チャイルドシートを前向きにするのはいつから?年齢?体重?正しい基準を把握しよう
6歳未満の乳幼児を車に乗せる場合は、チャイルドシートの使用が義務化されています。
座らせる向きに関して“この月齢からは前向きにしなければならない”という決まりは現在はありません。
しかし、2023年9月1日に安全基準が完全移行し、新基準のチャイルドシートは15ヶ月までは後ろ向きでシートを取り付けることが決められています。
それだけでなく、お子さんの体格によってもその時期が変わってきます。
この記事では、チャイルドシートを前向きで使用するための基準を紹介します。
2023年9月1日からの安全基準の完全移行に関しても説明していますので、正しい使用方法を理解して、子どもの安全確保に役立ててください。
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INDEX
チャイルドシートを前向きにできるのは何歳から?
小さな赤ん坊はそれぞれ成長の度合いが異なり、同じ1歳でも体重や体格に大きな違いがある場合が想定されるため、チャイルドシートを前向きにするタイミングは年齢だけでが判断基準となっているわけではありません。
そのため、平均的には1才~1才半頃からチャイルドシートを前向きでの使用が可能と言われることも多いですが、これを鵜呑みにして「うちの子も1歳になったからチャイルドシートを前向きで使おう」と考えるのは大変危険です。
お子さんのためにも、チャイルドシートを前向きで使用する時期をどうやって判断するか理解しておきましょう。
チャイルドシートを前向きでいつから利用できるかは子どもの体格で判断する
チャイルドシートをいつから前向きにできるかは、使用するチャイルドシートによって、目安となる身長などが異なります。
一般的には身長76cmかつ月齢15ヶ月以上の子どもから、チャイルドシートを前向きで使用できるものが多いです(※注意点後述)。
下記はチャイルドシートAの例です。
チャイルドシートA | |
---|---|
後ろ向き | 身長40cm~85cm |
前向き | 身長76cmかつ月齢15ヶ月以上〜105cm |
安全基準 | UN R129 |
チャイルドシートAは身長76cmかつ月齢15ヶ月以上。
このように、チャイルドシートは子どもの体格によって前向き・後ろ向きのどちらを利用できるかが決まっています。
ただ、チャイルドシートを前向きにするかどうかの判断は、年齢よりも身長・体重の方に重きを置いて確認するようにしましょう。
赤ちゃんの月齢が15ヶ月を超えても、身長が基準に達していない可能性があるためです。
前向きへの切り替えが早すぎると事故の際に首や背骨に負担がかかり、大きなケガへつながるリスクがあります。
少し前までは別の判断基準もありました。
今の判断基準を多く見かけるようになったのは、2023年9月1日から。
この時期に旧安全基準である「R44」から「R129」へ完全に移行したため、今では身長と月齢を判断基準とした商品のみを生産・出荷しています。
関連記事:子どもはなぜチャイルドシートを嫌がる?有効的な対処法や便利グッズをご紹介
旧安全基準「R44」とは
R44とは、2023年9月1日以前に安全の基準とされていたルールで「体重10kg以上」また「年齢が1歳」になった頃が一つの目安とされていました。
現在日本で販売されているチャイルドシートは「R44/04」または「R129」という安全基準が適用されています。
2つの違いを表にしました。
安全基準 | R44/04 | R129 |
---|---|---|
基準 | 体重に合わせる | 身長に合わせる |
月齢 | – | 15ヶ月以上まで後ろ向き |
2023年9月1日以前まではこの安全基準どちらかに適合した製品が販売されていましたが、2024年現在ではすでに安全基準「R129」に完全移行しており、新たに製造されるものや出荷されるものは「R129」に則った商品のみとなっています。
しかし、移行したからといって「R44/04」の安全基準で作られたチャイルドシートを使用してはいけないわけではありません。
こちらも十分安全基準を満たしたものなので、安心してお使いください。
なお、製品によってどちらの安全基準に適合しているかが異なるので、取扱説明書を必ずよく読み遵守しましょう。
チャイルドシートの適正な切り替え時期の確認手順
チャイルドシートを前向きに切り替える適正な時期の確認手順は、以下です。
- 赤ちゃんの身長と体重を事前に計測
- チャイルドシートの取扱説明書に明記されている身長・体重・年齢を確認
手順①:赤ちゃんの身長と体重を事前に計測
まずは、赤ちゃんの身長と体重を計測しましょう。
身長は、メジャーなどを使えば計れるでしょう。
体重を計る際は、
- 大人が赤ちゃんを抱っこした状態で体重計に乗る
- その重さから、大人の体重を引く
と良いです。
手順②:チャイルドシートの取扱説明書に明記されている身長・体重・年齢を確認
手順①で赤ちゃんの体重を計測したら、チャイルドシートの取扱説明書を手元に用意します。
取扱説明書を開くと、「後ろ向きに座る目安となる、身長・体重・年齢」「前向きに座る目安となる、身長・体重・年齢」が明記された、適用条件があります。
この適用条件と手順①で計測した赤ちゃんの身長・体重・年齢を参考にしながら、チャイルドシートを後ろ向きにするのか、前向きにするのか、決定しましょう。
チャイルドシートの前向きと後ろ向きの違い
チャイルドシートを使用する際、前向きと後ろ向きでどういった違いがあるのでしょうか。
以下で詳しく紹介します。
安全性
後ろ向きの方が、安全性が高いとされています。
乳幼児は身体に対して頭が大きくて重いうえに、頭を支える働きをする頸部も未発達の状態です。
こういった時期に前向きに座らせてしまうと、急ブレーキなどの衝撃があった際に頭部が前方へ投げ出される状態になってしまいます。
頸部を損傷させる危険性が高いといえるでしょう。
対して後ろ向きで座らせている状態であれば、背中全体で衝撃を分散させて和らげることができます。事故を起こさないことが大切ですが、万が一の事故に備えることも大切です。
設置方法
設置方法は前向きでも後ろ向きでも難度に差はありません。後ろ向きタイプのチャイルドシートには、子どもを乗せ降ろしする際に毎回取り外す必要がある製品があります。
チャイルドシートに子どもを乗せた状態で車に設置し、降ろす際はチャイルドシートを取り外してから降ろします。この作業が手間と感じてしまう人もいるでしょう。
お世話のしやすさ
お世話については、前向きの方がしやすいといえるでしょう。また子どもが景色を楽しむことも可能です。
対して運転手以外に同乗者がいない場合、後部座席のチャイルドシートに乗った子どもが後ろ向きでは表情や状況を確認できません。前向きの方が運転手にとっては安心できるといえます。
チャイルドシートに関する規定・法律
チャイルドシートに関する規定や、違反した場合の罰則などを紹介します。
チャイルドシートの使用義務
道路交通法第71条の3第3項により、6歳未満の子どもを車に乗せる場合、チャイルドシート着用が義務化されています。
なお法律では6歳未満と決められていますが、身長が140cmに達するまではチャイルドシートを活用した方がよいとされている点を覚えておきましょう。
チャイルドシート着用が一部免除される場合がある
以下のような場合は、6歳未満であってもチャイルドシートをしなくてもよいとされています。
- チャイルドシートを設置できない構造の車の場合
- チャイルドシートを設置すると乗車定員数の人数が乗車できない場合
- 病気や怪我など健康上の理由でチャイルドシートの着用が困難な場合
- 肥満などの身体的な理由でチャイルドシートの着用が困難な場合
- 授乳やおむつ替えなどの日常生活上のお世話をする場合
- バスやタクシーに乗車する場合
- 特別な許可を得て有償で運送事業を行っている車に乗せる場合
- 緊急で病院へ連れていくときや迷子を保護して警察署へ行くなどの場合
なお授乳を済ませたあとは、速やかにチャイルドシートに乗せるようにしましょう。
そして可能ならば、走行中ではなく停車させて行うことが望ましいです。
さらに風邪などの症状で病院へ行く場合は、緊急で病院へ連れていくときに該当しない可能性があります。
違反した場合の罰則
チャイルドシートの使用を怠った場合「幼児用補助装置使用義務違反」になります。違反点数1点がドライバーに付加されます。なお反則金などはありません。
違反になるから着用させるのではなく、子どもの安全を確保するために着用させるという意識を持つことが大切です。
チャイルドシートを活用する際のポイント
ここからはチャイルドシートの取り付け方や活用時のポイントなどを紹介します。初めてチャイルドシートを活用するという人はぜひ参考にしてください。
取扱説明書をよく読む
まず子どもの身長や体重に適しているか、自家用車に取り付け可能かなどを確認するためにも取扱説明書をよく読みましょう。
取り付ける際も取扱説明書を読みつつ、一つ一つの手順を確認しながら進めていくことが大切です。
誤った方法で取り付けてしまうと、安全が担保されず子どもが危険な状態にさらされてしまいます。
また購入時に確認する事項になりますが、安全基準を満たしている製品かどうかもしっかり確認しましょう。
特にインターネットで製品の購入を検討している人は注意が必要です。
定期的に身長と体重を確認する
チャイルドシートを使用する時期は特に成長が早く、すぐに身長・体重が増加します。
チャイルドシートには適用範囲があるため、身長や体重が超えてしまった場合は買い替えが必要です。定期的に子どもの成長具合を確認しましょう。
ハーネスの取り付けや調節を適切に行う
ハーネスが正しく取り付けられていないと、チャイルドシートに乗せている意味がありません。取扱説明書の通りに、そのときの子どもの体格にぴったり合うよう調節しましょう。
またハーネスの肩の高さも調節が必要です。チャイルドシートの肩パッドが子どもの肩に沿うようにします。
ハーネスが首を絞めつけるような位置や、耳に当たるような位置は適切ではありません。
さらにチャイルドシートに乗せるときは、厚着を避けることを推奨します。
厚着をしている場合、シートがきつく感じることがあります。
また上着のせいでハーネスをぴったりと装着できず、身体がすり抜けてしまうことも考えられるでしょう。
できるだけ後ろ向きで使用する
身体が未発達な状態の乳幼児期は、安全面を考慮してできるだけ長い期間チャイルドシートを後ろ向きで使用するようにしましょう。
前向き使用はお世話のしやすさや表情が見られるなどのメリットもありますが、安全面では後ろ向きよりも劣ります。
関連記事:チャイルドシートの洗い方は?汚れる原因や洗う際に準備するものをご紹介
【注意】チャイルドシートの前向きへの切り替えが早すぎると危険!
チャイルドシートの前向きへの切り替えが早くなりすぎると、危険です。
理由は、以下です。
- 乳幼児の身体は、前方からの衝撃に耐えられない
- 後ろ向きなら、万が一の事故時、被害を最小に抑える
理由①:乳幼児の身体は、前方からの衝撃に耐えられない
乳幼児の身体は、まだまだ未熟です。そして乳幼児期の赤ちゃんの身体において、頭を支える頚部が未発達です。
したがって、前向きで座っている状態で、前方からの衝撃が発生すると、頭部が前に飛び出し、酷い傷を負ってしまう可能性が高いです。
頸部の損傷は、命に関わる重大なもの。
決して焦ってチャイルドシートを前向きにすることなく、適応期限の直前まではチャイルドシートを後ろ向きにして、赤ちゃんを座らせましょう。
理由②:後ろ向きなら、万が一の事故時、被害を最小に抑える
チャイルドシートを後ろ向きにして赤ちゃんを座らせることで、万が一の事故の際、チャイルドシートの広い背もたれが衝撃を吸収してくれます。
チャイルドシートは、赤ちゃんの身体にかかる衝撃を軽減するという、大切な役目を担っています。
その効能を最大限に発揮するためにも、適応期限の直前まで、チャイルドシートを後ろ向きにして、赤ちゃんを座らせましょう。
関連記事:チャイルドシートがない時の対処法は?着用の義務期間や免除される場合を解説
チャイルドシートの種類
チャイルドシートと一言でいっても、実は対象の年齢などで名称が異なります。
商品によっては、新生児から12歳ごろまで使用できるものもあります。
この場合、成長に合わせて部品を外すことで長年使用することができる便利なシートです。
今回はチャイルドシートの各名称について解説します。
ベビーシート
ベビーシートと呼ばれるものは、首のすわっていない0歳児のころから使用できるものです。
前述のとおり、15ヶ月未満の子どもが乗ることを想定した商品は後ろ向きに取り付けることを前提に設計されています。
ジュニアシート
ジュニアシートは子どもが少し大きくなった際に使用するシートで、だいたい1歳〜11歳くらいの子が対象なものが多いです。
関連記事:チャイルドシートやジュニアシートは何歳まで使う?例外や選び方なども解説
関連記事:チャイルドシートとジュニアシートの違いとは?切り替えの目安をチェック!
チャイルドシートの選び方
前の章で解説したように、チャイルドシートは年齢によって名称が異なり、それに合わせて設計なども少し異なります。
チャイルドシートの違いはそれだけではありません。
取り付け方の違い(シートベルトで取り付けるタイプとと、コネクターを車の専用器具に差し込むタイプ[ISOFIX対応車のみ])や回転式か固定式かなどもチャイルドシートによって異なります。
チャイルドシートを購入する前に、実際に取り付けた際の動きや流れをイメージしてどういったものが欲しいのか具体的に決めておくと良いでしょう。
まとめ
6歳未満の子どもを車に乗せる場合、チャイルドシートを使用することが法律で義務付けられています。
チャイルドシートは前向きで使用するケースと後ろ向きで使用するケースがあり、前向きに切り替える基準は身長や体重に左右されます。各製品によって適用条件が異なるため、取扱説明書を確認しましょう。
なお、2023年9月1日に完全移行する安全基準「R129」に適合したチャイルドシートでは、生後15ヶ月までは後ろ向きで使用するように定められています。
ただし、たとえ前向き使用ができる基準に達したとしても、できる限り後ろ向きで使用するのがおすすめです。後ろ向きの方が、安全性が高いとされているためです。