車検に印紙代があるのはなぜ?車検費用の内訳や業者ごとの特徴も解説

車検とは、車を所有する人が必ず実施しなければならない点検の制度です。

自家用車の車検の有効期間は、新車登録後の初回点検は3年後で、その後は2年ごとに車検を受ける必要があります。

一般的に車検にかかる費用は、普通自動車の場合であれば約10万円であり、その内訳は大きく「法定費用」「車検基本料」「整備費用」に分けられます。

内訳の中でも、車検費用の約半分を占める「法定費用」は、どこで車検を受けても基本的には一律の金額です。

しかし、法定費用に含まれる印紙代については、車検を受ける車の種類や、車検を受ける場所によって費用が異なるケースがあります

車検費用は比較的大きな出費になるため、可能な限り安価に抑えたいと考えている人もいるでしょう。

この記事では、ケース別の印紙代や車検時に印紙代が必要な理由を解説します。

関連記事:車検に必要な時間はどれくらい?時間を短縮するポイントを紹介

そもそもなぜ車検に印紙代がかかる?

車検に印紙代がかかるのは、道路運送車両法第102条の「手数料の納付」という項目に規定があるためです。

印紙は切手のような形をしており、国に対して税金や手数料を支払うための手段として用いられます。

公的な書類の作成や手続きが必要な車検は、国に対して手数料を支払う必要があり、その手数料として印紙が用いられるため印紙代がかかります。

印紙に似たものとして証紙があります。

証紙も印紙と同様に切手のような形をしており、手数料の納付に用いられますが、印紙との違いは支払い先です。

印紙は、国に対する支払いのための手段であるのに対し、証紙は地方公共団体に対する支払いの手段として用いられます。

車検の手続きに必要な印紙や証紙は必要な手数料として、定められた額を支払わなければなりません。

車検時に必ずかかる費用であることを把握しておきましょう。

車検にかかる印紙代・証紙代はいくら?

車検にかかる印紙や証紙の金額は、車検を受ける場所や車の種類などによって変わります。

車検にはいくつか種類があり、新車登録時から3年後に初めて受け、以後は2年ごとに受ける必要がある一般的な車検は「継続検査」と呼ばれます。

また、新車登録時や一度登録が抹消された中古車を再び公道で走れるようにする際に受ける「新規検査」や、車の改造を行った際に受ける「構造等変更検査」などがあります。

ここでは、一般的な車検としてイメージされる「継続検査」にかかる印紙代や証紙代について解説します。(2023年1月時点)

認証工場に車検を依頼する場合

認証工場は、地方運輸局長より自動車の「分解整備」を行ってよいという認証を受けている工場です。

認証工場では車検を実施するための点検や整備を行えますが、車検そのものは自動車検査登録事務所や運輸支局などの車検場に持ち込んで実施します

認証工場で車検を受ける際は、普通自動車の場合が2,300円(印紙代:500円、証紙代:1,800円)、小型自動車の場合が2,200円(印紙代:500円、証紙代:1,700円)必要となります。

また、軽自動車の場合は小型自動車と同様に2,200円かかりますが、内訳が少し異なり、印紙代が1,800円、証紙代が400円となります。

指定工場に車検を依頼する場合

指定工場とは、認証工場のうち工場内で車検そのものを実施できる工場を指します。

指定工場で車検を受ける際は、普通自動車や小型自動車、軽自動車の費用は一律で1,800円(印紙代:1,400円、証紙代400円)となります。

また、車検には、すべての手続きをオンラインで完結させるワンストップサービス(OSS)というサービスがあります。

OSSは、車検以外にも自動車保有関係の手続きにおいて利用可能です。

OSSで車検の手続きを済ませた上で指定工場に車検を依頼する場合、普通自動車や小型自動車、軽自動車の印紙代は200円安くなり、証紙代と合わせて1600円になります。

印紙代以外の車検にかかる費用は?

車検にかかる費用は、印紙代以外に「その他法定費用」「車検基本料」「整備費用」があるため、それぞれを把握しておくことが大切です。

ここでは、印紙代以外の車検にかかる費用について解説します。

関連記事:車検費用の種類や内訳とは?車検費用が高くなるケースについても解説

法定費用

法定費用において、印紙代以外には自動車重量税や自賠責保険料が含まれています

自動車重量税とは、車の重量に対してかかる税金のことです。

自動車重量税は新規登録時に3年分、以降は車検ごとに2年分をまとめて支払います。

自家用の普通自動車の場合は、「エコカー」「新規登録から13年経過している車」「新規登録から18年経過している車」「その他の車」の4つに区分され、それぞれ車両重量が500kg増えていくごとに税額も増加する仕組みです。

一方、軽自動車の自動車重量税は、車両重量による金額の違いはなく、「エコカー」「新規登録から13年経過している車」「新規登録から18年経過している車」「その他の車」の4つに区分のみで金額が変動します。

また、法定費用に含まれるもう一つの費用が自賠責保険料です。

自賠責保険はすべての自動車に加入が義務付けられており、車検の実施ごとに保険料の支払いを行います。

離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用される2年間分の保険料は、自家用の普通自動車が17,650円、軽自動車が17,540円です。(2023年4月1日以降に適用分)

車検基本料

車検基本料には、点検料や代行手数料、書類作成費用、代車費用などが含まれます。

車検基本料は車検を依頼する業者ごとに大きく変動するため、車検にかかる費用全体に影響を与えやすいでしょう。

一般的にディーラーや整備工場では、車検基本料は比較的高めに設定されており、ガソリンスタンドでは安価に設定されます。

整備費用

整備費用とは、点検によって部品の劣化や損傷が見つかった際、部品の取り替えのためにかかる費用です。

走行に大きな影響がある劣化や損傷ではなくても、将来の事故防止のために取り替えが必要になる部品もあります。

タイヤやバッテリー、オイル、ブレーキパッド、エアコンフィルターなどの交換にかかる費用がこれにあたります。

整備費用は、車検基本料と同様に車検を依頼する業者によって金額が変動するため、車検を依頼する前に確認しておきましょう。

車検はどこで受けられる?

車検は、ディーラーやガソリンスタンド、整備工場などで受けられます。

車検を依頼する先を選ぶ際には、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

ここでは、車検を依頼できる業者の特徴について解説します。

ディーラー

ディーラーは特定のメーカーの車しか扱わないため、そのメーカーの車に関する専門的な知識を持った整備士が点検を行います。

点検項目も車ごとに詳しいマニュアルが定められていることが多く、丁寧で質が高い車検を受けられるでしょう。

一方で、部品交換が必要な際には純正品が使用される場合が多く、丁寧な整備を心掛けるため人件費が高く設定され、他の依頼先と比べて車検の費用が高くなるのがディーラーの特徴です。

関連記事:ディーラーに車検を依頼するメリットとは?他の業者との違いを比較

ガソリンスタンド

車検費用を抑えたい場合は、ガソリンスタンドに依頼するとよいでしょう

価格面だけでなく、ガソリンスタンドは店舗数も多いことから、気軽に行きやすいという利点もあります。

一方、店舗によっては車検を担当する整備士が、車に関する知識が少なかったり整備の質がよくなかったりするケースもあるため、店舗の見極めが大切となってきます。

関連記事:ガソリンスタンドで車検を受けるメリットとは?安価にするポイントや注意点も解説

整備工場

整備工場では、幅広いジャンルの車の修理が可能です。

また、車の修理や整備に特化しているため、交換部品の品ぞろえが多いという特徴があります。

費用面においても、ディーラーより抑えられるケースが多い点も魅力です。

一方、ディーラーと比べると特定のメーカーの車について専門的な知識を持っているわけではなく、工場によって点検の品質に差があるため、口コミなどを参考にして依頼先を選ぶとよいでしょう。

まとめ

車検は安全に車に乗るために必要な点検として定められている制度であり、車検を受ける際には費用がかかります。

車検に必要な費用の中で「法定費用」に含まれる印紙代とは、国や地方自治体などに対して税金や手数料です。

車検の手続きでは公的な書類が使用され、その提出に併せて印紙代として手数料を支払います。

印紙代は車検を受ける場所や車検を受ける車の種類、手続き方法によって変わるため、自身が支払う印紙代の金額を知りたい場合は事前に確認しておきましょう。

この記事を書いた人

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カーナレッジ編集部

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