無断駐車されたときの対処法とは?無断駐車されないための予防策も解説
私有地や契約している場所に無断駐車された場合に、どのような対応をすればよいのか悩む人も多いのではないでしょうか。
すぐにレッカー移動すると、車に傷がついたなどのトラブルに発展するため、自身には非がない適切な対応が求められるでしょう。
この記事では、無断駐車された場合の適切な対処法や予防策について解説していきます。
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無断駐車と違法駐車の違い
無断駐車は、土地の所有者に許可を得ていない状態で駐車することです。
他者の所有地に駐車する場合は、許可を得る必要があります。
無断駐車は道路交通法違反には該当しないため、警察が介入して罰則を科すことはできません。
大きなトラブルに発展した場合は、訴訟して解決する必要があります。
無断駐車と間違えやすいのが違法駐車です。
違法駐車とは、道路交通法第44条・45条で定められている駐車禁止の場所に車を停めることを指します。
たとえば、駐車禁止の標識が設置されている場所や、バス停から10m以内の場所、曲がり角から5m以内の場所などは、駐車禁止区域として道路交通法で定められています。
また、違法駐車は法律違反とみなされるため、罰則が科されます。
無断駐車された場合の対処法
ここでは、無断駐車された場合の対処法を5つご紹介していきます。
相手とのトラブルに発展しないように、事前に把握しておきましょう。
駐車場の管理会社に連絡する
月極駐車場で自身の駐車場所に見知らぬ車が停まっていた場合は、車の種類やナンバーを控えて管理会社に連絡しましょう。
さまざまな車が駐車される月極駐車場では、場所を間違えて駐車している可能性もあります。
駐車場所を間違えているのであれば、管理会社から契約者に連絡して車を移動してもらうことで、トラブルに発展することなく円滑に対応してもらえるでしょう。
張り紙で知らせる
管理会社に連絡するとともに、張り紙で車の持ち主に知らせる方法もあります。
ワイパーに無断駐車であることを記載した紙を挟み、車の持ち主が無断で駐車していることに気づくように対処しましょう。
ただし、「〇日までに移動させないと罰金〇円」といった文言を書いても、実際に罰金を請求できる権利は発生しません。
また、張り紙をするときに車を傷つけてしまうと、損害賠償を請求される可能性もあります。
警察に通報する
管理会社から無断駐車した車の所有者に連絡しても改善されない場合は、警察に通報する方法もあります。
警察に連絡するときは、詳細を説明できるように車の種類やナンバー、色などを控えておきましょう。
ただし、警察は犯罪とは関係がない個人間の争いには介入しないため、対応してもらえない可能性もあります。
行政書士を通して内容証明を送る
管理会社や警察に相談しても解決しない場合は、行政書士を通して無断駐車する相手に内容証明を送る方法もあります。
駐車場の住所や無断駐車された日時、車の写真などを揃えて行政書士に相談すれば相手を特定することが可能です。
また、内容証明を送ることで、公的な記録として残り、訴訟に発展した場合には効果を発揮します。
行政書士は、弁護士に相談するよりも安価で素早く対応してもらえるでしょう。
弁護士を通して損害賠償請求を送る
何度注意しても無断駐車が改善されない場合は、弁護士を通して訴訟することも可能です。
実際に、無断駐車した相手に対して損害賠償請求が認められたケースもあります。
ただし、損害賠償請求するには、時間やお金をかけて訴訟を行わなければなりません。
何度も裁判所に足を運び、証拠を提示する必要があります。
時間やお金をかけたにもかかわらず、損害賠償請求が認められないケースがあることも理解しておきましょう。
関連記事:違法駐車に遭遇した場合の通報先や対策法について解説!
無断駐車の予防策
ここからは、無断駐車を予防するためにできることを3つご紹介していきます。
事前に対策を行いトラブルに巻き込まれないようにしましょう。
無断駐車禁止の看板を設置する
無断駐車のなかには、私有地であることに気づかずに駐車しているケースがあります。
そのため、無断駐車しないでほしいことを看板で知らせましょう。
また、看板には「無断駐車した場合は〇万円を申し受けます」と表示することで、無断駐車した相手から〇万円を受け取れる場合があります。
これは、看板に記載されている料金〇万円を支払うことに同意したうえで駐車しているとみなされ、民法527条に該当するためです。
ただし、請求する金額が高すぎると民法90条に反してしまい無効となる可能性があるため注意しましょう。
カラーコーンを置く
駐車してほしくないスペースにカラーコーンを置いたり、チェーンを設置したりするのも無断駐車の予防策として効果的です。
カラーコーンが置かれていたり、チェーンが設置されていたりすると、一目で駐車禁止場所であることが理解できます。
また、駐車する場合は運転席から降りてカラーコーンを移動させなければなりません。
そのため、カラーコーンを移動させてまで無断駐車する人は少ないでしょう。
防犯カメラを設置する
無断駐車を防ぐには、駐車スペースに監視の目が行き届いていることを示すのがポイントです。
防犯カメラを設置することで監視の目が気になり、無断駐車の抑制が期待できるでしょう。
また、無断駐車された場合も車の情報を記録として残せるため、訴訟する際の証拠としても活用できます。
無断駐車に対してやってはいけないこと
私有地や契約している場所に無断駐車された場合は、すぐに車を移動させたいと考え人も多いでしょう。
しかし、感情のままに行動すると自分が損してしまう場合があるため注意が必要です。
ここでは、無断駐車している車に対してやってはいけないことについて解説していきます。
車に傷をつけてはいけない
無断駐車しているからという理由で、相手の車を傷つけてはいけません。
腹を立てて傷をつけると、器物損害の罪で損害賠償を請求されてしまう可能性があります。
警告文の張り紙をする際にも、テープで貼り付けてしまいボディやガラスに跡が残ると、損害賠償を請求される可能性があるでしょう。
レッカーで強制撤去してはいけない
自らレッカーを手配し、無断駐車している車を強制撤去することは「自力救済禁止の原則」に反する可能性があります。
日本では、被害を受けた側が自ら相手に制裁を加えたり、権利を回復させたりなどの自力救済が禁止されています。
そのため、強制的に移動させるのではなく、管理会社や警察への相談や訴訟を起こすなどの方法で解決しましょう。
タイヤをロックしてはいけない
無断駐車した車のタイヤをロックして動けないようにすることも行ってはいけません。
タイヤをロックしたことによりホイールが傷ついてしまい「器物損害」の罪に問われる可能性があるでしょう。
感情的になって対応すると相手に危害を与える可能性があるため、落ち着いて対応することが大切です。
まとめ
この記事では、無断駐車されたときの対処法や予防策などについて解説しました。
無断駐車とは、土地の所有者の許可なく駐車することです。
違法駐車と異なり、道路交通法違反に問われないため、警察が罰則を科すことはできません。
無断駐車された場合は、管理会社や警察に相談したり、張り紙で警告したりなどの対処法を試みましょう。
これらの行動で解決しない場合は、損害賠償を請求する方法もあります。
無断駐車された場合は、落ち着いて冷静に適切な対処法を判断することが大切です。