甘酒を飲んで運転はできる?飲酒運転の定義・罰則を解説
甘酒は日本で古くから親しまれてきた飲み物であり、おいしさだけに留まらず、健康にも優れているなど、さまざまな魅力があります。
多くの魅力を持つ甘酒ですが、名前に「酒」が付くため、「飲んだ後に運転できるのだろうか」と疑問に思った人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、甘酒を飲んでも運転できるのかどうかについて、詳しく解説していきます。
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INDEX
甘酒を飲むと飲酒運転になる?
甘酒は「酒」という名称こそあるものの、飲酒運転になる心配はほとんどありません。
酒税法ではアルコール度数1%以上の飲み物が酒類と定義されています。
甘酒には米麹(こめこうじ)と酒粕(さけかす)の2種類があり、このうち米麹はアルコールを一切含んでいません。一方の酒粕はアルコールが含まれているものの、市販品の多くはアルコール度数1%未満のため、酒類には該当していません。
つまり実際には清涼飲料という扱いのため、安心して飲めるわけです。
ちなみに、米麹とは蒸したお米に菌を繁殖させて作る日本古来より続く伝統的な甘酒です。
アルコールが含まれていないため、お子さまから妊婦まで幅広い人が飲めるほか、江戸時代には栄養補給として飲まれるほど栄養豊富な飲み物としても親しまれてきました。
酒粕は日本酒の搾りカスを原材料に使用しているものの、製造過程の加熱処理でアルコールはほぼ抜けるため、飲酒運転になる心配はほとんどありません。
ただし、いくらアルコール度数が低いとはいえ、甘酒の種類や量によっては飲酒運転に該当するケースもあります。
特に、一度に大量飲酒してしまうと判断力が低下する恐れもあるうえ、呼気中アルコール濃度が飲酒運転の基準値に達してしまう場合も考えられます。
甘酒を飲む後に運転する予定がある場合は、用法・要領を守って飲むようにしましょう。
運転前に甘酒を飲むときの注意点
甘酒は飲酒運転のリスクが少ないとはいえ、全く心配しなくてよいわけでもありません。
特に以下の注意点は思わぬ落と穴となってしまいがちです。今一度確認しておきましょう。
大量飲酒は控える
米麹であればいくら飲んでも問題ありませんが、酒粕の甘酒に関しては、アルコールが含まれているため、運転前の大量飲酒は控えた方がよいでしょう。
また、甘酒は糖質が多く含まれている飲み物でもあり、100ml当たりの糖質はコーラやオレンジジュースの場合で約10g、缶コーヒーで約8gあるのに対し、甘酒には約20gもの糖質が含まれています。
そのため飲み過ぎると糖尿病のリスクもあり、運転時のみ注意しなければならないわけでもないのです。
なお適量は1日当たり200mlとされており、これはコップ2杯分に相当します。
お酒が極端に弱い人は避ける
アルコールの耐性は個人差があります。体質によってはお酒が苦手な人や、すぐに酔っ払ってしまうという人もいるでしょう。
このようにお酒が極端に弱いという人であれば、運転前の甘酒の飲用は避けた方が無難です。
万が一飲酒状態になると判断能力が落ちるため、アクセルやブレーキ操作が遅れたり、平衡感覚を失って道をまっすぐ走れなくなったりなどの危険も考えられます。
加えて、飲酒運転と判断されてしまうと、重い罰則まで受けてしまいます。
アルコール度数が分からない甘酒は避ける
市販品の甘酒にはアルコール度数や成分表など、さまざまな情報が記載されているため、事前に飲んでも問題ないか確認可能です。
しかし、中にはアルコール度数が分からないものあります。
たとえば、手作りされた自家製の甘酒はアルコール度数の確認ができないうえ、市販の甘酒よりアルコール濃度が高い可能性もあります。
また、大晦日や初詣の際、神社で出される甘酒にも注意が必要です。
こうした甘酒も原材料の確認が難しいうえ、地域によっては酒粕から生成された高いアルコールを含まれる可能性もあるため、運転する予定がある場合は気を付けておきましょう。
前日の飲酒量に気を付ける
甘酒以外に、運転の前日に飲酒をする場合は気を付けなければなりません。
アルコールを分解するにはある程度の時間を要します。
たとえば、500mlのビールや、日本酒1合を完全に分解するには成人男性で約4~5時間、お酒の弱い人や女性、高齢者は5時間以上かかるといわれています。
たとえ缶ビールといえども3缶も飲めば半日はアルコールが抜けない場合もあるでしょう。
アルコールが抜けていない状態で甘酒を飲めば、アルコールがさらに追加されてしまうため、結果的に飲酒運転になる可能性を高めてしまうのです。
そのため、運転する前日にお酒を飲み過ぎたのであれば、甘酒の飲用は控えた方がよいでしょう。
飲酒運転の定義
飲酒運転とは、アルコールを飲んで車の運転を行う行為のことです。
具体的には「酒気帯び運転」「酒酔い運転」の2つに分かれています。
酒気帯び運転とは、呼気中のアルコール濃度が0.15mg/l 以上感知された状態です。
呼気中アルコール濃度が0.15mg/l以上0.25mg/l 未満か、0.25mg/l以上であるかどうかで罰則の内容も変化します。
呼気中アルコールが濃度0.15mg/l とはどのくらいの量かというと、ビール中瓶1本分、日本酒1合に相当します。
たとえ基準値以下であっても運転に大きな支障を及ぼすことが分かっているため、運転時は少量の飲酒でも絶対にしてはいけません。
また、酒酔い運転とは、明らかにドライバーが正常ではない状態を指します。
たとえば呂律が回らない、道をまっすぐ歩けないなどであれば酒酔い運転と判断されます。
どひどく酔っ払っている状態を指します。
このような状態で運転すれば、当然事故のリスクは大きく上がり危険です。
飲酒検問で酒酔い運転と判断されるとより重い罰則が下されてしまうため、車を運転する際はくれぐれもお酒は飲まないようにしましょう。
関連記事:酒気帯び運転で後日呼び出し?応じない場合はどうなるか解説
飲酒運転の罰則とは
飲酒運転の罰則は「酒気帯び運転」か「酒酔い運転」によって下される内容が異なります。
また、運転手だけでなく車を貸し出した人やお酒を提供した人、同乗者も罰則を受けるため、罰則内容を正しく把握しておくことが大切です。
ここでは、飲酒運転の罰則について詳しく解説します。
運転手の罰則
酒気帯び運転の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金のほか、呼気中のアルコール濃度によって以下の行政処分も下されます。
呼気中アルコール濃度が0.15mg/l~ 0.25mg/l 未満の場合
・違反点数13点
・90日間の免許停止
呼気中アルコール濃度が0.25mg/l以上の場合
・違反点数25点
・免許取消(2年間は免許再取得不可)
酒酔い運転の場合の罰則は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
それに加え、行政処分として、違反点数は35点、3年間は免許再取得が不可という重いペナルティが下されます。
違反点数は、行政処分を過去3年以内に受けた言葉ない場合、6~14点までは免許停止、15点を超えると免許取消という扱いです。
このように、飲酒運転の罰則は重く設定されています。
運転手以外の罰則
飲酒運転の罰則はドライバーだけではなく同乗者やお酒の提供を行った人、車を提供した人も対象です。
同乗者やお酒の提供者は、酒気帯び運転の場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が下されます。
酒酔い運転の場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
飲酒をしている人に車を貸し出した人は、運転手と同様の罰則が与えられます。
このように飲酒運転は周囲の人たちにも大きな責任が及びます。
ドライバーだけの問題と捉えず、みんなで協力し合い飲酒運転はしないように普段から心がけておくことが何よりも大切です。
まとめ
甘酒は運転時に飲んでも問題につながる心配はほとんどありません。
しかし、甘酒の種類や量によっては飲酒運転を引き起こす恐れもあります。
アルコールの耐性があまりない人や、運転の前日に大量の飲酒している人は、運転前の甘酒の飲用は控えた方がよいでしょう。
甘酒は飲酒運転になるリスクこそ少ないものの、全く心配しなくてよいというわけでもありません。
運転前に飲む際は適切な量を飲むようにしましょう。
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