珍しい交差点?ラウンドアバウト(環状交差点)とは
「交差点」と聞くと二つの道路が十字に交わったものを想像する人が多いでしょう。
しかし、日本には環状になった交差点が100箇所以上も存在しています。
今、日本で増えつつある珍しい交差点「ラウンドアバウト(環状交差点)」の概要や、ロータリー交差点との違いなどを解説します。
両者の通行方法の違いや注意点について知りたい人は、参考にしてください。
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そもそも交差点とは?
そもそも交差点とは具体的にどう定義されているのでしょうか。
交差点の法的な定義や、交差点を判断する方法について解説します。
交差点の定義
一般的に「交差点」と聞くと、十字路の交差点を思い浮かべる人が大多数でしょう。
しかし、法律では、「丁字路を含む二以上の道路の交わる部分」と定義されているため、2本以上の道路が交わっていた場合は、全て交差点に該当します。
また、交差点は基本的に「平面交差」と「立体交差」に分けられます。平面交差点とは、複数の道路が同じ平面上で交わる一般的な交差点です。
立体交差点とは、地下道や高架橋などを利用して同じ平面上では交わらないようになっている交差点です。
交差点には複雑な形状のものも多数存在しています。
そのため、道路上のどこからどこまでが交差点に該当するのかを厳密に定義することは困難です。
なお、交差点で交通事故が発生した場合に、走路の幅によって、過失割合が変動するケースがあります。
ここでは、交差点の範囲を定義する4つの方法についてご紹介します。
始端結合方式
始端結合方式は、「交差する各道路の側線の始端を結んだ線で囲われた部分」を交差点とする方式です。
垂直に交差する道路の場合、始端で囲われた部分は四角形になります。
シンプルな方式のため分かりやすい反面、変形した交差点では適用できない点がデメリットといえるでしょう。
側線延長方式
交差する道路の側線を延長して、ほか道路の側線と接する接点を作ります。
「最も外側にある始端もしくは接点を結んだ線によって囲まれた範囲」を交差点と考えるのが、側線延長方法です。
この考え方であれば、丁字路でも範囲を定義できます。
始端垂直方式
始端垂直方式は、交差する各道路の側線の始端から対向する側線に向かって垂直に線を引いて接点を作り、「接点と始端を結ぶ線によって囲まれた内側」を交差点とする考え方です。
以前までの判例は、始端結合方式の採用が多かったものの、近年は始端垂直方式や側線延長方式も採用されています。
車両衝突推定地点方式
車両衝突推定地点方式とは、「複数の方向から進んできた車両が衝突する危険性のある場所」を交差点とする考え方です。
ほかの方式よりも実際の交通状況に即しているといえます。しかし、衝突の危険性がある範囲を決める際は、主観によるところが大きいことがデメリットです。
日本では珍しい?ラウンドアバウトとは
「ラウンドアバウト」と呼ばれる日本では珍しい交差点があることを知っている人は少ないかもしれません。
ラウンドアバウトとはどのような交差点なのか、交通ルールやロータリー交差点との違いも併せて解説します。
ラウンドアバウトとは
「ラウンドアバウト」とは、日本語で「環状交差点」と呼ばれる交差点です。
車両通行部分は信号機がなく、環状で一方通行の道路です。
車両は交差点の中央に設置された島の周囲を、右回りに通行します。
信号機が設置されていないため、信号待ちがなく、災害時に停電しても問題なく通行できるメリットがあります。
ラウンドアバウトは交通量の少ない平面交差部にある
日本におけるラウンドアバウトは、平成25年6月14日に公布された道路交通法一部改正(平成25年法律第43号)により定義され、翌年の平成26年9月1日に施行されました。
平成26年(2014年)8月には、国土交通省から「ラウンドアバウトの導入について」という文書が発表され、望ましいラウンドアバウトの構造が提示されています。
この文章内で、ラウンドアバウトが有効活用できる条件として、交通量が少ない平面の交差部に導入することや、1日当たりの総流入交通量が10,000台未満の道路への適用することなどが望ましいと記載されています。
引用元:警視庁|法律、国土交通省|国道交安第39号
交差点内を通行している車両が優先される
信号機がないラウンドアバウトにおいて、交差点内を通行している車両が優先となるため注意しましょう。
ラウンドアバウトに進入する際、すでに車両が周回していた場合には、その車両の進行妨害をしてはいけません。
ラウンドアバウトを出る際の合図とは
ラウンドアバウトから離脱する際には、方向指示器による合図が必要なため、事前に確認しておきましょう。
交差点を出る前に、直前の出口を通過したら、左側の方向指示器で合図を出します。
なお、交差点に進入直後の地点にある出口から抜ける際は、交差点に入った時点で合図を出す必要があります。
合図は交差点を完全に出るまで続けるようにしましょう。
ロータリー交差点との違いは?
ほかにも環状になっている交差点としては、「ロータリー交差点」があります。
ここでは、両者の違いについて詳しく解説します。
ロータリー交差点とは
ロータリー交差点とは、環状になった交差点であり、見た目はラウンドアバウトとほとんど同じです。
交差点中央が円形地帯になっており、車両は円形地帯の周囲を環状に進むと進行方向が変えられる仕組みです。
一時停止位置や信号機が設置されており、交通整備が実施されています。
標識の違い
ロータリー交差点の特徴の一つは、黄色で菱形の標識に、環状を表した円形の矢印が黒色で描かれている点です。
一方、ラウンドアバウトは、丸い青色の標識に同じく円形になっている矢印が白色で描かれています。
ほかにもロータリー交差点の標識は、「警戒標識」に区分されており、ラウンドアバウトは「規制標識」に分けられている違いがあります。
警戒標識とは、道路上の危険を運転者に知らせ、注意を促す目的があり、規制標識は、特定の交通方法の禁止・規制・制限を指定するためのものです。
通行方法の違い
通行方法の違いとして挙げられるのは、ラウンドアバウトの場合は、交差点内を周回している車を優先しますが、ロータリー交差点では、基本的に進入する車が優先という点です。
なお、ロータリー交差点の場合は、信号が設置されているため、正確に確認した上で通行しましょう。
珍しい交差点を通行する際の注意点
ラウンドアバウトやロータリーなどの珍しい交差点を通過する際、スムーズに通行するためにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
ここでは、両者をそれぞれ通行する際の注意点について解説します。
ロータリー交差点の注意点
一般的にロータリー交差点では、交差点に進入してくる車が優先です。
自分がロータリー交差点内を走行している場合に、別の車両が進入してきたら一時停止して道を譲るようにしましょう。
交通量の多い場所にあるロータリー交差点では、信号や規制への注意が必要です。
誤ってバスの停車場所に進入しないよう進行方向に気を付けましょう。
ラウンドアバウト
ラウンドアバウトには信号機がなく、交差点を通行している車両が優先されます。
しかし、一時停止の標識や停止線がある場合には、進入する側であっても一度停止を行う必要があるため、事前確認が大切です。
なお、交差点内での駐車は禁止です。
駐車を行う際は、一度交差点を抜ける必要があります。
まとめ
珍しい交差点に不慣れな場合は、通行方法にとまどってしまうことがあります。
同じ環状交差点であるロータリー交差点とラウンドアバウトは、右回りに通行する点は共通ですが、優先される車両が異なる点に注意が必要です。
両者の違いを事前に把握することで、通行時の混乱を防止できます。
なお、現在ラウンドアバウトは、日本全国におよそ140箇所(令和4年3月末時点)も存在していて、今後も増加する可能性があります。
環状の珍しい交差点を走行するときは、交通ルールを押さえて安全に通行しましょう。