軽自動車の黒ナンバー取得方法とは?手続きの流れや取得条件を紹介
車のナンバープレートは、自家用車や営業車などの種別によって色が異なります。
軽貨物自動車で貨物運送事業を行う場合に必要となるのが、営業ナンバーのひとつである黒ナンバーです。
近年、インターネット通販の普及などによって運送業界が人手不足であることから、黒ナンバーを取得して個人で運送業を始める人が増えています。
この記事では黒ナンバーを取得するための手続きや条件、メリット・デメリットについて解説します。
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INDEX
黒ナンバーとは?
黒ナンバーとは、黒地に黄色の文字のナンバープレートが付けられている、事業として貨物運送を行う軽貨物自動車のことです。
最近サービスが盛り上がる「Ubereats」などで見かける機会が多くなってきました。
取得に関して、個人か法人である必要性はなく貨物を輸送する目的であれば国土交通省に届け出ることで可能です。
軽貨物運送事業を行う場合、黒ナンバーの取得が必要となりますが、取得できる車種は軽貨物車(4ナンバー)、またはバイク(125CC以上)のみです。
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黒ナンバー取得のための手続きについて
黒ナンバーの取得の手続きは申請するだけで特に難しくはなく、許可や資格も不要で、提出書類に不備などがなければ最短1日で取得可能です。
その他の準備ができていれば、申請日当日に事業を開始することもできます。
以下に必要書類や手続きの流れ、申請費用についてまとめました。
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必要書類
以下に黒ナンバーの申請の際に必要な書類を紹介します。
運輸支局に提出する書類
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書(原本と控えが1部ずつ必要)
- 事業用自動車等連絡書
- 貨物軽自動車運送事業運賃設定届出書(原本と控えが1部ずつ必要)
- 運賃料金表(原本と控えが1部ずつ必要)
- 車検証のコピー(新車の場合は車体番号が確認できるもの)
- 印鑑証明
- 印鑑証明に登録している印鑑
これらの書類は最寄りの運輸支局か、運輸支局のホームページで入手できます。
軽自動車検査協会に提出する書類
- 押印済みの事業用自動車等連絡書
- 車検証の原本
- ナンバープレート(前後1枚ずつ)
- 申請依頼書(代理人が手続きする場合)
- 住民票または印鑑証明
- 印鑑証明に登録している印鑑
手続きの流れ
黒ナンバーの申請は、運輸支局と軽自動車検査協会の2箇所でそれぞれ手続きが必要です。
申請手続きの流れは以下の通りです。
- 各都道府県の運輸支局に上記の必要書類を提出
- 運輸支局より押印された事業用自動車等連絡書を受け取り、その他の必要書類とともに軽自動車検査協会に提出し、ナンバープレートと事業用の車検証を発行してもらう
- 発行された黒ナンバーを車両に取り付ける
軽自動車検査協会での手続きが終わり、ナンバープレートを取り付けたら運送事業を開始できますが、それまでに自賠責保険や任意保険の加入手続きを済ませておきましょう。
前もって必要書類を準備しておくことで、手続きがスムーズに進みます。
手続き費用
黒ナンバー取得にかかる費用は、それほどかかりません。
手続きを自分で行う場合、軽自動車検査協会で購入するナンバープレート購入代金の約1,500円と、その他印鑑証明の発行費用に500円程度かかるため、2,000円程度になります。
黒ナンバー取得するための条件とは?
黒ナンバーを取得するためには、いくつかの条件があります。
以下にその条件をまとめました。
軽貨物車両を1台以上保有する
車検証の「用途」の欄が「貨物」と記載されている、つまり4ナンバーの車両を1台以上確保する必要があります。
具体的にはいわゆる軽バンと呼ばれる車両や軽トラックなどです。
車両はリース車や中古車でも問題ありません。
自家用軽自動車を使用することもできますが、構造変更の手続きが必要です。
車庫・営業所・休憩施設がある
車庫と営業所、休憩施設を保有する必要があります。自宅を営業所、休憩施設とすることも可能です。
車庫は営業所に併設、または半径2km以内に設置します。
いずれも自己所有でも賃貸でも構いません。
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運送約款がある
運送約款とは、運送事業者と利用者との契約内容(運賃や利用料、責任事項など)を記載した文書のことで、運送事業を始める場合は必ず必要です。
運送約款は、国土交通省があらかじめ用意したものを使うのが一般的ですが、自分で作成しても構いません。
損害賠償能力がある
黒ナンバーに限らず、全ての車両には自賠責保険の加入が義務付けられています。
任意保険は必須ではありませんが、黒ナンバーを取得する場合には、事業用となるため自家用車に比べて走行距離が増える分、事故のリスクが高まると考えられます。
自賠責保険のみでは事故の際にカバーしきれない可能性があるため、十分な損害賠償能力を保有するために任意保険の加入が推奨されています。
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運行管理などの管理体制がある
過労運転や過積載などの防止など、適切な事業を運営するために管理者が必要です。
自分一人で事業を行っている場合、事業者本人が管理者であっても問題ありません。
黒ナンバーの車両を10台以上保有している場合には、事業者本人以外にもう一人管理者が必要となります。
黒ナンバーを取得するメリットとデメリットとは?
黒ナンバーを取得することで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
それぞれ以下にまとめました。
メリット
黒ナンバーでの運送業は他の運送業と違い資格は不要で、運送会社に所属しなくても、運輸支局に申請するだけで車1台、運転手一人から開業できることが大きなメリットです。
取得までの時間が短く、初期費用も車両料金以外はほとんどかかりません。
また、黒ナンバーは軽自動車であるため、普通車に比べると元々税額は低いですが、さらに税の優遇を受けられることもメリットです。
自家用軽自動車の重量税は年額6,600円、自動車税は年額5,000円ですが、黒ナンバーは重量税が年額5,200円、自動車税は年額3,800円と安く抑えることができる上に、緑ナンバー(トラックやバス、タクシーなど)では必要となる「登録免許税」が免除されます。
デメリット
黒ナンバーの任意保険の保険料は自家用車と比較して2〜3倍ほど高くなる傾向があります。
自賠責保険に関しても黒ナンバーの方が保険料は高くなります。
なぜなら、黒ナンバーの任意保険を取り扱いがある保険会社は一部の大手保険会社のみで、保険料が抑えられる通販型自動車保険では取り扱いがないからです。
また、保険の特約による割引(運転者の年齢や運転実績など)がないことと、事業用であるため自家用車より走行距離が長くなり、事故のリスクが高まると考えられることも保険料が高くなる理由のひとつです。
黒ナンバー取得は他者へ依頼できるか?
黒ナンバーを取得するためには、軽自動車検査協会へ書類を提出する必要があります。
ですが、書類を準備して運輸支局へ向かうとなると忙しくて対応できない場面も多いでしょう。
そのような時は黒ナンバーの取得を代行してくれるサービスを検討しましょう。
軽貨物運送業の届け出から黒ナンバー取得完了まで行う代行サービスがあるので、申請代行を行っている業者や行政書士を探してみましょう。
相場の費用は20,000円~40,000円前後と、自身で行うよりも高額になってしまいます。
ですが、忙しくて手続きをする時間がない人や自分で手続きをすることに不安がある人は業者に依頼しても良いでしょう。
まとめ
この記事では、軽貨物自動車の黒ナンバーの取得方法や手続きの流れ、取得のメリットとデメリットについてまとめました。
黒ナンバーの取得には、費用や手間もそれほどかかりません。
また、重量税、自動車税の優遇があり、登録免許税も免除されます。
自賠責保険・任意保険の保険料が高くなるというデメリットもありますが、運転免許証と軽貨物自動車を持っていれば、他に資格などは不要で、すぐに運送事業を始めることができます。
初期費用を抑えて運送事業で独立・開業を考えている人には始めやすいと言えるでしょう。