軽自動車の寿命と走行距離との関係は?長く使い続ける方法や買い換え時も

自動車の買い替えタイミングのひとつとして「車の寿命」があります。
出費を少しでも抑えるためにできるだけ長く乗りつづけたいと思う方も少なくないでしょう。

では、車の寿命とはどれくらいで訪れるものなのでしょうか。

この記事では、軽自動車の寿命を始めとし、長く乗るためのメンテナンス方法や乗り換えるタイミングなどについて解説します。

軽自動車の購入や買い替えを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【2023年】人気の軽自動車ベスト20をおすすめランキングで紹介!選ぶポイントも解説!

軽自動車の寿命は何年?

軽自動車

軽自動車の寿命は、普通車のおよそ7割〜8割といわれています。

一般財団法人 自動車検査登録情報協会の「車種別の平均使用年数推移表」によれば、普通車の平均使用年数は令和3年3月末で「13.87年」。
つまり、データに基づけば今の軽自動車の平均寿命はおよそ「10〜12年間」だといえるでしょう。

軽自動車の寿命を調べると「普通自動車の寿命はおよそ10年〜20年。走行距離も20万キロほど」、「軽自動車の寿命は普通自動車の70%〜80%程度」といった文言がよくみられます。実際のデータにも近い数字ですので、頭の片隅にいれておくとよいでしょう。

軽自動車の法定耐用年数

軽自動車の寿命を考える要素として「法定耐用年数」があります。法定耐用年数とは、国が定める新車にて算出された耐用年数です。この基準によると、軽自動車の法定耐用年数は4年となっています。

法定耐用年数は、車両の減価償却を計算する際に必要なため算出されているという背景があります。
そのため、実際は耐用年数以上に走行することは十分可能なのです。

国産軽自動車の寿命を迎えるまでの目安

近年の国産軽自動車は、比較的耐久性が高いといわれています。
しかし、軽自動車はパーツの耐久性などの理由で寿命が短くなるケースもあります。

なお中古車の場合は、以下の計算式でおおまかな寿命を求められます。

耐用年数 = 法定耐用年数-経過した年数+経過した年数×0.2

維持費の面では、13年目以降は自動車税が増額されます。
10年目以降は税金だけではなくメンテナンスにもコストがかかる傾向があり、金銭面での負担が増えることも覚えておきましょう。

「車の寿命は長いほどよい」というわけではないのです。

車の寿命を延ばす方法

同じ車に10年以上乗りつづけるには、適切な運転とメンテナンスが大事です。
車は決して安い買い物ではありません。できる限り長く乗り続けたいというのが正直なところでしょう。

次はそのための行動をご紹介します。

寿命を延ばす方法4選

車の寿命を延ばす方法はいくつかあります。今回は一例を紹介します。
また、以下の方法は危険なため、ディーラーや修理工場に相談、依頼をしてください。

  • エンジンオイルの交換
  • タイヤのローテーション・交換
  • ブレーキフルードの交換
  • 冷却水のチェック

エンジンオイルの交換

エンジンオイルは主にエンジン機能の潤滑化、後に記述するスス、金属粉などの不純物を一定の場所にとどまらせないためにあります。
エンジンをスムーズに回転させる、部品同士を滑らかに動かすという役目を持つ重要なものです。

しかし、走行しているうちに、ガソリンの燃焼によるススや、部品の金属粉などの不純物により汚れが溜まっていきます。
そのまま走行し続けると、エンジンが摩耗し、燃費の低下やエンジンの故障、最悪の場合は火災の原因にもなります。

交換の目安は一般的にガソリンターボ車の場合5,000kmまたは半年、ガソリン車の場合15,000kmまたは1年と言われていますが、走行状態により早めの交換を行った方がいい場合(シビアコンディション)もあるので、目安を信用しすぎずに早めにプロに相談をして予知保全に取り組みましょう。

特に、エンジンオイルランプが点灯した場合は早急な処置が必要です。

タイヤのローテーション・交換

タイヤは車に4つありますが、負担のかかり方は違います。

右折が多いか左折が多いかなど、使用状況によって負担のかかり具合は違ってきます。
また、FF(前輪駆動)車の場合は、前輪に負担がかかりやすくなるなど、どうしても「4輪をバランスよく使う」ということは難しいところです。

当然、負担の多い箇所のタイヤは摩耗しやすく、負担の少ない箇所のタイヤは摩耗しにくいので、タイヤのローテーションを行い、バランス良くタイヤを使うことが重要になってきます。

また、ローテーションで長持ちさせることはできても、タイヤは消耗品です。
いすれ交換しなければならないものです。

道路運送車両法第三章「道路運送車両の保安基準」に基づき、溝の深さが1.6mm未満のタイヤは使用してはいけないと定められ、車検に通りません。

しかし、1.6mmはあくまで車検に通るか通らないかのラインであり、場合によっては早めに交換した方がいい場合もあります。
一例として、表面の一部がツルツルになっている、ひび割れがある、金属片などが刺さっている場合などは、危険ですので、乗る前にタイヤの点検を行いましょう。

走行距離32,000km、使用開始後4年などが目安と言われてはいますが、あくまで目安なのです。

パンクや破裂(バースト)、ハイドロプレーニング現象により、車体の不備だけでなく重大な事故に繋がります。

ブレーキフルードの交換

ブレーキフルードとは、ブレーキオイルともいい、ブレーキペダルからブレーキパッドまで、各パーツのブレーキの一連の動作の制動力を担保するために重要です。

ブレーキフルードは吸湿性があり、空気中の湿気を液内に取り込んで時間と共に性能が低下します。

湿気を取り込むと沸点は下がります。
そのような時にブレーキから沸点を超えるほどの熱が伝わったら、沸騰して気泡ができ、圧力の伝達力が弱まります。(ペーパーロック)

こうなるとブレーキペダルを踏んでも正確に力が伝わらず、ブレーキが効かなくなります。

要するに、劣化したブレーキフルードを使い続けると、ベーパーロック現象を引き起こしやすくなり、結果、ブレーキが効かなくなるというわけです。

一般的に、ブレーキフルードの交換時期は2~4年と言われています。
しかし、これもまた目安なのです。

ブレーキを踏んだ時に、空振りするような感覚、踏み心地がないような感覚になると、もうそれは交換の合図です。

ブレーキの不調は交通事故に直結するため、常日頃から意識をしておきましょう。

冷却水のチェック

冷却水はクーラント液とも呼ばれ、エンジンを冷却するための液体です。

不足するとエンジンの異常な加熱「オーバーヒート」を引き起こし、ラジエーターの故障につながります。

補充だけなら自分でできるかもしれませんが、交換となると、ラジエーターの洗浄や廃棄物処理の必要性が出てくるため、プロに依頼するのがベターです。

冷却水は水とは書きますが、水ではなくエチレングリコールや、プロピレングリコールなどを主成分とする液体です。
水だと冬場に凍ってしまうためです。

補充のタイミングは、エンジンルーム内のラジエーター補助タンクで確認ができます。
目盛りがあるため、液面が適正な範囲内に収まっていれば正常です。

交換の目安は、
赤や緑色の冷却水(LLC:ロング・ライフ・クーラント)の場合は2年
青やピンクの冷却水(スーパーLLC)の場合は7年

と言われたりしますが、あくまで目安です。

濁ってきた場合や、上記4色以外の冷却水(ディーゼル、輸入車など)の場合はまた変わってきます。

濁り方のチェック、ご自身の車の冷却水の種類から、早めの予知保全が大切です。

軽自動車に長く乗り続けるための方法

普通車と比較した場合、耐久性が劣る場合もある軽自動車ですが、定期的にメンテナンスを行うことで、長く乗り続けられます。

ここでは、軽自動車の寿命を延ばすための方法・心掛けを解説していきます。

関連記事:車のバッテリー交換時期は?寿命や劣化のサイン、長く使うコツまで解説

定期的なメンテナンスを心掛ける

定期的なメンテナンス、特に部品交換を通して軽自動車の寿命を延ばすことができます。寿命を延ばすために定期的に交換したい部品は以下の通りです。

  • バッテリー
  • オルタネーター
  • スプリング

また以下の交換も車の寿命を延ばすのに有効です

  • エンジンオイル
  • CVTフルード

こまめな洗車も

車体は紫外線や雨水に触れることで劣化していきます。紫外線や雨による刺激から守るためには、定期的な洗車と定期的なワックスがけも有効です。

洗車を通して車の状態を確認するクセが付いていると、サビや凹み、キズなどを発見しやすいです。
そうなった場合にはすぐに対処できるため、被害を最小限に抑えることにつながります。

関連記事:車の傷は消える?修理方法の注意点・修理時の費用について解説!

安全運転を心掛ける

急発進や急加速、急ハンドルなどの荒い運転は、エンジンや車体に負担をかけます。余裕を持った運転を心がけましょう。

加えて、エンジン回転数を必要以上に上げないようにすると負担を減らせます。
ゆっくり発進したり、停車や減速の際にエンジンブレーキを使うことでエンジンの回転数を抑えられ、車の寿命を延ばすことに繋がります。

関連記事:軽自動車の安全性は高い!安全な軽自動車の見極め方を紹介

もう寿命かも?みるべき3つのサイン

軽自動車が寿命を迎えるといくつかのサインが現れます。
これらのサインが現れたときは、残念ながら愛車との別れのタイミング。新しい車への乗り換えを検討しましょう。

ここでは、寿命のサインを3つ紹介します。

サイン1:故障する回数が増えた

各パーツが故障する回数が増えてきたら、その車はそろそろ寿命と考えてよいでしょう。

具体的には、なにかを修理してから1年経っていないのに別の場所が故障した場合などです。
故障した箇所の部品交換のみで済むこともありますが、連続して故障が起こるときは車全体で劣化が進んでいると考えられるでしょう。

サイン2:走行性能が悪くなってきた

特に故障していなくても、運転していて以前より走行性能が悪くなったと感じた場合は寿命の可能性が高いです。

走行性能で分かりやすい変化は次の2点です。

  • いつもよりアクセルを踏まなければ走らなくなった
  • 燃費が極端に悪くなった

いつもよりアクセルを踏まなければ走らなくなった

発進時や急な上り坂でパワーダウンを感じた場合は、エンジン周りの部品が劣化している可能性があります。
エンジンが劣化するとアクセルを踏む際に駆動系にパワーが伝わるまで時間がかかるようになります。
結果として、アクセルを強く踏まなければならなくなるのです。

燃費が極端に悪くなった

エンジンやサスペンション、ブレーキなどが劣化してくると、本来の走行性能を発揮できなくなります。
燃費が悪化した場合は、基本的にはそれらの部品を交換することで改善可能です。

しかし、部品を交換してもすぐに燃費が悪くなる・改善が見られない場合は、全体的に劣化が進んでいる証拠でしょう。走行距離が10万kmを超えると、燃費が悪くなる傾向にあります

サイン3:異音や振動を感じるようになった

車から異音や振動を感じるようになった場合も寿命を迎えた可能性が高いです。
特に振動が発生しているときは、エンジン周りが劣化していることが多いです。

車の整備士は異音の種類や特徴によってどの部分が悪くなっているかを特定できます。
まずはサービスステーションやディーラーの整備士に相談しましょう。原因となっている部品をすべて交換するよりも、車を新しく購入した方が安価で済む場合もあります。

軽自動車を乗り換えるタイミング

寿命が近づいてきた軽自動車をそのまま乗り潰すのか、下取りに出して買い替えるのかは、悩ましいところです。
タイミングを間違えて損をしたくない人は多いでしょう。

トータルコストを抑えられる乗り換えのタイミングとしては下の3点をおすすめします。

  • 走行距離8万〜9万kmになった
  • 3回目の車検を受ける前
  • ローンの支払いが終了した

関連記事:車の買い替え時期はいつがよい?必要書類や買い替えの注意点なども解説

関連記事:車の廃車費用はいくらかかる?費用相場や内訳を含めて解説

走行距離8万〜9万kmになった

車の買取価格は10万kmを超えると大きく下がる傾向があります
車を下取りに出したいと考えている場合は、走行距離8万〜9万kmが価格の付く最終ラインです。

3回目の車検を受ける前

3回目の車検を受ける時期には、部品の劣化も始まっていることが多いです。
そのため、1~2回目の車検と比べ、部品の交換代や修理代が多めにかかる傾向があります。

コストを抑えるため、車検前に買い替えてもよいでしょう

ローンの支払いが終了した

月々のローンを支払い終わったタイミングで買い替えるのも一つの方法です。

ローンが残ったまま買い替える場合、残額を一括返済する必要があったり次の車のローンに上乗せされる場合もあり、経済的な負担が増えてしまいます。

5年で50%、10年で0%のタイミング

車の価値が下がるタイミングとして、5年で50%・10年で0%と言われます。
その理由として、減価償却費の考えがあります。
定率法で算出する場合は減価償却費が毎月減少していくことから、経費的恩恵が少なくなりがちです。

また年数が経つほど、市場は新たな型式やオプションが出回り、車両自体の価値が低下します。
そして軽自動車は軽量化に重点を置いた作りになるため、普通車に比べて部品の耐久が低い部分も多々あります。

このように、車両の価値だけでなく外的要因み時期によって大きく変わりやすいです。
そのため5年で50%・10年で0%と言われるため、1つの節目としても良いです。

愛車に13年目を超えると高くなる自動車税に注意

愛車に長く乗り続けるにあたって生じる注意点について解説していきます

新車から13年が経過すると自動車税と自動車重量税が上乗せされます。

13年が経過して安全機能が古くなった車や、排出されるガスの量が多く地球環境に大きな負荷をかけることになる環境性能が悪い車ほど、重課税がされ維持費が高くなります。

自動車税は、用途や総排気量によって税額が異なります

「自家用乗用車」と「軽自動車」に分類され、「自家用乗用車」は排気量ごとに定められた税額軽自動車」は一律されています。

また、初年度検査が行われた時期によって差額が違うため、確認しておきましょう。

初年度検査の時期別「軽自動車税額」

  • 初年度検査平成27年3月31日以前の軽自動車
    13年未満:7,200円
    13年目以降:12,900円
  • 初年度検査平成27年3月31日以降の軽自動車
    13年未満:10,800円
    13年目以降:12,900円

新車登録から13年が経過すると、それ以降は毎年この差額が上乗せされるので注意が必要です。

まとめ

軽自動車の寿命は一般的に10年・10万kmといわれていました。しかし近年では、軽自動車の耐久性能も高くなり、それ以上の寿命が望めるようになりました。これはメンテナンス状況や運転の仕方によって、短くなったりさらに延ばしたりすることが可能でしょう。

軽自動車の寿命を延ばすためには定期的なメンテナンス、早めの故障部品の交換、そして丁寧な洗車を心掛けることです。買い替えの際は、完全に寿命を迎える前に下取りに出せば、コストを抑えやすいでしょう。

この記事を書いた人

自動車ニュースのWEBマガジン

カーナレッジ編集部

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