車にあるA/Cボタンはどう使う?使い方や燃費との関係などを解説
車に搭載されているエアコンの多くは、家庭用エアコンのような暖房・冷房・除湿・送風を切り替えるスイッチがありません。
車のエアコンで目にすることが多いのは、温度の上げ下げや風量の強弱を変更できるダイヤルやスイッチ、外気導入と内気循環を切り替えるスイッチ、オン・オフのスイッチ、A/Cボタンなどです。
今回は、車のエアコンにあるA/Cボタンの役割がよく分からない人に向けて、A/Cボタンの意味や使い方、燃費との関係性について解説します。
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INDEX
車のA/Cボタンの意味とは?
車に搭載されているエアコンのA/Cボタンは、「エアーコンディショニングシステム」を稼働させるスイッチです。
エアーコンディショニングシステムが稼働することで、車に搭載されているエアコンから冷たい風が車内へと吹き込んできます。
エアコンで車内が冷えるメカニズム
A/Cボタンをオンにすることで動作を開始するエアコンのメカニズムの概略を解説します。
なお、車のエアコンがすべて同一のメカニズムというわけではありません。
エアコンの動作中にA/Cボタンをオンにすれば、コンプレッサが動き始めます。
コンプレッサとは冷媒(エアコンガス)が低温・低圧のガス状冷媒を、半液体である高温・高圧のガス状冷媒に変換・圧縮させるパーツです。
変換された半液体である高温・高圧のガス状冷媒は、コンデンサへと送り届けられます。
コンデンサに送り届けられた半液体である高温・高圧のガス状冷媒は、細い管を通過していく過程で熱を奪われ、低温・高圧の液状冷媒へと変換する仕組みです。
冷却を経た低温・高圧の液状冷媒はレシーバータンクへと送り出され、一時的にレシーバータンク内に留まります。
一時的に留まっていた低温・高圧の液状冷媒は、エキスパンションバルブ(霧吹きのようなパーツ)へと送り届けられます。
エキスパンションバルブに到着した低温・高圧の液状冷媒は膨張させられ、低温・低圧の霧状冷媒に変換し、エバポレータに送り込まれる仕組みです。
エバポレータとは、送り込まれた低温・低圧の霧状冷媒を、周囲の熱を奪いながら気体である低温・低圧のガス状冷媒に変換させるパーツです。
ブロアファン(送風機能を持つパーツ)が車内へ送る空気の経路上に設置されており、霧状冷媒をガス状冷媒に変換させて車内を冷やします。
車内に送られる空気は熱を奪われると同時に、空気が抱え込んでいる水蒸気も奪われます。
つまり、車内に到達する空気は冷たいだけではなく除湿もされているということです。
なお、エバポレータで奪われた水蒸気は車外に排出されます。
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A/Cボタンの効果的な使い方
続いては、車内を冷やしたい場合と暖めたい場合のA/Cボタンの効果的な使い方について解説します。
車内を冷やしたい場合
まず、A/Cボタンをオンにしない限り、エアーコンディショニングシステムは稼働しません。
そのため、外気温以下に車内を冷やしたい場合は必ずA/Cボタンをオンにすることが大切です。
炎天下に駐車していて車内が高温になっている場合、素早く車内を冷やす方法として、エアコンのスイッチとA/Cボタンをオンにして、外気導入・最低温度に設定します。
次に、すべての窓をフルオープンにして走行し、車内に籠もった熱を車外へ追い出したあと、外気導入から内気循環に切り替えると、素早く社内を冷やすことが可能です。
一般社団法人日本自動車連盟車(JAF)が行った実験で、車内がもっとも早く冷えた方法なので、少しでも早く車内を冷やしたい場合はぜひ試してみてください。
※参考元:一般社団法人日本自動車連盟(JAF)公式サイト|夏の駐車時、車内温度をもっとも早く下げる方法は?
車内を暖めたい場合
車内を暖めたい場合は、エアコンのスイッチはオンにしてA/Cボタンはオフにします。
そうするとコンプレッサは動作しませんがブロアファンが作動し、エンジンの熱を活用した暖かい風を車内に送り込むことが可能です。
関連記事:車のエアコンが効かない?応急処置や故障時の対応を解説
窓ガラスの曇りを取る際もA/Cボタンを活用する
雨が降っている日やエアコンで車内を暖めている場合、窓ガラスが曇って視界は遮られてしまい、運転がしづらくなることがあります。
窓ガラスの一部が曇り始めたら、A/Cボタンを活用してみてください。
エアコンのスイッチとA/Cボタンをオンにした状態であれば、除湿機能が働いて窓ガラスの曇りが解消されます。
関連記事:車のエアコンが臭いときの対策は?原因と対処法を徹底解説
長く車に乗り続けるために押さえておきたいA/Cボタンの使い方とは?
長く車に乗り続けるために押さえておきたいA/Cボタンの使い方を紹介します。
A/Cボタンはエンジンの回転数が低いタイミングでオンにする
エンジンの回転数が高いタイミングでA/Cボタンをオンにすると、コンプレッサに大きな負荷がかかり破損などのリスクが高まります。
リスクを低減するためにも、A/Cボタンはエンジンの回転数が低いタイミングでオンにするのがおすすめです。
定期的に冷却水の量を確認する
A/Cボタンの使い方と併せて定期的に冷却水の量を確認することも大切です。
ボンネットを開けて、エンジンルーム内に設置されている「冷却水のリザーバータンク」内にある冷却水の量を確認します。
冷却水の液面が「LOW」と「FULL」の間であれば問題ありません。
万が一、冷却水の液面が「LOW」を下回っている場合、早急な対処が必要です。
カー用品店などで冷却水を購入して補充するか、自動車ディーラーや自動車整備工場で冷却水の補充を依頼します。
自分で冷却水を補充した場合、定期的に量を確認すると安心です。
頻繁に冷却水の量が減っているようであれば、どこからか漏れている可能性があります。
その場合、自動車ディーラーや自動車整備工場で車の状態を確認してもらうとよいでしょう。
A/Cボタンと燃費は関係ある?
A/Cボタンのオン・オフで燃費は変わります。
季節によっても燃費への影響度が異なると考えられており、特に影響度が大きいのは暑い季節です。
走行状況による違いはありますが、A/Cボタンをオンにして走行すれば、1~2割ほど燃費は悪くなるといわれています。
一方、寒い季節にA/Cボタンをオンにして走行した場合、暑い季節のように大きく燃費が悪くなることは少ないです。
ただ、A/Cボタンをオフにして走行するよりも、オンにして走行する方が若干燃費は悪くなるといわれています。
関連記事:燃費が悪い車の特徴とは?燃費をよくするための方法についても解説
まとめ
車に搭載されているA/Cボタンは、エアーコンディショニングシステムを稼働させるスイッチです。
エアーコンディショニングシステムが稼働することで、エアコンから冷たい風が車内に送り込まれます。
車内を冷やしたい場合はA/Cボタンをオンにして、車内を暖めたい場合はエアコンのスイッチをオン、A/Cボタンはオフにするのが効果的な使い方です。
窓ガラスの曇りを取り除きたい場合は、完全に曇ってしまう前にエアコンのスイッチとA/Cボタンをオンにして、除湿機能を稼働させます。
長く車に乗り続けるために、A/Cボタンはエンジンの回転数が低いタイミングでオンにするとよいでしょう。
併せて冷却水の量を定期的に確認することも大切です。
なお、A/Cボタンの使用によって燃費は変わります。
夏場は1~2割、冬場は若干燃費が悪くなるといわれています。
これまでA/Cボタンの効果的な使い方が分からなかった人は、今回ご紹介した内容をぜひ役立ててみてください。