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丸山 誠まるやま まこと

【フォルクスワーゲン ID.4の内装・インテリア解説】日本で最初のフォルクスワーゲン製フル電動SUV[MJ]

○文:丸山 誠

ID.4のインテリアをフォルクスワーゲンは、「オープンスペース」と呼よぶ。

それだけ広く開放的という意味で、実際に乗ると視界がよいことも手伝ってボディサイズ以上の快適性をもたらしている。

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関連記事:【フォルクスワーゲン ID.4試乗レポート】リヤ駆動らしいハンドリングとEVの静粛性が光る!

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ロングホイールベース

VW ID4写真:丸山誠

これは2,770mmというロングホイールベースも快適性向上に欠かせない要素。

同クラスのSUVのティグアンより全長が65mm長くなっているが、ホイールベースはそれを上まわる95mmも延長。

それだけオーバーハングを小さくしているわけだ。

現行型ゴルフとホイールベースを比較するとゴルフが2,620mmと、ID.4のほうが150mmも長くなっている。

一般的にホイールベースがこれだけ長くなると最小回転半径が大きくなり取りまわしが悪化する傾向になるが、リヤにモーターをレイアウトしてリヤホイールを駆動するRRのためフロントタイヤの切れ角を比較的自由に設計しやすい。

そのためゴルフの最小回転半径5.1mに対し5.4mとそれほど大きに数値になっていない。
実際に取りまわし性はよく、ゴルフに近い感覚で扱うことができる。

ただし、全幅が1.850mmとゴルフより60mm幅広なので狭い場所での駐車などにはちょっと気を遣うことになってしまう。

vwid4写真:丸山誠

インパネ

VW.ID4写真:丸山誠

インパネはT字タイプで特別にEVらしさを主張するということはなく、従来のVWのモデルとイメージは大きくは変わらない。

ただし、プログレードはプレミアムセグメントに迫る600万円オーバーという価格のためインテリアの質感は高められている。

例えばインパネの上部は厚さ7から8mmのソフトフォームスキンで覆われているため、触ると適度に柔らかく上質さを実感できる。

VW.ID4写真:丸山誠

縫い目が美しいコントラストステッチを組み合わせていることでより高級感がある。

VW.ID4写真:丸山誠

シートにもステッチが施され、前席の上部には「ID.」とパンチングされている。

VW.ID4写真:丸山誠

インパネはつねに見る部分のためこのように質感が高いと、上級モデルをドライブしているという満足感が得られる。

センターディスプレイ

特徴的なのはインパネ下のエアコンのアウトレット部分。

VW.ID4写真:丸山誠

両端は一段目にレイアウトされるが、中央部はセンターディスプレイとエアコン操作部の下にエアアウトレットが配置されている。

VW.ID4写真:丸山誠

このようにインパネが階層的にデザインされているのはセンターディスプレイの下側を左右に貫くインテリアアンビェントライトが組み込まれているからだ。

ヨーロッパ車から人気となった同装備は、今では多くのモデルに採用されている。

ID.ライト

ID.4は30色から好きな色が選べるが、輝度がそれほど高くはないため明るい場所ではライトが装備されていることを実感しにくい。

ID.4にはもうひとつインパネのフロントガラス近くにライトが付けられていて、こちらはID.ライトと呼ばれる。

VW.ID4写真:丸山誠

これも左右につながる長さで組み込まれていて光のアニメーションでクルマの様々な状況を知らせてくれる。
例えばクルマに乗り込むと白と青のウェルカムアニメーションが点灯して、運転の準備が完了したことを知らせてくれる。

充電中のバッテリーレベルなどのステータスなどをID.ライトで知ることも可能だ。

ナビが作動しているときは曲がる方向に青いラインが流れるように表示される。

ヘッドアップディスプレイと違い、運転中でも無意識に視界の中に入る光の表示で直観的にわかる仕掛けだ。
さらに前方の車両に追突しそうなときなど緊急停止時には真っ赤に点滅することで、乗員に危険な状態であることを知らせてくれる。

物理的なボタンやスイッチが少ない

ID.4のインテリアでもっとも特徴的なのは、物理的なボタンやスイッチが少ないこと。
インパネに限ればすでに物理的なスイッチがなく、タッチセンサーによって操作する。

さらにマルチファンクションステアリングホイールによってディスプレイを操作することができ、あらゆる操作から物理的スイッチを排除しているわけだ。

VW.ID4写真:丸山誠
VW.ID4写真:丸山誠

逆に残されている物理的なスイッチは、ドアウインドーを開閉するパワーウインドースイッチとドアミラーの操作スイッチ。

VW.ID4写真:丸山誠

ここも物理的スイッチを少なくするためにパワーウインドースイッチはたった2つだけで、通常は前側の開閉を行うが、リヤスイッチを押すと同じスイッチで後席左右の開閉用に変わる。

たった2つのスイッチを無くすために、前後切り替えスイッチにするというのはやり過ぎな気もするが、徹底的に物理スイッチをなくしたいという強い意思が感じられる部分でもある。

ユニークなのはペダルのデザイン。アクセルペダルには音響機器などに使われる三角の再生マーク、ブレーキペダルには一時停止のマークを使っている。

VW.ID4写真:丸山誠

クルマの動きとリンクしたモチーフは、先日ワールドプレミアされた注目のコンパクトEV、ID.2オールにも使われている。

ADAS(先進運転支援システム)

VW.ID4写真:丸山誠

最先端のADAS(先進運転支援システム)を採用しているのも見どころだ。

ADASのセンサーはフロントレーダーとフロントカメラ、4つのエリアビューカメラ、2つのリヤレーダー、8つの超音波センサーを採用。

周りの状況をあらゆるセンサーで把握して制御を行っている。

実際に高速道路でACC(アダプティブクルーズコントーロール)を使うと先行車に追いついたときの減速感がスムーズで自然なフィーリングだ。

レーンキープアシストシステム

レーンキープアシストシステムの性能も信頼感がおけるフィーリング。
同システムは現在では多くのモデルが装備するようになって、軽自動車でも装備しているモデルがある。

車線を維持するのが目的だが、各車のセッティングによって特徴がある。
例えば車線でも左側の線に近く制御するタイプもあれば、車線内を少しだが左右に動きながら走るモデルもある。

どちらもドライバーにとっては制御の信頼性に疑問を感じさせる制御だが、ID.4はセンターをどっしりと走る信頼性のある制御を行うため、操舵をクルマに任せていても不安がない。

VW.ID4写真:丸山誠

なんらかの影響で車線を逸脱しそうになるとシステムがステアリング操作に介入するが、そのスピードとハンドル操作もスムーズだ。

こうしたADASの基本的な性能は、このクラスでは当たり前だが制御の緻密さやドライバーが信頼できるという感性の部分は、VWがこれまで知見を積み重ねてきた結果だろう。

トラベルアシスト

VW.ID4写真:丸山誠

VWはこうした制御をトラベルアシストと呼び、高速道路でのドライブ疲労を軽減している。

もちろんレーンチェンジアシストシステムも装備していて、斜め後ろ側など死角に他車がいるとドライバーに危険な状態を知らせ、車線変更を中止させる。

さらに最先端のアシストシステムがエマージェンシーアトスと呼ぶ緊急時停車支援援システム。
最近装着車が増えつつある装備で、ドライバーが突然の体調不良などで操作できなくなった場合、システムがクルマを停止させる。

ドライバーをモニターするカメラで状況をとらえ、意識を喪失しているか低下して、操作ができないかを判断して同一車線内で徐々に減速して停止させる。

ラゲージルーム

VW.ID4写真:丸山誠

ラゲージルームの容量は後席を使用する状態の通常で543リットルと十分な大きさで、リヤシートを倒すと1,575リットルとかなり容量が増える。

VW.ID4写真:丸山誠

ラゲッジボード下にはアンダーボックスが備えられていて、ここに充電ケーブルなどを入れることができ、ハッチバックモデルらしくワゴンに迫る積載容量を持っている。

荷物が多くなるキャンプなどのレジャーでも使い勝手がいい。

パノラマサンルーフ

VW.ID4写真:丸山誠

インテリアは全体的に明るくて開放感があるが、そう感じさせるのは、パノラマサンルーフがほぼ全面に広がっているからだ。

ガラスは開閉できないが電動サンシェードによって車室内に入る日差しをコントロールできる。
前席ルーフ前方中央には、サンシェードのコントロールスイッチがあるが、これもタッチセンサーというこだわりようだ。

VW.ID4写真:丸山誠

まとめ

プロは車両価格が600万円を超えるモデルのため、これらの装備は付いていて当たり前ともいえる。

徹底的に物理的スイッチを排除した最先端のインテリアを、従来からVWを愛用するユーザーがすんなりと受け入れるかに注目したい。

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この記事を書いた人

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丸山 誠まるやま まこと

モータージャーナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。専門誌や一般誌、ウェブなどで試乗インプレッションや新車解説などを執筆。EVや燃料電池車(FCV)など環境関連や自動運転やADASなどの先進安全装備、キャンピングカーや同トレーラーにも造詣が深い。NHK、在京キー局のニュース番組などにも出演。

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