廃車寸前からのレストアは自分でできる?実作業の内容を解説
長期間乗っていない車が家にあり、廃車しようにもなんかもったいないと感じる方も多いようです。
近年ひっそりと起こっている旧車ブームもありますので、復元できるのならしたほうがいいようなケースもままあります。
そこで今回は、廃車の復元、いわゆる「レストア」について解説しますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。
そこで費用や効果を考え直し、あらためて乗るのか廃車にするのかを決めることで、悩みが一つ解決するでしょう。
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INDEX
レストアとは?
レストア(レストレーション、Restoration)とは、古くなっていたり、劣化した車を元の状態に戻す作業のことを意味します。
修理箇所は多岐に渡り、車そのものを新しく生まれ変わらせることと言っていいでしょう。
一般的には、歴史的な価値を持つ古典車やヴィンテージ車など、特定の時代やモデルの車両を修復することが多いのですが、アメリカの25年ルールやワイルドスピードなどで、いわゆる「旧車」ブームが起こっており、レストア需要が密かに高まっています。
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レストアで行なわれる作業
車のレストアは、外観や内装、エンジン、サスペンションなど、車の様々な要素にわたって行われます。
劣化したパーツの修理や交換、塗装の再施工、内装の修復、エンジンのオーバーホールなどが含まれ、純正の部品を使用して車を元の状態に戻すことも重要な要素の一つとなります。
レストアの主な目的は、車の歴史的な価値や美しさを復活させたり保持しながら、元の輝きや機能を取り戻すことであり、かなり深い専門知識や経験が必要であり、熟練した職人や専門業者によって行われることが一般的となります。
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ボディのレストア
まずは見た目、ボディのレストアから見ていきましょう。
見た目が良くなると、ヴィンテージカーやクラシックカーとしてのかっこよさを取り戻すことができます。
車体の洗浄
まずは、車体を十分に洗浄します。
洗剤や専用の車用洗浄剤を使用して、汚れや泥を落とします。
時には高圧洗浄機を使ったり、スポンジ、ブラシなどを使って、表面を丁寧に清掃します。
サンディング
次に、表面のキズや錆を取り除くため、サンディング(研磨)を行います。
研磨ペーパーやサンディングマシンを使用して、表面を滑らかにします。
ここで重要となるのは、均一な仕上がりを実現することです。
なぜなら、レストア後の見た目に左右するからです。
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凹みや傷の修復
サンディング後、ボディフィラー(パテ)を使用して、凹みや傷を修復します。
ボディフィラーを必要な箇所に適用し、平滑に仕上げます。
その後は納得のいく仕上がりになるまで、再度サンディングを行います。
塗装
ボディフィラーが完全に乾燥したら、車体の塗装を行います。
部分的に塗装するというよりは、全面を行なうイメージとなります。
まず、下地処理を行なうための、プライマーコートを塗布します。
その後、カラーコート(ベースコート)を塗布し、最後にクリアコートを塗ります。
この三段階のコーティングにより、車体に艶やかな仕上げが与えられ、良い仕上がりとなります。
クリアコートの研磨
塗装が完了したら、クリアコートを研磨して均一な光沢のため、研磨剤やポリッシャーを使用して、表面を磨ききり、塗装の艶を引き立てます。
ガラスやトリムの取り付け
最後に、ガラスやドアトリムなどの付属品を取り付けます。
ガラスの交換やドアトリムの修復も同時に行なう必要があることも多いです。
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内装のレストア
内装のレストアは、外観以上に見えない部分の修復が必要になるケースも多々あります。
風雨にさらされていた場合、車内もダメージを受けています。
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現状確認と清掃
まず、車の内装の現状を徹底的に見て、どのような修復や改善が必要かを判断します。
座席、ダッシュボード、カーペットはもちろんのこと、内張りなどの見えない部分も含め、各部位を確認し、車内を徹底的に掃除しましょう。
掃除機やブラシを使って、ゴミや埃を取り除き、古い内張りや座席カバー、カーペットなどは、一旦取り外す必要があるケースもあります。
修理・交換・リフレッシュ
内装の損傷や欠損箇所を修理します。
破れたシートやカーペットの修繕、ひび割れたダッシュボードの修正など、適切な修理方法を選んで作業を進めます。
修復が難しい場合や、内装の一部が劣化している場合は、交換も視野に入れましょう。
新しいシートカバーやカーペット、内張りなどを取り付けることで、内装を徹底してリフレッシュすることができます。
再清掃と保護
レストア作業が完了したら、内装をきれいに清掃します。
表面を拭き取り、シートやカーペットを専用の内装クリーナーを使って汚れを取り除きます。
さらに大事なのが、内装を保護するために、適切なコーティングや保護剤を使用することです。
美しく仕上がっているかを確認し、必要に応じて微調整を行なう必要があります。
オーバーホールとレストアの違い
エンジンなどの機械部分に関しては、「実際に問題なく動くのか」という現実的な問題にどうしても直面してしまいます。
「オーバーホール」よりも深刻な処理が必要となるケースも多くあります。
オーバーホールとは
車のオーバーホールは、車両の主要な部品やシステムを点検し、修理または交換することです。
分解して修理・検査を行なうと言った意味で、腕時計などでも使用される用語です。
車のオーバーホールは通常、車両の性能を維持・向上させるために行われることが特徴で、「復元」が目的の「レストア」とは意味合いが変わってきます。
レストアとは違い、オーバーホールは長く車に乗っていると定期的に行なう必要があるので、より身近に感じる方も多いでしょう。
エンジンのレストア
エンジンのレストアは、実際に動かすにあたり非常に重要となります。
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エンジンの現状を知る
レストアする前に、エンジンの現状を専門家に診てもらうことが必要です。
エンジンの問題や必要な修理の範囲を正確に把握するため、専門知識と経験を持つ業者に相談しましょう。
分解とクリーニング
エンジンを分解してそれぞれの部品を洗浄します。
部品ごとに検査し、必要に応じて修理や交換を行う必要もあるでしょう。
丁寧な部品洗浄は、古い油や汚れを取り除き、レストア後の性能を最大限に引き出します。
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再生や修理
エンジンの再生は、必要な修理や交換を行いつつ、現役時代の状態に戻すプロセスです。
これには、ピストンやシリンダーの研磨、バルブの交換、クランクシャフトやカムシャフトの修理などが含まれますが、時代にあった部品の調達が難しい場合は、代替部品を使用することもあります。
組立て
修理や再生が完了したら、エンジンを再び組み立てます。
正確なトルクやシーケンスに基づいて部品を取り付けることが重要で、ガスケットやシールなどの消耗品は交換する必要があります。
微調整とテスト
エンジンを再組立てした後は、微調整とテストを交互に行います。
調整したら、エンジンをテストして動作を確認し、また微調整に入ります。
最大限のパフォーマンスを発揮できるようになるまでこれを繰り返します。
サスペンションのレストア
サスペンションは車の乗り心地やハンドリングに大きな影響を与える部分です。
サスペンションのレストアには以下のような手順が含まれます。
サスペンション自体の点検
今までのパーツと同じようにまずは点検です。
車両をリフトアップし、サスペンションブッシュやボールジョイント、タイロッドエンドなどの部品が劣化していないか確認します。
部品の交換
必要に応じて劣化した部品を交換します。
例えば、ブッシュやボールジョイントが摩耗している場合は、新しいものに交換します。
また、サスペンションコイルやショックアブソーバーも古くなっている場合は、新しいものに交換することがあります。
調整とテスト
車両の乗り心地やハンドリングを調整するために、サスペンションのセッティングを行います。
スプリングのプリロードやダンピングの調整なども含まれます。
レストアを自分で行なうのは難しい
このような流れでレストアを行なっていきます。
もちろんこの後にも、タイヤの付け替えや、細部の部品の修理などが続き、よほど車に詳しくなければ不可能と言って良いような作業内容です。
知識だけでなく、実践経験やそもそもの設備や備品の在庫の有無も求められるので、結局業者頼みとなります。
実際にやってみたい方も、まずは細やかなメンテナンスの知識から身につけ、小規模の修理などにステップアップしていくことが大切です。
レストアの費用は1,000万円を超えることも?
レストアの費用は、200万円ほど〜数千万円まで幅広くかかるケースもあり、一概に「だいたいいくら」とは言えません。
なぜなら、車の状態によって手をつける範囲が全く異なるからです。
女優の伊藤かずえさんがシーマのフルレストアを行なったことで話題になりましたが、正確な費用はわからないものの、時間などで換算すると1400万円ぐらいかかっているのではないかという噂もあるほどです。
しかし、クラシックカーや旧車には今とは違う魅力もあり、可能であれば乗り続けたいし、見る機会が無くなるのも寂しいものです。