ガソリン車はいつまで乗れる?日本の取り組みや他車のメリット・デメリットを紹介
近年、環境問題への懸念から世界的にガソリン車に対する規制が進む中、日本でもカーボンニュートラルやSDGsなどが積極的に行われています。
世界各国のように日本においてもガソリン車に対する規制が始まるのかと、不安に感じる人もいるでしょう。
この記事では、今後、日本でガソリン車がどのようになるのか、ガソリン車から移行するにはどの自動車が良いのかを紹介していきます。
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INDEX
ガソリン車はいつまで生産されるのか?
政府は2030年半ばまでにガソリン車の製造をやめて、新たに製造される自動車は電気自動車に限定する目標を掲げています。
この目標に関係しているのは、脱炭素に向けた世界の取り組みや、日本政府が2050年までに実現を目指しているカーボンニュートラルです。
脱炭素に向けた世界の取り組みとして、アメリカでは州政府を中心に再生可能エネルギーの導入が進んでいます。
カリフォルニア州はアメリカ最大級のシェール資源を保有しながら、再生可能エネルギーに依存する社会を目指しているほどです。
ヨーロッパでは2035年までに、新車によるCO2の排出量を2021年比で100%削減する目標を設定しています。
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こうした脱炭素化の取り組みは世界的に見られる一方で、日本は脱炭素の取り組みが遅れていました。
しかし、現在では日本も脱炭素に向けた取り組みとして、2050年までに実質的なCO2の排出量ゼロ、カーボンニュートラルを目指しています。
経済産業省は具体的な取り組みや目標値を示した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表しており、その中で「乗用車は、2035年までに、新車販売で電動車100%を実現。」との記載があります。
正式に目標として掲げていることもあり、今後、日本ではガソリン車から電動自動車への移行を促進する政策が積極的に行われることが予想されるでしょう。
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ガソリン車はこれからも乗れるのか
現在、ガソリン車を所有している人の中には、これからも乗り続けられるか不安に感じる人もいるでしょう。
ここでは、ガソリン車に乗りにくくなる要因を紹介します。
古い車は税金が高くなる
古い車は自動車税や自動車重量税が高くなるため、乗り続けようとすると負担が増えます。
現在の自動車税に関する制度では、新車登録から13年が経過した後、自動車税の負担が増える仕組みです。
例えば乗用車で16,400円の自動車重量税を支払っていた場合、13年経過すると22,800円に上がり、約6,000円分も負担が上乗せされます。
さらに5年後、つまり新車登録から18年が経過した場合、25,200円とさらに高くなるため注意が必要です。
賃金が上がりにくい日本では、こうした自動車に関する負担は多くの人の生活に影響をもたらすでしょう。
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ガソリンスタンドが減っていく
また、経済産業省資源エネルギー庁の調査では、ガソリンスタンドの数も年々減少している状況です。
公表されている調査データによると、2016年から2020年の5年間にわたって毎年約700ヶ所のガソリンスタンドが減少しています。
さらに、2011年から2020年の10年間では、合計8,738ヶ所もガソリンスタンドが減少し、割合としては約20%の減少です。
ガソリン車の利用年数が長いほど、自動車税・自動車重量税をはじめとする維持費が高騰することや、日本におけるガソリンスタンドの減少により、ガソリン車の利便性は損なわれていくと予測されます。
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日本の自動車メーカーも電気自動車への移行を表明
こうした現状を受け、日本の各自動車メーカーにも動きがありました。
トヨタは、2030年にバッテリーEVのグローバル販売台数を年間350万台にすることを目標に掲げ、2035年にはグローバルで販売する車に関してバッテリーEV100%を目指しています。
ほかにも、ホンダでは2030年までに30機種のEVをグローバル展開し、年間生産台数も200万台を超える計画を立てました。
このように、日本の自動車メーカーも電気自動車の積極的な展開を目指していることが分かります。
2030年の軽自動車に関して
2030年半ばまでにガソリン車の製造をやめる政府の取り組みの中に、軽自動車も含まれています。
つまり軽自動車もハイブリット車や電気自動車に該当しない場合は新車による製造が停止します。
軽自動車は、車両サイズやスペック的にハイブリットシステムを搭載しづらい状況です。
ですが近年は、プラグインによるハイブリットでなく、エンジンメインでモーターがサポートするマイルドハイブリットが普及しつつあります。
政府も軽自動車や商用車等で、電気自動車やハイブリットカーに転換する対策を示唆しているため、ガソリン車以外の形で市場に残ると考えられます。
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ガソリン車から乗り換えるべき?他車のメリット・デメリットを紹介
カーボンニュートラルに向けた取り組みや各自動車メーカーの動向を受け、ガソリン車を持ち続けることに不安を感じる人もいるでしょう。
一方、近年ではガソリン車の規制だけではなく、環境にやさしい自動車に関する税制優遇制度も充実しています。
そのため、現在保有している自動車が自動車税増額の13年に近い場合、新たに買い替えるのも良いでしょう。
そこで、続いてはガソリン車からの移行案として挙げられるハイブリッド車と電気自動車に着目し、それぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。
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ハイブリッド車のメリット:燃費性能が優れている
ハイブリッド車はガソリン車に比べて燃費が良いのがメリットです。
国土交通省が公開している「燃費の良いクルマランキング(令和2年度)」によると、普通自動車の上位車種(ヤリス、プリウス、カローラスポーツ、ノート)はハイブリッド車で埋まっています。
また、燃費の良い自動車ということもあり、ハイブリッド車は各種免税や減税の対象です。
日本では環境にやさしい自動車を普及させるため、政府が定めた燃費基準を満たしている自動車に限り、免税やエコカー減税などの優遇処置を施しています。
さらに、普段利用する自動車の燃費が良いと、日々のガソリン代も抑えられ一石二鳥です。
税金負担が増える古いガソリン車よりも、新しいハイブリッド車の方が維持費に関しては安く抑えられるかもしれません。
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ハイブリッド車のデメリット:燃費の良さは維持できない
ハイブリッド車はエンジンだけでなく、電動モーターも活用して動く仕組みです。
発進する際や低速で走行する際に、電動モーターがエンジンをサポートすることで、エンジンの負担を減らし燃費性能が向上します。
つまり、ハイブリッド車の高い燃費性能は、電動モーターによって実現されているということです。
しかし、こうした電動モーターには寿命があり、5〜10年程度といわれています。
もちろんメーカーのバッテリー交換制度を受けられるケースもありますが、高い燃費性能が継続されるわけではありません。
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電気自動車のメリット:各種制度の対象になる
電気自動車とは、その名の通りガソリンではなく電気で走行する車です。
そのため、自動車利用時にCO2を排出せず、環境にやさしい車として知られています。
ハイブリッド車同様、自動車税の免税や減税の対象となるのが特徴です。
また、電気自動車を普及させたい日本政府が各種補助金制度を設けています。
どの程度補助金が活用できるのかは事例によって異なりますが、自動車メーカーが提示している金額よりも安価で購入することができるでしょう。
電気自動車のデメリット:充電設備が限られている
電気自動車を充電する設備は、日本ではまだまだ限られています。
そのため、ガソリン車のように気軽に燃料を補給するのは難しいでしょう。
日中は充電が満タンの状態で利用し、夜間は家で充電を行うのが一般的な利用方法となります。
通勤や買い物などの普段使いであれば、満タンに充電した状態から帰宅まで問題なく使用可能です。
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まとめ
脱炭素化に向けた世界的な取り組みによって、日本でも2050年までにカーボンニュートラルを実現するなどの具体的な取り組みが行われています。
日本の自動車メーカーでも、ガソリン車から電気自動車への移行を示す動きが増えてきました。
こうした中で、従来のガソリン車を持ち続けるのではなく、ハイブリッド車や電気自動車に乗り換えるのも良いでしょう。
それぞれにメリットがあることからも、価格以上の価値を体験できることが期待できます。