ディーラー車検は高い?費用を抑える方法・特徴・メリット・デメリットを解説

車検に出す先としてディーラーや中古車販売店、カー用品店、整備工場、ガソリンスタンドなどさまざまです。その中で、ディーラーはメーカーからの信頼性が高く、車検を受ける際に安心感があります。

特に、新車を買ったディーラーで、車検費用も分割で支払っている方もいらっしゃいます。

しかし、ディーラー車検は費用が高い傾向にあるため、本当にこれでいいのか、もっと良い依頼先があるのではないかと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ディーラーの車検にはどのような特徴やメリット、魅力があるのか、そして他の業者との違いについてまで、詳しく解説していきますので、ぜひご参考になさってください。

費用を抑えるポイントなども紹介するため、車検の依頼先に悩んでいる方の選択のきっかけになれば幸いです。

関連記事:PIT in plusで車検の期間や日数を管理!定期的なメンテナンスも!

ディーラー車検の概要

事故イメージ

ディーラー車検とは、ディーラー(販売店)に車検を依頼することです。
特に、新車を購入したディーラーでそのまま車検もお願いしているという方が多いでしょう。

一般的な販売店がさまざまなメーカー車を販売できるのに対し、ディーラーは特定メーカーと特約店契約を結んでいるため、販売対象車は1つのメーカーのみに限定されています。

新車購入時でなくても、ディーラーであればメーカー内であれば幅広い車種を取り揃えており、スタッフの専門知識も豊富なため、的確なアドバイスが受けられる上に、乗っている車種の純正パーツも手に入りやすいほか、メーカー保証などアフターフォローも充実しています。

このようにディーラー車検では、メーカーに特化した整備士が車を隅々までチェックしてくれるほか、部品も純正品を使用してくれるなど、手厚いサポートが受けられます。

ディーラー車検は販売店よりも整備の質が高く、何よりメーカーが実施してくれるという安心感が大きな魅力といえるでしょう。

実際に「株式会社ネクステージ」が実施した調査においても、回答者全体の50.4%がディーラー車検を選んだという結果が出ています。
(※参照元:【車検 実態レポート】車検はいつもどこに出す?車検に関する意識調査 | 株式会社ネクステージのプレスリリース

車検の費用の内訳

車検の価格イメージ

車検費用は大きく分けると3つの費用に分かれており、内訳は下記の通りです。

  • 検査費用(車検基本料)
  • 法定費用
  • 部品代(必要な場合のみ)

部品に不具合がない場合、車検にかかる費用は「法定費用」と「基本料」の2つです。
この内、法定費用は自賠責保険料や自動車重量税、印紙代などの税金のため、どこで依頼しても金額は変わりません。

一方、基本料は作業費や部品代、検査費、事務手数料など人件費が中心のため、業者によって費用が異なります。

検査費用(車検基本料)

「検査費用(車検基本料)」とは、車検を受ける際に必ず発生する費用です。
この車検基本料は業者ごとに異なるため、車検の費用に差が出ます。

ディーラーの場合は、他の業者に比べて割高に設定されている場合が多く、車検基本料の相場は35,000〜100,000円ほどでしょう。

法定費用

続いて、車検に必ず必要となる費用が「法定費用」です。

法定費用とは、自動車重量税と自賠責保険料・検査手数料(印紙代)を合計した費用のことであり、どの業者に依頼した場合でも料金は同じです。

車種や重量などによって金額は異なりますが、費用相場は28,000〜60,000円ほどでしょう。

関連記事:車検費用における法定費用とは?内訳や支払い方法について解説

部品代

部品代は点検箇所の部品交換が必要な場合のみかかる費用であり、ディーラーは、修理・交換後の安全性を保つために純正部品を使用します。

そのため、他の業者と比べて部品代が割高になってしまうでしょう。

ディーラー車検は高い?費用相場シミュレーション

ディーラー車検が割高になる理由は、基本料が高いためです。

例えばトヨタのディーラーに依頼した場合、車検費用は以下のようになります。

車種法定費用基本料
軽自動車25,940円39,600円
プリウス(1.5t 以下)34,450円48,400円
ヴィッツ・ヤリス・ライズ
(1.0~1.5t以下)
44,050円44,000円
WISH・VOXY(1.5t以下)44,050円48,400円
VELLFIRE(2.0t 以下)52,800円52,250円
車種合計
軽自動車65,540円
プリウス(1.5t 以下)82,850円
ヴィッツ・ヤリス・ライズ
(1.0~1.5t以下)
88,050円
WISH・VOXY(1.5t以下)92,450円
VELLFIRE(2.0t 以下)105,050円
※参照元:ネッツトヨタ北九州
※令和5年12月現在(税込)

一方、大手カー用品店であるイエローハットの車検費用は以下のようになります。

車種法定費用基本料
軽自動車25,740円34,246円
車両重量(1.0t~)35,650円34,246円
車両重量(1.5t~)43,850円34,246円
車両重量(2.0t~)52,050円34,246円
車種合計
軽自動車59,986円
車両重量(1.0t~)69,896円
車両重量(1.5t~)78,096円
車両重量(2.0t~)86,296円
※参照元:イエローハット大田千鳥
※令和5年12月現在(税込)

このように、イエローハットの基本料は同額のため、重い車ほど車検費用がお得です。

その他、車検専門店である「コバック」では簡単な整備に留める「スーパーテクノ車検」と高品質な整備が受けられる「スーパーセーフティー車検」の2つがあります。

ここでは「スーパーテクノ車検」の費用についてまとめました。

車種法定費用基本料(全国価格)
軽自動車25,740円14,300円
車両重量(1.0t~)35,650円14,300円
車両重量(1.5t~)43,850円14,300円
車両重量(2.0t~)52,050円14,300円
車種合計
軽自動車40,040円
車両重量(1.0t~)49,950円
車両重量(1.5t~)58,150円
車両重量(2.0t~)66,350円
※参照元:車検のコバック
※令和5年12月現在(税込)

このように、さまざまな業者を比較すれば、ディーラー車検の費用が高額であることが分かります。

車検費用をその他の業者とも比較

車検は整備工場やガソリンスタンドなど、ディーラー以外でも受けられます。

ここでは、あらゆる車検業者の特徴や基本料金の費用感について紹介します。

もちろんどの業者であっても、部品に重大な損傷などの欠陥があればプラスで費用がかかります。

整備工場

整備工場に依頼した場合の車検費用の相場は、50,000〜120,000円ほどです。

整備工場の車検では、メーカーや車種を問わず、幅広く対応できるのが特徴です。

しかし、工場の設備や整備士によって技術力が異なるため、依頼する前に整備項目や評判について確認しておくとよいでしょう。

車検基本料の相場は、30,000円~60,000円ほどであり、追加で法定費用や部品代がかかると考えてもディーラーより費用を抑えられるでしょう。

なお、部品交換時に純正部品を希望する場合には、確認が必要です。

車検専門店

車検専門店とは、車検専門の業者のことを指します。有名な専門店を挙げると「車検の速太郎」や「車検のコバック」などです。

車検専門店は選べるプランが多く、即日車検などスピーディーな対応が可能ですが、、車検費用の目安としては30,000円~80,000円ほどです。

車検専門店は車検費用の安さを売りにしており、車検基本料の相場も15,000~30,000円と比較的安価に設定されているため、総額も下がる傾向にあります。

まさに、コストと時間を優先したい人にとっては重宝します。

ただし、費用を抑えられる分、必要最低限の整備になることもあり、より安全に走行するためには別途メンテナンスが必要になってくる場合もあります。

ガソリンスタンド

ガソリンスタンドの車検は、基本料金が10,000~40,000円前後と低価格で、営業時間が長いのが特徴です。

夜間も受け付けているため、ライフスタイルにあわせて利用できます。

しかし、店舗によって設備や技術にばらつきがあるため、質の高い整備を求める場合は注意が必要です。

料金も安くポイントも付与される場合が多いため、極力費用を抑えたい方へ向いています。

カー用品店

カー用品店でも車検を受けることが可能です。車検対応の部品などが豊富にあり、メーカーや車種を問わず幅広く対応します。

基本料金が20,000~40,000円前後のため、コストを抑えて車検を受けられます。

しかし、店舗によって設備やプランなどが異なるため、事前に受けられる点検・整備の確認が大切です。

ユーザー車検

ユーザー車検とは、自分で車を陸運局へ持ち込み、検査を受ける方法です。

ユーザー車検には車検基本料は必要なく、検査手数料と法定費用のみで車検を受けられます。

ユーザー車検は、最も安価で車検を受ける方法ですが、自身で車を整備する必要があるため、車の構造に関する知識が必要です。

ディーラー車検の費用を抑える方法

ディーラー車検は割高ですが、品質の高さから安心して任せられるため、ディーラー車検を希望する人は多いでしょう。

そこでここでは、ディーラー車検費用を安く抑える方法を紹介します。

見積もりを見て余計な項目は省いてもらう

1つ目のコツは余計な項目は省いてもらうことです。

ディーラーで車検を受ける場合は、必ず事前に見積もりをとりましょう。口頭の目安費用ではなく、必ず見積書を作成してもらうことが大切です。

ディーラーでも、無料で見積もりをしてくれる場合が多いですが、ディーラーによって対応は異なるので、事前に確認しておくと安心です。

ディーラーに車検の見積もりを依頼する際の手順は下記のとおりです。

  • 見積もりの依頼の連絡し、予約をする
  • 予約した日に車を持って行き、受付する
  • 受付後、見積もり完了まで待機し、結果を受け取る

見積もりには15分〜1時間程度を想定し、車検証を持参しましょう。見積もりをしたからといって、必ずそこで車検を依頼する必要はありません。

見積書には、すぐには交換が必要ない部品も含まれている場合があります。
そのため、見積書を確認し、不要な項目があれば外してもらうことで費用を抑えられるでしょう。

また、ディーラー車検は整備・点検のほかにも、洗車やコーティングなど手厚いサービスを実施してくれますが、もしそれらのサービスが不要な場合、省いてもらうようお願いしましょう。

ほかにも、次回車検時を見越した部品交換もディーラー車検ではよく行われますが、不要であれば断ることが可能です。

見積もりを作成してもらうと、費用の内訳が分かるので、どの項目が不要であるか確認した上で車検に出すと費用を大きく抑えられるでしょう。

ただし、ディーラーのアドバイスを聞かなすぎて、車検を通すためだけの状態にしてしまうと、他の依頼先とあまり変わらないという元も子もない状態になってしまいます。不明点はきちんと聞くことが大切です。

関連記事:車検の見積もりにかかる時間や車検の見積もりの必要性について解説

3月・9月は値引きされやすい

2つ目のコツとして、車検の時期を3月・9月に合わせるのがおすすめです。

ディーラーにとって3月・9月は決算期であり、販売目標を達成するためセールを実施したり値引きに応じたりしてくれます。

車検も同様にこの時期を狙いましょう。ディーラーにとって売上獲得につながるため、値引きにも応じやすいです。

ディーラー車検のメリット

続いては、ディーラー車検のメリットを詳しく見ていきましょう。

純正部品を使用する

車検の際、部品が劣化している箇所は新品部品に交換されますが、ディーラーではメーカー純正部品に交換してくれます。

純正品はメーカーの品質テストや厳しい基準をクリアするなど、品質が担保されているため高い安心感があります。

一方、カー用品店や整備工場は社外品に交換することが多いです。

純正部品以外は価格が安価な分、質にバラつきがあるため、部品によっては車の性能を十分に発揮できないほか、不具合が出る恐れもありますし、劣化などのリスクを考慮しておく必要もあります。

また、車両を売却するときに、純正部品の方が高い評価を得られる傾向があります。

売却を予定している場合には、より安全で信用の高い純正部品の使用を検討しましょう。

メーカー保証がある

ディーラー車検では純正部品を使用するため、トラブル発生時には無償で修理や部品交換してもらえるメーカー保証の対象です。

そのため、車検後もより安心して乗車できるでしょう。

一方、社外品の場合は故障や不具合があっても保証を受けられず、修理・交換は自腹で済ませなければなりません。

質の高い整備を受けられる

ディーラー車検で特に魅力的な点は、整備品質の高さです。

ディーラー車検では「予防整備」と呼ばれる小まめな部品交換が実施されます。

例えばブレーキパッドやエンジンオイルの汚れが発覚した場合、次回車検時までにトラブルにつながる恐れがあれば積極的に部品交換をしてくれるでしょう。

また、コンピューターを用いた検査によって、目視では捉えられない不具合も積極的に探知してくれるほか、整備士もメーカー研修を受けたプロであるため、整備技術も高いです。

このようにディーラー車検は車検時だけでなく、車検後まで安心して車に乗れるよう整備と、細かな箇所まで抜かりなく点検してくれます。

ディーラーの整備士は、メーカー車に関する豊富な知識を持っているのが特徴です。

例えばメーカー車ならではの起きやすい不具合や癖にも精通しており、異変を敏感に察知し不具合を防ぐための対処方法を取ってくれます。

また、設備に関してもディーラーにはメーカー専用の点検器具・工具が完備されているため、自分の車に最適な点検をしてもらえるでしょう。

ディーラー車検のデメリット

ディーラー車検の主なデメリットとして、以下の2点が挙げられます。

  • 費用が高めである
  • 販売店の中では特に時間がかかる

費用が高めである

何度も言ってはいますが、ディーラー車検は販売店の中で特に割高な傾向にあります。

カー用品店や整備工場と違い純正品部品を使うほか、予防整備やスタッフの整備技術などサービスの品質が高いため、高額になりがちです。

販売店の中では特に時間がかかる

車検にかかる時間は最短数十分で終わることもあれば1週間以上かかるなど、販売店や店舗の状況によって異なります。

さらにディーラーの場合、検査項目も多く整備も細部にわたって実施されるため、販売店の中では特に所要時間が長いです。

具体的な時間は店舗や混雑具合によって異なりますが、少なくとも1日以上、場合によっては1週間以上待たされることもあります。

一方、中古車販売店によっては1日車検や最短45分など短期間で終了するプランもあるため、時間を節約したい人はディーラー以外を利用するのがよいでしょう。

ディーラー車検の流れとスケジュール

ディーラーに車検を依頼する場合の基本的な流れと、費用相場について説明します。

車検の見積り予約

車検を依頼する際は、まずディーラーの店舗やホームページから見積り予約します。

見積り作成は基本的に無料ですが、店舗によっては有料の場合もあるため、予約時に確認しておくことをおすすめします。

見積り作成・内容確認

予約日になったら車両を持ち込みます。
担当者へ車の状態や気になる点などを伝え、見積りを作成してもらいます。

作成された見積りの内容を確認し、項目や金額など不満点があれば交渉しましょう。納得ができれば車検を依頼します。

車検の依頼

正式に車検を依頼することを決めたら日程を予約します。

車検にかかる日数は、車の状態や混雑状況によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。

必要書類を用意する

車検の日程が決まったら、必要書類を用意しておきましょう。車検に必要な書類は下記の通りです。

  • 車検証
  • 自賠責保険証明書
  • 自動車税納税証明書
  • 印鑑
  • 車検費用

業者によっては車検費用の後払いが可能な場合もありますが、一般的に法定費用は、前払いとなっているため注意しましょう。

車を預ける

車検当日は、必要書類を持ってディーラーに車を預けましょう。
代車が必要な場合は事前に伝えておくことで用意してくれます。

車検完了後車を引き取って終了

車検完了後は、ディーラーから連絡があります。連絡があれば車を引き取って車検は終了です。

また、車を引き取る際に車検証が作成できていない場合は、後日ディーラーより郵送してくれることもあるでしょう。

代車を返却するときは、返却前に忘れずに給油して、ガソリンを満タンにして返却するようにしましょう。

車検費用を支払い、車を引き取って終了です。

まとめ

車修理のイメージ

ディーラー車検は予防整備やメーカー保証など、ほかの販売店よりも手厚いサポートを受けられる上、純正部品を使用してくれるなど高い安心感とメリットがあります。

ただしその分、費用は割高なのがネックであり、販売店の中では高額になりがちです。

そのため、ディーラー車検は品質や安心感を求める人には向いていますが、費用を抑えたい人はカー用品店や整備工場に依頼した方がよいでしょう。

なお、今回紹介したように、ディーラー車検でも費用を抑える方法はあるため、少しでも費用を抑えたい人はぜひ活用してみてください。

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この記事を書いた人

自動車ニュースのWEBマガジン

カーナレッジ編集部

カーナレッジはクルマの知識をわかりやすく提供する自動車ニュースメディアです。新車・中古車の最新情報やメーカー・ボディタイプ・メンテナンスなどの基本知識まで。自動車のことがすべて分かるWebマガジンです。

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