中古車を減価償却で経費計上するには6年落ち?4年落ち?
社用車や事業用の車であれば、車の購入費および部品代・ガソリン代等の関連費用の経費計上が可能です。
ただし、車の購入費用は1年で全額を経費にするのではなく、数年に分けて経費に計上しなければなりません。
軽自動車は4年落ち、普通車は6年落ちのものが節税対策に効果的です。
ただし、中古車の減価償却は新車と異なる点があります。減価償却の仕組みを知らずにいると、節税につながるどころか、かえって損をしてしまう恐れが大きいです。
今回は中古車の減価償却について詳しく解説します。
中古車の購入費用を経費に計上したい人は、ぜひ参考にしてください。
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中古車の購入費用は経費計上できる?
結論として、社用車や事業用の車であれば、中古車・新車問わず購入費用の経費計上が可能です。
ただし購入した年に購入費用の全額を計上するのではなく、減価償却という会計処理を行う必要があります。
減価償却とは、固定資産(償却資産)の購入費用を法定耐用年数にわたって毎期費用計上する会計処理です。
以下の条件をすべて満たす固定資産は減価償却の対象となります。
- 使用期間が1年以上
- 購入価額が10万円以上
- 事業用
- 時間が経つにつれて資産価値が減少する
事業に用いる車は原則として4つの条件すべてを満たすため減価償却の対象です。
法定耐用年数は資産の種類ごとに明確に定められており、普通車の耐用年数は6年、軽自動車は4年となります。
ただし中古資産の場合、法定耐用年数をそのまま用いるわけではありません。
以下いずれかの方法で耐用年数を計算します。
- すでに法定耐用年数を超えて利用された資産である場合
- 法定耐用年数×20%を耐用年数とします。
- 法定耐用年数が残っている場合
- 法定耐用年数から固定資産が利用された年数を差し引き、その上で経過年数の20%を加算した年数を耐用年数とします。
- 式は以下の通りです。
法定耐用年数-経過年数(利用された年数)+経過年数×20%
なお、計算によって算出した年数に1年未満の端数がある場合、端数を切り捨てて計算します。
計算結果が2年未満である場合、耐用年数は2年とします。
関連記事:中古車の減価償却とは?耐用年数・計算方法・注意点を解説
車の減価償却費の算出方法
車の減価償却費の算出方法には以下の3つがあります。
- 定額法
- 定率法
- リース期間定額法
それぞれ詳しく解説します。
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定額法
定額法とは耐用年数にわたって、毎期同額の減価償却費を計上する方法です。
定額法の場合、減価償却費は以下の式で計算します。
取得価額×定額法の償却率 |
償却率は法定耐用年数ごとに明確に定められています。
前述のように、普通車の法定耐用年数は6年です。そして、平成19年4月1日以後に取得した耐用年数6年の資産に用いる償却率は0.167です。
例えば新品の普通車を200万円で購入した場合、減価償却費は以下のようになります。
200万円×0.167=334,000円
取得価額に償却率を乗じるため、計上する額が毎期一定になる点が特徴です。
定率法
定率法は未償却残高に償却率を乗じた額を減価償却費とする方法です。
以下の計算式を用いて求めます。
未償却残高(取得価額-減価償却累計額)×定率法の償却率 |
定率法の償却率も前項で紹介した定額法と同様に、法定耐用年数ごとに明確に定められています。
平成24年4月1日以後に取得した耐用年数6年の資産に用いる定率法の償却率は0.333です。
新品の普通車を200万円で購入した場合、1年目から3年目の減価償却費はそれぞれ以下のようになります。
- 1年目:200万円×0.333=666,000円
- 2年目:(2,000,000円-666,000円)×0.333=444,222円
- 3年目:(2,000,000円-666,000円-444,222円)×0.333=296,296円
また、定率法には償却保証額という概念があります。
償却保証額とは取得価額に保証率を乗じた額です。
減価償却費が償却保証額以下になった場合、計算式は下記のように変わります。
改定取得価額×改定償却率
※改定取得価額:調整前償却額<償却保証額になる最初の年の期首未償却残高
保証率・改定償却率も償却率と同様、明確に定められています。
前項で紹介した定額法と違い、減価償却費は初年度が最も大きく、年が経つにつれて小さくなる方法です。
リース期間定額法
リース取引が以下の要件すべてを満たす場合に用いる方法です。
- 中途解約ができない、もしくは中途解約時に損害金が発生する
- 借り手はリース物件から生じる利益を享受できる
- リース物件にかかるコストを借り手が負担する
※フルペイアウトのリース取引であるとも言い換えられる
リース取引は賃貸借契約ではあるものの、上記の要件を満たす取引は売買取引に類似しているため、減価償却の対象となります。
車の場合、カーリースを行った場合に用います。
カーリースの減価償却費を計算する式は以下の通りです。
リース費用の総額×車を利用した月数÷リース期間(月数) |
なお、以下いずれかに該当する場合は減価償却の対象になりません。リース費用の全額をその事業年度に経費計上します。
- リース期間が1年未満
- リース料総額が300万円以下
関連記事:法人でもカーリースを利用できる?メリット・デメリットと審査のコツを紹介
税金対策になるのは4年落ち?6年落ち?
「税金対策であれば4年落ちがよい」「6年落ちが最も節税に効果的」このような話を見聞きしたことがある人は多いのではないでしょうか。
結論として、軽自動車は4年落ち、普通車は6年落ちのものを節税対策としておすすめします。
すでに紹介したように、法定耐用年数を超えた中古資産の場合、法定耐用年数×20%で減価償却に用いる耐用年数を計算します。
6年落ちの普通車および4年落ちの軽自動車の耐用年数は以下の通りです。
- 6年落ちの普通車:6年×20%=1.2年
- 4年落ちの軽自動車:4年×20%=0.8年
そして、計算結果が2年未満である場合、耐用年数は2年になると紹介しました。
いずれも計算結果が2年未満であるため、減価償却費の計算に用いる耐用年数は2年になります。
耐用年数が短いほど、毎期計上できる減価償却費の額が高くなります。
中古車の購入で節税対策をするのであれば、耐用年数が短くなるものを購入するのが効果的です。
ただし、利用した期間があまりにも長い場合、車両の状態が悪い恐れがあります。
したがって車両の状態と耐用年数の両方を考慮すると、法定耐用年数が経過したばかりの車が最も効果的といえるのです。
関連記事:節税に4年落ちの中古車が適している理由は?減価償却の仕組みを紹介します!
中古車を経費計上する場合の注意点
中古車の経費計上では、以下の2点に注意が必要です。
- いつ購入するかによって節税効果が変わる
- 法定償却方法以外を利用するには届け出が必要
それぞれ詳しく解説します。
いつ購入するかによって節税効果が変わる
固定資産を購入した最初の年の減価償却費は、月割り計算です。
例えば会計年度が4月から翌年3月の会社において、12月に新品の普通車を200万円で購入した場合、会計年度が残り4ヶ月のタイミングとなります。こちらの場合、計算式は以下の通りです。
200万円×0.167×4ヶ月÷12ヶ月=111,333円(小数点未満切り捨て)
経費計上できるのは、あくまで購入してからの分のみとなります。
中古車の場合も、購入した年に月割りで計算する点は同様です。すなわち会計年度の途中に購入すると節税効果が小さくなってしまいます。
節税効果を最大限に得るためには、会計年度の初月に購入しましょう。
関連記事:自賠責保険の勘定科目は何!?自動車の維持費の仕訳方法を解説
法定償却方法以外を利用するには届け出が必要
減価償却の方法には3種類ありますが、購入の場合はリース期間定額法の対象にならないため、定額法・定率法のいずれかになります。
どちらで計算してもよいですが、法定償却方法以外を利用するには届け出が必要な点にご注意ください。
車の法定償却方法は以下の通りです。
- 法人:定率法
- 個人事業主:定額法
法人が定額法を用いる・個人が定率法を用いる場合、期日までに税務署へ届け出をする必要があります。
まとめ
社用車や事業用の車であれば、新車・中古車問わず購入費用の経費計上が可能です。
ただし、購入した年に購入費用の全額を経費計上するのではなく、減価償却を行う必要があります。
どの減価償却方法を用いるか・何年落ちの中古車を買うかなどの条件によって、金額が変わります。
今回紹介した内容を押さえ、正確かつ節税効果のある減価償却を行いましょう。