コンパウンドとは?種類や使い方、使用時の注意点などを解説
愛車に傷や汚れがあるときに、「コンパウンドの活用」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。
コンパウンドというものは車の傷を目立ちにくくしてくれる便利な道具なのです。
この記事では、道具としてのコンパウンドのさまざまな種類、使用方法、そして使う際の注意点について解説します。
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INDEX
コンパウンドとは
「コンパウンド」という言葉そのものは、「混合物」や「化合物」といった意味になります。
車関係以外でも使用される言葉としては「複合」という意味になるのですが、こと車関係で「コンパウンド」と言った場合には、「研磨剤」のことを指します。
この研磨剤は、主に車の傷消しとして使われることが多く、コンパウンドの研磨剤はリキッド(液状)、またはペースト状のものが多く採用されます。
コンパウンドで車を磨くことで、研磨粒子が塗られ、車の塗装面を転がることで、傷ついた塗装面が滑らかになっていきます。
こうすることによって、傷による塗装面の段差が見えづらくなり、車の傷や汚れが目立たなくなります。
このようなコンパウンドの性質から、コンパウンドでは車の「クリア層」と呼ばれる一番上の層についた傷をキレイに見せることができますが、その下の構造である「ボディカラー層」や、さらに下にある「下地層」についてしまった傷までは消すことができないため、注意が必要といえます。
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コンパウンドの種類について
コンパウンドには複数の種類があります。
その違いは「粒の細かさ」「ペーストか液状か」「水性か油性か」という違いとなるのですが、「ペーストor液状」と、「水性or油性」の違いについては、この次の「コンパウンドを選ぶ際のポイント」の項目で解説します。
この項目では、コンパウンドの「粒(粒子)の細かさの違い」に着目し、それぞれの粒子の細かさをどのような場面で用いるか、どのような性質があるかについて解説します。
中目のコンパウンド
研磨剤の粒子の細かさは、おおむね紙やすりでの目の細かさで表すことができます。
また、使い方も紙やすりと近い部分があります。
「中目」のコンパウンドは、研磨力が強く作業効率が高いという特徴があり、紙やすりとの対象では#800~#1000に該当する役割です。
研磨力の高さが特徴なのですが、その反面、磨き傷が残りやすいという欠点があることも知っておくとよいでしょう。
車においては、広範囲の傷を研磨する際によく利用されます。
細目~極細目~超微粒子のコンパウンド
細目は#1200~#1500、極細目は#2000~#3000程度の紙やすりに対応するコンパウンドです。
細目では粒子が9~20μで、塗装肌の調整を行う段階で使用されることが多いコンパウンドです。
極細目~超微粒子は粒子が4~10μで、仕上げに使用するのが主な用途ですが、その他中目や、細目の研磨剤で研磨した際にどうしてもついてしまう研磨傷を消す目的で使用するケースもあります。
艶出しコンパウンド
艶出しコンパウンドは、上記に紹介したコンパウンドの中ではもっとも粒子が細かく、0.3μ~2μ、紙やすりでは#6000~#15000のものに該当する使い方をします。
この非常に細かい粒子での研磨は、研磨というよりは最終的な「磨き上げ」や、「艶出し」の目的で使用されることが多いものです。
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コンパウンドを選ぶ際のポイント
先の項目では、コンパウンドの種類、その中でも、それぞれの研磨剤に含まれる粒子の細かさによる使用目的・効果の違いについて解説しました。
次に、その研磨剤が「ペーストタイプ」なのか「液体タイプ」なのかの違い、それぞれの役割や特徴、使い分けのポイントなどについて解説します。
ペーストタイプと液体タイプのどちらを選ぶ?
コンパウンドには、ペーストタイプと呼ばれるものとリキッドタイプと呼ばれるものがあります。
基本的に、どちらもコンパウンドとして、つまり研磨剤としては使用できるものなのですが、やはりタイプの違いによって使い方や使い勝手が異なります。
まずペーストタイプについては、その名のとおり粘度が高いコンパウンドです。
利用する面を選ばず、たとえば垂直な面などでもきちんと定着して使いやすいのがペーストタイプの利点です。
一方で、粘度が高いゆえに広がりづらく、磨きムラが生じやすいという点は注意が必要です。
また、固まりやすいため、開封後保存がきかない点も注意が必要です。
使い切れる分だけを購入するなどの工夫が必要です。
リキッドタイプは、やはりその名のとおり液体で、ペーストほどの粘度はありませんがやや粘度があるという性質のものです。
広がりやすいという性質から、広い作業面を均等に磨くという用途に向き、磨きムラが生じにくいという利点があります。
ただし、液状のためペーストよりも乾燥に弱く、作業中に乾燥してしまうなどの問題があるため、手早い作業が必要になります。
水性か油性のどちらを選ぶ?
コンパウンドには、水性と油性の2種類があります。
水性はその名のとおり主成分が水で、汚れが落としやすい反面、しっかりと研磨しないと磨き残しが目立ちやすいというデメリットがあります。
一方油性は、傷が目立ちにくくなるというメリットがあります。
これは溶剤が含まれているためで、水性のようにしっかり磨かなくても傷が目立たなくなります。
ただしこれは溶剤が傷を埋めているだけなので、シリコンオフなどの使用で逆に目立ってしまうケースもあります。
この両者の使い分けは、「しっかり磨き上げたい場合は水性」、「手早く済ませたい場合は油性」というように覚えておくとよいでしょう。
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コンパウンドの使い方
愛車にコンパウンドを使ってピカピカに研磨したいという場合には、どのような使い方をすればよいのでしょうか。以下には、作業前・作業手順に分けて、コンパウンドをどのように使えばよいか、その使い方について解説します。
作業前:適切なコンパウンドを選ぶ
先の項目では、コンパウンドのさまざまな種類を解説しました。
基本的にコンパウンドで研磨する際には、研磨面がどのような広さか、どの部位にあるのか、研磨にかけられる時間はどの程度か、傷の大きさや深さといった点を作業前に確認し、適切なコンパウンドを選ぶのが第一歩です。
先の項目で解説した内容をもとに、まずは適切なコンパウンドを選ぶところからスタートしましょう。
実作業:手順を守って研磨する
コンパウンドのかけ方は、まず洗車をして砂やホコリを落とすところからスタートです。
次に、コンパウンドを少量スポンジに取ります。
研磨力の小さい超極細目のコンパウンドから使うのがおすすめです。
傷とその周囲を磨き、磨き終わったらキレイな布で拭きます。
コンパウンドの細かさを調整しながら、研磨・拭きの工程を繰り返します。
傷が目立たなくなるまで、上記手順を守って繰り返しましょう。
コンパウンドを使用するときの注意点
コンパウンドをかけると、嫌な傷が目立たなくなるなど、メリットが多くあります。
ただし、コンパウンドを使用するときにもそれ相応の注意点があります。
以下には、コンパウンドを使う際の注意点をシンプルに解説します。
コンパウンドを使うのは塗装面のみ
コンパウンドは、塗装されている面のみに使いましょう。
特に車の研磨で気をつけなければならないのは、樹脂面やゴム面です。
このような面にコンパウンドを使用すると、化学変化によって色が落ちなくなり、かえって目立ってしまうという最悪の状況も想定されます。
コンパウンドは深い傷はなおせない
次に、深い傷はコンパウンドではなおせないということを知っておきましょう。
コンパウンドは塗装面についてしまった浅い傷を滑らかにすることで目立たなくしているのであり、傷が「消えている」わけではありません。
塗装を削りすぎてしまうと、再度塗装が必要になるなど、かえって手間やコストがかかる結果となってしまうケースすらあります。
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まとめ
コンパウンドは、塗装面の傷を目立ちにくくすることができる便利なツールです。
ただし、コンパウンドは傷を「なおす」ものではなく、「目立たなくする」ためのものです。
コンパウンドの役割や仕組みをよく知り、適切に活用することで、愛車の傷が目立ちにくい状態で乗り続けることができます。
コンパウンドを活用するときには、この記事で解説した内容をぜひ参考にしてみてください。