中古車の耐用年数とは|算出方法や注意点も徹底解説
事業用の中古車を購入しようと考えたときにネックになるのは、耐用年数ではないでしょうか。
その理由として、減価償却資産となる耐用年数は新車を基準にしているためです。
そのため、中古車を購入する場合は、耐用年数を計算する必要があります。
この記事では、中古車耐用年数の算出方法と注意点について解説しますので、事業用に中古車の購入を検討されている方はぜひ最後までご覧ください。
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INDEX
そもそも自動車の耐用年数とは?
耐用年数とは、固定資産として利用できる年数のことです。
固定資産に含まれるのは、自動車だけでなく、ソフトウェアなどの無形資産も含みます。
平等な税制を実現するために、自動車の構造や用途によって耐用年数が決まっています。
また、中古車と新車では、耐用年数が異なるので注意が必要です。
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中古車の耐用年数
中古車はその車が新車購入した場合の耐用年数を過ぎている場合、その耐用年数の20%に相当する年数になります。耐用年数内である場合は、その車が耐用年数から利用した年数を差し引いた年数に加えて、利用した年数に20%を乗算した期間がその車の耐用年数です。
しかし、中古車を購入したときの再取得価格(同車種・同グレードを新車購入する価格)が50%を超えるときは、新車購入時と同じ耐用年数になります。
詳しくは、後述する見出しで解説しているため、ぜひご覧ください。
新車の耐用年数
新車で総排気量が0.66リットル(660CC)以下の場合は、4年が耐用年数となります。普通自動車は6年です。
ただし、これらの車種は、貸自動車業(レンタカー)や教習車だと法定耐用年数が4年になります。
中古車の耐用年数の算出方法
中古車の耐用年数の算出方法は2つあります。
耐用年数を過ぎた場合
この場合は耐用年数の20%になります。
たとえば、6年落ちの普通車のケースでは「6年×20%=1. 2年」です。
計算結果が2年以下のときは、2年とみなされます。
耐用年数内の場合
仮に新車登録(普通車の場合)をしてから3年半経過していると仮定して計算式に当てはめてみると、
「72ヶ月-42ヶ月×0.8=38.4ヶ月」です。
端数は除外するので、3年が耐用年数となります。
関連記事:中古車を減価償却で経費計上するには6年落ち?4年落ち?
【一覧】新車登録からの経過年数に応じた耐用年数
それでは軽自動車と普通車の経過年数に応じた耐用年数を実際に求めてみます。
軽自動車
新車の軽自動車だと耐用年数は4年です。
新車登録をしてから経過年数に応じて耐用年数が変わるのは先ほど記載したとおりです。
軽自動車は新車登録から1年経過していると、耐用年数は3年になります。
2年目からは2年となり、8年目まで耐用年数は2年です。
普通車
普通車を新車で購入したときの耐用年数は6年です。
新車登録から1年経過した普通車を中古で購入したときの耐用年数は5年になります。
2年経過した車両の耐用年数は4年です。
もう1年経過したら3年となり、4年目以降から2年になります。
関連記事:節税に4年落ちの中古車が適している理由は?減価償却の仕組みを紹介します!
車を減価償却する際の注意点
減価償却するメリットは節税です。
資産の購入にかかった費用を複数年度にわたって償却するため、次年度以降の利益額を抑えることが可能です。
購入年度に一括で経費計上して償却してしまうと、次年度以降の利益が大きくなりすぎてしまうかもしれません。
納税額が多くなる可能性があるため、節税のために減価償却をした方がよいのです。
続いて、車を減価償却するときに注意すべきことについて解説します。
経費計上できない車種がある
事業用の車なら経費計上できますが、事業内容とあまりにもかけ離れた車種だと税務署から指摘される可能性があります。
たとえば、2人乗りのオープンカーやスポーツカーなどです。
このような車を社用車に採用する場合は、理由付けをしっかりとしましょう。
特に個人事業主の場合は家事按分に気を付けてください。業務利用と私的利用の割合をしっかりと残しておきましょう。
関連記事:カーリースの勘定科目って?マイカーと会計処理の違いとは?
車の購入と売却の時期
中古車の耐用年数は、月割りで計算されます。
そのため、会計期間を最大限に使って減価償却費用を計上したい場合、事業年度の最初の月に車両を購入すべきです。
もし12月末決算にもかかわらず11月の納車で車両購入してしまうと、その年度は2ヶ月分だけしか償却の対象になりません。
使用開始日からが減価償却の対象になるため、車両購入は決算月の翌月になるようにしましょう。
売却時の所得税
事業用の車を買い替えで売却したときに利益が発生したら、譲渡所得として申告する義務が発生します。
所得税がかかる可能性があることは覚えておいてください。
ただし、売却益が50万円以下なら特別控除の対象となり非課税です。
減価償却方法は2種類ある
減価償却の計算方法は、主に「定率法」と「定額法」の2種類があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
定率法
定率法は、固定資産の残存価格を毎年一定の割合で徐々に減価償却していきます。
初年度に計上できる金額が大きく、次年度以降は償却金額が減る効果が見込めるのです。
定率法の計算式は「未償却残高×定率法の償却率」となっています。
計算した減価償却費が「償却保証額(取得原価×保証率)」を下回ったときは、該当年度より終了年まで改訂償却率を使用して計算します。
定率法のメリットは、先ほど述べたように初年度で計上できる金額が大きい点です。
また、取得費用を短期間で回収できるのもメリットといえるでしょう。
一方で、デメリットとなり得るのは、計算方法が若干複雑になるということです。
また、初年度以降の節税効果が弱くなるのもデメリットといえます。
定額法
定額法は、文字通り毎年一定の金額を償却していく方法です。計算式は「取得金額÷耐用年数」となります。
定額法のメリットは、計算方法が単純で計算しやすいことです。また、初年度の利益額を多く計上できます。
しかし、2年目以降では経費の割合が高くなり、初年度の節税効果が弱いのがデメリットです。
これらの償却率や保証率、改訂償却率は、耐用年数ごとに省令で定められています。
原則として法人は定率法、個人事業主は定額法にて処理します。
あくまで原則なので、現在の償却方法で処理をして3年経過している場合は、期日までに税務署に届け出を出すことで減価償却方法の変更ができます。
まとめ
中古車の耐用年数は新車購入したときの耐用年数を過ぎているときは、その耐用年数の20%に相当する年数になります。
ただし、中古車であっても再取得価格が50%を超過するケースでは、新車を購入した場合と同じ耐用年数になるのです。
新車購入したとき耐用年数の期間内であれば、その車が耐用年数から利用した年数を差し引いた年数に加えて、利用した年数に20%を乗算した期間がその車の耐用年数になります。
この耐用年数が分かれば、減価償却による経費計算ができます。
減価償却の方法は定率法と定額法の2種類あり、原則として法人は定率法、個人事業主が定額法と定められています。
この方法は、計上を始めてから3年経過すれば届け出を出すことで変更が可能です。
どちらが自社(自身)にとって利益が出るのかを考えてから車両を購入することをおすすめします。