電気自動車の充電料金はどれくらい?抑えるコツやガソリン車との比較を紹介
環境への負荷が少ない車として、電気自動車が注目を集めています。
ガソリン料金が高騰してきた今、電気で走行する電気自動車の購入を検討している人も多いのではないでしょうか。実際に電気自動車を運転する場合、充電に関してどれくらいの電気料金がかかるのかは気になる点です。
この記事では、電気自動車の充電料金について、充電方法や場所ごとの特徴を解説します。
また、充電料金を抑える方法についても紹介するので、電気自動車の購入を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
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INDEX
方法別の電気自動車の充電料金
一般的な電気自動車には、普通充電用を使った「普通充電」と急速充電用を使った「急速充電」の2種類の充電方法が存在します。
ここでは、それぞれの特徴と充電にかかる料金について詳しく解説します。
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普通充電
普通充電は、家庭や公共の充電スポットを利用する充電方法です。
家庭や事業所に供給されている100V・200VのAC電源を利用し、3kW~6kW程度の出力で電気自動車に充電します。
たとえば航続距離160kmの車の場合、200Vの充電設備を使うと満充電までに約7時間程度かかります。
普通充電は充電料金の安さが最大の利点です。
充電料金の相場は、1分間で2.5〜4円程度になっています。
また、電気自動車の普及や利用を促進するため、街中には無料で充電できるスポットもあります。
自動車用品店やディーラーだけではなく、ショッピングモールなどにEVスタンドが設置されていることもあるため、充電中に買い物を楽しむこともできます。
一方で、満充電までの時間が長くなる点は普通充電を利用する際の注意点といえます。
急速充電
急速充電は、専用の急速充電器を使用する充電方式です。
高電圧のため充電は早く終わるものの、その分充電料金が高くなります。
充電料金の相場は、1分間で15〜30円程度です。
急速充電の設備は、ディーラーやコンビニエンスストア、サービスエリア、道の駅などによく備えられています。
20kW~50kW程度の高出力での充電が可能で、航続距離160kmの車の場合、満充電までの時間は約30分程度となります。
場所別の電気自動車の充電料金
充電する場所によっても充電料金は変わります。
ここでは、街中の充電(EV)スタンドで充電する場合と自宅で充電する場合の料金について解説します。
EVスタンドで充電する場合
EVスタンドとは、公共の場所に設置された電気自動車の充電設備です。
EVスタンドには急速充電スタンドと普通充電スタンドがあります。
設置されている主な場所は、以下のとおりです。
・道の駅
・ガソリンスタンド
・高速道路のサービスエリア
・商業施設
・コンビニエンスストア
・病院
・宿泊施設
・駐車場
一部無料のEVスタンドもあるものの、EVスタンドで充電する際は基本的には充電認証カードが必要です。
このカードの利用には、初期費用や月額費用がかかります。
充電認証カードがなくても充電できる場所もありますが、カードを使うよりも費用が高くなるため、充電認証カードの使用が一般的になっています。
充電認証カードは、各社からさまざまな種類が販売されています。
代表的なものは、公共の充電スタンドを展開するe-Mobility Powerが発行するカードです。
この他にも自動車メーカーが発行するカードなどがあり、発行会社により料金が異なるため、最適なカードを比較検討してみてください。
充電カードの入会金と登録料の目安は1,500円程度です。
また月会費は普通充電で500〜2,500円程度、急速充電で1,500〜5,000円程度であり、料金は各社のプランによりさまざまです。
これらの料金に加えて、充電時の充電量に対する料金も加算されます。
前述したとおり、普通充電で1分間2.5〜4円程度、急速充電の場合は1分間15〜30円程度が目安になります。
自宅で充電する場合
自宅で充電する際は、充電設備の設置費用に加えて電気代がかかります。
設置費用には、充電器の購入費用と設置工事費が含まれます。
選ぶ充電器の種類により、値段は大きく異なります。
おおよその費用は以下のとおりです。
普通充電器の場合
・購入費用:70万円程度
・工事費用:130万円程度
急速充電器の場合
・購入費用:230万円以上
・工事費用:500万円程度
これらの初期コストとランニングコストを考えたうえで、自宅に充電設備を用意すべきか考えましょう。
電気代は、家庭で契約している電力会社の料金プランにより変わります。
たとえば、1kWhあたり31円の場合、40kWhのバッテリーを搭載した車であればフル充電までに1,240円かかります。
また普通充電で充電する場合は、満充電になるまでに時間を要することにも留意が必要です。
とはいえ自宅で充電する場合、EVスタンドのように待ち時間がないだけでなく、安い夜間電力を利用できたり寝ている間に充電できたりという利点もあります。
ガソリン代と充電料金、どちらがお得?
電気自動車の購入を迷ったとき、多くの方がガソリン車と比較するのではないでしょうか。
ガソリン代が高騰し燃料代も馬鹿にならない昨今、コストパフォーマンスの良い車を選びたいと思うのは当然です。
では実際にガソリン車と電気自動車、どちらの方がコストパフォーマンスが良いのでしょうか。
この章では5万km走行した場合、と条件を設けた上でガソリン車と電気自動車の燃料費を比較します。
電気自動車とガソリン車が1万km走行した際のコスト差
国土交通省によれば、乗用車の1Lあたりの走行距離は、22.0km/Lとされています。
ガソリン車はこれを基準に考えます。
電気自動車は電気で走行するため「1Lあたりの走行距離」ではなく「1km/kWh(電力量1kWhあたりの走行距離)」と表現します。
電気自動車の走行距離性能は6km/kWhとされています。
また、最近のガソリン代の平均値は「170円/L」、充電料金は自宅充電の場合「31円/kWh」です。
上記の条件を踏まえて、1万km走行した際のコストを計算してみます。
【ガソリン車が1万km走行するのに必要なガソリン量】
10000 ÷ 22=455L
【455L補給した場合のガソリン代】
455 × 170=77350円
まとめましょう。
1Lあたり170円とすると、1Lあたり22km走る車で1万km走った場合、ガソリン代は7万7350円かかるというわけです。
次に電気自動車の場合を計算してみます。
【電気自動車が1万km走行するのに必要な電気量】
10000 ÷ 6=1667kWh
【1667kWh充電した場合の電気代】
1667 × 31=51677円
まとめましょう。
家充電でかかる電気代が1kWhあたり31円とすると、1kWhで6km走る電気自動車が1万km走った場合、電気代は5万1677円かかるというわけです。
ガソリン車と電気自動車を比較した場合、実に2万円以上の違いがあることがわかりました。
これはもちろん概算であり、実燃費などは考慮していません。
しかし2万円の壁を越えることは難しいでしょう。
今後ガソリン代の値上げが検討されないとも限りませんので、そうなるとさらにガソリン車と電気自動車のコスト差が開いてしまうかもしれませんね。
10年間乗った場合のコスト差
1年間で1万km走行したとして、10年間だと10万kmです。
先述の条件のまま計算をしたとして、ガソリン車は70万円、一方の電気自動車は50万円と、およそ20万円以上の差になります。
電気自動車の種類ごとの充電料金
電気自動車の種類によっても充電料金は異なります。
ここでは、国内外で人気の電気自動車を自宅の普通充電器でフル充電した際の料金目安を表にまとめました。(電気料金:1kWhあたり31円で計算)
車種 | バッテリー容量 | 航続距離 | 充電料金目安 |
日産 サクラ | 20kWh | 180km | 620円 |
日産 リーフe + | 60kWh | 450km | 1,860円 |
日産 アリア | 66kWh | 470km | 2,046円 |
三菱 eKクロス EV | 20kWh | 180km | 620円 |
スバル ソルテラ | 71.4kWh | 567km | 2,213円 |
トヨタ bZ4X | 71.4kWh | 500km | 2,213円 |
ホンダ Honda e | 35.5kWh | 259km | 1,100円 |
マツダ MX-30 EV MODEL | 35.5kWh | 256km | 1,100円 |
日産の人気の電気自動車で比較した場合も、サクラ・リーフ・アリアはそれぞれバッテリー容量や航続距離が異なり、それに併せて充電料金も変わることが分かります。
電気自動車の購入を考える際は、どのような使用目的でどれくらいの航続距離が必要かを考えましょう。
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電気自動車の充電料金を抑えるコツ
電気自動車の維持費はなるべく抑えたいものです。
ここでは、充電料金を抑えるコツを紹介します。
充電認証カードを比較する
一般的に、電気自動車の充電スポットを利用する際は充電認証カードが必要です。
充電認証カードは、充電スポットのe-Mobility Powerや各自動車メーカーなどが発行しており、それぞれ料金設定が異なります。
自分の利用スタイルを考えたうえで、最も利用しやすく料金が安くなる充電認証カードを選びましょう。
充電スポットを比較する
利用する充電スポットにより、充電料金は異なります。
自宅周辺の充電スポットを比較して、料金の安いスポットを利用することで費用を抑えられます。
中には無料の充電スポットもあるため、探してみるとよいでしょう。
また一部の充電スポットではポイントサービスを実施しています。
充電をするたびにポイントが貯まり、貯まったポイントを利用して充電料金を支払うことも可能です。
利用するなら、できるだけお得に充電スポットを使いましょう。
電力会社の契約を変更する
自宅充電をする場合、電力会社をどこで契約しているか、どのようなプランで契約しているかを見直すことで、料金を節約できる場合があります。
電力会社によっては、使用する時間帯で料金が変わったり、他のサービスを一緒に契約した場合に割引が受けられたりするなど、お得になるケースがあります。
電力会社の比較サイトや、契約している電力会社の公式サイトなどを確認してみましょう。
エコドライブを心がける
電気自動車の運転中にエコドライブを心がけることで、運転時に使用する電力量を減らして充電頻度を抑えることができます。
エコドライブをするには、以下のような方法があります。
・エアコンの使用を控える
・発進時にアクセルをゆっくり踏む
・加速・減速の少ない運転をする
・停止時にブレーキをゆっくり踏む
・無駄な荷物を積まず、車体を軽くする
・アイドリングストップをする
上記を意識的に行うことで、燃費が改善されコスト削減につながります。
日頃から優しい運転を心がけ、エコドライブを行いましょう。
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まとめ
この記事では、電気自動車を充電する際の料金などについて解説しました。
充電方法や充電場所、車の種類により充電料金は変わります。
車の購入前に、維持費としてどのくらいの費用がかかるのかをシミュレーションしておきましょう。
電気自動車は環境に優しい車であり、今後さらに需要が高まるといわれています。
電気自動車の普及を促すため、公共のEVスタンドの中には無料で利用できるものも多く設置されています。
有料のEVスタンドを利用する場合、料金にはさまざまなものがあります。
充電認証カードや充電スポットを比較検討し、最適なものを選びましょう。
また、電気自動車は自宅で充電することも可能です。
自宅充電の場合には、家庭で契約している電力会社のプランにより料金が変わるため、これを機にプランの確認もしてみましょう。