚目のシングルで1978年5月にリリースされました。

『いい日旅立ち』『ひと夏の経験』『横須賀ストーリー』などと並び、山口百恵氏の代表的な歌として今なお根強い人気を誇っています。

ストーリーは?

めっちゃキープレフト

山口百恵氏の歌唱曲は、男女の関係を描いたものが多く『プレイバック part2』も例に漏れません。

一人称で歌われるこの歌は、恋人と喧嘩をした「私」の苛立ちと疲労、傷心が描かれています。

「私」は怒りのままに車を走らせながら、しかし考えるのは彼のことばかり。

曲の終盤で「私」は恋人の元へ戻ることに決めるのでした。

余談

余談ですが「今の言葉、プレイバック」と歌った直後、数秒間だけ間奏もなにもない“無”の時間が流れるのです。

これは「私」が過去のことを振り返っている表現だと思われます。

なぜ「真紅なポルシェ」?

※画像はイメージです

この曲は「緑の中を走り抜けてく真紅(まっか)なポルシェ」という歌詞から始まります。

なぜポルシェなのでしょう?

ほかの有名な外国車メーカーではダメだったのでしょうか?

この章では作中で「真紅」の「ポルシェ」が使われている理由を考察していきます。

ポルシェとは

※画像はイメージです

ポルシェとは1931年に設立されたドイツの自動車メーカーです。

正式名称は「フェルディナント・ポルシェ名誉工学博士株式会社」で、ポルシェの略称は会社をそのまま指すこともありますし、ブランドを指すこともあります。

高級スポーツカーだけでなく、手の出しやすい価格帯でロードスターを開発したり、戦時中は戦車のデザインを考案したりなど、多種多様な車の制作に携わってきました。

日本が輸入を始めたのは1952年です。
ポルシェ・ジャパンが正規輸入・販売を行う1998年までは、三和自動車(現在はミツワ自動車)が輸入総代理店として輸入や販売を行っていました。

作中の車種について

実際『プレイバック part2』に出てくる「真紅なポルシェ」の具体的な車種名については、2023年現在でも一切判明していません。

作詞を手がけた阿木燿子氏を始め、この楽曲に携わった誰しもがこの車に関する明確な言及はしていないのです。

作曲した宇崎竜童氏は、ある対談において「女性が街中で乗ってるってことだと、アウディかフォルクスワーゲンで作ってた方のポルシェじゃないのかな?」と発言したそうです。

ポルシェとフォルクスワーゲンの共同開発

アウディ、ポルシェともに現在はフォルクスワーゲンの傘下ですが、昔はそうではありませんでした。

宇崎氏が言っているのはおそらく1970年にフォルクスワーゲンとポルシェが共同開発をした「ポルシェ914」と考えられます。
1970年に発売されたポルシェ914は、ポルシェの代表格である911と比べて安価で、一般人でも手の出しやすいスポーツカーとされていました。

これは既存パーツの流入が多いため実現した価格設定です。

ポルシェがボディを、フォルクスワーゲンがエンジンの提供をした914ですが、日本では1973年に発売されています。

 

発売時期を考えても、歌中で「私」が乗っている車がポルシェ914である可能性はとても高いと言えるでしょう。

運転をし慣れている様子、また家を出て行く際に乗っているところを加味すると真紅のポルシェは恋人(「坊や」)のものではなく彼女(「私」)のものであると考えた方が妥当です。

以下より、真紅なポルシェ=ポルシェ914と仮定したうえで話を進めていきます。

作中における色について

緑色と赤色は補色の関係性です。「補色」とは色相環を確認した際に対極の位置にあり、お互いの色をより一層引き立てる役割を持ちます。

通常の赤ではなくわざわざ「真紅(真っ赤)な」と強調しているところに緑色を持ってくることで、歌詞を見るだけで鮮やかな赤色が目の前を走り抜けて行ったかのように感じられます。

他の車ではダメだったのか

この曲は一貫してスマートさを表現しています。

曲調などからそう判断できますが、その要素として歌詞に散りばめられた情報も世界観の構成に一役買っていると言えるでしょう。

当時も今も、スポーツカーはスマートさを象徴したものです。

現在より手が出しづらかった当時の基準で考えると、尚更でしょう。

つまり、この曲をスマートに歌い上げるためには軽自動車やファミリーカーではダメだったのです。

ランボルギーニやフォルクスワーゲンはダメなのか

曲でスマートさを表現するといってもターゲット層は一般人。

理想を歌うのもいいですが、やはり少しくらい親近感がなければユーザーの心には響きません。

そのため、良い塩梅のラインで作成する必要があります。

車好きの憧れ、スマートの代表格「スポーツカー」ですが、あまりにも高額なものを歌詞にしてしまっても現実味がありません。
今でもそうですが、当時は特にスポーツカーは高価なもので一般人がそう簡単に手を出せるものではありませんでした。

そのため、ランボルギーニでもフォルクスワーゲンでもなく“ポルシェ”を使用しているのだと思われます。

当時のランボルギーニやフォルクスワーゲンは、完全に富裕層をターゲットとしているような価格帯のものしか販売されていませんでした。

一方、ポルシェ914はスポーツカーの中では比較的手の出しやすい価格で発売されていたもの。

平均的なスポーツカーのおよそ3分の1程度の値段であったとも言われているため、一般層でも比較的手の届きやすい範囲だったと考えられます。

一般層をメインターゲットとした歌に一般層が手の出せない高級車を持ってくるわけにはいきません。

「スマートさ」と比較的手の出しやすい価格。その両方を兼ね備えていたポルシェは、まさにこの曲にうってつけの車だったのでしょう。

(※あくまでも考察です)

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まとめ

今回は山口百恵氏による『プレイバック part2』でポルシェが使用されている理由について考察をしました。

作中に登場する「真紅のポルシェ」とは、本作の作曲家である宇崎氏の発言もあり「ポルシェ914」と推察ができます。

この歌は一般層をターゲットとしており、曲調などからスマートさが表現されていることがわかります。

スマートさの体現としてスポーツカーを作中に持ってきているとすれば、あまりに高額な車を持ってきてしまうとターゲットである一般層にはあまりにも現実味に欠け、刺さりづらいものです。

そのため、スマートさを演出するスポーツカーの中でも当時比較的に手の出しやすい価格帯だった「ポルシェ914」を起用したのではないでしょうか。

(※これはあくまでも考察の域を出ないものです)

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参考元:歌ネット

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